私の神様(仮)
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「ゐ」
ズダダダダダっ
「ぅおおぉぉぉおッシズカ某の鍛練を見てくださらぬはっ!」
「るっせぇぇぇえ!!!」
よっしゃ、鞄がクリーンヒッツ☆
私の神様(仮)
- ゆきむらのなく頃に お汁粉編 -
「――……あのね、開けるならせめてもう少し静かに開けてくんない?襖とれちゃうでしょ?」
「すまぬでござる…」
昨日の夜の宴会も無事終わり、次の日の朝。
充電切れ知らずのオクラ携帯(もう2年のお付き合いだ)が指し示している時間は8時30弱。
データフォルダの画像を見ていたら(ヴェー、光蘭もぇぇえぇ)凄まじい勢いでなんかが突進してくる音がして、これまた凄まじい勢いで襖がスパコンと良い音を立てて開いた。
昨日もこれと同じパターンだったぞオイ
襖を外してしまった(壊れたかと思ったわ!)幸村を座らせて一通り文句をつけておく。
「――……で、なんで私?」
「うむ!シズカは某の友人故、某の鍛練を見てもらいたいのだ!」
「鍛練…、」
鍛練…ったらやっぱり流れる汗は爽やか、鍛え上げられた身体……ッ?!てか、てか!
「く、組み手…やったりするの……?」
「相手が居るのであれば、やるでござる」
「行く!行きまするぅぅうう!」
組み手!組み手!!そこはかとないチラリズム!むふぁぁい!
何を隠そう組み手は魅力的であると言う事を布教し隊隊長および副隊長および会員なんですよ!参加者熱烈募集中!
「げへ、行く行くげす!さぁさ行こう行こう!」
「承知!」
幸村の背中をグイグイ押して部屋から出る。
何となく気分的に右な気がしたから右に行ったら「こっちでござる」って幸村が左を指差してた。
テヘ☆間違っちゃった☆
グネグネしてる廊下をクネクネ曲がって何回目かの角を曲がった所で幸村が立ち止まった。
「ここで御座る!」
目の前にそびえ立つ二階建ての建物。
金色に近い屋根のソレは何故だか見たことがある。てか…アレ?
「……………もしかして、これって…!!」
「お館様が造られた、その名も『武田道場』でござる!」
わふぉおおおい!!キタ━━━(゜∀゜)━━━ッ☆
自慢げに腰に手を当てて言う幸村を他所に私は身悶えして内心駆け出したい気分!
だだだだだって!た、武田道場ってあのお館様の素敵な一振りで理解分解再構築しちゃう、英雄外伝の、幸村のストーリーモードのあれでしょ?!
て、てんことかが昇給頼んだり縄ブチィッとか!ひょっとこ!お館様ァァァ!!
「うひょい!武田の日常だよウハ萌!!」
「本当は今日は某一人だったのだが、シズカに是非見てほしいとお館様が朝お造りになられたのだ!」
「じゃあわざわざ私の為に武田道場やってくれるんでつか!?え、て、てか!造ったって事は幸村初挑戦?!まさかの幸村ストーリーモード開始!?ワッホイ大好きですお館さまあぁあああぁぁああッ!」
「ぬっ?!某だって負けられぬ!ぅおやくぁたずぁぶぁああぁぁぁぁああッ!!」
「――……はいはい、二人ともそのくらいにして。近所迷惑でしょ?」
突然頭上から降ってきたエロヴォイスに顔を上げると、なんだか久しぶりな佐助がひょっこり顔を出していた。
相変わらず胡散臭い笑みを浮かべて「よっと」と声を出して廊下へ降りてくる。
「佐助!」
「やほー佐助!なんだかお久しぶりだね!ゲヘゲヘ」
「なんでシズカちゃんそんなテンション高いの?!…まぁいいや、久しぶりとは言っても昨日の日暮れぶりなんだけどねー」
そうか、何で久しぶりに感じるんだろうと思ったら昨日の宴会に居なかったんだ。
「仕事?」
「そうだよ、俺様ったらほんっと仕事熱心!…ねぇ旦那、昇給しt「さすけぇッ!佐助はおらぬかぁぁ!!」………ハァ」
お館様の声がして(お館様どこにいるの!?)佐助は半泣きでため息をつくと、肩を落としながらまた姿を消した。
