Phototaxis
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「ぐわぁあ!!」
「染岡!」
染岡が吹き飛ばされて、土煙が上がる。
じっと私は染岡の吹き飛んだ先を見つめる。
手の中にじっとり嫌な汗。
「…染岡が出れなくなった」
ベンチに引っ込んで足を庇っている背中を見つめる。
変わりに土門がフィールドに立つ。
(だ、いじょうぶだよね)
ドキドキ心臓が煩い。目の前で怪我をされるのがこんなに怖い。
脳裏に一瞬帝国戦が映る。あの時のぼろぼろになった姿。
「…お姉ちゃん?」
「え?」
「大丈夫?おなかいたいの?」
「…ううん、大丈夫…ありがとうね」
「そっか!」
カクくんが心配そうな顔をしている。
そうだ、私たちが応援しないと。
染岡は大丈夫。だって染岡なんだから。
努力して世界に行くんだから。
土門がキラースライドでボールを奪う、豪炎寺にパスが上がって、
「行くぞ壁山!!」
「は、はいッス!!~~~ッ!!」
イナズマ落とし失敗だ。
高いところが怖い気持ちが私も分かるからなんともいえない。
下を見なければいい事なんだけれど、高さがあるって分かっただけで怖いって言うものなのだ。
前半が終わって、ベンチで肩を落とす雷門イレブン。
アドバイスできればいいんだけれど、ここってどうやって攻略したっけか。
空を見るんだっけ?
私は多分それじゃあ高さを感じて余計にダメだと思うから、やっぱりアドバイスなんてできそうになかった。
「頑張れ壁山君…」
後半のホイッスルが鳴って、ゴールに攻め込まれる。
「痛く、ない!!」
円堂が何度もパンチングでボールをはじき出す。
いくら円堂だって何度も弾いていたらいずれガタがきてしまう。
他のメンバーも複数でプレスに当たる。
それでもゴールめがけて放たれるシュートを円堂が受け止める。
そして何度も、何度も信じてボールを前線に投げる。いけ!壁山!
ふと、壁山君の顔つきが変わった。
いける。
「これが!俺のイナズマ落としッス!!」
豪炎寺が更に高く、高く飛び上がる。
上空から突き刺さるシュート、雷門先制、そして試合終了のホイッスル。
「雷門イレブンの勝利です!!!」
「や、った…勝った…」
ふぅ、と息をついて心臓を押さえる。
すごいバクバクしていて、はちきれそうなぐらいだ。
勝利に喜ぶ雷門ベンチに視線を向ければ、すごく嬉しそうな顔がそこにあって
(やっぱり私みんなのこと大好きだ。)
楽しそうに試合をして、辛いことも乗り越えて。私はやっぱり雷門イレブンが大好きだ。
(私なんかの応援でよければ、また来たいな)
線の向こうに居ようと、こうして眺めていられればそれで良い。
「みんな、おめでとう」