私の神様(仮)
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「の」
「はぁぁああ?!」
「ちょ、シズカちゃん五月蝿い」
「だ、だ、だ、だって…!」
私は目の前にいる二人を指差して口をパクパクさせた。
私が指差した左の人物は私の表情に笑みをこぼすとゆっくり口を開く。
「シズカ殿、他人を指差してはいけませんよ」
「うっわ、なんて言うオカン発言!?…じゃなくて!」
マー君は相変わらずオロオロしてる。
けれど、そんなマー君もいつもと違う理由は……
「二人も戦うの?!」
私の神様(仮)
モ武将のアトリエ~エタノール・マナ~
道場が始まってだいたい30分ぐらい経ったかな。
充電切れ知らずのオクラ携帯(待ち受けは年がら年中痛い)をいじくってデータフォルダの画像を見てたら(ヴェー、アイスプレイも中々いいよね…)
凄まじい勢いでなんかが突進してくる音がして、これまた凄まじい勢いで扉がズンと低い音を立てて開いた。
まぁ言わずとも犯人は解るから何も言わないよ。
「お頼み申すでござる!さぁさ次は何が来る!」
「つ、次は、自分が、お相手いたします…!」
堂々といきり立った幸村の前には、幸村に負けず劣らず真っ赤な武装をしたマー君が立っていて、幸村は小さく眉間にシワを寄せた。
…そう。
冒頭で私がおったまげた理由はマー君とノブさんの姿だ。
マー君達が武装しに行ってる、っていうのは解ってたんだけどなんとなくマー君は地味な(と言うより普通な)鎧かと思ってたら真っ赤で、
「しかもなんかブレストだよ、あれ。あのアンバランス具合ワタル風味だよ。」
「シズカ殿に引かれてますよ、昌景」
「私の中でもノブさんってば相当驚きの対象に分類されてるから、他人事じゃないからね」
真っ赤なマー君(なんかタイトルみたいだ)と比べてノブさんは比較的ツッコミが入れやすい姿だった。
「……ノブさんてばヤル気ある?」
「半分は」
半分は、っておま…!脳内で裏手ツッコミを繰り出してから、私は目の前でにこやかに笑う果てない軽装の彼に溜息をついた。
…ノブさんの場合しいて言うなら革ジャンの下に軽い防弾チョッキみたいな、遠目にみれば弾薬巻いてるように見える、そんな服だった。
「シズカ殿、私は武器が重いのでせめて身軽で居ないといけないのですよ」
「ふぅん…」
マー君もそうだけどノブさんが戦う姿って想像できないな。ノブさんってどっちかと言うと策士家っぽいし。
「山県殿!よろしくお願いいたす!!」
「あ…あう、よ、よろしくお願いい、いたします!!」
幸村の声に視線を戻せば、ガバッと勢いよく頭を下げて、おどおどしてるマー君が見える。
……少し心配になってきた。だ、大丈夫かな…幸村ってなんだかんだで熱くなったら手加減できなさそうだし。
「ね、佐助…マー君大丈夫かな?」
「え?……あ、そうか。シズカちゃんは知らないんだっけ。」
何が?と聞こうとして左隣の佐助を見上げたら、頭に手が置かれた。
「…大丈夫だよ。シズカちゃん。心配しないで」
「……佐助…」
え、え、何今のフラグ!きゅんてきちゃったよ胸に!
こ、これじゃまるで…
「心配する幸村に言い聞かせるっていうイヤンアハンなフラグか!」
げ、げへ!例えば無謀とも言える豊臣軍への視察へ行くとき、あまりに心配な幸村は夜佐助を呼び出して!
