私の神様(仮)
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ね」
「よく考えたらさー」
桜の花びらが散り、風に持って行かれる。
この町で1番長持ちするらしいこの家の庭の桜も、もう寿命なのだろうか。
「私まだこっち来てから半月ちょっとしか経ってないんだよねー…。あ、桜餅美味しい」
「……姉ちゃん…」
「げ、与一……!」
「雑草当番サボってなにやってんの!?」
「ぎゃん!バレた!」
「っつー訳でお花見しませんか!!」
「……またいきなり…」
呆れた顔は梵ちゃん。
読んでいた私の教科書をパタンと閉じて胡座をかいた。着物の隙間から生足がハァハァ!
「姉上、よだれ」
「おっと(じゅるり)ありがとしょーちゃん!いいかいチミ達!もう外は桜が散り始めてるんだぜ!見なきゃ損だろ!つーかみんなでお餅食べたい!よもぎもちー!」
「本音だな」
呆れた声をあげて梵ちゃんは教科書を私の鞄に戻す。
それを目で追ってやよっちゃんが口を開く。
「僕もお花見やりたいなっ!桜が綺麗だよ?」
「流石やよっちゃん!解ってる!」
大好きやよっちゃん!と抱き着いてあげたらパタパタと真っ赤になって軽く抵抗する。ムフ、可愛いですなぁ!
「梵は?おいらはどっちでも良いんだけど、」
与一が洗濯を畳みながら(妙に似合う)顔を梵ちゃんの方へ向けたが梵ちゃんはいかにも嫌そうな表情をする。
むぅ、眉間にシワ寄ってるぞー?!
「……梵、」
「なんだよ松寿丸。」
「花見には、甘味が付き物だ。」
「やる!」
「早ッ!!」
バンッと身を乗り出して目を輝かせた梵ちゃん。
そんなに甘味好きか!わかるよその気持ち!
とにかく、お花見お花見!今やりたいことをやるべきだよ!うんっ!
「はいはい!決定ー!レッツパーリー!ヤーハー!」
片手を突き出してそう宣言。
乗り気な梵ちゃんとやよっちゃんも一緒に手を突き出した。
と、着物の裾を引っ張られる。
「姉上、姉上」
「んー?どったの?しょーちゃん」
「その…大福はあるか…?」
「あるに決まってんじゃん!当たり前当たり前!」
すると顔を綻ばせてしょーちゃんは「そうか」と言って何を準備するかとワイワイ話し合うちびちゃんズの輪の中へ入って行った。
ッハーー!!!
「あ、やばまたヨダレが。」
「甘酒、大福、よもぎもち、だし巻き卵、ずんだ餅、お汁粉、おさしみ、和菓子、団子etcとなんでもございます!お好きにお食べ!」
「やりっ!俺1番!」
「おいらはだし巻き卵!」
「このお汁粉美味しいよシズカお姉ちゃん!」
「………」(もそもそ
みんな思うがまま、いろいろな物に手を伸ばす。
みんな手白い!うらやましいぞ!
「んーっこの和菓子うめぇ!」
そう言って梵ちゃんが頬張っている和菓子はやよっちゃんが隣のおばさんに聞きながら作った物。
うぷぷ、白い粉まみれなやよっちゃんカワユスっていうか激マブっていうかいやだわなにこれ天使?
「もういっそ、やよっちゃん総受で!フハッ!」
「そーうけ?」
「気にしちゃいやん☆」
やよっちゃんは可愛いままでいておくれ!
純粋に、純粋に聖なる泉で居て!!イ反面ライダーくーが見たいな泉で!
