私の神様(仮)
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「か」
「あっるこー!あーるーこー!私は元気ぃ!」
私は女子高生腐女子のシズカ
同居人で家族の与一、梵ちゃん、やよっちゃんと寝ていたところ怪しげな美少年が落ちてくる現場を目撃した。
美少年と話すことに夢中になっていた私は日用品が必要になると背後からマジレスされることに気づかなかった!
アルマジロのポーチを持たされた私は、気がつくと……買い出しに出ていた!
見た目は大人頭脳は子供、地雷なしのオールマイティ腐女子!真実が一つとは限らない!
「……なんて言ってたら見事に迷ったかもしれん」
えっ、ここどこ?!
辺りをキョロキョロと見回したが、見覚えのない店舗や家々が連なるばかりで目指していた布団屋は全く見当たらない。くぅう、そろそろショートカット覚えようと思って裏道に入ったのが間違いだった!!
くそぅ、迷子になるのなんて夏コミ以来だぜ……
「っていや待てよ?わけもわからずトリップしてる今も現在進行形で迷子なのでは?」
「まぁまぁ、人間って人生って道で常に迷子みたいなもんだよ」
「だよねー!」
そうそう。
人間はさ、日々迷ってたまに行き止まってまた戻って…そうやって生きてる恋はスリルショックサスペンスだし……って
「どちら様で?!」
「にゃはー初めまして」
心の声を読まれて振り返ると、そこにはヘラヘラとした笑みを浮かべた若い兄ちゃんが立っていた。明るい茶色の髪は自然体のままなのか、あっちこっちに向いてしまっている。
なんて言うか近所のコンビニに食べ物を買いに来た寝起きの人……みたいな?
ただなんていうか放つオーラ?気配?は気怠げながらも油断ならなさみたいなのもあってなんていうか……
「スーパー攻様」
「は?」
「なんでもございませんわ」
ヲホホ、と笑えばスーパー攻様(もしかしたら鬼畜系攻様かもしれん)兄ちゃんは首を傾げてへらりと笑った。
「ねぇねぇ、君ってこの町の人だよね?」
「えーっあー…一応?」
「一応?」
「実は最近この町に来たばっかでして」
「あー、なるほど、だから『現在進行形で迷子なのでは?!』とか意味わかんなこと言ってたわけね」
「どうしてそれを?!」
「君ずっとなんか1人でブツブツ言ってたよ」
「マジで?!怖っ」
「そんな君に話しかけた俺って勇気あるよね」
「自分で言ってちゃ世話ないよ」
な、なんだ?!なんか会話のテンポが合うぞ?!
これが攻様になせる会話テクなのか?!!
ちょっと怪しんで、改めてこの怪しげな兄ちゃんを観察していると兄ちゃんはポンと手を打った。
「あ、自己紹介してなかったや。俺は藤五郎ってモンだよ」
「あ、私はシズカです」
「シズカかぁよろしくな」
「こちらこそ」
このスーパー攻め様、顔と雰囲気に似合わず名前を藤五郎というらしい。ふじ…藤五郎……なんかすごい全てがチグハグで面白いなこの人。
いやこら人の名前で笑っちゃだめだよ!ご両親が考えてつけた名前かもしれないし!!
なんて考えてた私に藤五郎はそれでさぁ、と話を続ける。
「実は俺も迷子なんだよね〜。旅してたんだけど仲間と逸れちゃってさぁ」
「ふむ……?」
「つまり君と俺は……迷子仲間★」
「嬉しくない!」
なんだその不名誉な称号!!
なんで私はツッコミをしてるんだ?!!?
私あんまりツッコミ(きゃっ突っ込みなんてお下品!)得意じゃないのに!!どっちかというと壁でありたいタイプの腐女子だよ!!藤五郎はウィンクを私に飛ばすとまぁまぁ細かい事は気にしないで!と肩を組んできた。のしりと重さをかけられて私はちょっとだけ前によろめく。
「じゃあいこっか!俺は相棒探し、シズカは…」
「布団を買いに」
「おっけー!じゃあ早速行こう!短い人生楽しんだモン勝ちだろ!」
「イェーイ!!!」
こんなノリのいい兄ちゃんのノリには乗ったもん勝ちだよね!!
