このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

向日葵畑の向こう

「日本号は来なかったよ。」
「そのようだな。」
「寂しい?」
「馬鹿を言うな。」


俺は今日も依頼札を持って待っていた。主の想いが籠った依頼札だ。主は誰が来ても嬉しいと言うが、最近ではずっと明石国行を待っていた。そして、日本号も。明石国行に関しては完全に主の趣味だが、日本号は違った。


『長谷部が待ってる。』


それだけ言って、俺に依頼札を渡した。
俺たちは付喪神で、一応男として顕現するがそもそも性別なんてない。主の趣味のびーえるというもので、男同士のそういったものがあることは知っている。まぐわいの描写もあるようなものは流石に短刀たちには見せられないが、主の部屋の書物は豊富にある。


『長谷部が待ってる。』


たった一言だった。明石国行の時は散々騒いだ主だが、日本号に関してはたった一言、そう言った。


「向日葵は背が高いなぁ。」


長谷部の部屋からも見える向日葵畑。今日も短刀たちが遊んでいる。五虎退の虎たちが穴を掘り、そこで山姥切国広が躓きまた布が汚れた。ははっと笑うと、いつの間にか隣に来ていた長谷部が、「あいつも図体がでかくてな、背丈は向日葵ほどはあるだろう」と言った。


「やっぱ寂しいんじゃない?」
「それはない。」


きっぱり言い切ってまた帳簿をつける。もうなにを言っても聞かないだろう。


「主が帰ってきたら宴会だろうから、誰か呼びに寄越すよ。」


去り際に「・・・酒も好きだったな」と呟く長谷部の声が耳に入り、早く呼ばなきゃと決心した。
8/14ページ
スキ