猫は極彩色の夢を見るか
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小生の半歩前を歩くこの男、名前は飴村乱数という。彼の言動行動は少々不可解なこともあるが、まぁ、同じチームを組む仲なので敢えて言及はしていない。
「あっ、あのお店この前オネーサンと行ったけど、パンケーキがふわっふわで美味しかったー!」
街を歩けば『オネーサン』と出かけたという店が会話の中にわんさか出てくる。それにいちいちつっこむのは小生ではなく、同じくチームを組む有栖川帝統の役目だ。「どこのオネーサンだよ」だとか「その日何人目だよ」だとか、帝統は少々語彙力が乏しいので、大体そんなものだ。
今日は街の外れを三人で歩いており、時折乱数の飴がカラカラと鳴る。
「あ、」
「?」
ある場所で乱数が立ち止まる。また『オネーサン』を見つけたのか、それにしてはいつもより静かだ。
「どうした?」
「え?あぁ、うん、」
珍しく歯切れが悪い乱数の視線の先には、イケブクロディビジョンの二番手、山田二郎がいた。場所は歯科医院か。虫歯の治療だろうか?それにしても乱数の様子がいつもと違う。いつもなら「じろーくんじゃーん!」などと突っ込んでいく様子も見られるというのに。
「行かねーの?」
「・・・うん。」
「めっずらし。」
なにかあるのかとあちらの様子を窺うと、山田二郎は背の低い女性と話していた。黒髪を後ろで束ね、優しく笑う女性だった。
(これは益々珍しい。)
乱数が山田二郎に絡まないのも、そこにいる女性に絡まないのも。きっと尋ねても教えてもらえないだろうが、ここで小生が不用意に尋ね、以前のような様子を見せられても困る。
「つか、あいつなんか女といるな?」
「歯科助手のオネーサンだよ。」
「お前、女絡みのことならなんでも知ってるのな。」
帝統はいい意味で空気が読めないことがあるが、今日はナイスなタイミングの空気の読めなさだ。だが、『知り合いのオネーサン』というならば、何故今日は話しかけないのか。乱数は帝統よりも狙って空気を読まないタイプなので、山田二郎の邪魔をして話しかけに行っても何ら不思議ではない。
「うん、知ってる。」
それだけ言うと、元来た道を振り返り「やっぱあっち行こ!」とスキップを始めた。
(あの歯科助手になにかあるのか?)
「・・・余計な詮索はするなよ。」
あぁ、小生はまた間違えてしまった。乱数は何分の一かのタイミングでこうして違う顔を見せる。彼女の存在は乱数にとってなんらかの地雷なのだろう。
「はて、なんのことでありんすか?」
「んー?なにがー?」
また普段の顔に戻り、小生の五歩ほど前で帝統とふざけあっている。深入りは禁物。乱数と彼女の間になにがあるのか、気にならないわけではないが、探るのは得策ではなさそうだ。
20190327
「あっ、あのお店この前オネーサンと行ったけど、パンケーキがふわっふわで美味しかったー!」
街を歩けば『オネーサン』と出かけたという店が会話の中にわんさか出てくる。それにいちいちつっこむのは小生ではなく、同じくチームを組む有栖川帝統の役目だ。「どこのオネーサンだよ」だとか「その日何人目だよ」だとか、帝統は少々語彙力が乏しいので、大体そんなものだ。
今日は街の外れを三人で歩いており、時折乱数の飴がカラカラと鳴る。
「あ、」
「?」
ある場所で乱数が立ち止まる。また『オネーサン』を見つけたのか、それにしてはいつもより静かだ。
「どうした?」
「え?あぁ、うん、」
珍しく歯切れが悪い乱数の視線の先には、イケブクロディビジョンの二番手、山田二郎がいた。場所は歯科医院か。虫歯の治療だろうか?それにしても乱数の様子がいつもと違う。いつもなら「じろーくんじゃーん!」などと突っ込んでいく様子も見られるというのに。
「行かねーの?」
「・・・うん。」
「めっずらし。」
なにかあるのかとあちらの様子を窺うと、山田二郎は背の低い女性と話していた。黒髪を後ろで束ね、優しく笑う女性だった。
(これは益々珍しい。)
乱数が山田二郎に絡まないのも、そこにいる女性に絡まないのも。きっと尋ねても教えてもらえないだろうが、ここで小生が不用意に尋ね、以前のような様子を見せられても困る。
「つか、あいつなんか女といるな?」
「歯科助手のオネーサンだよ。」
「お前、女絡みのことならなんでも知ってるのな。」
帝統はいい意味で空気が読めないことがあるが、今日はナイスなタイミングの空気の読めなさだ。だが、『知り合いのオネーサン』というならば、何故今日は話しかけないのか。乱数は帝統よりも狙って空気を読まないタイプなので、山田二郎の邪魔をして話しかけに行っても何ら不思議ではない。
「うん、知ってる。」
それだけ言うと、元来た道を振り返り「やっぱあっち行こ!」とスキップを始めた。
(あの歯科助手になにかあるのか?)
「・・・余計な詮索はするなよ。」
あぁ、小生はまた間違えてしまった。乱数は何分の一かのタイミングでこうして違う顔を見せる。彼女の存在は乱数にとってなんらかの地雷なのだろう。
「はて、なんのことでありんすか?」
「んー?なにがー?」
また普段の顔に戻り、小生の五歩ほど前で帝統とふざけあっている。深入りは禁物。乱数と彼女の間になにがあるのか、気にならないわけではないが、探るのは得策ではなさそうだ。
20190327
3/4ページ