私の神様(仮)
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「 け 」
「姉ちゃーん!遊ぶべ!」
「きゃっふぉい!行く行く!」
「転ぶんじゃねぇぞ!」
「はい小十郎父さん!」
「誰が父さんだ!」
目の前でひょこひょこ跳ねるこの子、連れさらっていいですか!!
私の神様(仮)
~雪国ララバイ、世界はやはり丸かった~
本気でいつきちゃんが雪の妖精に見えて来たとある朝、私達はまだいつきちゃん達の村でお世話になっていた。
政宗の信頼する(近親相姦もなかなか萌える)こーちゃんは次の日に帰って来た。
敵国の忍びで、手だれの仕業だろうと。
具体的な主が解るまでもうしばらく待って欲しいと言うことだった。
「姉ちゃん見てくんろ!」
ぼんやり数日前の事を思い出していると、前を走っていたアイドルもとい雪のフェアリーいつきちゃんが両手を広げて前方を指差した。
「わ…!すご…!!」
私達の目の前には一面まっ平に雪が積もっている広大な土地。太陽の光が、誰も歩いていない平地に降り注いでキラキラと光っている。
「秋になったら一面稲穂でいっぱいになるんだ!」
そういいながら笑って振り返ったいつきちゃんもキラキラ光ってて妖精みたいだウフフお持ち帰りしたいわぁあはは!
「姉ちゃん大丈夫だか?」
「ふへ?」
「今、目が座ってただ」
「うっそ!ごめんごめんいつきちゃん!」
不思議そうな顔をしているいつきちゃんに謝って私はもう一度正面を見直す。
初めてみる、文字通り一面の銀世界に自然と笑みが零れた。
「おらの夢は見渡すかぎりの稲穂畑を見る事だ、誰にも荒らされねぇ、大きくてうめぇ米さつくるんだ!」
「……」
「そうしたら姉ちゃんや政宗達と皆で鍋囲んで…たくさんたくさん話すだ!」
にっこりと、太陽みたいな笑顔を浮かべたいつきちゃん。
「夢、叶うといいね!私も楽しみにしてるよ!」
「んだ!」
いつきちゃんのような小さな子が望んでるのは、ほんの些細な幸せで、平和。
私もいつか、皆で集まって話しながらワイワイとご飯を食べたいなぁ、と思う。今も小田原で待ってる与一の為にも。
「私にもね、血の繋がってない弟がいるんだ」
「おとうと?」
「うん、ツッコミの才能に溢れたツンデレなんだけどさ」
「…ツンデレってなんだ?」
「こっちの話っ!……今一人で留守番してるんだ、いつきちゃんと多分歳近いから会った時は仲良くしてあげてね?」
私の目の前で大きな瞳がきゃらきゃらと動いている。数回瞬きを繰り返して、それからまた屈託のない笑みを浮かべた。
「ああ!おらも会って話してみたいだよ!」
「うん、次はちゃんと遊びに来るからね!」
いつきちゃんと与一が一緒に雪で遊んでる姿ハァハァ…ッ!天使が二人もいるでないか!MOE!
「いつきちゃん遊ぼう!雪合戦で!」
「あぁ!おら負けねぇだよ!」
そう言いながらしゃがんで雪玉を作り始めたいつきちゃんに私はこっそり口端を持ち上げた。
「だぶぁふッ」
「よっしゃあ!クリーンヒット!」
「こ、の…!!」
目の前できゃいきゃい、いつきちゃんとハイタッチするナルちゃんに私は顔面の雪を払いのけて雪玉を一つ作り始める。
いつきちゃんと優しく柔らかくあくまで痛くない程度の雪合戦をしていたのだが、突然割り入って来たナルちゃん。
ナルちゃんが来た瞬間雪玉の硬さが@倍になりました。
むろん私は握力を極限まで駆使しての雪玉製造だ。
「まったく、いつきも手加減しすぎだよ」
「だって姉ちゃんの玉が硬くねぇから……」
「あるぇ?!私手加減してもらってたの!?」
「ちょい、いつき。一回本気で雪玉作ってみてよ、ほらあのカカシの胸に目掛けて!」
ナルちゃんに言われておもむろに雪玉を作り始めるいつきちゃん。なんだか雪玉からギシギシ音がするのは気のせい気のせい気のせい!
