私の神様(仮)
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「な」
「聖剣ホーリーサンダーフォースを引き抜いて!魔王織田信長を倒す、唯一の武器よ!」
「ふははは……!是非も無し!!」
「助けてシズカお姉ちゃぁぁぁぁあんっ!!」
「抜くZE!信長を倒して私が天下統一するんだから!
しゃぁぁあああんなるぉぉおお!!聖剣ホーリーサンダーフォース!!」
「ッ!!」
「げふっ」
「いっっった…ッ!」
「ぬぁぁ…!今なんかおっちょこちょいでドジなス●フィーが見えた!」
あれ、アレはヒトデか?キョ●助は誘い受けであると主張します!!
そんなことを考えつつ、朝っぱらから激痛を訴える額を抑えて与一を見ると、与一も涙目で私を睨んでいた。
いやん今日も可愛い!
「姉ちゃんの馬鹿…!」
「ば、馬鹿ってなんだよ馬鹿って!」
そんなの今更言われなくたってわかってるよ!どぅーせ私は馬鹿です!今のでさらにバカになったかもしれないけどなガハハ
「ってそんな事してる場合じゃないんだよ姉ちゃん!」
「な、何?」
そんな、ただでさえ白い顔を青くさせたら本当に死人みたいになっちゃうよ与一!
「梵が…みんながいないんだよ!」
「―――え?」
顔を上げて振り返ると布団が3組、確かに昨日と同じようにならんでいる。
梵ちゃんが使ってた布団。寝る前には綺麗に敷いてあったはずのそれは、ぐちゃぐちゃになっていた。
梵ちゃん、寝相悪いもんね。よくそれでぶつかったりして鈍い音がしている。
やよっちゃんのお花柄の布団。私がオススメしたこの布団は寝る前と同じ、綺麗なままだ。
流石やよっちゃん、って感じ。いつも寝相はいいし、なんなら寝た時と起きた時で姿勢が同じなことだってある。
しょーちゃんの布団は丸くなってる。きっと丸まって寝てたんだろう。しょーちゃんの大好きなお饅頭みたいに布団は丸まって大きな塊になっている。
個性丸出しなそれぞれの布団の、たった一つの共通点。
誰も、いない。
「う、そ…」
なんで、どうして。いつの間に?
頭のなかが真っ白になる。昨日の夜、いつも通りみんなで一緒に寝たはずだ。
昨日まで、確かにここにいて
昨日まで、確かに笑ってた
みんなが、いない
来た時みたいに、突然。
……突然。
「………………帰っちゃった…んだ、みんな」
「姉ちゃん……」
布団に触れる。
昨日外に干したばかりの布団はふわふわで、なんだか梵ちゃんの温かさすら残っているような気がする。
心臓がギュッと掴まれたみたいな苦しさがあって、私は思わず与一を見た。
与一もまた唇をギュッと噛み締めて泣くのを堪えているような、……初めて出会った日の、木の下で見た悲しい顔と同じ表情を浮かべている。
私は思わず与一に手を伸ばして、与一のことを抱きしめた。
あたたかくて、柔らかい子供の体。
呼吸に合わせて膨らんで、ゆっくり戻って、たまに身じろぐ。与一は確かにここにいるんだって思えて、私も目を強く閉じた。
「………。
大丈夫だよ、与一。みんな、ちゃんと…お家に帰れたってこと…だから」
またここには私と与一だけだけれど。
「ね…ぇちゃ……っ」
「ねぇ、だって、喜ばしいことじゃん、みんな…家に帰ったってことなんだから」
「ぁ…ね…ぇちゃ、…ん……ッ」
「また会えるから、絶対。少し旅行に行ってるだけと思えばいいし」
それに、私はこの間強がりを言ってしまった。
帰らなくてはいけないと、言ってしまった。
だから私が泣くわけにはいかない。
「私はだってみんなの姉ちゃん兼保護者だもん。」
声が震えてしまったけど、ぐっと唇を噛み締めた。
与一が腕の中で身じろぎした感覚があってそれからズビビ、と鼻を啜る音。
「……じゃあ…おいらも泣かな、い…」
「与一?」
「…だっておいらも皆の兄ちゃんだもん、泣いてなんかいられないよ」
歯を見せてそう、与一ははにかんだ。
会ったばかりで泣き虫だった与一の面影はない。
与一また、ちょっとだけ大人になったのかも、なんて思ったりして。
「…よし!よく言った与一!あの夕日に向かって走るぞ!」
「今朝だけど」
「それ禁句!」
朝なんて言ったら時間帯が限られてくるでしょ!
