ハリー・ポッター


世界的大ヒットを遂げた「ハリー・ポッター」シリーズはスピンオフ作品を含め、様々なエンターテイメントで取り上げられ、最初の作品発表から20年が経つ今も全く色あせない。

このシリーズの魅力は、長期間に渡る撮影期間の中で、役者の入れ替えがほとんど無く、設定にもブレが全く見られない事が、視聴者側がストレートに物語への感情移入ができる事に有るのではないだろうか?

事実、私も初めは子供向けの映画と思って軽く観ていたが、物語が進むにつれて様々な謎が解明さらていく行く事に取り込まれていった。

ただ、私が最も謎に思っていたモノの解明が結局謎のままだったのが残念でならない。

それは、あのシリーズの中で度々ハリー達が興じていた魔法族のスポーツ「クイディッチ」についてである。

二作目となる「ハリーポッターと秘密の部屋」の中で、ハリー達グリフィンドール寮チーム対スリザリン寮のクイディッチの試合が繰り広げられていた。
試合は途中までスリザリンの圧勝ムードだった。
ところが試合の途中、ハリーの目の前に現れた金のスニッチと呼ばれるボールをハリーが追い掛け、ハリーがソレを掴むと一転、敗けていたハズのグリフィンドールの勝利が決まってしまったのだ!

なんで!?
それまでの試合の得点はなんだったの!?
まるでクイズ番組の、最後の問題で一発逆転の高得点で今までのはなんだったんだよ!!のお約束パターンみたいだ!

あのクイディッチというスポーツについて、もっと詳しく知りたいが、どこを探しても詳しいルールブックが見つからない。
仕方ないので映画の中でのやりとりで検証していくしかない。

まずは疑問の浮かんだ「秘密の部屋」での試合シーンを細かく検証してみよう。

クイディッチ選手達はホウキに股がり、空を飛び回りながらボールを相手陣地に向かって叩き込んでいる。
ここまでは空を飛んでいる事以外、普通の球技とさほど変わりはない。

ハリーのポジションは「シーカー」と呼ばれるこのスポーツの花方だ。
野球で言えばピッチャーか四番バッター、サッカーで言えばセンターフォワードといったところだろうか?
どうやら違うらしい…
ハリーは試合中、他のチームメイトのように目まぐるしく動き回っている様子が無い。
敵のスリザリンのシーカー、ドラコとお喋りしている余裕まで見せて、得点を取られたり、味方のチームメイトが敵に突き飛ばされたのを見ても悔しがったりするばかりで、ハリー自身は何もしようとはしない。

スリザリンチームが得点を入れ、グリフィンドールチームが30ー90の大差で敗けていた時、ハリーの目の前にスニッチという小さなボールが現れる。
すると、ハリーは目の色を変えてそのスニッチを追い掛け始める。
しかし、スニッチを追い掛けているのは、ハリーと敵のシーカーのドラコだけ…
他のチームメイトはハリー達の事などお構い無しに、相変わらずボールを敵陣に叩き込んでいる。
これだ!これがスポーツのどうにも腑に落ちない所だ。
一つの試合が進行している競技場内で、同時に複数のボールが存在し、それぞれのボールを巡って、別々の展開が繰り広げられている。

観客はどこを観ていたらいいんだ?
ハリーがスニッチを掴むと試合終了「グリフィンドールチームの勝利」とアナウンスされる。

う~ん…
やっぱり納得がいかない!
単純に解釈すれば味方のチームがそれまでどんなに劣勢であろうとシーカーさえスニッチを掴めばそれで勝利してしまう。
逆に言えば、シーカー以外のメンバーがどんなに頑張って得点を稼いでも、シーカーがスニッチを捕まえなけば敗け。
それまでさんざん稼いだ得点も無かった事になってしまう訳だ!

事実、第一作目「賢者の石」で、グリフィンドールのキャプテンのオリバー・ウッドのルール説明でも、「君はシーカーだからスニッチだけ気にしていればいい」「シーカーがスニッチを掴んだら試合終了、こっちの勝ちだ」と説明されている。

さっぱり解らん!!
オリバー・ウッドは見るからに好青年だから、彼の説明が雑だったとは思えない。
という事は、アレでクイディッチのルール説明は完璧と解釈すればいいのだろうか?

もちろんどんなスポーツでも、ポジションによって試合への貢献度に差があるのは事実であるが、この偏りはヒド過ぎる。
特に野球はピッチャーで70~80%決まると揶揄されるが、クイディッチはソレどころでは無い。
100%シーカーで勝敗が決してしまう!!

