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向日葵畑の向こう

「いまつるちゃんは向日葵畑とかってどう思う?」
「ひまわりばたけですか!」


小さな短刀は目をキラキラさせながら、私の言う向日葵畑の計画を聞いていた。すると、他の短刀たちも集まり、それぞれ向日葵畑に思いを馳せているようだった。


「いいんじゃないかな?向日葵の種はいいおやつにもなるし。」
「酒のつまみにもいいわよ~!」


どこで聞きつけたのか、光忠と次郎も加わり、あっという間に我が本丸は向日葵畑の話でもちきりだ。


「向日葵畑か・・・うちの本丸は少々殺風景だと思っていたが、風流でいいかもしれない。」
「・・・別にどうでもいい。」
「君はもう少し他に関心を持った方がいいよ。」
「風流だとか、そういうことはわからない。」


とある本丸では仲違いしていた二振りも、我が本丸では平和だ。
そう、我が本丸は基本的に平和なのだ。


「汚れるのとか嫌なんだけどなぁ。」
「でも向日葵畑は綺麗だと思うよ。」
「パパっと交換してくれればいいのに。」
「はいはい。ほら、あとは真桑瓜が四つだから我慢我慢!」


次郎が指揮する部隊が遠征から帰ってきた。次郎と乱がまだピチピチと活きのいい太刀魚を抱えてくるのが見えて、長谷部の小言を言う姿が目に浮かんだ。
薬研たちは向日葵の花を根っこごと採って来たらしい。太郎の背より少し低い花だった。


「こりゃ俺たちも長谷部にどやされるな!」


そう言って快活に笑う薬研は、その小さな体からは想像し難いが非常に男らしい。初めて出会った時にはもっと儚げなのかと思っていたが、私を『大将』と呼び、まだ全振りは揃っていないが弟たちをよく見ている。長兄である一期一振は最近はめっきり隠居しているが、部隊に編成されていない男士たちと馬当番をしている姿を見るようになった。


「もうすこしで、ひまわりばたけできますか?」


最初に我が本丸の初鍛刀の今剣に相談してよかった。こんなに楽しみにしてくれるなんて、現在の主である私はチョロいからすぐに喜ぶ。


「うん、もう少しだよ。」


相棒の岩融の顕現がまだで、他所の子より少しばかり大人でいなくてはならなくなってしまった。それを申し訳なく思っていたが、今では物静かな巴と遊んでいる。


「うちの本丸は平和だなぁ。」


先刻まで畑当番をしていたうちの初期刀が、「まったく、主ってば」と、大きな溜息を吐いた。
そうだ、私といえばただひたすらにモンスターボールを投げていただけで、向日葵畑を作るのための仕事なんてしていないのであった。


結局、二匹目のテテフは交換でゲットした。
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