夕日と1番星は時間帯に関係なく存在するんだからなっ!
「とりあえず畑仕事しに行こう!」
「うんっ!」
与一と二人、私は庭の畑に出る。
太陽が、なんだかいつもに増して眩しい。
* * *
「盗っ……じゃなくて捕ったどー!!」
カゴに沢山のトマトとキュウリとナスを詰め込んで私達は立ち上がった。
ジリジリ日輪が肌を焼いてきたが、まぁ気を紛らわせる事に集中してたから気にならなかったけど。それより
「なんか表通りが騒がしかったけどなんかあったのかな」
なんかすごい人がワイワイ言っている声が聞こえたから不思議だったんだよね。
「あぁ、戦が終わって、お侍さんが帰ってきたんじゃない?」
「あーナルホドねー………って
は?」
今なんていうた与一さーん。
戦が終わった?
「戦してたの?!」
「知らなかったの!?」
ポカン、として言えば、知らなかったのかよ(裏手ツッコミ)みたいな声をあげられてしまった。
いやいやいや、そんなの私が知ってるわけないでしょーーが!
「……ちなみに…どこと、どこが戦を?」
「んー…確か…武田じゃなかったっけ?北条と、武田」
TA☆KE☆DA( ̄▽ ̄)
「まぢっちゅか……っ!」
「……それはおいらの台詞だよ」
たたたたたた武田って…!武田って甲斐の虎?!
ふっさふさなお館様に腹黒幸村、オカン佐助だよねェェェ?!
「キタキタキタァァァッ!!」
ずっと俺のタァァァン!!
幸せや!
うち今めっちゃ幸せや!
これぞトリップ!!
これぞ異世界!!!
名前聞くだけでこんなにテンション上がるなんて、これが所謂トリップ効果ってやつね!
「幸佐幸ゲヘゲヘ」
「……」
彼らが戦終わったなら是非とも一度リアル幸佐幸を拝み崇め倒して目にこれでもかと言わんばかりに焼き付けなければ!
「それがトリップしてきた腐女子の使命ってもんよ!」
「…とりあえずそのカゴ放り出さないでね」
「わかってるってば!行くぜ与一!いざ上田城へ!」
ほとんど葉桜になってしまった木の向こうに見える城をスビシと指差してそう言えば与一は三度目をしばたかせる。
「上田城?」
「え?アレ上田城じゃないの?」
「……あれ小田原城だよ」
「小田原?!」
トリップって普通上田城付近か、戦場じゃないの?
私の場合前者だと思ってたんだけど!
「姉ちゃん…ほんっっっとに何も知らないんだね」
「哀れんだ目で私を見るなぁぁああぁぁぁ」
知らないことは悪ですか!
成敗されれば良いのですか?!
レッツ削除!
「っとぉ!まった!小田原って事はぁ!」
素顔は小動物!?それともニヒルダンディ?!どっちが素顔でも萌えるぜ憲兵忍びつか佐助の嫁、風魔小太郎がいるではないですかぁぁああぁぁあ!
「是非とも会いたい!!てか会わなきゃ死ぬ!」
コタを喋らせて、CV確認せねばなるまいよ!そして本命聞かなきゃ!
「姉ちゃん落ち着いて!煩い!」
「煩い言われた!」
「行くのは勝手だけど絶対門前払いくらうからね。」
「愛があればどーにでもなるんだよ!」
とかなんとか言いながら夜市の小さな背中を追いかけて、家のすだれを押し除けて……
「うおっと、急に止まってどう、し……」
「…………」
「……………」
「………………………」
ズズッ
ボトボトボトッ
あれ、もしかして日を浴びすぎちゃったかな
今の今まで私の脳内で鳴くの我慢してる佐助を、弄んでた伝説の忍びが、目の前でお茶飲んでますよ。
「………あのー風魔さん、ですか?」
「………」(コクン
う な ず い た !
ほほほほモノホン!
「おおおおおとととぁぁぁあコタァァ!」
「!」
「ぶへ!」
「…………痛そ…」
ル●ン三世よろしくにジャンプして抱き着こうとした所、サッと避けられ私は顔面からダイヴした。
うぅ……流石伝説の忍び…!動きが伊達じゃねぇ…!
