Phototaxis
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「お、はよ」
「おーおはよ…ってああああああああ!!!!」
朝から大絶叫したのは半田だった。
後ろの扉から入ってきて早々に、響き渡るような声を上げる。
続いてその後ろから染岡がやってきた。
「うっせーな半田、朝からどうしたんだ…よ…って」
「…染岡も、おはよう」
「ぁぁぁあああああああ!!!」
「2人とも五月蝿いなぁ」
イスの背もたれに肘を乗せながらニヤニヤとマックスが言った。
だ、だって!と声をひっくり返す半田と、口をパクパクさせて私をガン見している染岡。
1週間ぶりに見た二人はまた少し大きくなってるような気がした。
「ええっと…2人ともごめんね、」
「…本当に凪木?」
「え?」
「あっ、いや、ごめん、なんか雰囲気変わったなーって思って」
どうみても凪木だもんな何言ってんだろう俺、と苦笑する半田。
皆と向き合うって決めたから、なのかな。
なんだか照れくさい。変われるかな、私。
「…凪木」
「……」
染岡の真剣な声に姿勢を正す。
しっかり目を見れば、染岡も私の目を見ていた。
しばらく私たちは見つめあったあと、
ゴンッ
「づっ!!」
ふいに染岡の拳が落ちてきて私はその場にうずくまる。頭上から「うっわ痛そう」と半田の声が降ってきた。
ううううすごくいたい!!!!!
「ぁぁぁぁ…」
「よし、今回はこれで勘弁してやる」
「…え?」
拳の落ちたところを押さえながら見上げると、染岡は笑っていた。
「なんつーか、…凪木は凪木らしくしてりゃ良いんだよ」
「…?」
「…だから……。
あー!つまりだな!お前はいままでどおりでいいってことなんだよ!」
「…ん…?」
「なんでもねえよ!!」
どう言う事だったんだろう。
顔を赤くさせてそっぽを向いたまま口を閉ざした染岡を見つめてみたけれど、返事はなさそうだった。
私は立ち上がる。
マックスはニヤニヤしたままこっちを見ているし、半田は苦笑したままだった。
「…なんか良くわかんないけど、ごめんなさい、ありがとう、染岡」
「…おう」
「半田も、ごめんね、…本当にごめんなさい。」
二人に向かって頭を下げる。
あのさ、と少し躊躇するような声音で半田が言った。
「俺はずっと凪木のこと、友達だって、思ってたんだけど、…迷惑だったら言ってもらいたかった」
「っそんなこと…」
ない、けど。
…なかったけれど、きっと他から見ればそう見えた。
私が一人で思い上がっていただけだった。
マックスも、染岡も、半田も。もちろん他の雷門イレブンのみんなも。違う形で私のことを待ってくれていた。
申し訳なさから涙腺がゆるむ。
半田は続ける。
「でもさ、謝ってくれてるってことは、うぬぼれていいんだよな」
「…?」
「俺たち、凪木と友達だって、その…おもってて、いいよな?」
顔を上げれば半田は頭を掻いてはにかんでいた。
照れくさそうな顔で「勘違いだったとかじゃなくてさ、」と続ける。
「…私のほうこそ…」
声が震える。
「皆と、友達になったって、思って、いいの?」
私の問いに、一瞬ポカンとした後、半田と染岡は笑った。
「俺たち、もうダチだろ」
「ああ、しかももう結構前から」
マックスがニヤニヤとしたまま言った。
「そーゆーことだよ、凪木」
……ああ。
視界が滲んだ。もう、我慢できそうになかった。
「あり、がとう…っ」
私、いま最高に幸せだ。