ひとまず変人速攻ができることが分かった日向達は、それ以外の技術を確認していく。

結果分かったことは、威力や跳躍力などは落ちているものの、技術そのものは“前回”のままだと言うことだった。

「サーブが弱くなった」

「いやうん知ってるけどさぁ、今ので十分殺傷能力あるよな」

体は中学2年の癖に、恐ろしい威力のサーブだった。頭にぶつかれば脳震盪ぐらいは起こしそうな威力は、まさしく"殺傷能力"だと、日向は顔を引き攣らせる。

「精度はそのままだし。怖い怖い」

「お前のは相当弱くなったな」

「お前のと比べんな!」

「いってーな」

「イダダダダダ!」

影山の背中を思い切り叩いた日向は、頭を掴まれて悲鳴を上げた。と、

「あれ、翔ちゃん?」

「え、マジで?」

聞き覚えがある声がした。

「イズミン!? コージーも!?」

バスケ部の友人、イズミンこと泉が、ぱたぱたと走ってくる。後ろにいたサッカー部の友人、関向も一緒に駆け寄ってきた。

2人は、興味津々で日向と影山を見比べる。

「友達か?」

「そう! 一昨日、うちの近所に引っ越してきた影山!」

「影山飛雄です」

「関向幸治です。よろしく」

「泉行高です。もしかしてバレーするの?」

「おう」

「へぇー、よかったな、翔陽」

日向がいつもたった1人で練習していたことを知っている泉達は、ようやく人数が増えたことにほっとする。

「…うん、良かったよ、本当に」

(2人が思ってる以上に)

10年来の友人で相棒である人間と、もう一度バレーができるのだから。
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