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【金田一・国見ライン】

金田一:おい
金田一:起きてるか?
金田一:約束の時間過ぎてんだけど

国見:通知うるさい
国見:おはよう

金田一:やっぱり寝てたのかよ!!!

国見:眠い

金田一:二度寝するなよ
金田一:お前のシューズ買うのがメインなんだから、俺だけじゃ意味ないだろ

国見:はいはい今行く

金田一:店の中にいるからな



金田一:寝るなよ

国見:分かってるって





【雪ん子ズ】

ひなひな:コージー!今どこ?

いずいず:いくらなんでも遅いよ

こじこじ:悪い寝坊した!今バスの中!

かげかげ:関向が寝坊すんの珍しいな
かげかげ:疲れてんのか?だいじょぶか?

こじこじ:

こじこじ:日付変わるまでゲームやってましたサーセン

ひなひな:おいこら

いずいず:そんなことだろうと思ったけどね!

ひなひな:コージーが!
ひなひな:新しいジャージ欲しいって言ったんだろ!

いずいず:翔ちゃんがおこ

かげかげ:俺もおこ
かげかげ:俺の心配返せ

いずいず:影山もおこ
いずいず:俺もおこ



いずいず:激おこだからね

かげかげ:泉の目がマジだから早く来たほうがいい

こじこじ:サーセン!




こじこじ:今バス降りた!

ひなひな:店にいるからなー

こじこじ:了解っす





【金田一・国見ライン】

国見:バス降りたからもうすぐ着く
国見:あ

金田一:おー、ってどうした?

国見:すごい勢いで走っていくやつがいてびっくりしただけ

金田一:お前も走れとまでは言わねぇけど急げよ
金田一:1時間遅刻だぞ

国見:それなりに急いでるつもり

金田一:それなりかよ





「コージー!」

「おせぇぞ!」

「1時間遅刻!」

「ごめん!」

バスを降りたあと、待ち合わせのスポーツショップまで走ってきた関向は、友人達の怒りの声に出迎えられた。自分から誘っておいて大遅刻したのだから当たり前だ。

「先にちょっと見て回ってたからな」

そう言う影山の手には袋がぶら下がっている。どうやら、すでに自分が欲しい物は買ったようだ。

「ほんとに悪い」

「次はないからな!」

話しながらも4人は歩き出した。





「お前ほんとに急いだのかよ…」

涼しい顔でやってきた友人に、金田一は思わず頭を抱えそうになる。

「それなりに急いだって」

「お前なぁ…」

と、

「コージー!」

「おせぇぞ!」

「1時間遅刻!」

「ごめん!」

聞こえてきた声に、2人は思わず振り向いた。

「今、」

「影山の声、したよな?」

「「………」」

2人は顔を見合わせた後、そろりと歩き出す。声が聞こえた辺りを覗き込んでみたが、

「いないな…」

「気の、せいか?」

そこには誰もいなかった。





当初の目的だった関向のジャージを含め、それぞれ買い物を済ませた日向達は店を出た。時計を見ると、12時を過ぎている。

「昼食べてく?」

「食ってこうぜ」

影山が指差した先にはファミレスがあった。4人はそちらに向かってのんびりと歩き出す。

「腹減ったー」

「思ってたより遅くなったね」

「店入るのが遅かったからなー」

「サーセン」

まだ怒っているというより、関向で遊んでいる泉と日向は、面白そうに笑っている。それを呆れながら見た影山は、視界の端に知った顔が見えた気がして、瞳を瞬かせた。

「影山?」

立ち止まった影山に気付いた日向が、こちらに歩いてくる。

「なんでもない」

気のせいだと結論付けた影山は、さっさと歩き出した。





──気のせいだと結論付けたはずだった。

「気のせいじゃなかったのかよ」

「何か言ったー?」

「なんでもねぇー」

ラインに上げられた画像を見て、影山は思わず呟いた。台所から飛んできた母の声に返事をしてから、その写真をまじまじと見つめる。

写真には、何やら顔をしかめている日向と、日向を見て笑っている泉が写っている。

これは、全員が食べ終わったあと、ドリンクバーの飲み物を混ぜるという定番の悪ふざけをした時のものだ。じゃんけんで負けた日向が、残りの3人が好きな物を混ぜてなんとも言えない色になった液体を飲み干すはめになっていた。ちなみに発案者は日向なので、まったく同情できない。

その写真の奥、窓ガラスの向こうに、金田一と国見が写っていた。

(まあ、気付かなかったもんはしょうがないよな)

とは言え、今さらどうにかなるわけもなく。呑気にそう考えた影山だった。





その頃。

「…えええええ!?」

「うるさい!」

バレー部2年のグループラインを見ていた金田一は、チームメイトの一人の発言に思わず叫んで階下の母親に怒鳴られた。

「ごめん!」

母親にそう返し、改めてその発言を見る。

"○○駅の近くで影山を見たんだけど"

何度見ても、そこには今日行った場所が書いてあった。

「もっとよく探せばよかった…」

こうして、影山の連絡先を知るチャンスを逃した金田一達だった。
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