なんだかあれよあれよという間に言いくるめられているような気がせんでもないが、迷子が一人増えたところで迷子なのは変わらないもんね!がはは
そんなわけで、私たち迷子ブラザーズはそれぞれの目的地を探してあてもなく歩き始めた。
あたりをキョロキョロと見回しながら、街中を歩いていく。
そうしてしばらくして「そういえば」と藤五郎は口を開いた。
「最近来たばっかって言ってたけど」
「まだ来て1ヶ月も経ってないよ」
「ふーん、その前はどこに?」
「えっ……うーん」
どこって言われてもまさか「未来からやってきました☆えへぺろ★」なんて言えるわけないし、でもこの時代の街のなんてわからんし。
なんて答えたもんかなぁとおもって藤五郎を見ると、彼の目が何かを探るような雰囲気をまとっていることに気が付いた。
えっ、怪しまれてないか私?!
「じ、実は…その、山の向こうらへんに住んでたんだけど、戦で家が無くなっちゃってぇ…」
「……ふーん?」
「それでしごとを求めてここまで…」
「…………」
じっと見られて私は「あ、あはは」と乾いた笑いを返すと藤五郎は肩をすくめた。い、いかん。確かに根っこが腐りきった腐女子なので不審者側の人間かもしれないけど犯罪は!!誓ってやりません!!!ほんとです!!
怪しむ視線をガンガンに受けて、私はしどろもどろに話題を変える。
「そ。そういう藤五郎は、どっからきたの?」
「ん?んー北の方かな」
「北って?」
「……」
「……え?」
「あは、」
えなにその間こわ!!
この話題はお互いあんまりよくないみたいだねぇ、と怪しい笑みを浮かべている藤五郎に、私はもしかして一緒に行動するのは悪手なのでは……と脳裏をよぎる。
けれどもう時すでに遅しせわし&たかし…。逃げれるはずもなく。
なんとか穏便に済ませなくては…!そして早くこの緊張感から逃れさせてくれ!!
藤五郎ー…藤五郎…
ふ…藤…富士?!
「マウンテン藤五郎!」
「――……はい?!」
すんごいたっぷり間を空けてマウンテン富士…あぁいや藤五郎はおマヌケな声を上げた。
流石私!ネーミングセンス最高じゃね?!絶妙にダサくてフレンドリー!これで多少緊張感も緩和され…
「別に俺はそれでも構わないけどさぁー」
「え、良いの?!」
嘘だろ、だってマウンテン藤五郎だぜ?!
マウンテンだよ?!山だよ?!Mt.だよ!?
私が驚きに目を丸くしていると、マウンテン藤五郎はズイッと顔を近づけてあろう事に私の耳元で囁きやがったのだ。
「……それを人前で言えるのかな…?」
ついでにふぅ、と吐息付き☆
私は耳を押さえて全力で逆噴射バック!!
「ぐををををッ!!みみみみみ耳元で囁くなァァァッ!!」
「ふふふふ…初だねぇ」
ぎゃぁぁぁあ!マウンテン藤五郎が鬼畜になった!やっぱり鬼畜攻めだこの野郎!!
そそそ、その鬼畜な含み笑いは佐助の専売特許だ!!
「いやっはっはっは!シズカってばかーわーいーいーっ」
「テメェは可愛くねぇぇえ!!なんで私がツッコミいれてるんだよ!」
畜生、ツッコミ王与一さえいてくれたら…!
私より頭一つと半分ぐらいマウンテン藤五郎を睨みつけてやると藤はまた大きく笑って頭をわしゃわしゃと乱暴に撫で付けた。
「ほら、行こう」
「はぁぁーい」
「溜息しながら返事するんじゃありませんっ」
「ごめんママ!」
あまりに騒がしくしてるから注目浴びちゃってるじゃん!
あたりを行く人たちの視線が突き刺さる!!