「ガード高いからこそ燃えるのだけども!うはーっ!松永サマの気持ちも解る!!」
「………」
「姉ちゃん、知り合い?」
「出会ったから知り合い☆」
「………」
コタも与一も無言。
いかにもうぜぇーって顔せんといて!
「で…えっとこの人…忍び、だよね…?」
与一の質問に更に頷く小太郎。
伝説の忍びが簡単に忍びだってばらしていいのかな、とか思ったんだけれど空気を読むのが日本人なので、久しぶりに空気をよんで黙秘権を使う。
「姉ちゃん…いつの間に忍びと仲良くなったの…?」
「さぁ…私がコタを知ってるのは解るんだけどコタが私を知ってる理由が解んないんだよね、」
常日頃サスコタサスとか松コタ妄想してる私からすれば知ってて当たり前なんだけれど、コタが私を知っている意味がわかりま千円。
「…………」
「……そんなに見つめないでン☆」
「…………………ハァ」
ため息つかれた!けどそれがエロいよ小太郎!!だから小十郎に襲われちゃうんだハァハァ
「…」
「姉ちゃん顔ヤバイ事になってるからね」
「おおっと。…んで、コタはなんで此処に?」
私の質問にコタは、スタスタと私の投げ捨てられた鞄へ近付いて迷わず筆記用具を取り出す。
え、ちょ、なんで知ってんのコタ。と思ったけどコタは忍びだから例えどこに何があっても解るんだろう。壁にメアリー障子に耳あり、だもんね!
きっとお風呂の上とかに潜んでるんだ!んふふふ腐腐
ニヤニヤしてるとコタがやたら慣れた手つきでシャーペンで私の大学ノートにゴリゴリなにやら書きはじめた。
「……」
「うお!この人は!」
コタがやたら可愛いチビキャラ風に書いた人物は。
「氏政おじいちゃん?!」
「………」
ちらりと見える口元をなんだか嬉しそうに吊り上げてコタは頷く。
えええええ!コタめちゃくちゃ絵上手いんですけど!つーか可愛いんですけど!
コミケにあっても可笑しくないよコレ!うは!もえ!
コタの絵の上手さに感服していると、綺麗で長いコタの指が氏政おじいちゃんイラストを指差し、私を指差した。
「……………」
え、
「氏政おじいちゃんが、私を…?!」
「………」(コクン
頷かれちまった!
「姉ちゃんまた何かしでかしたの?!」
「わわわ私妄想以外何もしてないよ!ホント!!つーかまたってなんだまたって!」
「じゃあなんで呼び出されてるのさ!」
「知らないよ!」
答えを求めてコタを見ればコタはゆっくり口を開く。
「―――?」
ぱくぱくと口が動くけど何言ってるかわからない。
あの、唇で言葉よむっつースキル私にはないし!
少しして?を飛ばしまくってる私にイライラしたのか、小太郎は急に立ち上がって私の腕を掴み、寸分の狂いもなく俵担ぎをするとジェットコースター並の速さで家の屋根の上を移動し始めた。
「ぎ、やぁああぁぁぁぁ!!!」
胃が!胃がギュルギュルして気持ち悪いぃぃいい!
内臓がぐえってなるぅうあぁあぁああ!!
「ぬぇえぁぁあぁあヘルスミーいいぃぃぃぃ……!!」
ビュンビュンと耳元で風が唸って、お腹が定期的にぎゅっぎゅと押されて…そうしてコタに誘拐され着いた先はなんつーか城ッ!ってかんじの城。現代の日本でもお城は見れるけど、装飾とかがとてもきれいで、現役なのが見てわかる。
その綺麗な城壁を見て、惚れ惚れとする間もなくコタはそのまま中に入り、そのまま城の中のどこかの廊下へと降り立った。そして私は、コタに降ろされることなくそのまま少しばかりギシギシと鳴く廊下の床面を眺め、ようやくおろしてもらったと思ったら綺麗なふすまを前にしていた。
「え、なにここ?」
「……」
開けるの?と聞くために振り返ろうとして、目の前で突然音もなくふすまが開いた。
「ぬおっ?!まさかの自動ドア?!」
自動ドアが私の為に開いてくれるぅ~!
思わず半歩下がると足元でコタが片膝をついて跪づいていたので二度ビックリ。
あへへへ、でもコタのこの体制萌える!テラ主従!きっと松永にこうするよう躾られてたんだろうぬぁはー!
