窮鼠と子猫は、仲が悪い《シリーズ》
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「えっ、まって」
「はい?」
行くって、
「ここ、どこ?」
「??ホテルですけど??」
目的地じゃなかったの?!?!
「え、いや、見たらわかるけど、え、目的地は?」
「はぐれてる間に用事は済ませましたよ。」
は?
はぁ?!?!
えっ?ってことはもしかして私の本日の努力は、私がはぐれている間にミッションクリアになってたからほぼ無意味だったってこと?!
1日歩かされて、人混みにもみくちゃにされて、変なのに絡まれて、えーーーーーーっ????
「…まじ無理…」
「もう時間的に帰りの便がないので、今日は泊まりですよ?」
「ソーデスカ、、、ハーイ、、、」
なんかもう、うん、疲れたなぁ…
完全にスイッチが切れてしまって、パリストンがなんか話しかけてきてたけど適当に返す。
「はい、行きますよ??」
背中を押され、されるがままに歩みを進める。
今日結局私仕事したっけ…
とほほ、なんてうなだれながら部屋に入ると、
目に飛び込んできたのはふかふかなベット。
「わぁ、ダブルベット。」
「僕ちゃんと確認しましたよ?」
「聞いてなかった…まぁいいよ、私ソファで寝るから。」
私が適当に相槌を打ったのが悪い。
「私ならソファでも十分寝られるサイズだし。」
てっきり、じゃぁお構いなく〜とかにこやかに返ってくるかと思いきや、
へーんな顔してこっちをみてた。
機嫌が悪そうな、何か言いたそうな、
すごい人間らしい顔。
あ、いやまぁ人外だなんて思ってないけど、例えだよ例え。
「…シャワーは私が先ね。」
いっつもキラキラニコニコ眩しいから、
そうじゃないパリストンなんて調子が狂う。
さっきからずーっとそうだ。
変な空気が私とパリストンの間に流れる。
あーもー気持ち悪いなぁ…
そんな変な空気まて流したくて、シャワーを頭から浴びる。
じんわりと体が温まる感覚と、
あ、そうか、今夜は同じ部屋に泊まるのか、あのパリストンと。なんて今更なことを考える。
真っ白なバスタオルで水気を取って、
ふと顔を上げると、細かな傷や、痣。
筋肉こそついてるが華奢な体格。
肩につくかつかないかくらいの不揃いな毛先。
「…ないだろ。」
仲良くもないし。
いや、男の人って別にそういうの関係ないのかな??
まぁもしそうなった時は、
「…逃げればいっか。」
倒せなくても逃げるくらいならできるでしょ。
だって私ハンターだもん。
脱衣所から出て行くと、パリストンはソファーに座って、書類とにらめっこしてた。
「シャワーどうぞ〜」
「はい、、、」
隣に座ると、さっきまで書類を見つめていた瞳が私を捉えた。
「え、あ、見えたらまずいやつ?」
私は残念ながら頭は良くない。
だから、パリストンが難しい顔して見てる書類の内容なんて、見たところでちんぷんかんぷんなのだが、
もしかしたら最重要機密的なあれなのかもしれない。
パリストンならそれくらいありえてしまう。
本来なら、それくらいの差が私たちにはある。
「いえ、そういうわけではないのですが…」
ほらまたその顔。
機嫌が悪そうな、
何か言いたそうな、
「シアさんって、」
「ん?」
「意外と僕のこと嫌いじゃないですよね。」
きょとん。って
音がつきそうな顔をしてる多分。
僕のこと嫌いじゃないですよね?
頭の中でリフレインする。
「まぁ、」
ぼんやりとした結論しか出ないけれど、
「仲は悪いけど、嫌いじゃないよ。」
そういえばこの人に、
嫌いだという感情を抱いたことはないな。
「ははっ、趣味悪いですね〜」
あ、またキラキラ。
「えっ、自分から言っておいてそれなの?!嘘じゃん!!!」
キラキラキラキラ。
自分で燃えて、燃え尽きるまで輝くお星様。
あーあ、もう、眩しいなぁ。
「ちょっと!!!話聞いてんの?!?!」
「じゃぁ僕シャワー浴びてきますね〜」
イライラしすぎてうっかり出た握りこぶしはさらりと避けられ逃げられた。
やっぱり弱くないじゃん!!!!