今、昇給頼もうとしてたよね佐助。
ぷっ、妨害されてやんの。
「ねぇ、幸村」
「?」
「佐助は何の任務に行ってたの?」
「知らぬでござる!」
「…は?」
いや、だから昨日に引き続きなんでそんな自信に満ち溢れてるのさ幸村は。
「おそらく、この度の佐助の任務はお館様が下した物、某は知らぬでござる」
「ふーん…」
つまり佐助の動きは把握してなかった訳ね、幸村は。
……息子…あぁいや、主としてどうなんだその辺は。
「おや、幸村ではありませんか」
「お、おおおはようござい、ま、ます!シズカ殿!」
不意に廊下の奥から声がしたから見てみれば、胡散臭い笑みを浮かべて歩いてくる背高のっぽとほっぺを真っ赤にさせて言う小さいお方。
「馬場殿!山県殿!」
「あ、マー君それとノブさんおはよう!」
「私はそれと扱いですか」
心外です、と肩を竦めてノブさん達は私の前に立った。
「お二人でどうしたんですか?」
「あぁいや、お館様の道場って何やるんだろうねーって話をしてたんさ」
「…………」
一瞬ノブさんの笑顔が引き攣った気がしたけれど気のせいだよね。うん。
「あぁそうだシズカ殿、お館様がお呼びですよ。私達と共に来るように、と。」
「お館様が?なんで?」
「さぁ」
ノブさんの台詞にマー君は苦笑した、なんで!?
「…怪しさ全快だけど、まぁいいや。じゃあとりあえず行ってくるね」
「承知した!」
手をブンブン振って幸村とお別れの挨拶をして、私はノブさんとマー君に着いていく。
特に会話も無く、外で鳥がピーピー鳴いてる声だけが聞こえて来た。
「……ねぇマー君。」
「ななな、なんですか…っ!?」
私の突然の空気ブッ壊しに驚いたのか肩を跳ねさせたマー君。
恐る恐る私を見上げたその真っ黒な眼にはうっすらと涙が。
うふ、うふふふ腐腐…ッ!ヤッバイこの子受けだよ受け!!むしろ総受けとかでも良いかもしれないよ!うはノブマサ!てゆーかもうコレ佐助攻めでもイケるんじゃない!?
「ぐふふへ」
「…あ、あの…シズカ…殿?」
「ハッ!ありがとマー君、危うく脳内の立入禁止区域にトリップする所だったよ…!」
「?」
心底心配そうに声をかけて来たマー君に礼を言ってから私は目を細める。だってノブさんの顔怖いんだもん☆
「えっと…なんで私がマー君達と呼び出されたか本当は知ってるんじゃない?」
「うっ!」
「…やっぱり」
マー君ってば嘘つけないような性格だもんね!絶対ボロを出してくれると信じてたよ!
ニヤリと笑った私に「あわわわわ」とマー君は焦った声を出して視線をさ迷わせた。
そしてはたりとノブさんと目が合ったらしい。
ノブさんは肩を竦めて「仕方ありませんねぇ」と言って一歩前に歩み出る。
「幸村とあの場に居たという事はお話は聞いたと思うのですが、」
「武田道場の事?」
「えぇ、そうです。そこでシズカ殿を含む私達はお館様から参加するよう言われましてね」
「………、ハァ?!」
わ、私が武田道場にさ…っ参加ァ!?
「いやいやいや無理無理無理!!だってリアルに武器使用でしょ!?」
「そうですよ」
「死んじゃうって!」
お館様私に死ねと?!死刑宣告ですか!?嫌だよまだ死ねないわぁぁぁ!
「せめて!せめて瀬戸内を見るまではァァァ!」
「シズカ殿っ、おおお落ち着いてくださ、さいッ!」
「…大丈夫ですよ、昌景。シズカ殿なら殺しても死ななそうですから」
「私一応ヒトだから!腐ってても現役女子高生なの!ヒューマノイドインターベースでもないよ!?」
だったらいいなーって思うときはあるけどもね!トリップしてきてるからビックリサプライズは体験済みだし!
一人悶々と考え込んでいると、不意に後ろからテラダンディズムな美声が聞こえて来た。
「おぉ、このような所におったか!」
「お、お館様!」
マー君が丸い目をもっと丸くしながら頭を下げる。ノブさんは…軽い会釈(この態度の違いはなにさ)
って!それどころじゃないってば!
