MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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雨の予報で花粉症の恋人は喜んでいたが、どうにも降らない。隣でぷんすかとしている恋人の頬が膨らんでいて、私としては可愛らしくて好ましいのだが。
心理学的可愛さとは、丸くて小さくて柔らかいものを言うのだそうだが、彼女はそのどれにも該当していた。私よりも三〇センチも低い身長だとか、丸みを帯びた体つきだとか、その肌も柔らかくてつい甘く歯を立ててしまう。
「今日も晴れた。」
「洗濯日和だね。」
「外に干したくない。」
「では今日は中に干してしまおうか。」
陽がたっぷりと入る窓際でそんな会話をする。
「誉は私が我儘言っても怒らないね。」
「キミの我儘は我儘ではないからね。」
「変なの。」
クスクスと、やっと笑ってくれたことに安堵する。春の日差しを浴びた彼女の笑顔はキラキラとしていて、私の宝物の一つだ。他にも彼女の表情一つ一つが宝物で数えきれないほどなのだが、彼女は笑顔が一番素敵だと思う。
「深雪さん。」
「なぁに?」
「キミの頬は何故こんなにも柔らかくワタシを癒してくれるのだろうね?」
「喧嘩売ってる?」
「とんでもない。」
本当にそう思う。彼女の頬を撫でるだけで詩興が湧くことだってあるほどだ。これ以上触れられるのを嫌がってか、彼女は頬を隠す。その手ごと包んでしまえば、また笑ってくれた。
「じゃあ誉の目はなんでそんなに優しいんだろう?」
「おとぎ話のようだね。」
「じゃあ私は最終的に食べられちゃうわけだ?」
「食べてしまいたいくらい愛しているよ。」
「私も誉のこと愛してるよ。」
「キミの『愛してる』はなかなか貴重だね。」
「いつも思ってるけどね。」
春の柔らかく暖かな日差しをたっぷりと浴びて、(日光は鬱にいいとは聞くが)と彼女を見遣る。彼女の持病は正確には鬱病ではないのだが、やはりこの窓際でこうしてお喋りに花を咲かせるのは彼女にとっていいことなのだろう。
「深雪さん。」
「なぁに?」
「来月はお花見だったかな?」
「そうね。来月は晴れてくれても構わないわ。」
「随分と上から物を言うね。」
彼女といると飽きない。土地柄か、毎月のように外出をしている。少し前には今年は梅を見に行けないなどと嘆いていたが、来月は桜だ。それもソメイヨシノでなく芝桜がメインなのだと言っていた。
「今年は綺麗に咲くかな?」
「楽しみだね。」
「えぇ、とても。」
幸せそうに笑ってくれるのは、私と共にお花見ができるからだと自惚れてもいいだろうか?だとしたら私もこんなに幸せなことはない。
「苺のジェラート食べないと。」
「そんなものまで売っているのかい?」
「砂糖とか一切使ってない、苺だけの甘さのジェラートよ。すごく美味しいの。」
「それは実に詩興が湧きそうだね。」
「人が沢山いるから、あんまり騒がないでね。」
「むぅ。子どもではないのだから騒いだりなんてしないよ。」
「ならいいけど。」
春の日差しのように柔らかく、聖母のように優しく微笑む横顔にそっと見惚れながら、「深雪さん」「誉」とお互いに名前を呼び合って、幸せな時間を過ごした。
20190317
心理学的可愛さとは、丸くて小さくて柔らかいものを言うのだそうだが、彼女はそのどれにも該当していた。私よりも三〇センチも低い身長だとか、丸みを帯びた体つきだとか、その肌も柔らかくてつい甘く歯を立ててしまう。
「今日も晴れた。」
「洗濯日和だね。」
「外に干したくない。」
「では今日は中に干してしまおうか。」
陽がたっぷりと入る窓際でそんな会話をする。
「誉は私が我儘言っても怒らないね。」
「キミの我儘は我儘ではないからね。」
「変なの。」
クスクスと、やっと笑ってくれたことに安堵する。春の日差しを浴びた彼女の笑顔はキラキラとしていて、私の宝物の一つだ。他にも彼女の表情一つ一つが宝物で数えきれないほどなのだが、彼女は笑顔が一番素敵だと思う。
「深雪さん。」
「なぁに?」
「キミの頬は何故こんなにも柔らかくワタシを癒してくれるのだろうね?」
「喧嘩売ってる?」
「とんでもない。」
本当にそう思う。彼女の頬を撫でるだけで詩興が湧くことだってあるほどだ。これ以上触れられるのを嫌がってか、彼女は頬を隠す。その手ごと包んでしまえば、また笑ってくれた。
「じゃあ誉の目はなんでそんなに優しいんだろう?」
「おとぎ話のようだね。」
「じゃあ私は最終的に食べられちゃうわけだ?」
「食べてしまいたいくらい愛しているよ。」
「私も誉のこと愛してるよ。」
「キミの『愛してる』はなかなか貴重だね。」
「いつも思ってるけどね。」
春の柔らかく暖かな日差しをたっぷりと浴びて、(日光は鬱にいいとは聞くが)と彼女を見遣る。彼女の持病は正確には鬱病ではないのだが、やはりこの窓際でこうしてお喋りに花を咲かせるのは彼女にとっていいことなのだろう。
「深雪さん。」
「なぁに?」
「来月はお花見だったかな?」
「そうね。来月は晴れてくれても構わないわ。」
「随分と上から物を言うね。」
彼女といると飽きない。土地柄か、毎月のように外出をしている。少し前には今年は梅を見に行けないなどと嘆いていたが、来月は桜だ。それもソメイヨシノでなく芝桜がメインなのだと言っていた。
「今年は綺麗に咲くかな?」
「楽しみだね。」
「えぇ、とても。」
幸せそうに笑ってくれるのは、私と共にお花見ができるからだと自惚れてもいいだろうか?だとしたら私もこんなに幸せなことはない。
「苺のジェラート食べないと。」
「そんなものまで売っているのかい?」
「砂糖とか一切使ってない、苺だけの甘さのジェラートよ。すごく美味しいの。」
「それは実に詩興が湧きそうだね。」
「人が沢山いるから、あんまり騒がないでね。」
「むぅ。子どもではないのだから騒いだりなんてしないよ。」
「ならいいけど。」
春の日差しのように柔らかく、聖母のように優しく微笑む横顔にそっと見惚れながら、「深雪さん」「誉」とお互いに名前を呼び合って、幸せな時間を過ごした。
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