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03 憧れなんておこがましい
「…」
クラスの話題は雷門イレブンでいっぱいだった。
通りすがりのマックスに「頑張れー」とか「ようやく身を固めたんだな」とか色々声がかかる。
半田も男子から「半端なのにすげーよな!あの帝国倒すなんて!」「半端っていうな!」なんてからかい半分励まされてる。
風丸はキャーキャー言われてるし円堂も男子から背中を叩かれている姿を見かけた。
染岡も、同様。
今や雷門イレブンは話題の中心だった。
地区予選で優勝した雷門イレブンは、一躍有名になった。
あの帝国を倒した、と記者が入ったり、校内でも声をかけられるようになった。
ちょっと前まで、廃部寸前だとか、弱小だとか言われてたのが嘘のようだ。
今度の試合は戦国伊賀島だってー!えー風丸君のこと応援しに行っちゃおう!
どんな試合なんだろうな!俺楽しみ!俺も俺も!
「…」
たくさんのファンができた。
最初の野生戦のときのアウェーっぷりを思い出す。
私とカクくんとそのお友達しかいなかったっけ。
壁山君がイナズマ落としを決めてすごく熱くなった。
御影戦。
このとき何て私と角馬くんしかいなかったんじゃないかと思うぐらい。
それで何故か鬼道が隣に座って。
円堂がシュートを打ちに行ったのは知っていても面白かったし、やっぱり雷門のファンでよかったと思えた。
秋葉名戸では私しか応援にいなくて散々な目にあったけれど、めがね君の活躍を近くで見れて楽しかった。
(楽しいもん、雷門イレブンのサッカー見るの。)
けれど、私だけ特別にベンチに入れてもらうのはもう止めよう。
これだけ沢山の人が雷門を応援してくれてる。
(また、元の所に戻るだけ)
沢山の中の一人に。
ファンの一人に。
(…もう、私が応援に行かなくても沢山の応援の力がある)
目を閉じて喧騒に耳を澄ませる。
雷門イレブンの話題。次の試合の話題。
選手を応援する声。
たくさん聞こえる。
(戻ろう、また向こう側に。私が特別なんだって勘違いする前に。)
「凪木?」
マックスの声がする。目を開けた。
不思議そうな顔をしている。
うん、そう最初はマックスにあおられて染岡のこと励ましに行って、それで呼ばれたんだったね。
なんだかそれも随分と前のことのように感じる。
「どうしたの?」
「………ううん、なんでもないよ」
ただ、すごく楽しかったなって。
マックスは私の顔を見て驚いていた。