「『佐助…頼むから…頼むから無理だけはするなよ…!』『…了解してますよ。……こんなに泣き虫な主人を置いて逝ける訳ないっしょ?』『うっ…』『……ねぇ旦那…旦那に俺様を刻んでm』痛った!グーで脳天叩かれた!」
「ほら、旦那達戦うよ。妄想してないでちゃんと見てあげて」
旦那ってば拗ねると手に負えないんだから、と言いながら佐助は道場へ視線を移した。
私もつられてそちらへ視線を戻す。
「…あ…あの……自分なんかがおおおお相手でよろしければ…が、がんばります……!―――…さぁ、かかってくるが良いさ」
「え、どちら様?!」
背中に背負っていた筒から出てきた大きな剣(マー君の身長の半分より少し長いぐらい)を抜いて構えた瞬間、マー君の口調と声と目つきと、あぁもうとりあえず色々雰囲気が変わった。
あのいつもおどおど小動物☆前世はきっとハムスターなマー君の面影はない。
「シズカ、」
「は、はぃっ!」
「俺の勇姿、見ててくれな」
そう宣うや否やマー君は幸村に真っ直ぐ突っ込んで行く。
「たぁっ!」
下から掬い上げるように左下から大剣を凪ぐ。
それを後ろに避けた幸村を追うように一歩大きく踏み込みながらそのままの勢いで刃を翻して右から幸村に切り掛かった。
あっという間の切り返しに幸村は咄嗟に槍でそれを受け流す。
金属音が響いた。
「へぇ、また腕を上げましたね昌景」
「の、ノブさんアレ誰!?」
「昌景ですよ」
「嘘だ!!」
どこぞの竜宮さんのように叫んでみればノブさんに落ち着いて下さい、と言われてしまった。
「大分前さ、俺様シズカちゃんに馬場と山県は武田の名士って言ったよね?」
「言われたよーな言われてないよーな。」
「言った。」
佐助はそう言いながら肩を竦める。
「あの人、普段は大人しいのに一度刀を握るとああなっちゃうんだよね。人が変わったみたいに。」
そう言って佐助は苦笑を漏らした。また一つ大きく槍と剣が鳴る。
「昔、まだ旦那が幼いときに野党に襲われてね。最後まで旦那を守ったのが昌景さんなんだよ」
「……」
「その時から幸村の憧れなのですよ、昌景は。幸村が赤い服装で戦に出るのもその為でしょう」
「へぇ……」
なんか意外、っていうか…。勉強になるなぁ。
まじまじと性格が180°通り越して270°ぐらい変わったマー君を見ていると幸村がやっぱり押されて来ている。
ここは幸村の応援するべきよね!友達として!
「幸村ぎゃんばれぇぇーッ」
「シズカ殿…!承知ッ!うぉぉおお!もえたぎるぁああぁあッ!」
「くっ…!」
突然叫んで熱く燃えたぎり始めた幸村は、マー君の堅い防御を力任せに凪いで払った。
苦い顔をして後ろへ押されたマー君をそのままの勢いで追撃する幸村にマー君は大剣を横にして防ごうとする。
「烈火ァッ!!」
「う、わッ……!」
幸村の固有技が決まってマー君の大剣に大きく亀裂が入った。
それに驚いて出来た隙を幸村の一撃が攻めて、マー君の大剣は弾かれてしまう。
「そこまでじゃ!」
今まで腕を組んで勝負を見ていたお館様が声を荒らげて勝負の終わりを告げる。
肩で息をつきながら幸村はマー君に突き付けていた槍を下ろした。
「……あ、あぅうう…ま、負けてしまいました……」
「お相手いただき礼を申す!山県殿!」
「おやおや、まさか昌景が負けるとは」
「旦那も強くなったねぇ」
「次は俺か」
立ち上がって大剣を拾いあげるマー君を見て勘助兄ちゃんが踵を返した。
「勘助兄ちゃんも戦うの?」
「あぁ、…ちゃんと応援しててくれな」
そう言って勘助兄ちゃんは私の頭を少し乱暴に撫でると、今の今まで私達が幸村の様子を見ていた穴に足をかけて………えぇ?!
「うえぇええッ?!」
「幸村!」
「か、勘助殿!!」
心持ち楽しそうな声をあげながら幸村の所へ飛び降りて行った勘助兄ちゃん。
え、ちょ、勘助兄ちゃんんんんん!!
「兄ちゃんだけは普通だと思ってたのに!」
「なんだかんだ言ってあの人戦の駆け引きが好きだから。軍師なんだよ、一応」
「次は勘助殿がお相手でござるか!」
「あぁ、久しぶりに相手してやるさ。……かかってこい。」
銀の髪をなびかせて勘助兄ちゃんが不敵に笑った。
ぅ、うぉぉ…!本気でラスボス風味!かっこよす!