「あ、でもその方がマウンテン藤五郎が探してる人も探しやす……ってよく考えたら私その仲間の顔知らないから探せないや」
「あれ、特徴言ってなかったっけ?」
「うん」
そこで一度マウンテン藤五郎は腕を組んでうぅん…と唸った。藍色をした着物にシワがつく。え、そんな難しい感じの人なの?
首を傾げたところでポンと一つ手を打った。
「そうだねぇ。一言でいえば……悪人。」
「ハァッ?!」
悪人!?一言で言って悪人ってどんだけ悪人なんだよ!あれか見た目に悪人オーラが滲み出てるのか!!
お ま え み た い に !!!
そんな私のツッコミと言葉にならない言葉を感じ取ったのか藤は更に続けた。
「んと、頬に傷があって」
「…」
「眼光は睨まれただけで体が強張るかんじで」
「……」
「大きくゴツゴツした手」
「………」
「身の丈は大き…ってちょっとシズカ、何逃げてんの」
「ぎゃあ!捕まっちまった!!」
回れ右、逃げるが勝ちとしていた所、マウンテン藤五郎にぐぁしっと襟を掴まれた。くっそ!!捕まった!!
「何?どうしたの?」
「たった今、マウンテン藤五郎が上げた特徴聞いてヤな予感しかしなかったんだよ!」
なんだよ恐いよ!おもいっきり「久方ぶりのシャバの空気は美味いぜ…」じゃん!前科100犯くらいしてるだろそれ!!
そんな人と関わったら危険に決まってる!!
「根は良い奴なんだよ?」
「やだやだ恐いもん!頼むから離してぇぇええ…っ!」
嫌がる私を無視して、マウンテン藤五郎はずんずんと道を進む。着物の襟を掴まれた私は定期的に首が絞まりながらも、なんとか逃げ出そうともがく。
た、たすけてぇぇえ命だけはぁぁぁ!!私にはまだ養わないといけないちびちゃんズがいるんです!!!
そんな願いも虚しくしばらく進み、やがて足が止まった。
「あ、アレ布団屋じゃない?」
そろそろ三途リバーを右手あげて横断しかけた時、マウンテン藤五郎が手をパッと離した。
そのせいで頭をガツンと打ったので一言文句言ってやろうとしたけど、ドSな笑顔が輝いて見えたから閉口する。
「ほら、シズカ」
「…鬼畜攻め……ッ!」
怨念を抱きながらマウンテン藤五郎を追い越し布団屋へズカズカ大股で侵入した。
ほんの2・3日前に訪れた布団屋は、私達が買った布団がごそっと抜けてるだけでなんら変わりない。
「あぁ、アナタは!」
もちろんこの店主の兄ちゃんも。
「こんにちはー」
「先日はどうも…あの、そちらは…?」
先日はラブホ風の布団とかほざいてスイマセンと心の中で謝ってから私は横のマウンテン藤五郎に目線をやった。
隣でニコニコと笑っている、このエセジェントルマンに私は一度目をやってハッと鼻で笑い口を開く。
「こちらは私の下僕です☆」
「ぶっ!!」
あ、マウンテン藤五郎のニコニコが崩れた。
盛大に噴き出したマウンテン藤五郎を私は丸無視してニコニコと笑って見せる。
ごらん、これが私のささやかな嫌がらせだよ!
だから足踏まれても気にしないわ!
「(このアマ…ッ)あは、何言ってんのさーシズカってばー」
「(こいつ踵に切り替えやがった!)ハハハ、本当の事じゃん」
「………はぁ。」
前回に引き続き引き気味な店主(28歳妻子有り)さんは一応納得の言葉を述べたが、声音が「コイツ等頭おかしい」って言ってるんだよ!
馴れてるよ!?馴れてるけどね?!
やっぱり悲しいんだよ、この視線!
「さっさと選んでしまおう。うん、それがいい!!」
私はマウンテン藤五郎の踵踏みから逃げるように布団を選び始めた。
後ろからチッと舌打ちがしたが気にしない。
「しょーちゃんの布団…しょーちゃんの…、あ」
ふと、白地で赤い模様で太陽らしき何か(なんかの壁画みたい)が描いてある布団が目についた。
おぉ、結構ふかふかしてる!しょーちゃん気に入るかな!太陽だし!日輪だよ!
