私の神様(仮)
名前
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「り」
「……えーっと…」
「……」
「……」
おっはー⭐︎
みんなおはよう!まだ目覚めて2分のシズカだよ!
窓から見える天気は良好!なんだかピクニックがしたい気分になっちゃうね!
「姉ちゃん現実逃避しないでよ……」
「まぁ…気持ちはわかるけどな……」
呆れた顔の与一と、腕を組んで頷く梵ちゃん。
うーん!今日も2人ともキャワワワのワ!
なんて現実逃避は与一に言われた通り終わりにして。私は目の前に落ちている塊に目を向ける。
「……ぅ、うん……」
「人だ」
「……人だね…」
「人だな」
そんなことをコソコソと言い合っていると、その塊が動いて、目を開けた。
「……ん…、…あ、れ…お姉ちゃんたち、だれ?」
「ーーなるほど、君は弥三郎っていうんだね」
「う、うん……」
まーた目が覚めたら隣に見知らぬ子供が落ちていて、私と与一と梵ちゃんで作戦会議をしようとしていた矢先の朝。
突如現れた、桃色の可愛らしい着物に、可愛い花飾りなんてつけて銀色の髪ゆらしている見目可愛らしい子供は叫んだり逃げたりせず、ただ不安そうに状況を把握しようと必死のようだった。
弥三郎……くん…?ちゃん…?は、不安そうな表情で辺りをチラチラ見ながら、桃色の着物を整えている。
……主に見ているのは訝しむ視線を送ってきている与一と梵ちゃんなんだけど。なーーにそんな見てるの!確かに弥三郎くんちゃんさんは超絶美少女少女だけども!
「……あ、の」
「うん?」
「僕……これからどう、なるの…?」
上目遣いに聞いてくる、その視線がなんだか保護欲を掻き立ててくる感じがあってこれは…これは……!!
「んんんんんんかわいいいいいいいい!!!!」
「きゃっ!」
「君は100年に数度の逸材やで!ッハーー!!君可愛いね?!LINEやってる?ていうかどこ住み?!」
「姉ちゃん自重!!!」
「シズカ落ち着け!」
「ゴフッ」
弥三郎くんちゃんさんに飛びついてぎゅーー!ってしたら、女の子らしい小さな悲鳴をあげた。それがまた可愛くて頬擦りしようとしたら与一と梵ちゃんの容赦ないツッコミが炸裂する。
与一の振り下ろされたチョップは私の額を、梵ちゃんのタックルは鳩尾に決まり、私はあえなくK.O.された。
ぐ…まさかのコンボツッコミ…だと……?!
「ふふ…2人とも……いい拳…持ってるじゃあないか…!完敗…だ……」
「おおおおお姉ちゃん?!大丈夫!?」
「ううやよっちゃんいい子や…」
その優しい手のひらと、与一&梵ちゃんの冷たい視線の温度差で風邪ひいちゃいそう!
慌てて駆け寄ってきた弥三郎くん改めやよっちゃんは、私の額をさすって心配そうにしてくれる。その所作にも上品さが滲み出ていて、いいところのお子さんなのが見てとれた。
それにしても銀髪でいい所のお坊ちゃんお嬢ちゃんかぁ…
名前的には男の子だけど…見た目はどう見ても女の子なんだよな…
……はっ、もしかして?!
「姫若子と同じタイプの無性別ロリショタ?!!」
なるほどね!戦国時代って男色もよくあったっていうし男の子を囲ってた…囲ってた!なんて話もあるし、それに影武者だの世継ぎだので性別に囚われてない感じあるもんな!
はー!これはなかなか現代だと怒られてしまう系のやつ!心の中で拝んどこ!!
心の中で、ありがてぇありがてぇ、とやよっちゃんを拝んでいたら、やよっちゃんは一瞬唇を噛んで、それから気の抜ける笑顔を浮かべた。
「一応…ぼく、男……」
「うんうんっ!そうだよねそうだよね姫若子じゃないねゴメン!」
「いえ…、あのそれで」
僕これからどうなっちゃうの…?と変わらず不安そうな表情を浮かべるやよっちゃん。
うーん時代が許せばやよっちゃんのほっぺを吸っていたんだけどホラ私NPO法人ショタとロリには手を出すな委員会の会長だからさ……ここはおとなしくやよっちゃんのおててをギュギュッとするだけにしておこう…
「うーん、とりあえずここに住む?」
「え?」
「おいシズカ色々端折りすぎだろ」
「一応説明すると、別においらたちが弥三郎を誘拐したとかじゃなくて…なんていうか、起きたらいたんだよね」
「えっ…」
「2人とも説明さんくす!…いやぁまぁそんなわけでやよっちゃんがここにいる理由がさっぱりでさ。帰り方がわかるまで住んじゃいなよ!…ってこと」
「……」
私たちの言葉を飲み込み損ねたやよっちゃんは、えっ、え…?と全員の顔を見たのち「神隠し…?」とこぼした。
えっ、なんかそんな洒落怖的ななにがしなのかなこれ?