目をキラキラさせて私が勘助兄ちゃんと幸村を真剣に見つめ直すと同時に幸村が一気に間合いをつめた。
「はッ!」
「よっ…と」
横凪ぎで払われた槍を後ろにバックステップする事で避ける勘助兄ちゃん。
瞬間、勘助兄ちゃんの手元から何か光る物が飛んだ。
スコココ、といい音をたてて避ける前に幸村が居た地面に突き刺さる何か。
「ん?なんだ今の?」
「え、う、千本…です…っ!」
「あ、マー君お帰り!お疲れ様っ!」
やっぱりマー君はおどおどしてないとね!なんだか久しぶりな気がする小動物マー君をぎゅーっと抱きしめて私はあらためて千本?と首を傾げた。
「千本、とは忍びの道具です。ねぇ、猿飛殿」
「え?あ、はい。」
勘助兄ちゃんと幸村の戦いを真剣に見ていて話を聞いてなかったのか、多少どもりながら佐助が頷く。
「手裏剣より当たりにくくて、使いこなすには時間がかかるけど、急所に当たればそれこそ一撃必殺なんだ。」
「はー!つまり白ちゃんが使ってたあの武器ね!」
「白?」
可愛かったんだよ白ちゃん!
主人公に『僕は男の子』発言してからも女の子であると信じてたからね!
私は認めませんよ!
「うふ、ふふふ、これで勘助兄ちゃん氷タイプなら萌えるのに…っ」
「狙いが悪いでござるよ勘助殿!」
「幸村じゃあるまいし…っ、そんな訳無いだろう?」
どうやら幸村の立っていた足元しか狙わない勘助兄ちゃんが千本を外しているとしか思っていないらしい。
幸村は眉を寄せながら勘助兄ちゃんの千本を避けていく。
「ほらよ、布陣の完成だ。」
勘助兄ちゃんの言葉に慌てて幸村が千本を見てみれば、幸村を取り囲む様にして千本が刺さっている。
「勘助兄ちゃんすげー!」
「ハハ、ありがとな」
照れたように笑いながら勘助兄ちゃんは手を合わせた。
途端に千本から伸びた影が幸村の影を飲み込んで千本の中をあっという間に満たす。
「ほらよ、」
そんな小さな一言に影が伸び縮みをしながら一気に膨れ上がって、
バァァンッ
「ぎゃあぁぁあッ!!!」
鼓膜が破れるかと思うほどの轟音が鳴り響いて武田道場を揺らす。
凄まじい風が唸り、砂塵が舞う。強い風に思わず腕で顔を守って目を閉じた。
「負けるかぁぁああぁッッ!!」
幸村の力強い声が聞こえて一気に風が止んだ。
恐る恐る目を開けてみれば、幸村と勘助兄ちゃんが鍔ぜり合いをしている。
全く無傷な勘助兄ちゃんに対して体の所々に傷を付けている幸村。
更に幸村を押しながら勘助兄ちゃんが口を開いた。
「流石に昌景を相手にした後は辛いか?」
「な、なんの…!」
口ではそう言っているものの、幸村は肩で息をしていて辛そうだ。
なるほど、マー君は特攻タイプで攻撃を緩めないのか。で、勘助兄ちゃんはスピードタイプ…
「と、なるとノブさんは防御タイプだけど」
「なにがです?」
「いやいや、ノブさんはどうやって戦うんだろうなーって」
ノブさんは軽く肩をすくめて「あの二人に比べたらまだまだです」とにこやかに述べた。
「胡散臭っ」
「なにか?」
「なんでもないですよー」
再び道場に視線を戻すと、勘助兄ちゃんが幸村に猛攻撃をしかけている。
それはまさしく千本の嵐、と言うのに相応しくて絶え間無く腰のショルダーの中から千本を出しては投げていく。
「む…ッ!」
「どうした?降参するか?」
「なんの!某、負けはしないでござる!!」
そう幸村は叫んで千本を二槍で勢いよくはじくと、真っ直ぐ勘助兄ちゃんに突っ込んだ。
息を飲んでバックステップで距離をとろうとした兄ちゃんを許さず幸村は完全に勘助兄ちゃんの懐へ潜る。
「ッ!」
「勝ったでござるっ!」
勘助兄ちゃんの心臓部分に槍を突き付けて幸村は汗を拭った。
軽く肩を下ろして勘助兄ちゃんは苦笑する。
「…大分腕をあげたな、幸村。」
「勘助殿、手合わせ感謝いたす!!」
「す、すげぇぇえええっ!幸村も勘助兄ちゃんもカッコイイィィィ!!」
いいい今更ながらすっげえバトルマンガだよ?!
