Phototaxis
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「本当にすまなかった」
「いや、だからぜんぜん気にしてないから…」
目の前で頭を下げる源田に私は首を振った。
雷門イレブンが写真撮影しているであろう時間に、帝国イレブンがやってきた。
ぞろぞろと何事かと目を見開く私に、源田が開口一番に謝った。
総帥…影山のせいで傷つけてしまった、大変申し訳なかったと。
隣にいた佐久間も、すまなかったと言って小さく頭を下げる。
別に帝国イレブンはなにも悪くないというのにわざわざ謝りに来てくれた。
気にしてないんだってば、と言えば佐久間が眉を寄せて言う。
「けど、お前はそれで目を…」
「やだなぁ佐久間君…私別に失明したわけじゃないよ?」
「……」
ただちょっと傷つけただけって言うか。
私も詳しい話聞いてるわけではないけど、今の所見えてるしそんな大事じゃないだろう。
それでも何か言いたげな表情を浮かべている佐久間。
ちらりと源田に視線を移すと、源田も同様に申し訳なさそうな顔をしている。
…本当に気にしてないんだけどなぁ…
「…ほら、佐久間君とおそろい。」
「は?馬鹿か?」
「凶暴女の次は馬鹿ときたか」
「!聞こえてたのか?!」
「ええ。まるっと。」
「げぇ」
ちょっとからかって見たら佐久間は顔を引きつらせた。
なんだ佐久間?凶暴女って、と後ろにいた辺見が佐久間に問えば、隣にいた成神くんが「てゆーか二人とも知り合いなの?」と首をかしげた。
そして源田からの視線が突き刺さる。
「凶暴女…?」
「い、いやぁ、言葉のあやだって」
「佐久間君がね、私のこと凶暴女だって」
「おまっ…そもそもお前が!」
「佐久間?」
「う………」
「もう謝らないでよ、そしたら記憶から消し去る」
「…」
ジト目でこっちを睨む佐久間と、ちょっとお怒りな源田。
それからセンパイずるーい、と成神くん、いつのまに知り合ったんだよ!と辺見。
源田は視線だけでそれらを一喝すると、手を差し出してきた。
「え?」
「礼を言いたくてな、それから佐久間が世話になったようだから」
「ええっと…じゃあ凪木です、よろしくね」
「俺はキーパーの源田だ」
それからそれぞれ挨拶する。
成神くんは笑ってポケットに入っていたらしい飴玉をくれた。
いつのか分からないんだけどね~と笑う成神くんに苦笑を返す。
じっと私を見ていた咲山くんが「それ、早く医者呼んだほうがいいんじゃない?」と声をかけてくる。
たしかにちょっとまだズキズキするし、できれば目薬とか点したい。
この辺って眼科ある?と聞いたら、帝国お抱え(!)の医者がいるらしい。
(お抱えドクターってどういうことなの帝国学園…)
「ああ、そろそろ帰ってきているかもしれないな」
「じゃあ俺見てきまーす」
「俺も」
辺見と成神くんがそう言って保健室を出て行く。
「なんか、すごく至せり尽くせりで申し訳ないんだけど…」
「そうか?」
「だってベットもこんなふかふかだし」
「別に普通じゃないか?なあ」
「ああ、こんなものだろ」
(帝国ってやっぱお金持ち…)
家の何てメじゃないほどにふっかふかで気持ちいいベッドで、お抱え医までいるなんて、大した怪我じゃなさそうなのに申し訳ない。
お前気にしすぎだろと佐久間が笑う。
元が綺麗だからすごい綺麗な笑顔。見惚れていたら源田が苦笑した。
「凪木さん、顔」
「あ…」
「まあ気持ちは分かるけどな」
源田も経験があるのか微妙そうな顔で言う。つられる帝国イレブンたち。みんな経験者か…
かく言う佐久間は意味が分からず、ムスッとしている。
佐久間のキラキラ王子スマイルは男女関係無しに効果があるらしい。
ムスッと私たちを見回して、それから佐久間は「あ、」と声を上げた。
「そういえば、凪木は決勝見れなかったんだよな」
「ああそうなんだよね、見たかったのに」
「言えば記録残ってるし、DVDに焼くぞ?」
「えっ本当?だったら欲しいな…」
「今は警察が入っててできないから、あとで渡すよ」
「佐久間くんありがとう助かった!」
せっかくの名勝負見れるものならみたいもんね!
嬉しくて笑うと、佐久間は照れたのか小さく笑って「おう」と返した。
(ん…?それってまた会いに来るってこと?)