「あのカカシだか?」
「そーそー」
一歩下がったナルちゃんを見ていつきちゃんはごく自然の動きで玉を投げ…
ガツンッ
バキィッ
『……………』
玉は当初狙う筈だった胸から大分外れてカカシの足、支えていた木にぶつかり、あるまじき音を立てて木の3分の2ほどにヒビを入れた。
少しのあいだ、しんと静まり返る。
「狙ったところに飛ばなかったべ……」
「え、そっち?!」
しゅん、とするいつきちゃん。木にすさまじいダメージを与えたとかじゃなくて!?
「…ま、まぁホラ、普段からハンマー振り回してるじゃん?」
「ああうん、まぁ…」
本人も予想外だったのか声をつまらせてナルちゃんが言う。あの威力の雪玉が当たったら骨とか軽く粉砕しそうだ。恐ろしい話だけど!
大丈夫よいつきちゃん!例え握力ぱねぇくても愛してるから!
「シズカの作る玉じゃ弱くて話にならないよな!」
「ンだとごるぁ!」
あっはっは!と笑うナルちゃんに素早く固めた雪玉を投げ付けた。
渾身の力で投げ付けた雪玉は高笑いするナルちゃんの口の中にダイレクトでインする。
「あっはっはっはははは!」
「姉ちゃん凄いベ!」
「…ふふふふふ…!泣く子も黙る勇武無双の成実様に喧嘩を売ったねシズカ…!」
わしゃわしゃと雪をかき集めて高笑いする成実に私は半歩後ろへ下がって身構えた。
フハハハと彼が掲げた雪玉のでかさに顔が引き攣ったのは仕様だ。
「おかしい!そのサイズは明らかおかしい!元気玉みたいになってるから!」
しかもかき集めただけだから既に丸ですらねェし!はぁぁぁあおらに元気を分けてくれぇぇえ!
「喰らえ!俺の超高速うるとら投球を!うらぁぁッ」
投げ付ける、というかむしろたたき付ける様にしてナルちゃんは私に雪の塊をぶつけて来た。
…が私は本能的に避けてみせる!ふははは成実敗れたr
ボガッ
目の前で雪の塊を投げ付けたナルちゃんが顔面を蒼白にさせている。
横でいつきちゃんも口に手を当てて目を見開いてる。いやんいつきちゃんってばそんな顔もキュートん☆
「………て…めぇ」
「……あ…政宗………」
低い某マリモボイスに振り返ると頭から雪を被った政宗が突っ立っている。ああだから二人とも顔面蒼白だったのね!
雪玉を一つ作って青筋立ててる政宗にホイ、と手渡してあげてみると「Thank you」と言ってニヤリと笑った。
「シズカのばかぁ!」
「成実覚悟しやがれ!」
政宗から放たれた剛球は背中を向けて逃げようとしたナルちゃんを直撃する。
背中を向けていたナルちゃんはむろん顔面から雪の中へダイブした。
「Han!ざまぁみやがれ!」
「政宗GJ!よくやった!」
グッと親指を立てて政宗を見ると政宗も親指を立てて返してくる。
そしてナルちゃんに視線を戻すとムクッと雪の中から起き上がっている。
「おりゃっ!」
ナルちゃんが投げた玉は政宗の顔に当たった。あーあ、赤くなってるし痛そおおおお!
