MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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朝起きると、普段は私より遅く起きてくる恋人が既にキッチンにいてその目からボロボロと涙が溢れている様を見て酷く動揺した。
「ど、どうしたのかね?!なにか悲しいことでもあったのかい?」
「違、あの、これ、」
指された方を見ると、彼女を泣かせた物の正体がわかった。玉葱だ。
私は彼女の溢れて止まらない涙を拭ってやりながら、腕の中に閉じ込めた。
「吃驚したよ。」
「ごめん。」
「今日は早いね?」
「怖い夢見てそのまま起きちゃった。」
なにを作っていたのか訊けば、新玉葱のスープだそうだ。既にベーコンは切ってあった。
「玉葱はワタシが引き受けよう。」
「えっ、」
「大丈夫だよ、これくらいワタシには容易いことだ。」
彼女が見守る中、私は玉葱をスライスする。彼女の涙は見たくないから、こんなことは私に任せてほしい。
「キミはベーコンを炒めるといい。」
「うん、ありがとう。」
まだ涙の跡が痛々しい。少し腫れた目を擦りながら片手鍋にベーコンを入れていく。すぐにジュっと音がして、香ばしい匂いがしてくる。こちらも玉葱のスライスが終わったところだ。
「誉は泣かないんだね。」
「あまり量がなかったからね。」
ベーコンを炒めた片手鍋にスライスした玉葱も入れて、飴色になるまで炒める。その方が玉葱の甘さが出るのだと彼女に教わった。
「ねえ、誉。」
「なんだね?」
「今日はパンケーキ食べに行こ。」
「ふむ。」
「だめ?昨日もらった服着たい。」
昨日私が帰ると、彼女は泣いていた。その時も先程のように動揺して、ホワイトデーと半年記念のプレゼントを渡してしまったのだ。彼女には多すぎると言われたが、喜んでくれたようだった。
「だめなわけがないだろう?」
「ふふ。楽しみ。」
飴色になったところを見計らって水を入れ煮込む。顆粒のコンソメを入れて、コトコトと。隣に立つ彼女と自分の指を絡め、暫くそうしていたが、擽ったそうに笑う彼女があまりにも愛らしくて彼女の指を口元に寄せてキスをした。
「なんでキスしたの?」
「キミがあまりにも愛らしくてね。」
「変な人。」
そう言って笑うから、何度もキスをする。そのうち指だけでは足りなくなって、三〇センチ下の旋毛にもキスをした。ヘアオイルの甘い香りがする。彼女には甘い香りが似合うのだ。
その間にも鍋はコトコトと音を立てる。彼女はなにか言いたそうにこちらを見るが、気にせずに額にキスをして、腫れた目元にもキスをした。涙の味が少し塩辛い。
「誉、」
「なんだい?」
「こっちには?」
遂に耐えきれなくなった彼女は、自分の唇を指差しキスを強請ってきた。
(なんて愛らしいのだろう!)
つい詩興が湧きそうになるが、今そんなことをすればきっと彼女は拗ねてしまう。それは彼女の唇を塞いでからゆっくりすればいい。詩よりも優先すべきものができたのは私にとって誤算だった。
「まだ?」
「キミのおねだりは可愛らしいね。」
顎に指をかけて上げると、彼女はすっと目を閉じる。今日はずっとこうしてくっついていたい。そう思いながら彼女の待つ唇にキスをした。
20190311
「ど、どうしたのかね?!なにか悲しいことでもあったのかい?」
「違、あの、これ、」
指された方を見ると、彼女を泣かせた物の正体がわかった。玉葱だ。
私は彼女の溢れて止まらない涙を拭ってやりながら、腕の中に閉じ込めた。
「吃驚したよ。」
「ごめん。」
「今日は早いね?」
「怖い夢見てそのまま起きちゃった。」
なにを作っていたのか訊けば、新玉葱のスープだそうだ。既にベーコンは切ってあった。
「玉葱はワタシが引き受けよう。」
「えっ、」
「大丈夫だよ、これくらいワタシには容易いことだ。」
彼女が見守る中、私は玉葱をスライスする。彼女の涙は見たくないから、こんなことは私に任せてほしい。
「キミはベーコンを炒めるといい。」
「うん、ありがとう。」
まだ涙の跡が痛々しい。少し腫れた目を擦りながら片手鍋にベーコンを入れていく。すぐにジュっと音がして、香ばしい匂いがしてくる。こちらも玉葱のスライスが終わったところだ。
「誉は泣かないんだね。」
「あまり量がなかったからね。」
ベーコンを炒めた片手鍋にスライスした玉葱も入れて、飴色になるまで炒める。その方が玉葱の甘さが出るのだと彼女に教わった。
「ねえ、誉。」
「なんだね?」
「今日はパンケーキ食べに行こ。」
「ふむ。」
「だめ?昨日もらった服着たい。」
昨日私が帰ると、彼女は泣いていた。その時も先程のように動揺して、ホワイトデーと半年記念のプレゼントを渡してしまったのだ。彼女には多すぎると言われたが、喜んでくれたようだった。
「だめなわけがないだろう?」
「ふふ。楽しみ。」
飴色になったところを見計らって水を入れ煮込む。顆粒のコンソメを入れて、コトコトと。隣に立つ彼女と自分の指を絡め、暫くそうしていたが、擽ったそうに笑う彼女があまりにも愛らしくて彼女の指を口元に寄せてキスをした。
「なんでキスしたの?」
「キミがあまりにも愛らしくてね。」
「変な人。」
そう言って笑うから、何度もキスをする。そのうち指だけでは足りなくなって、三〇センチ下の旋毛にもキスをした。ヘアオイルの甘い香りがする。彼女には甘い香りが似合うのだ。
その間にも鍋はコトコトと音を立てる。彼女はなにか言いたそうにこちらを見るが、気にせずに額にキスをして、腫れた目元にもキスをした。涙の味が少し塩辛い。
「誉、」
「なんだい?」
「こっちには?」
遂に耐えきれなくなった彼女は、自分の唇を指差しキスを強請ってきた。
(なんて愛らしいのだろう!)
つい詩興が湧きそうになるが、今そんなことをすればきっと彼女は拗ねてしまう。それは彼女の唇を塞いでからゆっくりすればいい。詩よりも優先すべきものができたのは私にとって誤算だった。
「まだ?」
「キミのおねだりは可愛らしいね。」
顎に指をかけて上げると、彼女はすっと目を閉じる。今日はずっとこうしてくっついていたい。そう思いながら彼女の待つ唇にキスをした。
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