臨場感に溢れてる、なんつーか緊迫感!うわわわ!素敵!萌え!むふぅぅう
「なんかシズカちゃん満足そうな顔してるけど、大丈夫?」
「だって何だかもうお腹いっぱいなんだもの!うへへ組み手萌えぇぇ」
「では、私が最後ですね。」
「ぁ、ああう、信春…」
「うはぁ、頑張ってねノブさんっ!」
私達の視線にノブさんは肩を竦めて、気持ち頑張ります。と曖昧な返事をして来た。
「やる気なさそー…」
「…まぁ旦那にくらべりゃ、そりゃねぇ」
疲れた佐助の視線の先には冗談でなく、うぉぉおおっ!と吠える幸村がいる。
別に私は幸村と比べた訳じゃないんだけど、まぁ勘助兄ちゃんも結構生き生きとして戦いに行ったからいいか…と幸村を見た。
「次のお相手は誰でござるか!」
「私です。」
なんだか大きな塊を背負ってノブさんが扉から現れる。
え、何あのでっかい塊。
「あああ、あれがのっ…信春のぶ…武器です…!」
「へー」
うん、確かにノブさんが言った通り超重量系の武器だ。
でもなんなんだ?アレ。
うーん…と考え込んでいると、佐助もまじまじとノブさんを見ている。
「佐助?」
「ん?」
「佐助も見た事ないの?ノブさんが戦ってる所。」
「…うん、実際見るのは初めて」
そんな私達の会話を聞いてマー君は苦笑した。
後ろの扉から勘助兄ちゃんが入ってくる。
「お帰り勘助兄ちゃん!」
「、ただいま」
「超かっこよかったよ!アヘアヘ」
そんな私の言葉に勘助兄ちゃんも苦笑すると、少し乱暴に私の頭を撫でてノブさん達を覗き見た。
「へぇ、次は信春がやるのか」
「あ、ぁぁう、うん…」
マー君の頷きを横目で見て、勘助兄ちゃんはニヤリと笑って見せる。
うっほ、ニヒルな笑み萌え!
「…幸村も不敏だな。」
「へ?なんで?」
チラリと道場を見てみれば、幸村も初めて対峙するのか相手との間合いを計っていて、かというノブさんは相変わらずニコニコして武器を担いでいる。
に、しても本気で重そうだ。
「あいつの武器はな…まぁ、未知の武器かもしれない」
「え?」
「旦那も俺も初めて見るからねあんな武器」
「なんだ、猿飛も見た事ないのか?」
「はい。」
畏まって佐助は頷くと、もう一度チラリとノブさんのあの武器を見た。
なんだ、佐助も見た事ないんだ。アレ。
ノブさんの武器は先端が尖っていて忠勝のドリル?みたいな感じになっている。
でもただのドリルじゃなくって…もっとごちゃごちゃしてて。確かに不思議な形をしてる。
むーん…、でもなんか見た事あるんだよなぁ……。
うんうん脳みそを捻っていると、幸村が動いた。
「うぉおおおっ!!」
二槍を振り回してノブさんに向かって真っ直ぐ突っ込んで行く。
そんな幸村にノブさんは笑みを浮かべたまま何か留め金を外して口を開いた。
「馬鹿正直に突っ込んでくるのは大変結構です。 …ですが、」
ノブさんの武器の先端が微かに火花を散らす。
幸村はそれに気付かずひたすら直進。
瞬間、眩しく光った。
ちゅどぉおおぉんッッ
凄まじい音を立てて、ノブさんの武器から放たれた光が幸村を包んだ。
風が、音が、道場を呑んで、その光の反動でかノブさんは少しのけ反る。
……相も変わらず笑顔だ。
眩しい光がおさまってソコにあったのは転がる黒い塊と笑顔のノブさん、それから静寂。
しばらく何が起きたのか理解できなかった私と佐助はあんぐりと口を開いて呆然としていたが、真っ先に我にかえったのは佐助だった。
「だっ、だんなぁぁぁ?!」
「……なんでも特攻すれば済む問題ではありませんよ」
ガシャコン、とビームをぶっ放した武器を鳴らしてノブさんはにっこり微笑んだ。
* * *
「……」
「まぁまぁ幸村、そう拗ねないでよ、幸村だって十分かっこよかったよ!」
「しかし……」
あの後、幸村の安否を慌てて確認した所、黒く焦げて気を失っていただけだったので(あのビームを受けてこれだけってのも凄いけど)佐助が幸村を部屋に運んで、私達は道場の荒れた部分を多少片してから解散した。
本当は幸村の安否が気になったんだけど、佐助が大丈夫だから片付けを手伝ってあげてと言うから一先ずお片付け♪お片付け♪だ。
そして幸村の部屋の襖を軽くノックして…勢い良く襖を開ければよかったとマジ凹みしたのはついさっき。
うわぁぁああ…!!もしかしたらイヤンアハンな佐幸見れたかもなのに失敗したぁぁあぁ!!