「上等だ…!地獄見るかぁ?!」
「梵んん…!俺の投球ナメてっと痛い目みるぜ!?」
目の前で火花を散らす二人に私といつきちゃんは目を合わせて頷いた。
「おら、政宗に付くだ」
「私はナルちゃんに付くね。」
睨み合う横をそそくさと通って私はナルちゃんの横に立つ。一人一つ暗黙の了解で雪玉を作り上げた。そして、
「チェストォォォオ!」
先手必勝、私が政宗に向かって投げた雪玉が合図となって雪玉が私たちの間を行き交う。
その雪玉はどんどん無差別になっていく。
「政宗はお野菜残すって聞いたベ!」
ひゅんっ
「シズカ昔とっといた大福喰ったろ!」
しゅんっ
「いつき!さっき投げた玉に石入ってたんだけど!」
ビュンッ
「ナルちゃんに踏まれた小指痛いんだけど!」
ブンッ
「石はわざとじゃないべ!」
ビュッ
「ゴボウ以外は喰ってる!」
ギュンッ
「さっきシズカに蹴られたすね痛いんだけど!?」
バビュンッ
「大福食べたの私としょーちゃんだもん!」
ブォンッ
「………何をしてるのですか」
『あ。』
こめかみに青筋を浮かべた小十郎が拳を握りつつ立っているのを見つけた瞬間、本日何度めか全員顔を青くした。
「政宗様に成実ェ!!」
雷が落ちました(主に政宗とナルちゃんに)
「えぇだか?本当に逃げて…」
「いーのいーの、私たちは雑務しなくて平気だからね」
雪の上で正座という暴挙に出た小十郎に怒鳴られている二人を置いて(だって小十郎にどっか行っててくれといわれたんだもん)(二人の視線が痛かったです)馬小屋に来た私たち。
私や政宗、小十郎をここまで頑張って運んで来てくれた馬に人参をやるために掘り出してきた雪下人参も準備OK。
ふと視線を感じて辺りを見回せば同じ伊達軍の人が乗って来た馬も繋がれていて、つぶらな目がいっぱいこっちを見ていた。
視線はお前らか?!こえええぇぇ!
「姉ちゃん達を乗せて来たのはどいつだか?」
「え、んとー…あ、この二頭かな」
他の馬から若干離された位置に繋がれた二頭の馬に近寄る。うん、この目に毛艶間違いない。
……多分。
「太郎に花子ーありがとね」
「馬の名前だべか?」
「うん、今付けたんだけどね」
どっちかメスで残りがオスって確信ないけどね!花子(白い)の首筋を撫でると鼻息をフンッと吐かれた。
ちょ、今のどういう意味だし!
太郎の方に手を伸ばしたら顔を反らされる。
ええええ…!私ってば馬に嫌われてる!?泣くよ!?
「馬のくせに生意気だな!餌付けしちゃろうか!」
いつきちゃん、人参ちょうだい!と一歩後ろにいたいつきちゃんに後ろ手に手を伸ばす。
「………?」
バトンパスみたいな体勢で、いつきちゃんからの反応が無いため振り返る。そこには誰もいない。
「…いつきちゃん?」
地面を見たら雪の上に転がる人参。
足跡も、ない。
「…………え?」
もう一度、いつきちゃんと名を呼ぼうとして、私は首に強い衝撃を受けた。
………記憶が、途切れる。
「……んばぁ…」
意識が戻った時、私は見知らぬ部屋に居た。
畳に寝転がっていた体を起こして辺りを見回すと、少し離れた所でいつきちゃんが倒れているのが見える。慌てて駆け寄ると寝息が聞こえて寝てるだけかと一先ず安心。
「いつきちゃん、いつきちゃん起きて」
「んぅ……」
なんだか可愛い音を漏らして大きな目がゆっくり開いた。
少しして焦点が合い、私を見て完全に目が覚める。
「姉ち、ゃん…?どうして、おら寝て…?」
「わかんない……私も今気付いて…」
いつきちゃんを起こしながら私達は部屋を見回した。それなりに広い部屋には高価そうな壷に、…なにこれスズメ?
なんだかよく解らない鳥が描かれた掛け軸。
光の射す障子にいつきちゃんと二人でゆっくり開ければ山、山、山。一面の緑が目についた。
さっきまで広がっていた銀世界は見る影もない。
「……ここ、おら達の村の近くじゃないべ…!」
「うそ……」
まさか二人して寒さで気絶してかつ夢遊病でここまで来たとかない、よね!?
私はともかく、いつきちゃんが寒さで気絶なんてありえないよね…いつきちゃん雪の妖精だし。
ここどこですかァァ!