「お、お館ざばぁぁぁあ!シズカを見捨てないで下さいぃいぃいいッ!!私…まだまだ生きながらえて半秀拝まないといけないんですぅぅううッ!!」
「はんひ…?」
マー君の呟きにノブさんはめちゃくちゃ爽やかに「無視してあげて下さい」と宣った。
お前いつかぜってー殴ってやるからな!美形だから殴れなさそうだけど!
「……シズカは勘違いしておるようだの」
「え?」
「皆には修業に参加してもらうが、シズカには儂の傍にいてもらいたい」
「わ、それって愛の告白ですか!?やぁああどうしよう!私としてはもうそりゃお館様みたいにダンディズムな方は全然うぇるかむなんですけど、お館様には個人的に謙信様とランデブーして貰えたら嬉しいかなーなんt「シズカちゃん少し自重しようか」すんません!…って佐助!」
白昼堂々と廊下を渡って歩いて来た迷彩オカン忍びは片手を上げて、さっきぶり…と肩を落とした。
そしてもう一度口を開く。
「…大将はね、シズカちゃん。大将の横で旦那の修業を見てほしいんだって。」
「え?なんで?」
「幸村にはまだまだ学ぶべき事がある、シズカにはその協力をしてもらいたいのだ。」
学ぶべき……あ、あのもしかして『お館様が居なくなったとき~』のアレか!
「解りました!了解です!」
ピッと指を揃えて足をつけて敬礼したら、思ったより足が強くて痛かった。
「よろしく頼むぞ!シズカよ!」
「まっかせて下さいッ!」
「…で、佐助はなんでそんなに落ち込んでるの?」
「え?」
お館様達が武田道場の仕掛けの準備をしている間、第一の間(あの百人組み手してた所ね)で凹んでた佐助に声をかける。
佐助は私の言葉を少し考えてから、口を開いた。
「んー、いやさ旦那の修業に俺も駆り出されたんだけどさ…」
「うんうん」
「正体隠さなきゃ意味が無いらしくって、大将から面を渡されたんだけどね?」
「……」
そこでハァ、とため息をついてガックリ肩を落とした佐助。
…ん?ちょっとまてよ?武田道場で、佐助が、渡されたお面?
「てっ……!」
「て?」
「べっ別に何でもないッッ!」
私はとっさに口元を押さえて叫び出しそうになったのを堪えた。
危ねィ…あやうくBASARAじゃありえないと思ってたネタバレと言う名の未来予知するところだったよ…!
てか、やっぱりソレって天狐仮面だよね!?てんこぉおぉぉぉおッッ!!
佐助の薄給っぷりに思わず笑いとちょっぴりの同情心が芽生えるあの天狐!あの全身画がなんかしんないけど、ニャンコポーズのむはぁああぁ!!
ニヤニヤをなんとか堪えていると、佐助の目がスッと細くなった。
「……シズカちゃん?」
「な…何さ…?」
「なんか、隠してる、でしょ?」
一つ一つ言葉を区切って小さな子に教え込むように佐助は言う。
一気に腰を屈めて下から見上げるようにしながらうっすら笑った。
こ…ッこれって所謂『挑戦的な笑み』ってヤツですか!ああああの強気受けの人がやるっていうあの!!例の!噂の!!
「ささささ佐助っ…!」
「俺様、知りたいんだけどねぇ?シズカちゃんの、ヒ・ミ・ツ」
ヒ・ミ・ツ(はぁと)の部分で唇に人差し指を添えて佐助は宣う。だだだだからソレはァァァ!!
「ぎゃぁぁ佐助!そんな自分の身体を売るような事しちゃらめぇぇっ!いいいいくら薄給でも、そそんなそんな襲って☆みたいな態度ししししちゃったらどっかの三日月ヘッドにおお襲われちゃ、ちゃうよォオオ!!い、いや個人的には超見たいんだけどソレは是非幸村にやったげて!!うはぁぁぁ強気受けテラもゆるす!!」
「………」
私の高速スペルにドン引きしたような顔をして佐助は姿勢を元に戻した。
はぁ、心臓がもたないよあの表情!軽くご飯5杯はイケるね!
