想いと距離
潤林安にある広場で冬獅郎と二人、彼にコツなどを教わりながら若桜もやってみたりと。
しばらく楽しんだ後でそろそろ戻ろうと促され。家に戻っていた途中、若桜が菓子を売ってる店に行こうと提案すると冬獅郎が首を傾げる。
「構わねえけど、何か欲しいものでもあるのか?」
そこで若桜が甘納豆だと笑顔で答え。冬獅郎が反応すれば雛森かと眉を寄せた。
「俺が唯一食べられるもんだって、聞いたんだろ?まあ、元々ばあちゃんの好物でもあるから、買って帰るか」
「ふふ、そうこなくてはな!」
そして冬獅郎に案内されるまま、瀞霊廷とまではいかないが店が立ち並ぶ区画へ向かい。普段からよく買っているらしい菓子店に入ると、店主が迎える。
「いらっしゃい!おや、久し振りだねえ」
しかも冬獅郎の姿を見ても敬遠するわけでもなく。立派になったと微笑む主を見れば、祖母から聞いた話の時よりもいくらか良くなっているらしい。
更に横に並んだ若桜を見るなり、こりゃまた美人さんだと褒めちぎり。
「おばあちゃんも安心してるんじゃないのかい?ついに嫁さんが来たって!羨ましいねえ!」
『……………』
ここでもその話題になるのかと、二人して視線を交わすと苦笑した。
「それより、甘納豆を買いに来たんだが」
「おっと、すまないねぇ。ひとつで良かったかい?」
そこで口を開いた冬獅郎が、違うと伝えるかと思っていたが。
すぐに本題に入ると、驚いた若桜が思わず見つめる。
しかし本人は店主と話をしているため、訂正しなかった意図が分からず。
(いや、ここで私が違うと答えていたかもしれないのに。それをしなかったのは、きっと………)
彼も同じ気持ちだったのではないか────。
そこまで考えたが、すぐに否定。
(自惚れにもほどがある。今はまだ友人 のような延長で、冬獅郎さんから想いを告げられたわけでもない)
それこそ若桜自身が、彼へと向かう感情が『恋』なのだと、ようやく自覚し始めたばかりだから。
「はいよ!お待たせ。おばあちゃんにも宜しく伝えてくれ!」
そんな事を目まぐるしく考えていれば、店主の声で我に返り。
「手間をかけた。帰ったら伝えておく」
どうやら甘納豆を二つ買ったのか、手提げ袋に入ったそれを受け取った冬獅郎が振り返ると、行こうかと促してくる。
「まいどあり!今度来る時は、子供の顔でも拝みてえもんだ!」
しかもどこまでちゃっかりしているのか。楽しみにしてると豪快に笑う店主に、若桜は頬を染めつつ軽く頭を下げるしかなく。
そこにきて冬獅郎がすぐに近付くと、まるで守ろうとするかのように若桜の背に優しく手を添え。
「それは約束できないが。彼女も俺と同じ死神だから、今は二人の時間を大切にしようと思ってる」
尤もらしい言葉を返せば、店主も何故か納得。
それ以上追及されることもなく、二人して外に出ると店から離れた。
「………悪かったな」
そうしてすれ違う人が減った所で、冬獅郎が謝ってくると若桜が軽く瞬き。
「違うと言ってくれても良かったのに。俺が何も言わなかったから合わせてくれたんだろ?」
やはりそう考える方が正しく。若桜に気を遣わせたと思っている彼は、済まなそうに目を伏せる。
それも冬獅郎が他人を気遣える優しさを持ち合わせているからで。
「けど………俺は『違う』と答えるのが面倒だから、言わなかったわけじゃねえ」
「っ!」
ふと立ち止まった彼が、真っ直ぐに見つめてくる。
「俺は俺の意志で、否定しなかった。この姿になって、やっとそういう風に 見られるようになったからな。────この意味、分かるか?」