二人して状況が把握できずにポカンとしていると窓の反対にあった襖が静かに開いた。
「………気付いたか」
「おめぇさん…!」
黒ずんだ金色の鎧が目に入ると横に居たいつきちゃんが牙を剥くように警戒する。
かくいう私は記憶の中からこの抑揚のない声を掘り出していた。
「…あああ!もしかして三好三人衆?!」
「…娘、我らを知っていたか」
たいして代わり映えしない声で三好三人衆(の誰か)は顔をこちらに向けた。深く被った兜のせいで鼻から上はよく解らない。
「え、じゃあ何?松永もいたりするの?!」
「……」
黙り込む三好三人衆(の誰k)を睨んだままいつきちゃんが口を開く。
「隣村は前こいつらに襲われただよ…!そのせいで村も米も無茶苦茶に…!」
「んな…!」
三好三人衆(のだr)を見返すと彼は一度首を左右に振ってまた淡々と言葉を放つ。
「否定はしない。……こい、松永様がお呼びだ」
松永…用があるのはいつきちゃん?
私が眉間にシワを寄せるといつきちゃんが服をにぎりしめてくる。怖いんだろう、手が震えている。
「大丈夫、私も着いていくから」
「姉ちゃん…、」
「震えているハニーは、ほっておけないからね!」
笑った私を見ていつきちゃんは小さく「…ありがとな」と呟いた。
「…話はまとまったか?…行くぞ」
私達を一別して三好三人衆(のd)は前を歩き始める。
私といつきちゃんは手をとって三好三人衆(ry)の後をついて行った。
三好三人syの後をついていく事数分、ついた部屋は広すぎず狭すぎない客間のような部屋だ。
中庭の前に位置する部屋で、光も差し込んでいる。部屋の向こうにもう一つ部屋があるらしく、襖で仕切られている。
先程私達がいた部屋より豪勢な壷がいくつか並んだ部屋だ。
いつきちゃんと部屋の一歩手前で観察していると、不意に部屋の奥から声が響いてきた。
「……そんな所で立っていないで入りたまえ、」
うわわわヒロシ!太くて低くてクールなヒロシがいる…!
ドギマギしながらいつきちゃんと並んで部屋に入った。
部屋の中央でどちらともなく止まって声のしてきた方を睨む。
後から入って来た三好三nに座るよう促されたけど座ることはしなかった。
「…警戒してるのか?安心したまえ、私はただ卿達から少し話を聞きたいだけなのだから」
襖が開いて、口端を持ち上げた男……松永久秀が現れる。彼はかなりの長身で私達が立っているのにも関わらず見下げられる威圧を感じた。
掴みどころがなく、威圧的…それでいてなんだか寛容さもあって……得体が知れない雰囲気に思わず飲まれそうになる。
「疲れたらいつでも座るがいい、なに、気にする事はない」
口端だけを持ち上げたまま松永は座る。
だけどその浮かべた笑みとは相反して、目はしっと静まりかえっている。
「……さて、私は卿らに用がある…のだが、まずはそちらの疑問を解消しようではないか」
卿らは何を欲する?
そう言って松永はゆるりと瞬きをした。その顔には余裕が滲んでいて、怯んでる私たちをせせら笑っているようだった。
隣のいつきちゃんが拳を握る。
「っ、ここはどこだべ」
「ここは信濃、その山奥だ。」
「――おらたちに何の用だ」
「君に用はない。あるのは…そちらだ」
く、と顎で示されたのは私だ。
思わず後ろを見ようとして、私たちしかここにはいないことを思い出す。くそっ絶対私じゃんか!逃げられん!!
「卿は、どうやらかなり変わっているらしいな」
「……。……え?嫌味?」
普通に悪口では??
思わず漫画のようにズッコケそうになった私のことなんて知りもせず、松永は肩をすくめる。
「なんでも…あの独眼竜と大層仲が良いとか」
「!」
政宗と松永、といえば。
政宗の六爪を求めて伊達軍の人を縛り上げて、突き落とす姿を思い出した。
まさか。と思わずいつきちゃんの前に出ると、それを見て松永はクククと喉を鳴らして笑う。
「是非、会ってみたいのだがね。どうにも書簡の返答がないのだよ。そこで…仲の良いらしい卿に取り次いでもらいたくてね」
「……つまり、姉ちゃんは人質、だか」
「まってよ、だったらいつきちゃんは家に帰してあげだっていいじゃん!」
だって、もし本当にそれが目的で、私を連れてきたのならいつきちゃんはただの巻き添えだ。それなら私だけ残ってればいいはず。…まぁ私もそんなの聞かされて大人しくしてるようなタチじゃないんですけどね!!