「よかったね、やよっちゃん!喜んでもらえてっ」
「うんっ!」
幸せいっぱいな表情でやよっちゃんは頷く。銀にも近い色をした髪がふんわりと揺れた。
「姉ちゃん、これ食べた?」
「ん?」
与一が片手に団子を持ちながら差し出してきたのは大福。
しょーちゃんが真っ先に手を付けたお菓子でもある。
「まだだけど…なんで?」
「松が全部食べちゃうよ?」
視線をしょーちゃんへ向ければ、まだ大福をモチモチもそもそ食べている、でも大福のあった入れ物には何も入ってない。
つまりは、だ。
「全部食べたのしょーちゃん?!」
「……」(もそもそ
コクン、と一つ頷くしょーちゃん。
その細い体のどこに沢山の餅が入るんだ…!
まじまじ見てるとリスみたいに両方の頬に餅を詰め込むようにして食べていることが解った。
し、小動物!
「お、お、お持ち帰りぃぃ~っ!!」
「……」(ペシン
「痛い!防御された!!」
「我に敵う訳無いだろう。」
「むーっ…」
腹立ったからほっぺ突いたれ!
モチモチとしたほっぺの中の餅を狙ってツンツンして見る。
ふにふにしてた。なんか悔しい!
「今日の所はこれぐらいにしといてやる!お、覚えてろよっ!」
「…また返り討ちにしてやろう」
餅を飲み込んで、しょーちゃんは梵ちゃんみたいにニヤリと笑う。
ちょ、ニヒルニヒル!!
「ぐふ…っ」
「?どうしたんだ、シズカ」
口の回りにキナコをつけて(ちょ、萌える)きょとん、とする梵ちゃん。
あなた、手にも口にもキナコめちゃくちゃ付いてるよ?!
「な、舐めとっていいでつかハァハァ」
「気持ち悪い」
「ショック!」
どうでもいいけどキモいより気持ち悪いの方が突き刺さるよね、心臓に!テンション高めに反応した私をみて梵ちゃんは冷たい一言を放つと、すぐに手の中のきな粉餅を完食した。
「はぁ、これもそれも全部美味しいな」
「うんっシズカお姉ちゃんありがとう!」
「なぁシズカまた今度やろうぜ花見!!」
「桜はもう散り際だぞ」
「桜じゃなくても!ほら花は他にだってあるだろ?!それでさ、また来年も桜がきたら今日みたいにいっぱい甘味並べて……、……。」
「……梵ちゃん…」
バーっと楽しそうにお花見の話をしていたけれど、ふと言葉に詰まって黙ってしまった。続きは言葉にならなかったけれど、梵ちゃんの気持ちも考えてることも手に取るようにわかってしまって私は閉口した。
ちびちゃんズは皆口を閉じて視線を落とす。
やっぱりみんな思うことがあったようで、この家には珍しく、本当に……本当に静まり返った。
「…………」
私たちは、いつまでこうやって笑っていられるんだろうか。
神様の気まぐれなのか、なんでか理由は知らないけれど、たまたまこの場所に集った私たち。
私もいつ帰るのか、…そもそも本当に帰れるのかもわからない。わからないけれど……少なくとも梵ちゃんとしょーちゃんは戦国武将として帰らないといけない場所があって、やよっちゃんだって立派なおうちの人だろうというのは想像できる。
みんな、帰るべき場所がある。
……いつか、帰らなくてはいけないのだ。
「……あのさ」
「…?」
「この先…どうなるかはわかんないけど。みんなには……帰らなきゃいけないお家があると思うんだけど」
「……」
「……ここが私とちびちゃんズの家なのはずっと変わらないからさ、忘れないでいてくれると嬉しい…し」
「…………」
「それにみんながもし居なくなっちゃっても私と与一が探しに行くから!!絶対!!」
「……シズカ」
もし……もしかしたら門前払いとか受けるかも知れないけど私とちびちゃんズの愛の前には敵でもなんでもないね!!
