Phototaxis
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放課後の廊下にて宮坂と遭遇。
部活終わりらしく制服を着ている。
「あれ、凪木先輩」
「宮坂君おつかれさま。部活終わり?」
「はい!凪木先輩は?」
「私は委員会終わり。図書委員なんだ」
「へぇ!先輩もお疲れ様です!」
聞けば宮坂も帰る方向が一緒のようなので、一緒に帰ることにした。
夕暮れの道に二人分の影が伸びている。
「――じゃあ宮坂くん今度の大会でアンカー走るんだ」
「はい!アンカーって言っても、短距離なので想像してるのとは少し違うんですけどね」
「へーすごいね」
「いえ、風丸さんに比べたら僕なんてまだまだですよ」
「風丸君?」
「あ、ええっと今はサッカー部に助っ人に行ってるんですけどね、青い髪の…」
「分かるよ、風丸一郎太くんでしょ?」
「えっどうして知ってるんですか?」
「私雷門イレブンのファンだからさ」
「ああそういうことですか」
びっくりしちゃいましたと笑う宮坂。
それに曖昧に笑って返すと、宮坂は足元に視線を落とした。
「僕、風丸さんに憧れて陸上始めたんです」
「そうなの?」
「はい。…初めてみた時、風丸さんすごいかっこよかったんです、差がついていた選手もどんどん追い越しちゃって。」
「ふんふん」
「それで僕もああなりたい、一緒に走りたいって思ったんです。…で、気がついたら入部届け出してました。」
えへへ、おかしいですよね素人なのにと宮坂は笑う。
そんな事はないと首を振る。
宮坂のその気持ちは少しだけ分かるような気がした。風丸君は足がとても速い。
修練所を経てさらに早くなった。
気持ち良さそうに走る風丸君を見ているとたまに羨ましくなるのだ。
風になるってどういう感じなんだろう、あれだけ早く走れたらきっと世界も違うように見えるんだろうな。
きっと宮坂はそれで、陸上をはじめたんだろう。
理由なんて関係ない。目標を持って何かを出来ることは凄いことだ。
「風丸さんが助っ人に行ってから僕も足が速くなったし…早く一緒に走りたいなぁ」
「…そうだね」
「ってごめんなさい僕ばかり話しちゃって。」
風丸のことを話している宮坂はすごい楽しそうだ。
この先を知っている私は複雑な気分になりながら返事を返すのだった。