「…シズカちゃん、いつか吐かせてみせるから。覚悟しときな」
ニヤリとあくどい笑みをもらして佐助は腰に手を置いた。
うっわ、嫌な予感しかしないんですけど…!と、嫌な予感に私が顔を引き攣らせると佐助は満足したみたいな顔になってふと、扉に視線を移す。
「シズカ、そろそろ幸村が来る頃だ安全な所に……」
扉を開けて入ってきたのは勘助兄ちゃん。何を思ったのか一回そこで言葉を切った。
「ど、どうかした…?」
「…いや、何でもない」
苦笑混じりにそう言い終えると勘助兄ちゃんは軽く手招きをする。
…一瞬やっぱりゼムさんにしか見えなくてビビったのは秘密だ。
「ま、頑張って佐助。」
「…それはどっちの意味?」
「修業の方に決まってんでしょ」
佐助の背中を軽く叩いて私は勘助兄ちゃんの所へ向かう。
軽く飛び付けば勘助兄ちゃんは頭を撫でてくれた。
「うわ!にーにーじゃまいか!」
「にーにー?」
「なんでもなーい」
エヘエヘ、兄ちゃん良いニオイがするよ!うへへへへへっ
勘助兄ちゃんにべったりくっついて私はお館様の所に案内された。
「ほーんと…あの子は何を隠してんのかねぇ」
佐助が仮面をつけながらそんな事をぼやいて居たのは誰も知らない。
「うぉぉおぉおおっ!!」
ズザーッと素晴らしい勢いで走って来た幸村はそのまま素晴らしい勢いで通り過ぎて、
ゴンッ
「…ぶつかったね」
「……だな。」
お館様と私と勘助兄ちゃんとで上から道場の様子を眺めながら呟いた。
マー君もノブさんもさっきまで居たんだけど準備があるからとかで居なくなってしまった(勘助兄ちゃんはもう武装してる)(ちょ、カッコイイから!)
「たのもぉぉおぉぉおッ!この真田源次郎幸村!どんな試練であろうと乗り越えてみせましょうぞ!」
勢いよく行き過ぎた幸村は再び入口まで走ってきて、第一の間の真ん中でシャキンと二槍を構えた。
「幸村ぁぁぁ!頑張ってぇぇぇ!」
「シズカ!見ていてくだされ!某、一番乗りしてみせるでござるよ!」
おぉ、声聞こえるのか!素晴らしいよこの武田道場!
さっすがお館様!斧一振りで造ったとは思えない精密さだね!
「まずは武田名物100人組み手じゃ!」
お館様が声を張り上げるとでかい扉が開いて武田軍の人が沢山なだれ込んできた。
第一の間はあっという間に一面赤くなる。
「ワォすっごい真っ赤だね…」
「あぁ、よく見ていないと幸村を見失いそうだな」
「あ、ヤベ、幸村どこいった?!」
真っ赤過ぎてどこに誰が居るかわからなくてキョロキョロしていると人がブンブンとぶっ飛んでいく中心を見つけた。
「ぅおおおお!負けられぬぅわぁあぁああ!!」
「ぎゃぁぁああぁ!!」
「………」
悲鳴に近い声を上げて兵士達が宙を舞う。
幸村はそんな悲痛な叫びを無視して二槍を振り回し、兵士達を追っ払う。
少しして何人吹き飛ばしたのか解らないぐらい人が積み重なって、全員唸り声をあげてるっていうちょっぴり地獄絵図みたいな状況になった所で幸村が叫んだ。
「さぁ次は誰が相手だ!」
「…あ。」
まってよ!?確か百人組み手の後って確か………!
「―――次は私が相手だ」
そんな声を上げて天井から降りて来たのは……
「――…ようこそ我が道場へ…不足ながら私がお相手つかまつろう………、
っていくらなんでも恥ずかし過ぎるだろこれは……」
「のほぉおおおっやっぱりキタァァアァアアアァッッ━━━(゜∀゜)━━━!!!!」
天井から優雅に降りて来て、紳士的に頭を下げた後、なんともリアクションに困る仮面をつけた彼、真田忍び隊が長、猿飛佐助、改め天狐仮面は 自分のノリノリっぷりにガクッ、肩を落とした。
ちょぉおお生天狐だよ生天狐ッ!
