Phototaxis
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「凪木さん豪炎寺と知り合いなの?」
「え?」
不意にマックスが声をかけてきた。
マックスは私の前の席の子がトイレに行っているのをいい事に席を占領している。
帝国イレブンとの試合から二日が経過した昼下がりのことだった。
「ほら、この間なんか制服渡してたじゃん」
「ああ…あれはたまたま近くに居たから受け取っただけだよ」
「…ほんと?」
「ほんと。」
「じゃあ、関係ないならアレお願いしていい?」
「は?」
教科書で隠して指を指すマックス。指を追いかければ不機嫌オーラMAXな染岡がいる。
あぁ…そういえばそうだ…。
状況説明を求めます、といえばマックスは教科書でカバーして顔を近づけてくる。
え、なんですかそれ。
「なにしてんの、顔近づけてよ」
「え、あ、ごめん」
急でびっくりしたんだよ…
言われた通り顔を近づけて声を小さくする。
「この間の試合でさ、豪炎寺すごかったじゃん、それで一年生達が豪炎寺に頼ってて」
「ふんふん」
「それでエースストライカーは俺だって機嫌損ねちゃってさぁ」
「はぁ」
「僕は助っ人だからいいんだけど、さすがにアレじゃあさ…」
「…で、なんで私なの?」
顔を離してマックスを見る。
マックスはだって、と指で机に横線を引いた。
「凪木さん、染岡たちと線引いてるから」
「!!」
「あれ、その様子だと図星?」
「…」
やられた。
マックスは「同類だからすぐ分かっちゃった」と、へらりと笑ってみせる。
なんていうことだ、まさかそこまで私の行動を見ているとは思わなかった。
にやりと悪い笑みを浮かべるマックス。
(落ち着け、私。)
私はふう、とため息をついてマックスを見る。
こんな早々にばれるとは思わなかったけど、バレたところで問題があるわけでもない(と、思う)
「…で、それがどう関係してるの?」
「凪木さん声冷たい」
「…で、それがぁ、どーしたのぉ?」
「それはかなり気持ち悪い」
「悪かったね」
「あ、やっと素が出た」
やりーと嬉しそうなマックス。何がそんなに嬉しいのか分からない。
それに本筋からどんどん離れてる。
不機嫌そうな私の顔を見てマックスは楽しそうにイスを傾ける。
「凪木さんだから、アレに声が届くと思うんだよねぇ」
「私、部外者だけど?」
「だからでしょ」
「え?」
「んーなんていうか、部外者だからこそ暴れ馬にも届く言葉もある…的な?」
「……わっかんない」
「まあ、とにかくよろしく。」
席の所有者が戻ってきたのを視界に入れてマックスは立ち上がる。
ねぇねぇ、凪木って呼んでいい?
どうぞご自由に…
寝る体制になりつつ、マックスの問いに答える。
ああ本当にしてやられた。まったく末恐ろしい子である。
私はうとうと船を漕ぎ出しながら、帰りに染岡になんて声をかけるかなぁと考えていた。