Phototaxis
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「凪木」
「?染岡?」
お昼休みも半ばに差し掛かった頃、真剣な顔の染岡が来た。
友人とお弁当を食べていた私は背の高い染岡を見上げながら首をかしげる。
改まってなんだろう。
マックスも不思議そうな顔をして染岡の事を見ている。
どうしたの、と聞いたら染岡は随分言いづらそうな表情になった。
「次の…決勝なんだけどよ」
「…」
「ベンチ、来ないか?」
なんとなく、そうかなと思ったけど。
お弁当のふたを閉じて染岡に向き直る。
どういうこと?と視線で聞けば、真剣な視線で返された。
トイレに行っていたらしい半田が、何事かと様子を見に来た。
「なんかあったのか?」
「…次の試合ベンチに来るかって誘いを受けてるんだよ」
友人のフォローにああ、と半田は私を見た。
「昨日、世宇子中のアフロディって奴がきた」
「…!」
もう、そんなところまで。
「あいつの動き、ぜんぜん見えなくてよ、…きっと本番はもっと苦戦する」
染岡の発言に私は目を丸くする。
まさかそんな言葉を染岡から聞くとは思わなかった。
…思ってても口に出すタイプじゃないって思ってたけれど。
私は染岡の眼を見つめる。
いつもの真剣な目。
「…」
きっと、また目の前で皆が傷つく試合になる。
あの光景を思い出して思わずお弁当に視線を落とした。
(また皆が)
手が震えそうになった。
「凪木」
半田の声がして顔を上げる。
「一緒に行こう」
「…いっしょに…?」
「ああ、だって俺ベンチにいるし。大丈夫だって」
「そうだよ、凪木。約束したじゃん」
マックスも口端を上げて笑っていた。
ニヤニヤした笑みじゃなくて、もっと優しい笑顔。
もう一度染岡を見上げる。
私は皆と同じところに立っていいんだよね?
「…わかった」
一緒に、私も戦わせて。
私の返事に染岡は力強く頷いてくれた。