MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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「んーっ!」
隣で愛しい恋人が伸びをする。今日は実にお花見日和だ。
最近の恋人は体調が悪く、先週などは泣きながら「胃カメラ頑張ったらお花見行きたい」と私に訴え、私は当日の体調がよかったらと条件をつけた。胃も良性のポリープが見つかっただけで異常はなく、恋人は今日に向けて体調を合わせてきた。
この地域での花見の主役は芝桜らしい。山の上の公園では祭りが開催されている。彼女は地元民だけが持つ無料券を財布から出し、受付に提出した。
「はい、ポストカード。」
「綺麗なポストカードだね。」
芝桜の写真が印刷されたポストカードだ。毎年受付で配布しているのだと彼女は言う。
「先に芝桜見に行こ!」
純白のワンピースの裾をひらひらと揺らし、私の手を引いて進んでいく。ワンピースは以前私がプレゼントしたものだ。
芝桜は綺麗に色分けされ、ハートなどの形に並んでいる。スマートフォン片手に写真を撮る彼女を、こっそり撮った。暫くはこの写真を待受にしよう。
他にも、チューリップやネモフィラなどが咲いている。こちらに向かう途中、枝垂れ桜もまだ咲いていた。
「誉は撮れた?」
「あぁ、撮れたよ。」
彼女を通した花を。
指を絡めて祭りの会場に向かうと、彼女の顔がパッと明るくなる。どうやらアルバイト中の友人を見つけたらしい。
「忙しそうだから一周してから話しかける。」
「そうだね。」
蕎麦やうどん、鮎の塩焼きにジビエ料理などの店が並ぶ。祭りとは言うが、要は物産展なのだと彼女は言った。
「ハットグは食べたいなぁ。」
「チーズのアメリカンドッグだね。」
「うん。今年初出店じゃないかな。」
ビールは友人のところで買うと宣言し、ハットグと広島風お好み焼きを買った。私は彼女の友人のところで歴史ある稲荷寿司のパックを買い、彼女は友人とお喋りに花を咲かせている。
「缶ビールはどこの店にもあるけど、プラス一〇〇円で生ビールってのもあるし、向かいの店なら地酒のウイスキーのハイボール買えるよ。」
「私、ウイスキー飲んだことないんだよね。」
「そこの店にしかないからオススメ。」
「じゃあ行ってくる。」
買ったものを任され、彼女の友人のもとで待っていると、「綴喜、我儘言えてますか?」と訊かれる。
「お姉さんキャラでここまで来ちゃったし、実際面倒見いいから学校でもそれなりの役職つけられたりしちゃって。」
「そうだねぇ・・・我儘を言うように仕向けてはいるよ。」
「有栖川さんですよね?話聞いてます。」
「ほう?」
「自由が好きなくせに束縛されたがる子なので、見ててあげてくださいね。」
「勿論だとも。」
そんな会話をしていると恋人が片手にハイボールの入ったカップを持って帰ってきた。私は稲荷寿司と一緒にお茶を買ったので、友人に挨拶をして席を探すと、ジビエ料理の店の前が空いていた。
「ちょっと固くなっちゃったなぁ。」
ハットグを齧ると、冷めてチーズが固まってしまったらしい。
「誉も一口!」
「ありがとう、いただくよ。」
口元にハットグの串が寄せられる。確かに固まってしまっていた。
「ハイボールはどうだい?」
「美味しい、かな。」
「あまり好きではないかね?」
「嫌いでもないけど、進んでは飲まないかな。飲み放題のメニューにあれば飲むとか。」
彼女は日本酒派だった。
「ねぇ、苺のジェラート食べたい!」
「言っていたね。買いに行こうか。」
「うん!」
すぐ隣に設置してあったゴミ箱にゴミを捨て、ジェラートを出している店へ向かう。採れたての苺もあったので、内緒でこっそり買っておいた。彼女は『まるごといちご』、私は『まるごとブルーベリー』のジェラートだ。砂糖を使わず、苺やブルーベリーだけの甘さらしい。
「さて、深雪さん。」
「なぁに?」
「ほら、ごらん。」
「!苺!」
「赤くて可愛らしかったからね。お食べ。」
「いただきまーす!」
小粒の苺はとても甘かった。苺はヘタの方から食べるのが正しい食べ方だ。彼女はそれを知っていた。
「美味しい!」
「うむ。実に瑞々しいね。」
祭り会場を出る前に友人に挨拶をし、会場を後にした。向かう時に通った枝垂れ桜の咲く道を通ると、風が吹き花弁が舞う。ひらひらと彼女の髪にそれは絡み、「じっとしていなさい」と言うと素直にじっと待つ彼女が健気で可愛らしく思えて、彼女の耳元に口を寄せて何度も「可愛いね」と言葉を吹き込んだ。
「はずかしっ、」
「本当のことだよ?」
「そう思ってるのは誉だけだよ!」