「よし、これにしよう!」
「ありがとうございます!またお子さんが増えたんですか?」
「そうなんですよー」
会計を済ませてしまおうとポーチをあさっていると、三十路間近な兄ちゃんがあぁ、と声をあげて布を何枚か取り出した。
「…これは?」
「今まで買っていただいた布団と同じ模様の布です、元気そうでしたから、穴が空いた際の補修にと。」
渡された布はだいたいA4ぐらいの大きさがあった。
……確かに与一、梵ちゃん、やよっちゃん達の布団と同じ模様だ。この時代、モノの数が限られてるから大切に使わなきゃね!
「……有り難くいただきます」
「いえいえ、これからもどうぞごひいき下さい。」
そう言って兄ちゃん(奥さんの名前はおはなという)は頭を下げた。
「終わったー?」
「うん終わったよ、」
店を出れば右側の壁にもたれて腕組みしているマウンテン藤五郎がいる。
ニコニコしながらマウンテン藤五郎は体制を作り直して……
バチンッ
「ギャァアア!!いったぁぁああ!」
「さっきはよくも人を下僕扱いしてくれたねー仕返し!」
「力加減しろォォオッ!」
「こらーっお店の前で騒がないの!」
「誰のせいだ誰の!」
額に見事なまでのデコピン(爪たってる)を喰らった私はその場で悶える事に。
爪がブツンと刺さった!!なんだこの破壊力!
頭がガンガンするんですけどー!!
「おま…ッ!布団で両手塞がってるヲトメになんたる仕打ち!許さないんだから!」
「ンフー、出会ってまだ数分だけどシズカがヲトメじゃないのは俺だって解るよ~」
「ンだとゴルァ!テメいつかぜってー殴r「おい」
私達が布団を背負い込むようにして担ぎながら歩いていると突然声をかけられた。落ちてくる布の塊の隙間からなんとか前を見ると、チラリと茶色い足元が見える。
「………シズカの知り合いか?」
「――…いんやまったく。というか全然見えん。どちら様?」
「ッ!この間テメェの金盗んだ奴だよ!!」
…あぁ、そういえばこのオッサン梵ちゃんの斬鉄剣でざっくりやられて逃げたオッサンじゃないか。懐かしいなぁ。
「あらーご親切にどうも」
「自分で説明するなんて切ないねぇ~」
マウンテン藤五郎が可哀相に…と嘘っぽく涙ぐんだ所でオッサンはカルシウム不足によりキレたらしく、いつぞやの木で出来た柄の小刀を取り出した。
「今日こそはテメェの金いただくぜ…!お前ががっぽり稼いでんのは知ってんだからな!!」
「えっ、シズカお金持ちなの?」
「え?!全く?!」
いやまぁあの存在を忘れるようにしてる床下にあるらしい何某かがどのくらいあるかはわからんけど……少なくとも毎日恥晒して生きていかなきゃいけないレベルの生活ではあるよ?!
このオッサン生活費って概念しらんのか?!