なんとも堪え難い衝動を堪える為に地面をバンバン叩いていると勘助兄ちゃんにすごい見られてしまった。
「……大丈夫か?」
「だ、大丈夫…なんとか」
「シズカ、幸村を見てみよ」
「え?」
お館様に言われて第一の間に視線を移せば、いつの間に移動したのか100人の兵士達は居なくなっていて、天狐と幸村が戦っていた。
「はぁッ!」
「おっ…と危ない危ない」
「ぬぅ、なかなかの手足れ…!佐助と同格…いや、それ以上か…!」
いやいやそれも佐助だよ、佐助の仮の姿だからね!?相変わらずこの主従は萌えるなぁとニヤニヤしていると、お館様がずん、と響く声で呟いた。
「幸村には足りぬ物がある。」
「…頭ですか?」
「シズカ違うだろそれは」
勘助兄ちゃんが微妙なツッコミを入れてきて私は首を傾ける。
うん、勘助兄ちゃんはツッコミ向かないね。
「あやつには盲信的なものがある」
「あぁ…それは確かに」
「…お館様を、幸村が盲信してるって事ですか?」
「うむ…故に幸村には足りぬのだ」
「?」
慈愛の目でお館様は現在進行系で天狐とやりあってる幸村を見つめる。
……あ、天狐の腹に拳が入った。
「自尊心、ですか」
勘助兄ちゃんが目を細めて言った言葉にお館様は頷いた。
「…ワシとていつかは逝くのだ」
「……そんな…」
「その時、幸村はワシの見えぬ影に縋ってしまうだろう。それが自身の身を滅ぼす要因にならぬとも限らぬ」
だからこそ、と言葉を続けて。
「シズカには幸村にとっての理由になってもらいたい」
「…………」
…?首を傾げてみれば私が理解してないと気付いた勘助兄ちゃんがそっと耳打ちしてきた。
「……帰る理由…つまり妻になって欲しいって事じゃないか?」
………つま…津摩…ツマ……THUMA…妻ァ?!
「えぇええぇぇえっっ?!!」
これが本日1番のびっくり間違いないよ!ええええ妻…って幸村の!?
「いやいやいやいやいやいやいや!仮に幸村を妻にするとして、相手は私じゃなくて佐助でしょう!私はせいぜい神父さんやって二人の誓いの口付けを目の前で見てウッヘッヘでなんかもうハンカチかんでキィーッてなってる筆頭みてこじゅが結婚ワッショイ!!」
「シズカ…落ち着け」
ツッコミが似合わない、けれどツッコミをいれられるのは勘助兄ちゃんだけ、と勘助兄ちゃんがまた微妙なツッコミを入れる。
お館様が腕を組み直した。
「…こちらの時代に喚んでおいて無礼である事は百も承知しておる。だがの…もしも、の時の事を考えておいてくれぬかのぅ」
眉をハの字に寄せて寂しそうにお館様は笑う。
そうだよね、私にとってもお館様達にとっても前代未聞なんだよねトリップなんて…だから私は考えておかなきゃいけないんだ。
とはいえ!!!一介のオタクとしてそんなの絶対あり得ないんですけどね?!!?
「…頷けはしないですけど…解りました。考えておきます」
「…本当にすまぬな、シズカよ」
「いえ、大丈夫です」
その言葉にお館様と勘助兄ちゃんが苦笑した時だった。
ドガッと凄い嫌な音がして、第一の間の扉が開いていく。
「いっ…てぇー…。今本気で殴った?!」
どうやら佐助が幸村に殴られて扉が開いた所謂『武田式開門』らしい。
うわぁぁあああ決定的瞬間を見逃したァッ!幸村の拳が佐助に決まるシーン!
「シズカー!見てくれたでござるかぁぁ!」
「ううん!しっかり見てたよ幸村ぁぁぁ」
ごめん、嘘だよ。
幸村は両手をブンブンと槍ごと振ると、たった今開門した第一の間の門を突っ走って行ってしまった。
「…じゃあお館様、私達も移動しましょう」
「うむ」
「エヘエヘ天狐だ天狐!ニヤニヤニヤニヤっ!」
「へへっ、我こそは!真田源次郎幸村!某がお相手いたす!……どう?似てる?」
「ギャァァアアァァ!猿田猿田ッ!ウホホイ!あぁぁあ可愛い可愛い可愛い過ぎる!」
「シズカーありがとでござるー!…結構楽しいなコレ」
「むぅ…!某に化け、あまつさえシズカまで騙すとは…!お主、なかなかやるでござる!」
くるりと回って真田幸村…もとい猿田幸村に変化した佐助は幸村の顔で佐助みたいな黒い笑みを漏らした。
うゎぁあぁ本人じゃないのは解ってるんだけど黒幸村萌えぇぇえええ!
ぜ、是非その顔で筆頭を押し倒してやってください!
