Phototaxis
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なぜ、夏休みと言うのはこうも早く過ぎ去るのでしょうか。
なーつがすーぎー風あざみー…頭の中をいのうえようすいの曲が流れ去っていく。
夏が過ぎれば世間的には運動会の季節である。
ここ、雷門中も同様に体育祭の季節だった。
最近は熱中症を防ぐ為に春先にやるところのほうが多いみたいだけれど、ここはそんなことはなかった。
私はといえば、暑さから逃れるべく保健係の任務を全うしている。
帆影ありがとう。扇風機ありがとう。
もちろん必要最低限の種目は出てるし、友達とご飯だって食べてる。
中学生に混じって種目をこなす私に最早成人済み女性としてのプライドなんて存在しない。
そして笑いをこらえている弟、お前の運動会は私も一緒に出て恥ずかしい思いさせてやるからな覚悟しておけコラ
嬉しそうにカメラを持ってきた母親、友達達とピースして映る。
いぇーい!
午前の競技でみんなの姿が見れて、あと雰囲気に負けていつもよりもハイな自覚はあった。
そんな感じで思ったより楽しめている運動会、帆影で休む私のもとにクライメイトがやってきた。
「保健がかりの人いる?」
「あ、うん私そうだよー」
「マックス君怪我しちゃったみたいなんだけど」
「おっけー行く~」
マックスと関わるのは初めてだ。
救急セットを持ってマックスの所まで行く。
(想像できないけど)ずっこけでもしたのか足をすりむいていた。
うっ生足が眩しい!
マックスは足を気にしていたけど、私が来たのに気がついて顔を上げた。
「あれ、凪木さん保健係だっけ」
「そうだよ、足どうしたの?」
「騎馬戦で落ちた」
「あー、男子激戦だったもんね」
「ボク4つ倒したんだ」
「へーすごいね!」
ふふんと自慢そうな顔がかわいくて、というかアニメで見ていたあのままで、心臓がギュとなった私は目をそらす。
水ですすいだ跡はあったので、そのまま消毒して絆創膏を貼る。
「染みた?」
「うー、じわじわきた」
「家に着いたら洗って、汚さないように絆創膏はがしてね」
「うん、わかった。なんか凪木さん手馴れてるね」
「あぁ、弟居るからじゃないかな」
「あー、っぽい」
「そう?」
じゃあおしまいね、立ち上がる。
マックスも貼られた絆創膏を見て足を曲げ伸ばししている。
この後、彼はリレーにも出るのだ。
本当にマックスったら器用なんだからなんでもソツなくこなす。
今日だってリレーのアンカーをやることになってるし。
隣のクラスの風丸と戦うことになるようでオタクは真に楽しみである。
「凪木さん」
「うん?」
「ボクこの後リレー出るんだ。応援してね」
「同じクラスだもん。するよ」
それもそうか、マックスはあの特徴的な帽子を揺らして笑う。
どうでもいいけど鉢巻しないで怒られないのかな。マックスは先生に取り入るの上手いから笑って逃げてるのかもしれない。
でも放送係の先輩とか困るから競技の時はちゃんとつけてあげてほしい。
「じゃあ怪我しないように頑張ってね」
「うん、ありがと」
そして男子総合リレー。
風丸は相変わらず女子をきゃあきゃあ言わせてる。
その隣で走り終わった男子達から「マックス!頼んだぜ!そのイケメンの鼻っつらへし折れ!」なんて声がかかっている。
とんとん、と軽く飛び跳ねてマックスは余裕の笑みでバトンを受ける。
ちょっと遅れてから隣の風丸がパスを受ける、うわぁさすが俊足のDF!速い!
「頑張れマックスくん!!」
声を張り上げる。いけっ!負けるな!!
応援の声も加熱する。
そしてパァン!と空砲の音が晴天に響く。
開いていた差でなんとかマックスは一位のテープを切ったのだった。
男子総合リレーで私たちのクラスは1位になった。
男子達にもみくちゃにされ女子達に「マックスくんさすが!」と褒められ照れくさそうな顔をしているマックス。
間違いなく今日のMVPである。
「へへ、当然だよ」
ところであの笑顔は反則だって思うんだけどどうだろうか。