それでいてちゃんと伝えようと。鼓動が少しずつ速くなるのを感じながら遂に若桜が頷けば、冬獅郎の瞳に熱が宿り。
「それはお前も俺と同じ気持ちなんだと………そう思っていいのか?」
丁寧に確認してくると、若桜も真っ直ぐに見つめ返して頷いた。
「………冬獅郎さん、あの────」
だが若桜に芽生えた気持ちはまだ幼く。彼の気持ちに上手く応えられるのか不安で。
それを伝えようとすると、冬獅郎の手がポンと頭の上に乗って驚く。
「今はそれが分かっただけで十分だ。だから無理してまで応える必要もねえし、不安に思うこともねえ。それでお前を嫌いになるとか、ぜってえねえからな」
「……っ!」
同時に思っていたことさえ分かっていたのか。彼から伝わる想いに、若桜の胸が温かくも締め付けられた。
「有り難う、冬獅郎さん……。こんな未熟な私のために、言葉や行動で示してくれるなんて。そんなあなたの優しさを、受け取る資格が私にあるといいのだが……」
しかし冬獅郎はフッと笑みを浮かべ。資格とか関係ねえと簡単に一蹴。
「言っただろ?お前だけが『特別』だって。俺は若桜以外の奴に、そう簡単には優しくしねえ。若桜だから、どんな時でも大切にしてえ。ずっと傍にいて、守ってやりてえって……そう思ってる」
そして常に誠実であるからこそ、伝えてくれる。
(そんなあなただからこそ、惹かれて………恋に落ちたんだな)
そう思った瞬間。彼への『想い』がまたひとつ大きく、強いものへと変わり。
鼓動が高鳴り、頬が熱を帯びると得も言われず恥ずかしくて。
冬獅郎の視線から逃れるように目を伏せると、彼はすぐに気付いたのかクスリと笑う。
「そんな反応も俺からすると可愛いだけなんだが。かと言って、間違っても俺以外の奴にそんな顔、見せるんじゃねえぞ?」
そこに甘い雰囲気も加わり、ますます恥ずかしくなると落ち着かず。
それでも逃がしてくれないのか、冬獅郎が顎に指を添えて上向かせてくると目が合ってしまう。
「返事を聞かせてくれねえのか?」
「!!」
しかもここまでくれば観念するしかなくて。
「───わ、分かった………けど。私のどこが可愛いのか………それに、そんな顔とは………っ」
彼の手が触れた部分も熱を持ち。何がどうなってるのか、半ば混乱すると冬獅郎がニヤリと笑い。
「教えねえ。教えると逆に恥ずかしがって、俺に見せなくなるだろ?」
「────」
見事に思考まで見抜かれていたのか。
ここまでひとりの男性に心を揺さぶられたことさえ初めてだから。
(それでも、あなたと居るこの時間が………何よりも大切で、愛しい………)
急速に変化し、また大きくなっていく彼への想いを強く感じると、ひたと冬獅郎を見つめ。
「どんな表情でも、あなたになら見せられる────と言ったら?」
二人の視線が絡まりあった次の瞬間。
「上等だ。余すことなく全て、俺だけに見せてくれ」
極上の笑みを浮かべた冬獅郎が言った。
─────。
店での出来事の後。
二人の距離がより一段と近付き。家に帰り着いた時に祖母が孫と若桜を迎えると、すぐに纏う雰囲気に気付いて微笑む。
「さあ、二人とも。昼餉が丁度できたから座ってておくれ。それと買ってきてくれた甘納豆はおやつにしようね」
それでいて彼女は何も言わず、冬獅郎に促されるまま移動する若桜を見つめるとただ嬉しくて。
どこからどう見ても結ばれるべく出逢った二人だから、末永く手を取り合って生きてくれれば更に願ったり叶ったりだ。
だから一肌でも二肌でも脱ぎたくなるわけで。孫である冬獅郎は勿論、若桜も一緒に幸せになって欲しいと。