そう思って松永を睨みつけたけど、松永はその様子すら楽しんでいる様子で私たちを悠々と観察している。
ぐぬぬぬ負けるものか!!
そうして、少しの間睨みあっていたが、先に視線を外したのは松永だった。
「さて…質問は以上かね?であれば私の用事の話をさせてもらいたいのだが」
「政宗の六爪でしょ?」
「それもある、が。……卿はたしか…会津口の方からきたとか」
「……」
「同中、危なかっただろうあの辺りは野盜が多い」
「………もしかして、あの襲撃…松永の指示?」
「フフ…卿は想像力が豊かだな。……まるで未来でも見ているようだ」
「!!」
怪我しなかったからいいものを、と睨む私の視線を無視して意味深に笑って松永はキセルの灰を落とした。それに政宗に口止めされてたあの話、聞かれてたんだ。
思ってたより目敏く見られていたことに動揺して押し黙る。
政宗ごめんもう1人知ってる人増えちゃったぽい!!
動揺する私を愉しむように眺めていた松永だけど、不意に視線を私たちから外した。
な、なんか外がうるさ…
…ダダダダダダ!!
「松永サーンっ!What is that?!」
『…………』
なんか襖をすごい勢いで開け放って戦国時代の日本ではなかなか見ないような金髪の姉ちゃんが飛び込んでくる。
少し内巻きなカールの短い髪がひょこんと揺れた。
「………」
「oh!あなたたち、新しいヒトジチさん!?hello!」
……おぉっと、空気が凍ってるぞ!
目の前で世話しなく話す外人の姉ちゃんはニッコリと人懐っこい笑みを浮かべながら凍った空気を振り撒いている。
見事なKYっぷり(いい意味で)を発揮した姉ちゃんは松永のため息で彼に向き直った。
「松永サン!私この2人とお話したい!」
「…行きたまえ、何かあれば誰かに言えばいい」
「Wow!thank you!アリガトー!」
ニコニコしながら私達は半ば引きずられるようにして部屋から退室する。
後にはため息をつく松永とひたすら無言な三好三nが残された。
「ね、姉ちゃんこの人知ってるだか…?」
「知らないよ……いつきちゃんの知り合いじゃなくて?」
「おらに南蛮の知り合いは居ないだよ…」
温度差で風邪をひきそう!
コソコソと話す私達をよそに金髪の姉ちゃんはニコニコしながら楽しそうに茶の準備をしている。
何がそんなに楽しいのかシャカシャカと鼻歌混じりに煎じたお茶を前に置いた。
「ソチャですが飲んでねー!」
「………あ、あざーっす」
とりあえず一口飲んで(…あれ、なんか飲み方あった気がする…)再び畳のうえに置く。
いつきちゃんもお椀を置くのを見届けて姉ちゃんは口を開いた。
「Hello!ワタシ、ルイス・ソテロ!ルイスって呼んでね~!What are you name?」
「あ、えと、マイネームイズシズカ…。」
うわぁぁぁあ!本物の外人だったぁぁぁああ!む、むり!
英語は本当に無理なんだってえええ!助けて政宗!!!
「oh!can you speak English?!ワタシにほんで聞ける思わなかった!」
「待って!ちょっとだけしか話せないから!」
英語レベルは中学一年生ですけど何か!