「…さっきは本当に惜しい事をした…!ぁぁ、勿体ない…ッ!」
「何がでござるか?」
「お気になさらず!」
ニマニマしている私を見てから佐助は幸村の額の上に乗っている手ぬぐいを水桶につける。
「旦那、まず山県さんとやり合ってる時だけど。」
「う、うむ…」
佐助が顔の横に人差し指を立てて幸村と見つめ合った。
え、え、マー君とヤり合った?!ぇぇえ!二人ともリバですか!?マー君は総受でないのか!?
「左下凪ぎの反応が少し遅かった。」
「あぁ」
私の心の葛藤をよそに、佐助と幸村はすっごい真剣に話し合う。
……なんだ、さっきの戦いの振り返りね?!びっくりした!!!
「後、左で突いたときの後の機転を逃してた」
「……」
「で、山本さんとやった時。とにかく頭上からの攻撃と右斜め後ろからの攻撃の反応が悪かった。……多分、山県さんと戦った時に自分で分かってたから左を意識してたんでしょ?」
「うむ、」
「少し意識し過ぎてて右が疎かになってた。」
悪かった所を上げていくたび佐助の指が立っていって、一つ一つ幸村は上半身を起こして真剣に話を聞いている。
はぁぁー、よくあんな速い動きでモーションの良し悪しが解るなぁ。
私なんか目で追い切れなかったりしてたし。
……あ!
だから忍び隊の長とかやってられるんだよね!普段あまりにオカンだから忘れてたよ!
「…俺様が気付いたのはそのくらいかな。」
「そうか。すまぬな佐助。」
「いえいえー。どうせ俺様は旦那の成長を見守るオカンだもんねーシズカちゃん」
「なんで解ったの?!」
佐助あなた実はオカンでありながらエスパーだったのか!
「シズカちゃんて結構顔に出るよね。」
「あ、顔に出てた訳ね。」
あら嫌だわ奥様私ったら顔に出やすい性格してるかしら!?
どうしよう、だったら今まで傷付いた幸村を涙ながらに(妄想)必死に(妄想)「だ…んな…っ!おれ、を…置いて…かないでぇ…ッ」って声を震わせながら(妄s)目を覚まさない幸村の(もu)手をしっかり握りしめてる(m)佐助にゲヘゲヘ真田主従萌うっへっへよだれじゅるりとか考えてたのばれちゃうかな!?
「どうしよう私妄想してるときの自分の顔がなんかちょっぴり怖い気がするんだけど!」
「大丈夫大丈夫ー俺様もう大分見馴れたから。」
「見馴れた?!」
「シズカ殿の意識が戻ってこないとき、シズカ殿の顔は幸せそうでござる!」
「ぐはっ!!」
そんな「だから平気でござる!」みたいな顔して言わないで!あぁそうさ私は幸せざますよ!
だって私の活動エネルギーは萌からなってるんだもんね!
うほ、何と言うエコロジー!
「私ってば優しい!」
「何がどうなったらそこまで思考が吹っ飛ぶのか気になるんだけどとりあえず手ぬぐいの繊維が切れちゃうから!」
「あ、ごめん」
いつの間にか幸村の体を拭いてた手ぬぐい(やったのはもちろん佐助だ)(是非とも拝見したかったけれどお片付けしてた私は見れなかった、畜生佐助コノヤロウ)を引っ張ってたらしく手の中でブチリ、と嫌な音がした。
「…に、しても馬場殿の使われる武器はなんだったのであろうか……」
「さぁ…俺様も調べてみようか。」
「はい!はい先生!」
「ん、シズカちゃん」
「私の感が正しければあれガンランス!まさかのモンハン武器だよ!」
なーんかよくわからないんだけどガンランスの竜撃砲に似てるんだよ、あれ。
ガンランスがまさかあるなんて思わなかったけど勘助兄ちゃんも未知の武器とかいってたし、なんかノブさんなら改造して作ってる気がする。
つーか鍛冶屋か!