つい鼻歌を歌いながら白米を装い、お盆の上に乗せて居間へ運ぶと若桜が手伝ってくれる。
そうして副菜から全て机の上に並ぶと、三人の声が揃い。出来立ての料理に舌鼓を打つと会話にも花が咲く。
それからペロリと平らげた若桜と冬獅郎が、片付けを請け負うと二人して台所に並び。これもまた微笑ましくも未来の姿を想像すれば、祖母は終始嬉しそうに眺めていた。
そんな二人の仲睦まじい姿だけでなく、若桜は祖母にもよく話し掛け。冬獅郎の小さい頃の話に真剣に耳を傾けては、質問したりと理解を深める。
しかしその横には勿論本人である冬獅郎も居て、さすがに恥ずかしいからやめてくれと頼んでいたが、祖母は上機嫌で。
「この子は西瓜も好きでねえ。夏がくると食べたいとよくせがまれていたもんさ」
「ふふっ、夏と言えば西瓜ですから。私も幼馴染が二人いるのですが、三人で縁側に座って仲良く食べていました」
「そうかいそうかい。それなら、今年は冬獅郎と一緒に食べにおいで。美味しい西瓜を用意するから」
ちゃっかり約束を取り付けようとしている祖母に、冬獅郎があからさま過ぎると眉を寄せたが、若桜は純粋故に気付かない。
「いいのですか!?ここ何年か食べてなかったので………嬉しいです!」
「勿論だよ。冬獅郎もあなたが一緒なら尚のこと喜ぶだろうから。そうだろう?冬獅郎」
そこで話を振られ、軽く咳払いをした冬獅郎が若桜を見つめると頷き。
「その時は声を掛けるが、都合が良かったらでいい。無理はするなよ?」
「分かった!いつ声を掛けられてもいいようにしておくから」
しかも何よりも先に自分との約束を優先すると言った事実に、半ば驚くと祖母は満面の笑みで。
「冬獅郎や、『川の字』なんて言っても、ばあちゃんは聞かないよ」
「───!!」
そんな宣言と駄目押しまで食らった冬獅郎は、やはり祖母には頭が上がらないと思うのだった。
了
しばらく楽しんだ後でそろそろ戻ろうと促され。家に戻っていた途中、若桜が菓子を売ってる店に行こうと提案すると冬獅郎が首を傾げる。
「構わねえけど、何か欲しいものでもあるのか?」
そこで若桜が甘納豆だと笑顔で答え。冬獅郎が反応すれば雛森かと眉を寄せた。
「俺が唯一食べられるもんだって、聞いたんだろ?まあ、元々ばあちゃんの好物でもあるから、買って帰るか」
「ふふ、そうこなくてはな!」
そして冬獅郎に案内されるまま、瀞霊廷とまではいかないが店が立ち並ぶ区画へ向かい。普段からよく買っているらしい菓子店に入ると、店主が迎える。
「いらっしゃい!おや、久し振りだねえ」
しかも冬獅郎の姿を見ても敬遠するわけでもなく。立派になったと微笑む主を見れば、祖母から聞いた話の時よりもいくらか良くなっているらしい。
更に横に並んだ若桜を見るなり、こりゃまた美人さんだと褒めちぎり。
「おばあちゃんも安心してるんじゃないのかい?ついに嫁さんが来たって!羨ましいねえ!」
『……………』
ここでもその話題になるのかと、二人して視線を交わすと苦笑した。
「それより、甘納豆を買いに来たんだが」
「おっと、すまないねぇ。ひとつで良かったかい?」
そこで口を開いた冬獅郎が、違うと伝えるかと思っていたが。
すぐに本題に入ると、驚いた若桜が思わず見つめる。
しかし本人は店主と話をしているため、訂正しなかった意図が分からず。
(いや、ここで私が違うと答えていたかもしれないのに。それをしなかったのは、きっと………)
彼も同じ気持ちだったのではないか────。
そこまで考えたが、すぐに否定。
(自惚れにもほどがある。今はまだ
