花粉症には茉莉茶
「なんか嫌な予感がするなぁ。」
「風邪の予感かね?漢方薬がまだあったはずだね。」
「うーん。」
風邪の悪寒とは違う、どことなく温かい寒気だ。(矛盾してるが)
すると、ちりんと鈴の音が鳴る。「おや」と恋人が反応し、「席を外した方がいいだろうか」と立ち上がった瞬間に花弁が舞う。
(あぁ、寒気はこれか。)
私はあまり他人には言えないが、審神者という役職に就いている。他の本丸と違い、特になにもしていないが一応政府の預かりだ。
「ご無沙汰だね。」
「あぁ、有栖川殿。貴殿にも意見をもらいたかった。」
「ワタシかね?」
「あるじさま!かふんしょうはだいじょうぶですか?」
「燭台切さんも花粉症なんだよ!」
「みっちゃんが?」
「『へくちっ』ってくしゃみして、長谷部さんが気が抜けるって言ってた。」
「そうなんです!」
恋人は「おや、賑やかだね。お茶を淹れようか?」とケトルに手を伸ばす。私が花粉症だと知って、毎日ジャスミンティーを淹れてくれるのだ。
「お菓子もあるよ。」
「ありすがわどのはやさしいですね!」
「あるじさんの恋人さんだもんね!」
「そう褒められると照れるね。で、ワタシの意見とは?」
大所帯に慣れた恋人は、幼げな短刀たちの相手をしつつもしっかり歌仙の話も聞いている。気の利く人なのだ。
「本丸に花粉症の者が出たということで、主が有栖川殿に淹れてもらっているという茶について訊きたくてね。」
「ちょうどいい。今淹れよう。これがジャスミンティーだよ、花粉症に効くとワタシも聞いてね。」
お茶といえば歌仙なので、二振りは歌仙に全てを任せるつもりらしい。「いい香りだね」なんて言いながら、のんびりお菓子を食べつつ飲んでいる。
「ふむ。少し鼻が通るような香りだ。」
「鼻の通りをよくするなら、ミントなどもあるよ。あぁ、薄荷だね。」
「薄荷か。」
「なに?みっちゃんそんなに酷いの?」
聞けば、薬研がジャスミンティーは身体を温める効果があるから身体にいいのだといい、本丸でハーブを栽培してもいいかという相談に来たらしい。
「いいよ、いいよ。小豆くんのお菓子にも合うだろうしね。」
「そうか、長谷部にもそう伝えておくよ。」
「ところで、」
「?」
「歌仙、引率?」
「まぁ、そんなところだね。僕としては山姥切国広の布を今日こそは洗いたかったのだが。」
そんなこんなで楽しいティータイムを過ごし、歌仙が夕餉の仕込みがあるからと帰り支度を始めたので、MANKAI寮からの差し入れのお菓子をお土産に持たせて見送った。
「また近いうちに来るよ。」
「はいはい、気をつけてね。」
「いつでもお待ちしているよ。」
来た時と同じように鈴が鳴る。大きく手を振る短刀二振りと、優雅にお辞儀をする歌仙。
「風邪ではなかったようだね。」
「うん。今日もありがとう。」
「なに、最高の客人たちだったよ。」
博識な恋人の話は短刀たちにはとても新鮮だったらしく、暫く本丸で話題になっていたと歌仙から通信が来たほどだ。
20190316
「風邪の予感かね?漢方薬がまだあったはずだね。」
「うーん。」
風邪の悪寒とは違う、どことなく温かい寒気だ。(矛盾してるが)
すると、ちりんと鈴の音が鳴る。「おや」と恋人が反応し、「席を外した方がいいだろうか」と立ち上がった瞬間に花弁が舞う。
(あぁ、寒気はこれか。)
私はあまり他人には言えないが、審神者という役職に就いている。他の本丸と違い、特になにもしていないが一応政府の預かりだ。
「ご無沙汰だね。」
「あぁ、有栖川殿。貴殿にも意見をもらいたかった。」
「ワタシかね?」
「あるじさま!かふんしょうはだいじょうぶですか?」
「燭台切さんも花粉症なんだよ!」
「みっちゃんが?」
「『へくちっ』ってくしゃみして、長谷部さんが気が抜けるって言ってた。」
「そうなんです!」
恋人は「おや、賑やかだね。お茶を淹れようか?」とケトルに手を伸ばす。私が花粉症だと知って、毎日ジャスミンティーを淹れてくれるのだ。
「お菓子もあるよ。」
「ありすがわどのはやさしいですね!」
「あるじさんの恋人さんだもんね!」
「そう褒められると照れるね。で、ワタシの意見とは?」
大所帯に慣れた恋人は、幼げな短刀たちの相手をしつつもしっかり歌仙の話も聞いている。気の利く人なのだ。
「本丸に花粉症の者が出たということで、主が有栖川殿に淹れてもらっているという茶について訊きたくてね。」
「ちょうどいい。今淹れよう。これがジャスミンティーだよ、花粉症に効くとワタシも聞いてね。」
お茶といえば歌仙なので、二振りは歌仙に全てを任せるつもりらしい。「いい香りだね」なんて言いながら、のんびりお菓子を食べつつ飲んでいる。
「ふむ。少し鼻が通るような香りだ。」
「鼻の通りをよくするなら、ミントなどもあるよ。あぁ、薄荷だね。」
「薄荷か。」
「なに?みっちゃんそんなに酷いの?」
聞けば、薬研がジャスミンティーは身体を温める効果があるから身体にいいのだといい、本丸でハーブを栽培してもいいかという相談に来たらしい。
「いいよ、いいよ。小豆くんのお菓子にも合うだろうしね。」
「そうか、長谷部にもそう伝えておくよ。」
「ところで、」
「?」
「歌仙、引率?」
「まぁ、そんなところだね。僕としては山姥切国広の布を今日こそは洗いたかったのだが。」
そんなこんなで楽しいティータイムを過ごし、歌仙が夕餉の仕込みがあるからと帰り支度を始めたので、MANKAI寮からの差し入れのお菓子をお土産に持たせて見送った。
「また近いうちに来るよ。」
「はいはい、気をつけてね。」
「いつでもお待ちしているよ。」
来た時と同じように鈴が鳴る。大きく手を振る短刀二振りと、優雅にお辞儀をする歌仙。
「風邪ではなかったようだね。」
「うん。今日もありがとう。」
「なに、最高の客人たちだったよ。」
博識な恋人の話は短刀たちにはとても新鮮だったらしく、暫く本丸で話題になっていたと歌仙から通信が来たほどだ。
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