開いた襖の向こうに目もくれずじっとコタを見つめて自分の世界に入り込んでいると、
「ほぅ…おぬしが……」
だなんて大好物なダンディズムボイスが鼓膜に飛び込んできた。
え、え?この声はわわわわぁあ!
ぐるりと顔を向ければ、赤とモコモコと角がみえる。
「お…お……」
「?」
「おゅぁくぁたずぁぶぁあぁぁあぁあっ!!!」
ななななんと我らが大将お館様がでん、とそりゃもう風格ビンビン、威厳ムンムンで座っておらっしゃりまっせ!!
ふぬぁああぁぁあ!なんだこりゃ!夢か?!夢なのか!!
堪えきれずに飛び付いたら凄まじい勢いだったのにもかかわらず、お館様ったら動じないで「威勢がいいのぅ!」なんて笑ってらっしゃらりるれろ!!
「今なら死んでもかむぁわなぁぁあ!」
「はいはい、ちょっと落ち着いてねー」
「ギャ!エロボイス!」
脳みそがグワンと揺れるような、猫なで声がとつぜん落ちてきて、私は反射的にその名前を口にする
「ざざざずぐぇッ?!!」
「あーハイハイ、わかったから静かにしてねー」
忍べてない忍び、つーか武田のオカン迷彩ポンチョ!
戦国の必殺苦労人、ぶっちゃけ弄られキャラ2号某K安ボイスの猿飛佐助殿が僕の襟掴んで結構本気の力で引っ張って、お館様から引きはがそうとしてきたからぐえってなった!!!
「邪魔だエロボイス…ッ!私の邪魔すんなあぁっ…!ほら、私じゃなくってあっちにコタ居るんだからそっち襲ってろィ…ッ!」
「…俺様にそんな趣味ないから」
「照れ隠し!本当は今すぐコタを組み敷いてニャンニャン鳴かせたい癖にーっ!サスコタもへ!」
「気持ち悪ッ!」
「ぎゃん!お館様ーっ」
サスコタに気を取られて思わず腕の力と頬が緩んだ瞬間、無理矢理引きはがされてしまった。
畜生、佐助のくせに生意気な!
「まったくもー…なんでよりによって、こんな落ち着けない子なのかなー」
オカンの嫌味みたいな独り言を総無視して改めてこの部屋をぐるりと見回す。
まず、コタが立ち上がって壁にもたれて腕組んでる(カッコヨス)
その少し横にオカンが参上(佐助コタ大好きだなおいっ☆)
んでもって、私のすぐ右にお館様がいて。
「ほっほっほ」
んでんで、お館様の正面に氏政おじいちゃんが茶飲んで朗らかに笑ってる(え、なんかカワユイ)
…つまり、BASARAキャラが……4人…もいる……!!???
「萌空間か!!!!こんな急にBASARA濃度上がったら死んじゃうんですけど!!!!」
天国へのカウントダウンだぜ、コレ!!きゃっふぉぉおい!これであと一人増えたら私変な汁でるぜ?!
「で…君名前は?どうして大将達ならいざしらず、俺達の事知ってるの?」
佐助が裏がありそうな笑みを浮かべてそう言う。
おぉっとこれはトリップしておきるイベントじゃない?首筋にクナイとか突き付けられちゃったりとかさ!
「えへえへ役得!」
「……」
「それより…何故おぬしが此処に呼ばれたか…見当はついとるかの?」
「…なんでか?」
問い掛けてきた氏政おじいちゃんを見つめて、コタを見て、お館様を見て、オカンを見た。
オカンに凄い嫌な顔をされてしまった。
…にしても私が呼び出された、つか拉致られた理由か。
今この私が居る部屋の空気は重い。
例えるなら、茶道してるとき、そのぐらい重い。
えっとつまり、悪い、事したのか?私。
「……路上…」
「?」
「音痴な路上ライブでお金稼いでいたから、っすかね?」
「……は?」
いや、ほら。勝手に路上商売したら駄目ーみたいな話なかったっけ?あれ?
『…………』
どうやらこの空気からして違うらしい。
いっぱつギャグかましてこの冷えた空気を温めてやろうかなって思ったけど、さすがに日本人なのでこの空気をちゃんと読んだ方がいいなって思ったのでお口をチャックしました!!
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嵐のように現れた風が去っていった後与一は、一人ぽつんと立ち尽くしていた。
「…姉ちゃん…連れてかれちゃった……。」
しばらく小田原城を見つめていた与一は、布団を干そうと思っていたことを思い出して、くるりと身を翻し、家へ戻った。