フンフン!と鼻息荒くシャドーボクシングをして架空の門番を千切っては投げ千切っては投げ…をしていると
「あ、そうだ」
「?」
「ちょっと待ってて!」
私は飲んでいた甘酒を置いて一度家へ戻る。
作って鞄の中に入れっぱなしだった物を取り出すと再び庭へ駆け戻った。
「姉ちゃん?」
「さぁさぁ、ちびちゃんズにプレゼントだヨ!」
みんな首を小さく傾げるうへ、カワユス!
「はい、まず与一!」
「…おて…だま?」
「おうよっ、まぁ初めて作ったからガタガタだけど」
私が与一に手渡したお手玉を覗き込むちびちゃんズに、私は続けて手渡していく。
「はい、しょーちゃん!」
「……本当にぶきっちょだな、姉上」
「だまらっしゃい!…はい、やよっちゃん!」
「ありがと!シズカお姉ちゃん!!」
「ムフー!そんなに喜んでもらえたら嬉しいよ!そんではい!梵ちゃん!」
「…これ、俺らの布団と同じ柄じゃ…」
梵ちゃんの一言に与一達も「あ、」と声を漏らした。驚いてる顔も萌だよ、みんな!
「…姉ちゃんもしかして……!!」
「切ってないからね?!」
慌てて言葉を遮ったら「だって姉ちゃんならしそうだもん」なんて酷い!
「布団屋で貰ったんだよ、本当はもう少し大きいのにしようと思ったんだけど」
「…失敗し続けてこの大きさ、と言う訳か」
「ほっとけ!」
いいじゃんか!DSのソフトサイズだろうが!逆にこのサイズで作るの大変だったんだからな!
「姉ちゃん」
「ん?」
「ありがとう、お手玉」
ニッコリ笑った与一。
う、ぉおぁあぁ!なんか久しぶりな気がする!与一の屈折のない笑顔!
「お姉ちゃんきゅんきゅん☆だよ!」
「………」
「ぎゃんっ!半眼やめて!」
まぁ、これでこそ与一なんだけれどもね!
「シズカお姉ちゃん、僕…これ大事にするから!」
「俺も…絶対…無くさない。」
「約束だよ!しょーちゃんも!」
「……あぁ。分かってる…」
俯きがちに睫毛を伏せてしょーちゃんは頷く。
よし、これでシミ話は終わりにしよう!花の命は短いんだよ!
「1番シズカ!甘酒イッキやります!」
「なにそれ?」
「あれ、イッキ知らない?お酒の一気飲みだよ」
「体に悪そうだね…」
「相当悪いと思うよ、お酒だったらね」
甘酒だから大丈夫でしょ!
「ははは!いいぢゃんかぁぁぁ~!もっと上げて上げて!」
「ひぇぇえんっシズカお姉ちゃん怖いよぉぉっ」
「姉ちゃん…酒乱………」
「なんで甘酒で酔っ払うんだ…?」
「姉上の変態度が上がったな…」
んふふ、なんか言ってるけど気にしな岩~!
やよっちゃんの着物をひんむくまではねぇぇぇええ…!
「やよっちゃんふふ腐腐ほらほら脱いで脱いで!」
「シズカお姉ちゃん破廉恥!」
「おりょ、やよっちゃんも破廉恥侍みたいになってるぁアハハハハハ」
「駄目だこりゃ…黙らねーぜ?シズカ」
「酔っ払いめ…」
そういえば私だけみんなに秘密話ししてないなぁー
「ばくろぉしまぁぁーすぅ」
「呂律まで危なくなってきてるよ、姉ちゃん」
「ぅわぁたし、実は未来からきたんだよぉほほーい」
『………は?』
ぐへへ、みんな顔がキョトンってしてるぞい!カワユスカワユス!
「み…未来…?」
「酔っ払ったせいで夢と現実の区別がついてないんじゃねーか?」
「みりゃいのらぁぶぉっとなんえ……」
「何言ってるかわかんないよ…?」
アハハハしょーちゃんたちが、ぐるぐるまわってるあははは
「あ、姉上ッ?!」
そこで私の意識はすっかり落ちたのであった。