「がんらんす?何?それ」
「時には幸村の槍の様に相手を貫き!構えた矛は岩より固く!そして隙あらば相手にドドーの一撃に砲弾!武器が重い分しっかりとした防御力を誇るまさにモンハン中でも1・2を争う武器だよ!…多分」
「ドドーじゃなくて怒涛ね、怒涛。しかもそこは多分なんだ」
呆れた佐助の声に対して目をキラキラと輝かせている我らが幸村。
布団からずいっと身を乗り出してこう宣った。
「す、すごいでござる!そのような武器…某知らなかったでござる!佐助!」
「……ん?」
なんか嫌な予感がするのか若干頬を引き攣らせて佐助は幸村を見る。
おぉっと私も嫌な予感がするぜ!他人に不幸なことが起きる予感が!
「今から俺達も鍛練するぞ!」
「へ?いや、あの、えぇ?!」
「異議は認めぬ!ぅおおぉぉお!見ていて下されぅおやくぁだずぁぶぁぁああぁっ!!!」
「ギャァァァ!!異議ありぃぃぃいぃぃっ!」
「……頑張れファイトだ佐助。」
全力で異議を唱えた佐助を全力でスルーして幸村は佐助を外へ引きずり出し、背負い投げの餞別を送る。
体制を立て直そうとした佐助に間髪入れずに飛び掛かる幸村。
「は、ちょ!!」
なんだかメゴォッなんて有り得ない音がして、今の今まで佐助が居た大地に幸村の拳サイズのクレーターが生まれる。
いくら私でも(色んな意味で)粉骨砕身になることぐらい理解できるよ。
お館様ってば普段あんなメガトンパンチも真っ青なパンチを受け止めて、尚且つ叫びながら殴り返しちゃうわけね!?
はぁぁ!さッすがお館様!
「お館様ってば本当に素敵!ダディ!」
「ちょ、シズカちゃ、うわ!危な!見てないでたす、助けてよ!」
「どうした佐助ェ!お前もかかって来ぬか!」
「勘弁!俺様も疲れてんの!」
寧ろ佐助は憑かれてる気がするよ、苦労人の霊とかに。
正直哀れむべきか再開された組み手にニヤニヤするべきか、迷っていると不意にテラダディな声が響いた。
「おぉ早速やっておるわい」
「さ、さささ流石幸村でっ、でですね…!」
「次は猿飛が相手か。」
「まったく、幸村も懲りませんねぇ」
「お館様!!みんなも!」
むんずと腕を組んで満足そうなお館様を前に勘助兄ちゃん、マー君、ノブさんが苦笑している。
てか着流しで、かつモフモフな兜外したお館様めちゃくちゃダディなんだけども!
お館様にはオッサンなんて言葉じゃ足りない威厳とお父様臭がするよね!ハァハァお館様素敵ハァハァ、
「どうじゃったかの、」
「そりゃもう!ごっつぁんです!目茶苦茶楽しかったですよ!わざわざ私のためにあんな素敵な催ししてくださってありがとうございました!」
「うむ、楽しんだのならば構わぬが…残念だのう」
眉をハの字にしてお館様は苦笑する。えへ、そんな顔も素敵だよお館様☆
「本当ならばシズカにもダルマ叩きで参加してもらうつもりだったのだが」
「うあダルマ叩き!」
出たよ!武田名物達磨叩き!
私アレ超得意なんだぜ!?5段積みの達磨は一番上を叩くと全部引っ込むから500P手に入るんだぜ?!
「次は是非参加できるようにするからの」
「あわわ、ありがとうございますぅぅぅ!」
あれなら多分怪我の心配はないものね!えへへ、楽しみ楽しみ!
ニマニマしているとお館様はダディに微笑んで、失礼すると言って自室がある方へ向かった。
マー君達もそれに続く。
「むふー次が超楽しみなんだけど!次は是非ともVS火男仮面まで見たい!」
「俺様はっ!絶対に!い、やだから、ねっ!」
幸村の素早いフットワークを避けていく佐助の額当てに向かって右斜め下から幸村の拳が流れる。
佐助が視線を左肩に移しながらその拳を受け流す。
佐助はだんだん避けるのに疲れて来たのか時たまフェイントをいれたりしている。
それが来るとなんだか嬉しそうに口端を持ち上げて幸村はフェイントを流す。
いいなぁ真田主従……萌えだよ萌え!幸佐萌え!
