第一章「ドロボウの都編」
空欄の場合、名前は”アルマティーニ”になります
ジン「君のこと知りたいな」年齢:20代 性別:女
職業:カメラマン兼新聞記者
「星さえも盗む王ドロボウ」を取材するべく追い求め続ける新聞記者。
カメラを愛し、カメラさえあれば十分と考えている。
「世界を映すのにカメラはあって、その撮影者である私は、世界を表す現像者になる」がモットー。
”王ドロボウを探し、取材していく中で彼女の景色は変化していく――”
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何分かたった頃。アルマティーニは繁栄している市場へと来ていた。
「お……おい、聞いたかよ……ここドロボウの都に王ドロボウってやつが来るらしいぜ!?」
「王ドロボウ!!? ……って、なんだそりゃ?」
「おまえ、王ドロボウも知らねぇのかよ! 王ドロボウというのはなぁ……」
一角のレストランらしき場所に三人の泥棒たちが、賞金首の表示がされている紙を見せびらかせて、興奮気味に会話をしていた。
それをアルマティーニはもう知っている情報だと思い、キョロキョロと周りを見渡し、ドラゴン・パウを探してほかの場所に移動する。
アルマティーニが立ち去ったところとは逆の方向から、キールを肩に乗せ、絹のカバンを肩にかけたジンが入れ違いでやってきた。
「ここがドロボウの都ねぇ……。いかにも頭が悪そうな奴らばっかりだな」
「おつむが、だろ? キール」
周囲を見渡したキールは率直な感想を言い、ジンは口角をあげて馬鹿にした。
「しかし……此処にはむさくるしい男ばっか……女が居るとこに行こうぜジン」
「あ、居た」
「え……!? どこどこ……ってジィィィィン」
ぼやいたキールにジンは救いの手を出したかと思えば、そこに居たのは腰の曲ったおばあさんだった。
「しわがれたばあさんじゃねぇか!」
「女とワインは歳をとる程うまいって言うぜ? キール」
「オレは熟成したぶどうより新鮮なぶどうの方が好きでね」
「おっと……」
一人の男がジンの方にすれ違うようにぶつかってきた。 その数秒後、ほかの男がジンたちに話し掛けてきた。
「よぉ、坊主。おこづかいぜぇんぶ、持って行かれちまったぜ??」
「この……どろb「まちなさい! どろぼー!!」
「新鮮なぶどうの香り!!」
キールの声を遮るようにアルマティーニの声が市場に届く。するとその声に反応してまわりにいた泥棒たちが一斉に振り向いてきた。
それを気にしないかのようにアルマティーニは自分のとジンの物を盗んだドロボウを追いかける。
そして、ジンの目の前を通り過ぎる前にジンはアルマティーニに声をかけた。
「ここにいる奴は、みぃんな泥棒だぜ?」
「え……?」
アルマティーニはジンの声に気が付いて立ち止まり、振り向いた。
「まあ、お二人さん諦めな。手の届かない所に行っちまったぜ?」
「そんなぁ……」
アルマティーニは落胆して追うのを諦めた。そんな中、ジンとキールは各々と口にする。
「一度ならず二度までも盗みを働くとは、どれほど自信があったのか……」
「その自信が自身の失敗につながるとは思わないのは、ただの自己満足の強行だってのに」
そしてもう一度、男はにやにやとジンとアルマティーニを交互に見ていた。
「追うのは諦めな。もう手も足もとどかない場所に行きやがった」
「そうはいかない。でも、足は出なくても、手なら届くさ、……こいつでね!!」
しかし、ジンはそういって剣を袖からだし、二ヤッと笑った。
そして横にふるったジンの腕から伸びた剣が、拳をあげているコニャックの堂々とした像の足にクリティカルヒットし、足に大きな亀裂と石膏のクズを出して、大きな巨体が倒れながら地震を発生させていた。
ジンとアルマティーニから盗みを働いた泥棒の身体が、丁度の位置にきた拳に押しつぶされると、男は短く悲鳴をあげた。
「さっ、いこう!」
「えっ!?」
「え、あっ! おいこらジン! 女の子のエスコートは俺が!!」
近くにいた男が口をアングリさせて驚いている中、ジンはアルマティーニの手首を取って走り出した。
アルマティーニは驚きながら手首を捕まれているその手に連れられて足が動き出した。
キールは手にとって走り出したジンとアルマティーニを羽を広げて追いかけた。
ジンが倒したコニャック像の拳に挟まれていた男はそこから精一杯出ようとしていたとき、二つほど男の頭上に陰りを落とす。
「お……俺は何も盗んじゃいねぇぞ!!」
二つの陰の主を睨みながら男は吠えるが、ジンは腰に手を当てて、キールとアルマティーニをみて首を傾げるように問いかけた。
「嘘つきにはどうするんだっけ?」
「えーと、バラバラ?」
「バラ、バラ……?」
ジンとキールは見下すように男の顔を伺うように笑い、アルマティーニは頭上には”クエスチョンマーク”を浮かべながら、キールが言った言葉を呟いた。
「ま……待ってくれぇ!!」
「…………はい、待った!」
三人の言葉に顔を青くさせ、男はあわてる。しかし、数秒待ったあとジンは素早く服を剣で切り裂いた。
「……っ! ……っ!!」
切り裂いた拍子にジンから盗んでいったであろう宝石が幾らか散らばり、アルマティーニのカメラもガンッ!ガリガリッとイヤな音を立てて地面に転がった。
「わ……私のカメラァァァ!!」
「あ、預かっていました……えへ、えへっ……」
「宝石は幾らでもやるけど、こいつだけはダメなんだ」
アルマティーニは目に涙を浮かべてカメラを追いかけ、ジンは剣でチェーンがついている宝石を拾い上げた。
「ご……ごめんなさぁぁぁい!!」
そして盗みを働いた男は一目散に逃げていった。
「さてとあの子は、とあぁ、いたいた。盗られたものを取り戻せたみたいだけど、あれはもうダメかもなぁ。……さあ、行こうかキール」
「あ! おい、いいのかよ! 声かけなくて!」
そしてカメラを追いかけて手に持って慌てているアルマティーニを見つけると他人事のように呟き、様子を窺うこともなくキールに号令する。
「うん。なんか、また会いそうな感じがするから。そんなことより、”お宝”がどこにあるのか探さないと」
「ま、まてよ!!」
ジンは小さく口角を上げて笑い、お宝の情報を手に入れるためにその場を立ち去るように移動し、キールは歩き出したジンを追いかけながらもアルマティーニを気にかけていた。
「あぁぁ……、レンズには傷が入ってないからよかったけど、本体に傷が付いちゃったなぁ……。ってあれ? さっきの人は……」
カメラを様々な角度から確認し、至る所に傷を見つけたアルマティーニは肩を落とした。そして先ほどカメラを取り返して(物理)くれたジンをキョロキョロと探すが、どこかへ行ってしまったため案の定、姿が見当たらなかった。
「お礼、言いたかったのに……。まあ、いいか。また、会うよね?」
アルマティーニは確信のない言葉を呟くと立ち上がり、目的地のあてもないまま歩き出した。
「あ! ここって!!」
何分か歩いた後、アルマティーニはお婆さんに教えて貰っていたドラゴン・パウにたどり着いた。
「よし! 情報収集よー!!」
張り切って、暖簾をくぐり、ゆったりとした音楽と、酒とたばこ、そして食べ物の臭いが入り交じったドラゴン・パウへと足を踏み入れた。
その後、ジンとキールに再会し、彼女のカメラはさっきよりも大惨事になるとは知らない……。