Phototaxis
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(…鬼道からメールだ)
ディスプレイに表示された名前。
『久しぶりだな。』と珍しく件名が表示されている。
そういえば、鬼道には世宇子戦以来会ってないかもしれない。
メールは、相変わらず句読点だらけだった。
『久しぶりだな。今日はいくつか報告したいことがあってメールをした。
実は、先日雷門中に転校したんだ。それに、一之瀬というアメリカの帰国子女も、雷門イレブンに加わった。』
ああ、一之瀬と鬼道、もうきたんだ。
ってことは次は木戸川清修かな?…全国大会の準決勝か。
ソファに座る。注いだばかりのジュースを一口飲んで、続きに目をやった。
『一之瀬という男は、アメリカでフィールドの魔術師と呼ばれていてな。見たことも無いプレーを仕掛けてくる。
それに土門と木野の幼馴染だったようで、3人ともとても仲がいい。
ああ言うのを竹馬の友と言うんだろう。
今は、一之瀬、土門、円堂で必殺技の特訓をしている。次の準決勝には間に合うはずだ。』
トライペガサスかぁ。じゃあ今は猛特訓中かな。
秋ちゃんの乙女の祈りでペガサスは羽ばたける。幼馴染達の強い必殺技。
木戸川にいる西垣くんに見せ付けてあげられるといいけれど。
それに武方三兄弟にも、監督が伝えたかったこと、伝わるといいな。
『それから、一年生達が』
「ん?」
『お前に会いたがっている』
「…」
『染岡も、半田も、マックスは「返事が無い」と言って、途轍もなく機嫌が悪い』
「……」
『一度、顔を見せてやってくれ。俺も話したいことがあるんだ。
またメールする。鬼道有人』
「…………」
鬼道が話したいことってなんだろうか。
それに、一年生と、半田に染岡。…マックス。
(マックス、怒ってるんだろうな…)
分かってる、マックスは学校に行かない理由を多分解かってる。それでも毎日メールをくれてた。
それを見なかったフリをして、返事を返さなかった私が悪い。
(謝りに行かないと…)
マックスにも、半田にも、染岡にも。ううん、雷門イレブンに。
こんなメールを送ってきたってことは、きっと私の話題が出たんだ。
それで、マックスじゃ返事が来ないからって、送ってきた。
気を遣わせてる。
…準決勝は近いのに。
(ああもう本当何やってるんだろう私。)
佐久間の言ったとおり、本当に馬鹿なんだな私。
行かないと。学校。
マックスと、鬼道に返信する。
「明日、行くね」
お風呂から上がってきた弟が、姉ちゃん眉間のシワ増えたなと言ってきたのでクッションを投げつけた。