目の前でキラキラと目を輝かせるルイスに気迫負けした私はいつきちゃんに視線を送る。いつきちゃんが混乱しているようだったので、とりあえずいつきちゃんの紹介もした。
「シーイズいつき、シーイズマイフレンド!」
「いとぅきー?」
「おらは『いつき』だべ!」
「Ok!いつぅき!Nice too meet you!」
「姉ちゃん…るいす姉ちゃんは何て言ってるだか…?」
「えと、よろしく?かな…。」
「よろしくお願いするだ!」
「ヨロシクね~」
自己紹介が終わった所で私はお茶を一口。
「…で、ルイスは松永の部下の人…なの?」
「Non!ワタシ、ヒットーに会いに来た!」
「……ヒットー?」
「…政宗の事でねぇか?」
「yes!マサムネ!」
なんだかプリ●ュア5みたいな言い方をしてルイスはパン!と手を合わせた。
そしてまた笑う。
「ワタシ宣教師!ヒットーにEnglish教える!ついでに教えも広めるね!」
「宣教師?どっから来たの?」
「エスパーニャ!」
「しらん!」
エスパーニャってどこの国?近いのか?てじなーにゃみたいな名前してるなぁ。ザビーとかもだけど、意外とこの時代にも宣教師って形で海外の人それなりに来てたのかなぁ。
なんてぼんやり考えてたら、いつきちゃんがルイスに話し掛ける。
「なして、るいす姉ちゃんはココにいるだ?」
「あ、そうそう。ここ場所よく解んないけど奥州から遠くない?」
「an!聞いてちょーだい!聞くも涙のstory!」
よよよ、とおなご座りで泣きまねをするルイス。
てか今の喋り方で政宗に英語を教えたのがルイスだと瞬間的に感づいた。
政宗のルー●柴喋りはここからか!!
「ワタシ、エスパーニャの上司からAmericaに行くよう言われたの!でも、船間違った!」
『……………』
「そうしたら、にほん、先に宣教師居た!宗派違う!」
「……ザビー?」
「oh!bingo!シズカ物知り!」
そう言って指をパチンと鳴らすルイス。ザビーと聞いていつきちゃんが顔を歪めた。
「おら話聞かないから嫌いだ」
「me too!だからワタシ北から攻める!ザビー、南から!」
「………」
なんてこったい!/(^O^)\
どうやら日本を使って宗教争いに踏み切ろうとしているらしい。どうだ参ったかとでも言わんばかりに胸を張るルイス。
「シズカ達はヒトジチ?」
「ん…や、まぁ、多分」
「ならワタシと一緒!」
人質、というわりには……
「…るいす姉ちゃんは、なしてそげに明るいだか……?」
私も頷く。
だって人質ってことはシンプルに政宗達に迷惑をかけているという事で、というか何なら政宗の危機でもあるわけで……
フラフラとあちこち行くなと言われていたのに結局こんなことになってしまっていて面目ないというか。
ルイスだって似たような状態なのに、その割にはとても明るい態度なのが気になる。それにあのじっとりネチネチな松永に対してだってこのテンションのまま接しているの、すごいなとか思う。
「だって、ワタシは信じてる!!ヒットーのことも、神様のことも!」
これまでだって何とかなってきたし、これからも何とかなる、何ともならなかったら、その時が神様の元へ行く時!とルイスは力強く笑みを浮かべた。
「だからdon't worry!いつも通り、楽しく、笑顔で過ごすのがダイジってこと!」
「…そっか、私達は信じてればいいんだ」
「YES!」
「姉ちゃん、おら達が無事で元気にしてればいいだよ!」
「よし!そうと決まればいつも通りに振る舞うか!」
景気付けにルイスの煎じたお茶を飲み干して立ち上がる。
よっしゃーー!とわざと大きい声を出せば、ルイスもおおーー!と拳を挙げて、それからちょっと遅れていつきちゃんも「だべ!!」と声を上げた。
目指せ人生大謳歌のハッピー武将・松永久秀計画!!!
「っよーし!頑張るぞー!」
(おそらくまだ北端にいる)政宗、小十郎およびナルちゃん。お仕事お疲れ様ですこーちゃん。
私もいつきちゃんも怪我はどこにもなく健康そのものです。
私達、松永の側で少し頑張ろうと思います。
なので心配しないで下さい!
いじょー貴方のシズカより!
***
「…は?」
「だぁっから、大変なんだってこちゃーん!シズカといつきが行方不明なんだって!」
「行方不明…?」
「今、梵達が辺りを探してるけど…」
「いたか小十郎?!」
「どこにもおりませぬ…!」
「クソッ…!どこ行きやがったんだ……!!」