キラリと光が刀を流れたのが布団の隙間から見えた。
「おうふ……や、やばくない……?」
「………」
逃げようと一歩後退してマウンテン藤五郎の着物の裾を引っ張った。が、彼は微動だにしないのだ。ちょっと、早く逃げようよ、と言おうとして私は少し高めのマウンテン藤五郎を見上げて息を呑んだ。
「ッ」
「………」
眼光が細く、鋭く、まるで鷹の目のようにしっかりとオッサンを捕らえている。
「にゃはは〜」と笑っていたちゃらんぽらんなマウンテン藤五郎の面影はどこにもない。鬼気迫る雰囲気に言葉を失っていると、マウンテン藤五郎が顎でしゃくった。
「お前さぁ…どこの浪士?……型も全然なってないし…何そのボロッちい小刀。」
「…なっ!」
藤が腰に手を当ててハンッとオッサンを嘲笑する。
ふざけてた時のあの笑いじゃない、本当の、嘲笑い。そこに言葉や茶々を挟む余地はない。
「……俺が教えてやるよ、本当の型ってやつを。」
ニヤリと笑みを浮かべるや否や、マウンテン藤五郎は布団屋ののれんを引っ掴むと、先端をオッサンへ向けた。
ピスメの某隊長みたいだったが、ツッコミをいれる前にオッサンが動いた。
地を蹴って小刀を翻し、心臓目掛けて突きの構えだろうか。
しかし、それより早くマウンテン藤五郎が動く。
のれんを揺らしながら、その先端をオッサンの顔へ一度フェイントをいれた。揺れる布と突然迫る柄に、勢いを僅かに殺したオッサンの好きを見逃さなかったマウンテン藤五郎は、そのまま半身下げてオッサンのナイフを避けた。
そしてオッサンの手の甲に棒を勢いよく、最低限の動きでたたき付ける。
カラン、と高い音がして刀が渇いた地面を数回転がっていった。素人見でも解る、艶やかな、無駄がなくて手慣れた動き。
オッサンはいきなり過ぎて何がなんだか分かってなさそうだったが、マウンテン藤五郎が肩にのれんを担いだのを合図に小刀を置いて「覚えてやがれ!」と今時流行らない言葉を残して居なくなってしまった。
私はそんな後ろ姿を、布団を背負ったまま眺めている。
「よっ…と。勝手に使っちゃってごめんねー。」
打って変わって、ふわふわした声音でマウンテン藤五郎はのれんを戻した。
そして「ふぃー、小悪党め!」と呑気な感想をあげて私に視線を落とした。
「……何?もしかして惚れちゃったかにゃ?ダメダメー俺には365人の彼女がいるんだからさぁ」
アハハと笑ってマウンテン藤五郎は宣う。
いやいや、365人って多すぎだろ。そうツッコミたかったが、呆然とした私の喉から声はでない。
「………シズカ?」
「………」
地面に落ちた魚みたいに口をぱくぱくさせて声を発しない私を見てマウンテン藤五郎は考えたような素振りを見せた。
そして私の前髪に手を伸ばして微妙に遠慮した様子で前髪を撫でた。
「……ごめんな、怖い思いさせて」
「…あ…いや別に怖いわけじゃ…」
なんていうかビックリしたというか、足が動かなかったと言うか?内臓がなんかキュッとしたというか……
マウンテン藤五郎が別人に見えちゃって驚いたって言うか…
撫でられた前髪がたまに頬を掠めてなんだかくすぐったい。
ちらりと見上げたマウンテン藤五郎は私をあやすみたいにニコニコしながら前髪を撫で続けていて、なんだか小っ恥ずかしくなった私は布団でそのままマウンテン藤五郎をどついた。
「いでっ」
「前髪ぐしゃぐしゃ!」
「いいでしょ別に、側から見たら布団に足が生えたようにしか見えないよ」
「それはもう妖怪じゃん?」
「――姉ちゃーん!」
「ん?」
そんなしょーもないやりとりをしていたら、なんだか聞き慣れた声がトトロのおばあちゃんが「めーーちゃーーーん」と探してる時みたいなイントネーションで私を呼んでる声がして、私は振り返った。
布団の隙間からマスタード色の着物が見える。
「あれ、与一」
「姉ちゃん何してんの?すっごい時間かかってるから様子見にきたよ」
「あーっごめん……迷っちゃって」
「えぇ……」
何回も来てるのに…?という顔をした与一にほんとごめんて!と言って、マウンテン藤五郎を紹介しようとして……そこにはもう誰もいなかった。
「あれ?いない?」
「おいらが来た時には誰もいなかったけど」
「おかしいなぁ…」
首を傾げる私の視界には、行き交う町の人たちが映るばかりだった。
――……
「テメェ!成実!何してやがる!」
「わぁすごい!よく俺を見つけられたね?」
「あんだけ騒いでりゃ嫌でも目につく」
「んふふ、まぁそれもそうか。やー俺ってばどこに居ても目立っちゃうから」
「……」
「うわっそんな目で見るなってば。大丈夫、ちゃんと目的は果たしたよ!」
「そうか、なら良い。急いで戻るぞ。政宗様もお待ちだ」
「へいへーい。
………また今度な、シズカ。」