それこそ若桜自身が、彼へと向かう感情が『恋』なのだと、ようやく自覚し始めたばかりだから。
「はいよ!お待たせ。おばあちゃんにも宜しく伝えてくれ!」
そんな事を目まぐるしく考えていれば、店主の声で我に返り。
「手間をかけた。帰ったら伝えておく」
どうやら甘納豆を二つ買ったのか、手提げ袋に入ったそれを受け取った冬獅郎が振り返ると、行こうかと促してくる。
「まいどあり!今度来る時は、子供の顔でも拝みてえもんだ!」
しかもどこまでちゃっかりしているのか。楽しみにしてると豪快に笑う店主に、若桜は頬を染めつつ軽く頭を下げるしかなく。
そこにきて冬獅郎がすぐに近付くと、まるで守ろうとするかのように若桜の背に優しく手を添え。
「それは約束できないが。彼女も俺と同じ死神だから、今は二人の時間を大切にしようと思ってる」
尤もらしい言葉を返せば、店主も何故か納得。
それ以上追及されることもなく、二人して外に出ると店から離れた。
「………悪かったな」
そうしてすれ違う人が減った所で、冬獅郎が謝ってくると若桜が軽く瞬き。
「違うと言ってくれても良かったのに。俺が何も言わなかったから合わせてくれたんだろ?」
やはりそう考える方が正しく。若桜に気を遣わせたと思っている彼は、済まなそうに目を伏せる。
それも冬獅郎が他人を気遣える優しさを持ち合わせているからで。
「けど………俺は『違う』と答えるのが面倒だから、言わなかったわけじゃねえ」
「っ!」
ふと立ち止まった彼が、真っ直ぐに見つめてくる。
「俺は俺の意志で、否定しなかった。この姿になって、やっと
それでいてちゃんと伝えようと。鼓動が少しずつ速くなるのを感じながら遂に若桜が頷けば、冬獅郎の瞳に熱が宿り。
「それはお前も俺と同じ気持ちなんだと………そう思っていいのか?」
丁寧に確認してくると、若桜も真っ直ぐに見つめ返して頷いた。
「………冬獅郎さん、あの────」
だが若桜に芽生えた気持ちはまだ幼く。彼の気持ちに上手く応えられるのか不安で。
それを伝えようとすると、冬獅郎の手がポンと頭の上に乗って驚く。
「今はそれが分かっただけで十分だ。だから無理してまで応える必要もねえし、不安に思うこともねえ。それでお前を嫌いになるとか、ぜってえねえからな」
「……っ!」
同時に思っていたことさえ分かっていたのか。彼から伝わる想いに、若桜の胸が温かくも締め付けられた。
「有り難う、冬獅郎さん……。こんな未熟な私のために、言葉や行動で示してくれるなんて。そんなあなたの優しさを、受け取る資格が私にあるといいのだが……」
しかし冬獅郎はフッと笑みを浮かべ。資格とか関係ねえと簡単に一蹴。
「言っただろ?お前だけが『特別』だって。俺は若桜以外の奴に、そう簡単には優しくしねえ。若桜だから、どんな時でも大切にしてえ。ずっと傍にいて、守ってやりてえって……そう思ってる」
そして常に誠実であるからこそ、伝えてくれる。
(そんなあなただからこそ、惹かれて………恋に落ちたんだな)
そう思った瞬間。彼への『想い』がまたひとつ大きく、強いものへと変わり。
鼓動が高鳴り、頬が熱を帯びると得も言われず恥ずかしくて。
冬獅郎の視線から逃れるように目を伏せると、彼はすぐに気付いたのかクスリと笑う。
「そんな反応も俺からすると可愛いだけなんだが。かと言って、間違っても俺以外の奴にそんな顔、見せるんじゃねえぞ?」
そこに甘い雰囲気も加わり、ますます恥ずかしくなると落ち着かず。
それでも逃がしてくれないのか、冬獅郎が顎に指を添えて上向かせてくると目が合ってしまう。
「返事を聞かせてくれねえのか?」