「ほっ」
「ぬ?!」
「旦那下がガラ空きだよ~?」
「く…っ!」
動きの良くないらしい幸村にニヤリと笑う佐助。足払いに幸村は少し体制を崩した。
「頑張れ幸村ー」
「ぬ!某、友のシズカの前で負けはせぬ!うおおおっ!」
「げぇっ!シズカちゃんてば旦那に油を注がないでよね!?」
顔が真っ青だよ佐助
誰のせいだっつーの★
アイコンタクトでそう言い合うと幸村がそういえば、と声をあげる。
「佐助!先程お前の友人に会ったぞ!」
「へ?あ…へぇー…」
「さもや佐助を上回る動き…なかなかの手垂れだった!」
「…そっか」
高速パンチを止めて汗を拭いながら天狐仮面に思いを馳せる幸村に肩を落とす佐助。
「佐助!何を腑抜けておる!お前も仕掛けてこぬか!」
「…じゃあ、旦那がそこまで言うなら?俺様本気だしちゃうよ?」
ニヤリと笑って佐助は一瞬にして姿を消し、幸村の背後に瞬時に移動する。
「!」
「あまいね、旦那」
「むぐっ!」
どっから持ってきたのか幸村の口の中に三色団子をぶち込むと佐助はふぅ、と溜息をついてこちらへ戻ってきた。
「お帰り佐助、」
「あーもー本当疲れたーっ」
ふと幸村を見てみれば何が起きたのか解らないような顔をしながらモグモグと団子を食べている。
何だか解ってないものをモグモグ噛んで食べるなんて幸村ってば相当勇者なのか、単純に佐助の物なら安心と思って噛んでるのか、個人的に後者を希望するんですが!
「ふぁんふぉ!」
「はいはい、団子ね、」
呆れた声をあげて佐助がちょいちょいと指差した先にはあやめ姐様が小さな器に山盛りに乗った団子を持ってきていた。
幸村ズ・アイが団子を見つけた途端尻尾を振りながらあやめさんの所に走り寄る幸村。
どうやら鍛練は休憩らしい。
団子を貪る幸村に何度目かの重い溜息をついた佐助はどっかりと縁側に腰掛ける。
「あーもー本当旦那ってば力加減しないんだから…。」
「佐助だって十分強いでしょ、フェイント入れる余裕はある訳だし?」
「ふぇいんと?」
「あ、いや猫騙し?みたいなもんだよ、うん」
「へー。…まぁ俺様強いし?」
「夜的な意味で?」
「違うから」
なんだ、夜強いのかと思った。床上手なんd
「シズカ様、猿飛様、お茶を」
「あやめ姐さん、」
あやめ姉さんが笑ってお茶と、おそらく幸村から非難して来たのだろう団子を置いてくれた。
うは、いい香り!おいしそう!いただきます!
「、………ま、師匠の方が強かったけどね」
「え?なんか言った?」
「あぁ、ごめんごめん、なんでもない。」
お茶から出た湯気が佐助の顔をゆらゆらと揺らした。
何だかよくわからないけど、なんだか泣きそうな顔に見えた。
「ふがっ!!」
「ゆ、幸村様ッ!」
「佐助!幸村が喉に団子詰まらせた!」
「ちょっと旦那大丈夫?!」
ふがふがしてる幸村もちょっぴり可愛いとか思った私は負けですか?!
* * *
上田城及び城下町の見渡せる小高い丘。
風は吹き抜け木々を鳴らしていく。
そこに揺らめく、2つの影。
「Hey 小十郎、」
「はっ」
「上田城が見えた、…ヘマすんじゃねェぞ」
「承知しております、………政宗様こそお気をつけを」
「ha!その時は小十郎がなんとかしてくれンだろ?」
「はぁ……」
「Here we go!」
「ま、ご自重召されよ政宗様ッ!」
人の話を聞かない影に残された影はキリキリと胃が痛むのを感じながら影を追う。
後には馬の蹄の後と、忍びが一人。
ひゅるりと風が吹いた。