「よーし！記事を書き上げるわよ！！……まずは撮った写真の現像だけど……って、アレ？ジンがちゃんと写ってる写真が少ない……？」
ドロボウの都から支社に戻って、現像屋に頼んだ写真を確認して、殆ど綺麗に写っているのにもかかわらず、何故かジンだけピンぼけした写真達を見て絶望する。
「うそ……。これじゃあ、ジンに関しての記事が書けないじゃない！」
頭を抱えて、自分自身に憤りを感じる。
「うぅ……。折角、現地取材したって言うのに……。仕方ない。編集長がどう言うかわからないけれど、連載記事にしていいか聞かなきゃ……」
本来王ドロボウに関しての掲載は、単発のものだったけれど、肝心のお人が写っていないと、単発そのものが載ることはないのだ。
それが、私が所属している記事搭載する為のルールであった。
とりあえずは。と思い、記事を書き上げるためにパソコンを起動する。

「『王ドロボウは、お宝を手に……空へと飛びだす。彼らの次のお宝（ターゲット）は、知る由もない……』……と。出来た！」
カタカタと打ち続けた文章に終わりと書き込んで、情報をプリンターに送った後、バネの着いた椅子にもたれ掛かった。
「あとは出来るだけ、ジンが写ってて見栄えのいい写真を数枚付けたら終わり！」
直ぐに姿勢を正し、ジンが極力写っているものをピックアップして、試行錯誤しながら紙に貼り付けていく。
それから印字した原稿をおかしい文面にならないように切り取って、それも写真の隣に貼り付ける。
そうして、掲載ページ分が出来上がった。
「よし、明日編集長に見せて、連載していいか交渉しなくちゃね！」
一通りの作業が終わりを向かえ、アルマティーニは伸びをした。
そして、デスクに原稿を置き、明日に備えるべく、帰宅した。

ーー翌日、編集長と交渉したアルマティーニは、連載記事をゲットしたのだった。

＊ ＊ ＊

「お！おい見ろよ、ジン！記事が載ってるぜ！！」
次の場所へ向かう道中、キールは棄てられていた雑誌を手に取って、とあるページを開いたまま相棒を呼ぶ。
「んー？なんの？」
「なんのって……。ほら、ドロボウの都であったアルマティーニの！」
興味無さそうに生返事をするジンに少し呆れながら、とあるページを指差す。
「あぁ、おねーさんの。見せて」
「ホイよ」
「……彼らの次のお宝（ターゲット）は知る由もない。か……ってこれ、連載するんだ？」
キールから受け取った雑誌の自分たちに着いて書かれた記事に目を通し、目を丸くしながら"次回へつづく"の文字を見た。
「お、ほんとだ。……という事は？」
「またカメラを向けられるのかな？」
「それは彼女の本質……というか職業だから仕方ねーんだろうけどな」
顔を見合わせ、ジンとキールは小さく笑い合う。
「じゃあ、今度はちゃんと撮られて上げますかー。最高の笑顔付きで」
「載ってる写真全部きちんと写ってねーしな」
「まあね。あと、次の場所も教えてあげないとだなぁ」
「泣いて喜ぶ顔が目に浮かぶぜ……」
「じゃ。行きますか」
ジンは雑誌を畳んで、元あった場所に戻し、次の場所ーーブルーハワイに向かった。


そして、アルマティーニ宛に次 の場所を示した予告状が届くのであったーー。