「!!」
しかもここまでくれば観念するしかなくて。
「───わ、分かった………けど。私のどこが可愛いのか………それに、そんな顔とは………っ」
彼の手が触れた部分も熱を持ち。何がどうなってるのか、半ば混乱すると冬獅郎がニヤリと笑い。
「教えねえ。教えると逆に恥ずかしがって、俺に見せなくなるだろ?」
「────」
見事に思考まで見抜かれていたのか。
ここまでひとりの男性に心を揺さぶられたことさえ初めてだから。
(それでも、あなたと居るこの時間が………何よりも大切で、愛しい………)
急速に変化し、また大きくなっていく彼への想いを強く感じると、ひたと冬獅郎を見つめ。
「どんな表情でも、あなたになら見せられる────と言ったら?」
二人の視線が絡まりあった次の瞬間。
「上等だ。余すことなく全て、俺だけに見せてくれ」
極上の笑みを浮かべた冬獅郎が言った。
─────。
店での出来事の後。
二人の距離がより一段と近付き。家に帰り着いた時に祖母が孫と若桜を迎えると、すぐに纏う雰囲気に気付いて微笑む。
「さあ、二人とも。昼餉が丁度できたから座ってておくれ。それと買ってきてくれた甘納豆はおやつにしようね」
それでいて彼女は何も言わず、冬獅郎に促されるまま移動する若桜を見つめるとただ嬉しくて。
どこからどう見ても結ばれるべく出逢った二人だから、末永く手を取り合って生きてくれれば更に願ったり叶ったりだ。
だから一肌でも二肌でも脱ぎたくなるわけで。孫である冬獅郎は勿論、若桜も一緒に幸せになって欲しいと。
つい鼻歌を歌いながら白米を装い、お盆の上に乗せて居間へ運ぶと若桜が手伝ってくれる。
そうして副菜から全て机の上に並ぶと、三人の声が揃い。出来立ての料理に舌鼓を打つと会話にも花が咲く。
それからペロリと平らげた若桜と冬獅郎が、片付けを請け負うと二人して台所に並び。これもまた微笑ましくも未来の姿を想像すれば、祖母は終始嬉しそうに眺めていた。
そんな二人の仲睦まじい姿だけでなく、若桜は祖母にもよく話し掛け。冬獅郎の小さい頃の話に真剣に耳を傾けては、質問したりと理解を深める。
しかしその横には勿論本人である冬獅郎も居て、さすがに恥ずかしいからやめてくれと頼んでいたが、祖母は上機嫌で。
「この子は西瓜も好きでねえ。夏がくると食べたいとよくせがまれていたもんさ」
「ふふっ、夏と言えば西瓜ですから。私も幼馴染が二人いるのですが、三人で縁側に座って仲良く食べていました」
「そうかいそうかい。それなら、今年は冬獅郎と一緒に食べにおいで。美味しい西瓜を用意するから」
ちゃっかり約束を取り付けようとしている祖母に、冬獅郎があからさま過ぎると眉を寄せたが、若桜は純粋故に気付かない。
「いいのですか!?ここ何年か食べてなかったので………嬉しいです!」
「勿論だよ。冬獅郎もあなたが一緒なら尚のこと喜ぶだろうから。そうだろう?冬獅郎」
そこで話を振られ、軽く咳払いをした冬獅郎が若桜を見つめると頷き。
「その時は声を掛けるが、都合が良かったらでいい。無理はするなよ?」
「分かった!いつ声を掛けられてもいいようにしておくから」
しかも何よりも先に自分との約束を優先すると言った事実に、半ば驚くと祖母は満面の笑みで。
「冬獅郎や、『川の字』なんて言っても、ばあちゃんは聞かないよ」
「───!!」
そんな宣言と駄目押しまで食らった冬獅郎は、やはり祖母には頭が上がらないと思うのだった。
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