「ふふふ…あやつめ、なかなか魅せてくれるわ」
「…しかしやはり猿飛ですね。動きが弱い。」
「横でなんだか冷静に分析してるよ…のぁああ今の動き素敵!ビバ☆武田道場!萌えの宝物庫!素敵ング!」
互いに攻防戦を繰り返す幸村と佐助をかじりつくように…いやなめ回す様に見回しているとやっぱり慣れないのか佐助…あぁいや、猿田の動きが鈍くなってきている。
時々キツイ一発を幸村から受けて顔が歪む。
なんか見てて辛い半面そんな顔にすら萌えてる自分が怖い!
「幸村ー頑張れーっ」
「はいはーい」
「心得てござる!」
「シズカ、両方今は幸村だぞ?」
「あ、そっか」
しばらく槍がぶつかり合う音がして、急にピタリと音が止まった。
「そなたの化けの皮剥がれたり!」
「うっわ…、そろそろコレやばくない?」
上からのぞき見てみると猿田が天狐に戻っていて、幸村から距離を取っている。
あっるぇー?!猿田幸村の後って確か一般兵に紛れて逃げるんじゃなかったっけ?!がに股で!
あー…プレイ当時はあのがに股っぷりに本気で悶えたなぁ…
「ヘイどうした天狐仮面っ!…足元がお留守ですよ!」
「どっかの変態みたいな事言わないでくれる?力が抜け……うわッ!」
私のあけっちのモノマネに素早いツッコミを入れた佐助の右腹部に幸村の槍が横凪ぎに唸る。
それを手で掴んで受け止めた佐助を見て幸村は口端に笑みを浮かべて槍から手を離して、
「はぁっ!」
「ぐぁッ!!」
天狐の顔面に拳を叩き込んだ。
嫌な音と共に佐助はぶっ飛ぶ。
うわーうわー!!痛い痛い痛い!今のスゲェ痛そう!
ほら、横の勘助兄ちゃんも眉間にシワが寄ってるし!
「うぅ…本気で殴るとは思わなかったぜ……」
例の台詞を吐いて佐助はフラフラしながら勢いよく倒れた。
軽く脳震盪でもおこしてないか少し心配です、まる
「天狐討ち取ったり!」
幸村は落ちた槍を拾って声高々に宣言した。
お館様の声で幸村の多分ストーリーモード1話目が終了する。そして倒れた天狐に脇目もふらず幸村は先へ進んでいく。
なんか凄いな幸村。んで佐助ってば可哀相だな。おい。
「…天狐さんや、戻っておいでー」
ピクリともしない佐助に私が声をかけてやると、瞬間的に佐助がぶんむくれた顔で私の目の前に現れた。
うわ、ビックリした。
「佐助?」
「…………」
殴られた左頬を押さえて無言な佐助に恐る恐る声をかければ相変わらずむご…
「ねぇシズカちゃん!なんで俺様こんな苦労症なの!?旦那に俺様だって気付いてないから昇給の話持ちかけたら無視されるし結構本気で殴られたし終いには扉に打ち付けられるしもう最悪なんだけど!ぁあぁぁこの間組み手やった時より力強くなってるしというより旦那俺を殴った時中指微妙に立ってて痛いしあの時の楽しそうな顔実は俺って気付いてるんじゃないの?!だから本気で殴りかかれるんだよ絶対!うわぁぁああ!」
「おおおお落ち着いて佐助!」
オカンが錯乱してる!た、大変だこれ!つか背中に回ってる手の爪みたいなアレが刺さって痛い!
「てゆーかどさくさに紛れて抱き着くなよ!」
「……あ、バレた?」
「しかも嘘泣き?!」
「シズカ、こっちの部屋で続きを…………」
いつの間に出て行ったのか、勘助兄ちゃんがひょいと顔を出して、また固まった。
「…失礼したな」
「ギャアァァァ!まさかのベタなオチ?!違う違うよ勘助兄ちゃんんんんん!!」
「いいじゃん別にー」
「良くねェよ!」
「なんだ、猿飛が一方的になのか」
「まだなんか語弊がある気がするけどそうだよ!」
「ハハッさっきも似たような雰囲気だっからな、すまないな」
「さっき?さっきって?」
「……いや、勘違いとわかった以上言う必要はないだろう?」
「え?ん、まぁね」
「わかったら行くぞ、お館様も幸村も待ってるからな」
「あいあいさ!ほら行くじょ佐助!」
「はいはい、わかったから」
「猿飛、」
「はい?」
「……ほどほどにな」
「―――……は?」
「いや、なんでもない。行くぞ」
「………(なんか勘違いしてない?やっぱり)」