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黒龍騎士団


「家族か、、」

もうきっと帰ることができない世界、家族も友達もここにはいない。会う事も叶わない

アスラン団長のドラゴンと目があった
シルスは捕らえられたようにドラゴンの前まで来て足を止める
誰もいない静かな庭にゆっくりと風がなびく。自然と口から歌が溢れた

ーその蒼い瞳、美しい愚かさ
あなたの何もかも奇跡だったのかもしれないー


歌を終えた時、瞳を開けた先にはドラゴンがすぐ側までいた。鼻先を俺の頬にすり寄せた

「ありがとう、、優しいな君は。名前は確か、、「ワイバーンだ」」

不意に聞こえた声にシルスは思わずハッとした。ドラゴンに気をとられて気づかなかった
声だけで分かる、振り返ると背後には今最も会いたくないない奴がいた

「黒騎士団長殿、、」

「アスランでいい、また会えたな。蒼い瞳の見習い騎士どの?」

アスランはまるで面白いオモチャでも見つけたかのように漆黒の瞳が俺を捕らえた



き、、、気まずい、、
そして今更ながら変装とかなくてよかったあぁぁ

黒騎士団を城内に案内した際、イスラさんより変装を解かないように言われていた。
めんどいと思っていたが、今はイスラさんに感謝だ

だがこの状況はすこぶる悪い

ズサッ
相手が一歩こちらに近づく、同様に一歩後ずさる俺。
さすがにあの一件があった今相手と事を起こす事は許されない。っというかカイルに本気で殺される!

どうにかこの状況から逃げないと行けない
そんな事を考えていた時

ドンッ

しまった⁈ドラゴンの身体で後ろを塞がれた
相手との距離が自然と近くなる
「あの、私はそろそろ隊に戻らないといけないので失礼致します。」


「ワイバーン」


カプッ
え?って気づいたらワイバーンが俺の左手首を甘噛みしている。
捕まったと認識した時には既に遅く逃げ道を塞がれてしまった
アスランは俺の目の前まできて此方を見下ろす


「そう逃げるな、余計に追いたくなるだろう」

「別に逃げてなどいませんっ」

この時アスランと目が合う
彼は眉を寄せ、俺の顔を覗き込む

「目が潤んでいるな、泣いたのか?」

「泣いてなんかいません」

「では大方先程の件であの第1期師団長にでも怒られたか?」


・・こいつ、楽しんでやがる

「イスラ団長殿はお優しい方です、貴方とは違う」

シルスはアスランを睨みつける。だが相手の表情は変わらない
しばし沈黙の時が流れた後

「フッそうかもな、出迎えの件は改めて非礼を詫びよう」

「え?あ、いえ」

突然な発言と内容にシルスはやや呆気にとられた

「ワイバーン、もういい離してやれ」
アスランの命令で俺は解放された

「名は何という?」

「私は見習いの騎士です、他国の騎士団長様に言える名前などありません」

「では、ここの総騎士団長殿にでも伺ってみようか」

こ、、こいつ、、、。
アスランは口角を上げたままこちらの様子を見る。シルスは深い息を吐いた
「シ、、ンです」

流石に実名はあかせない









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