ぱたぱたと赤くなった顔を扇ぐ彼女は、やはり可愛らしいのだ。
20190430
隣で愛しい恋人が伸びをする。今日は実にお花見日和だ。
最近の恋人は体調が悪く、先週などは泣きながら「胃カメラ頑張ったらお花見行きたい」と私に訴え、私は当日の体調がよかったらと条件をつけた。胃も良性のポリープが見つかっただけで異常はなく、恋人は今日に向けて体調を合わせてきた。
この地域での花見の主役は芝桜らしい。山の上の公園では祭りが開催されている。彼女は地元民だけが持つ無料券を財布から出し、受付に提出した。
「はい、ポストカード。」
「綺麗なポストカードだね。」
芝桜の写真が印刷されたポストカードだ。毎年受付で配布しているのだと彼女は言う。
「先に芝桜見に行こ!」
純白のワンピースの裾をひらひらと揺らし、私の手を引いて進んでいく。ワンピースは以前私がプレゼントしたものだ。
芝桜は綺麗に色分けされ、ハートなどの形に並んでいる。スマートフォン片手に写真を撮る彼女を、こっそり撮った。暫くはこの写真を待受にしよう。
他にも、チューリップやネモフィラなどが咲いている。こちらに向かう途中、枝垂れ桜もまだ咲いていた。
「誉は撮れた?」
「あぁ、撮れたよ。」
彼女を通した花を。
指を絡めて祭りの会場に向かうと、彼女の顔がパッと明るくなる。どうやらアルバイト中の友人を見つけたらしい。
「忙しそうだから一周してから話しかける。」
「そうだね。」
蕎麦やうどん、鮎の塩焼きにジビエ料理などの店が並ぶ。祭りとは言うが、要は物産展なのだと彼女は言った。
「ハットグは食べたいなぁ。」
「チーズのアメリカンドッグだね。」
「うん。今年初出店じゃないかな。」
ビールは友人のところで買うと宣言し、ハットグと広島風お好み焼きを買った。私は彼女の友人のところで歴史ある稲荷寿司のパックを買い、彼女は友人とお喋りに花を咲かせている。
「缶ビールはどこの店にもあるけど、プラス一〇〇円で生ビールってのもあるし、向かいの店なら地酒のウイスキーのハイボール買えるよ。」
「私、ウイスキー飲んだことないんだよね。」
「そこの店にしかないからオススメ。」
「じゃあ行ってくる。」
買ったものを任され、彼女の友人のもとで待っていると、「綴喜、我儘言えてますか?」と訊かれる。
「お姉さんキャラでここまで来ちゃったし、実際面倒見いいから学校でもそれなりの役職つけられたりしちゃって。」
「そうだねぇ・・・我儘を言うように仕向けてはいるよ。」
「有栖川さんですよね?話聞いてます。」
「ほう?」
「自由が好きなくせに束縛されたがる子なので、見ててあげてくださいね。」
「勿論だとも。」
そんな会話をしていると恋人が片手にハイボールの入ったカップを持って帰ってきた。私は稲荷寿司と一緒にお茶を買ったので、友人に挨拶をして席を探すと、ジビエ料理の店の前が空いていた。
「ちょっと固くなっちゃったなぁ。」
ハットグを齧ると、冷めてチーズが固まってしまったらしい。
「誉も一口!」
「ありがとう、いただくよ。」
口元にハットグの串が寄せられる。確かに固まってしまっていた。
「ハイボールはどうだい?」
「美味しい、かな。」
「あまり好きではないかね?」
「嫌いでもないけど、進んでは飲まないかな。飲み放題のメニューにあれば飲むとか。」
彼女は日本酒派だった。
「ねぇ、苺のジェラート食べたい!」
「言っていたね。買いに行こうか。」
「うん!」
すぐ隣に設置してあったゴミ箱にゴミを捨て、ジェラートを出している店へ向かう。採れたての苺もあったので、内緒でこっそり買っておいた。彼女は『まるごといちご』、私は『まるごとブルーベリー』のジェラートだ。砂糖を使わず、苺やブルーベリーだけの甘さらしい。
「さて、深雪さん。」
「なぁに?」
「ほら、ごらん。」
「!苺!」
「赤くて可愛らしかったからね。お食べ。」
「いただきまーす!」
小粒の苺はとても甘かった。苺はヘタの方から食べるのが正しい食べ方だ。彼女はそれを知っていた。
「美味しい!」
「うむ。実に瑞々しいね。」
祭り会場を出る前に友人に挨拶をし、会場を後にした。向かう時に通った枝垂れ桜の咲く道を通ると、風が吹き花弁が舞う。ひらひらと彼女の髪にそれは絡み、「じっとしていなさい」と言うと素直にじっと待つ彼女が健気で可愛らしく思えて、彼女の耳元に口を寄せて何度も「可愛いね」と言葉を吹き込んだ。
「はずかしっ、」
「本当のことだよ?」
「そう思ってるのは誉だけだよ!」
ぱたぱたと赤くなった顔を扇ぐ彼女は、やはり可愛らしいのだ。
20190430
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