『いたいた、探しましたよ！
あなたは今日からアイドルです！』

『やっと見つけました！探しましたよカトレアさん！！
急にお呼びしてすみません。今日から貴方にはアイドル活動をしていただきます！！』

『探しましたよ、蒼音さん。アイドル活動のために来ていただきます』

謎の声に誘われた3人の女の子達。そんな彼女たちは異なる世界からこの世界へと誘われた。さらに他にも5人の女の子達まで、この世界へと誘われていた。
さぁ、これから異なる世界から来た8人の女の子達が織り成す物語。どんなことが待っているのか、目を離さずに見守っていて…

月日は数ヶ月前。1人の女の子が部屋の窓から外を眺めていた。広い屋敷には誰もいないのか、かなり静かだ。
ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯと咳をしながら窓の外を見ると、遠くに小学生らしき小さな子供たちが元気よく走っている。現在の時刻は15時、恐らく帰る途中なのだろう。

「元気でいいわね」

力無く微笑み女の子は、「いいなぁ」とぼそりと呟いた。
生まれつき身体が弱く、あまり外に出たことがない。
友達と遊んだりなど1度もしたことが無い女の子の名は蒼音。蒼音は学校こそ通っていたが、それでも病気で休みがちだった。
羨ましそうに眺めながら「私も外に出たいわ」と悲しそうにまた呟く。
叶えられない願いに自分自身で苦笑いをしながら、そっと窓際から離れた。はぁと深く息を吐き、ベッドに横になる。

「少し寝ましょう」

「おやすみなさい」と返事が返ってくることはないが、挨拶をした後深い眠りへと落ちていった。
深く眠りについた蒼音は本来夢を見るはずがない。だが、何故か夢を見ていた。
1人佇むは深い森の中。辺りを見渡しても誰もいない。動物1匹すらいない森には、不気味な静けさが立ち込める。
ぶるりと身を震わせた蒼音は、ゆっくりと歩き出した。
風で草木がなる音以外聞こえてこない。歩けど森を抜けることが出来ない蒼音は、その場で足を止めた。
キョロキョロと辺りを見渡すが、やはり先程から光景は変わっていない。

「ここはどこなの？」

自分しかいないこの状態にぎゅっと胸が締め付けられる。誰かに会いたい、早くここから出たい。
そんな想いから、蒼音は走り出した。はぁはぁと息を吐きながら走る。すると突如目の前に光が現れた。驚き足を止めた蒼音。目の前では寂しくもあり暖かい光はゆらゆらと揺れている。

「これは…」

「なに？」と言いかけた時、頭の中に声が響き渡る。

『探しましたよ、蒼音さん。アイドル活動のために来ていただきます』

その声とともに光に包まれた蒼音。あまりの眩しさにぎゅっと目を閉じる。暖かな光に包まれた蒼音の姿は初めからその場にいなかったかのように、深い森の中から姿を消した。

どれぐらい目を閉じていたのだろうか。気がついたら何やら辺りが騒がしい。なんだ？とゆっくりと目を開くと、その場所は見覚えのない場所。

「なんでこんなところに…」

辺りを見渡すが、やはり見覚えがない。知らない場所に1人佇む蒼音は小さく「お母様、お父様」と呟いた。あまり会ったことがない両親ではあるが、それでもやはり自分の親ではある。
心細さに親を呼ぶが、それでも返事が返ってくることは無かった。ポロリと涙を流しながら、ゆっくりと歩き出す。
知り合いすらいない場所、見覚えのない風景。
自分が知らないだけで、この場所はあったのかもしれない。
だが歩けど、見たこともない建物が建ち並ぶ。訳が分からず歩き出すこと10分。ようやく先程とは違い、落ち着いた場所へと出た。
足を止めたその静かなその場所は、自分のいた場所と少し似ている。これで帰れるとまた歩き出した。
閑静な場所は見覚えがあるが、やはり少し違う。
しばらく歩きようやく見つけた古風ある建物。それを眺めながら、「ここはどこなの？」と呟いた。
するとぽんぽんと肩を叩かれる。
驚き振り返った蒼音の目の前には知らない男性がたっていた。

「探しましたよ、蒼音さん。さぁ、アイドル活動のために来てください」

ふふっと笑いながら腕を掴まれる。そのまま押し込められるように車へと乗せられた。驚き固まったままの蒼音を乗せた車は、何やら大きな建物の中へと入っていく。

「着きましたよ。さぁ、降りてください」
「…え、はい」

訳が分からず降りた蒼音の腕を男性がまた掴み歩き出す。何やら動くものに乗せられ、どこかへと運ばれていく。チンと音がなりどこに着いた蒼音はそのまま、目の前の部屋の中へと入れられた。

「あ…」
「また誰か来た！」

声が聞こえてき、そちらを見ると可愛らしい女の子が二人いた。バタバタと駆け寄ってきた二人は蒼音を見るなり「可愛い！」と抱きつく。
ぎゅっと抱き締められた蒼音はキョトン顔で二人を抱き締め返した。

「おや、もう仲良しになったのですね」

聞こえてきた声に振り返る。そこには先程ここに連れてきた男性がニコニコと笑いながら、こちらを見ていた。
それを見ながら、黒髪の女の子がずっと前へと出る。

「ニコニコしないでくれない？」
「おや、ご機嫌ななめですか？」
「機嫌も悪くなるでしょ。それで？僕たちを集めた…って言うか、呼んだ理由は？」

腕組みで男性をギロリと睨みつける黒髪の女の子に、男性はポリポリと頬をかく。いつまでたっても口を開かない男性をさらに睨みつけると、男性は観念したのかポツリと話し始めた。

――あなた方にはアイドルとなって、歌で世界を救ってほしいんです――

to be continued…