実際知らん町に飛んでるわけだからどっちかというと転移とか…そういう感じじゃないかな!考えたところでわからんけど!
「細かいことは気にしない!あ、えっとそういえばまだ名乗ってなかったね!私はシズカ!一応この家の管理者、彼らの保護者です!好きな食べ物はタラコおにぎり!嫌いな食べ物は食べれない物!座右の銘は一日一萌!最近は与一に梵ちゃんできゅんきゅん☆してます!まだまだ駆け出しな戦国好きでつ!」
「えっあ、初めまして…!僕は弥三郎…です」
うーん、と悩み始めた空気をマシンガントークで吹き飛ばしたら、慌ててやよっちゃんが挨拶してくれた。めちゃくちゃいい子!優しい子!!
ささ、次は与一だよ!って意味も込めて手のひらを与一に向けると、与一はちょっと面食らって、それからやよっちゃんを見た。
「おいらは与一」
「えーっ!なんかもっとあるでしょ!身長とか体重とか好きな子の名前とか!」
「……年は12、好きな食べ物はおはぎ、嫌いな食べ物は辛いもの。おしまい!」
「えー?!好きな子は?!」
「いないよ!そもそも姉ちゃんだって言ってないじゃんか!」
「私が好きなのは与一に梵ちゃん、それからニューフェイスだけどやよっちゃんだよ!チュチュチュ!」
「適当だなぁ」
適当なんかじゃないよ!本心だよ!と与一に抱きつこうとしたら、スッと身構えられてしまった。
え?!私与一に何かした?!
「俺は梵天丸。歳は9つで…多分アンタと同じようにここにきた」
その横で腕を組んだままの梵ちゃんがサラリと挨拶を済ませてしまう。
あっくそ梵ちゃんの好きな人は?!って聞こうと思ったのに!
そんな気持ちでグヌヌ、と梵ちゃんを見てたら梵ちゃんがハッ、と鼻で笑った。まさか…策士?!
「……ほんとに僕ここにいていいの?」
「もっちろーん!もういくらでも!自由にいてくれていいよ!…あっ、でも家事とかは交代でやってるから、やよっちゃんも例に漏れずやってもらうことになっちゃうけど」
「家事…?」
「お皿洗いとかー、洗濯とかー、あと畑のお世話とかご飯の準備とか」
「やったことない……」
大丈夫大丈夫、梵ちゃんもそうだったから!と頷くと、梵ちゃんは苦い顔になって与一は踏ん反り返った。
最初のうちは全部与一に教わってたもんね!ふふふふふちんまいのが並んで教え合いっこしてるの最高だったな……あれをまた一つ屋根の下見れるなんて…
「ふへへへへ…梵やよ最高……」
「シズカお姉ちゃん…?」
「いつものことだから気にしないで!持病の発作みたいなもん」
「わ、わかった」
やよっちゃんはこくこくと頷くと、よーし!頑張るぞ!と立ち上がった。私はそのキリリっとした顔をニヤニヤと追いかけて……思ったより首が上に向いた。
あ、あれ、やよっちゃん……背…
「……えっ、ちょっと待って、やよっちゃん、横、横並んで?!」
「え?」
「あいや私が行くわ……って……」
やよっちゃん…目線が私とほぼ同じ……ってこれ身長150くらいないか?!
与一が口をポカンと開けてやよっちゃんを見上げ、梵ちゃんは少し離れた(比べられたくないってこと?!キャワ)
「はえー、やよっちゃん背大きいね…」
「そ、そうかな?」
「うんうん、だってほら全然背変わらないもん」
可愛らしくて上品なのに背が大きい、このギャップがたまらんな!!こんだけいい着物着ててこの発育の良さ、絶対いい所のお坊ちゃんお嬢ちゃんだな!
うむうむ、これは絶対に傷をつけたりお口の悪い言葉を教えないようにしないとね!
「ちなみにやよっちゃんて歳はいくつなの?」
「ええと、今年で14だよ」
「あら!」
14っていうと中2くらい?そりゃー大きいししっかりもしてるよ!ていうかちびちゃんたちの中で一番年上なんだね…ウヘヘさらにギャップが追加されたね……!
ギャップ萌え最高〜〜ォ!と手をあげて喜んていたら、与一が「流石にこのサイズの着物はないから買いに行かないと」とボヤく。
ハッ!そうだよ!
「そうそう!着物もだし、日用品も買いにいこう!」.
「?」
「ほら、お箸とかお椀とかさ、色々必要でしょ?」
「あ…でも僕お金ない……」
「大丈夫大丈夫、なんとかなるなる!」
……多分。
何が必要かなぁとこの前梵ちゃんように、って買ったものを思い出す私をみて、それから与一、梵ちゃん、と視線を巡らせたやよっちゃんはぺこりと頭を下げた。
「おせわになります」