野球で一人の選手がエースで四番でも、他のチームメイトの活躍が勝敗に関係無いなどという事は有り得ない。
プロ野球では勝敗はピッチャーのみにしか付かないが、勝利は野手の守備が有ってこその物だ。
ところがクイディッチでは他のチームメイトの活躍など関係無い!
他のチームメイトがどんなに頑張って得点を稼いでも、それとは無関係にシーカー一人の手腕一つで勝敗が決してしまうのだ。

ハッキリ言って試合の見所はシーカーだけ。
他の選手など見ていても勝敗には全く関係無いんだから見ていても仕方がない。

そうは言っても、そんなシーカーの見所も試合中何度も有る訳では無い。

なにしろ、シーカーが活躍できる場面は試合中一回こっきり…
ソレどころか、シーカーがスニッチを掴んだら試合終了という事は、シーカーが早くから活躍してしまえば、試合は見せ場が有ろうと無かろうと終わってしまう。
シーカーが活躍すればするほど、試合はつまらなくなってしまう。

魔法使いの世界と言えど、ホグワーツ魔法学校で繰り広げられる展開は、我々とはさほど違いは無いように思える。
たしかに、魔法使い達の世界は不思議な事だらけだったが、魔法だからと無理矢理納得してしまえば、受け入れることは可能だが、クイディッチだけは理解できない。
やはり我々マグルの世界とはかけ離れたという事だろうか?

【注釈】
↓[役者の入れ替えがほとんど無く]
長編シリーズの映画やドラマを制作する場合に、一番制作者サイドを悩ます問題が、様々な理由で役者を途中交代させなければならなくなる事だ。
やはり途中で役者が交代すると、視聴者側もつい裏事情を想像してしまうせいか、感情移入がリセットされ、冷めてしまう。
役者の交代を想定する場合、気を使うのは子役と超ベテラン俳優である。
超ベテラン俳優の場合、シリーズ途中で天寿を全うされる事が懸念され、子役の場合は制作者サイドの想定外の成長をし、イメージからかけ離れる可能性がある。

↓[同時に複数のボール]
もう一つのボールはグラッチャーというらしい。
そういえば、あの物語では邸僕のトビーが操るグラッチャーが試合中にハリーを襲うシーンがあった。
スニッチを追うハリーをさらにグラッチャーが追い、フィールドを飛び出し、観客席との間の隙間をスニッチとハリーとドラコとグラッチャーが飛び回るというシーンがかなり長くあった…
あの間、他の選手達はボールの消えた競技場内で何をやっていたのだろう?…

↓[スニッチだけ気にしていれば…]
試合中のハリーは、スニッチが現れてからは、スニッチだけを見ている。
…というよりスニッチしか見ていない!!
大丈夫か?
幸運にも他の選手との衝突はなかったが、これは危険である。
たしかにオリバー・ウッドは「スニッチだけを気にしていればいい」とは言ったが、そういう意味ではないと思う…
「他の選手にも気を配りながら…」など言わずもがなと思ったのだろう。
同じ競技場内で他の事をしている選手がいる以上、そっちにも気を配らないと衝突する危険性は充分有るのだ。
ハリーがそこまで理解力が欠如しているとは思えないが、まるで金庫を見ていろと言われた金庫番が、「見ていろと言われたから、盗まれるのも黙って見ていた。金庫を守れとは言われてはいない」と言い訳しているみたいなパターンだ!

↓[オリバー・ウッド]
そう言えば彼は、新しいクイディッチの練習方法の説明も「練習は朝早くから、遅くまで」…それだけ?
やっぱりガサツなのかなぁ

↓[さほど違いは無い…]
ホグワーツ魔法学校での食事の風景は何度も有ったが、毎回まるでディナーパーティーのようだった。
イギリスではアレが普通なんだろうか?
それにしてもこのシリーズにはたくさんの料理が登場したが、どれもあんまり美味しそうじゃなかったなぁ…
まぁ「世界一料理のマズい国」と言われているイギリスが舞台だもんなぁ…

【注釈の注釈】
↓[世界一料理のマズい国]
これは民族的な食文化の問題だと思う。
イギリスに限らず、ドイツ・オランダ・オーストリアなどゲルマン民族の料理屋などほとんど聞いた事が無い。
同じヨーロッパでもフランス・イタリア・スペインなどラテン民族の食文化は世界的にも有名なのに…
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