MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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「私もダンスはできないかも。」
「大丈夫ですよ!誉さんがリードしてくれますから!」
MANKAIカンパニーの寮の近くで監督さんと遭遇し、招かれるままに寮へお邪魔した。監督さんは以前、私の恋人のリードで踊ったことがあるらしい。恋人とは、一緒に歌うことはあっても踊ったことはない。
「・・・ちょっと妬いちゃう。」
「え・・・、」
「こんな可愛い子と踊るなんて、誉はズルい。」
「そ、そっちですか!?」
嘘。普通に監督さんが羨ましい。そんな大人気ないこと言わないけど。
「おや、深雪さんじゃないか。・・・なにかあったかい?」
「誉が監督さんと踊ったって聞いて、誉ズルいと思って。」
「・・・そうかね。」
「ごめんなさいね、監督さん。私、受けしかしたことないの。」
「う、受け?」
同性との交際経験はあるが、生憎どれも私は所謂受けだった。リードすることに慣れていない。
「深雪さん、今は密くんはバイトに出かけているようだ。部屋においで。」
「監督さんとお茶してるの。」
「そう言わずに、とっておきのジャスミンティーを淹れてあげるから。」
「ここじゃだめなの?」
「・・・正直に言おう。二人きりになりたいのだよ。」
ここまで言われてしまえば、私が拒否しても監督さんが気を遣う。他人に気を遣わせるのは私も本意ではない。それも、可愛くもなんともない嫉妬なんかで。監督さんはなにも知らなくていいのだ。
「じゃあ監督さん、誉が呼んでるから。」
「はい、また声をかけてくださいね!」
「うん、ありがとう。」
さて、私の愛しい人だが。彼は他人の気持ちが理解できないと言いながらも察しは悪くない方だ。彼のあとを追うと急に立ち止まり振り向いて、「なにをしているのだね?」と手を差し出してきた。その手を取るとそのまま腕を絡ませてきて、「可愛い人だね」と笑う。
(あ、バレたな。)
私が嫉妬してたこと。出会う前とはいえ、恋人が他の女性とダンスを踊ったことはやはり羨ましいのだ。
「お入り。」
「お邪魔しまーす。」
恋人の部屋に入るのは初めてではない。恋人は「少し待っていたまえ」と部屋を出ると、すぐにお茶のセットと品良く並べられたクッキーを手に帰ってきた。
「鼻の調子はどうかね?」
「昔と比べたら全然いいわ。」
私は幼い頃から重度の花粉症である。数年前に別件での血液検査を行う際、ついでにアレルギーの検査もしてもらった。結果は、スギ花粉、ヒノキ花粉、ハウスダストで引っかかった。幸い、食べ物で引っかかることはなかったので、好き嫌いを抜けばなんでも食べられる。
「さて。」
茶葉を蒸らす時間、恋人はじっと私の目を見る。やましい事のある私はつい逸らしてしまって、「わかりやすい人だ」と笑われるのだ。
「別になんとも思ってないし。」
「ワタシが監督くんと踊ったことに対してかね?」
「他になにがあるの。」
「いや、ワタシとしてはキミになにか思ってほしかったからね。」
「・・・嫌じゃない?」
「嫌、とは?」
「嫉妬深い恋人とか、嫌じゃない?そんな過去のことほじくり返してさ。」
「健気で愛らしいと思いはするが、嫌なことは一つもないよ。」
「そろそろかな」とティーカップにお茶を注ぐ。ジャスミンのいい香りが鼻を抜けた。
「臣くんが焼いたクッキーだ。焼きたてをもらってきたよ。」
「ありがとう。」
本当になんとも思っていないようにお茶を差し出され、それを受け取ると空いた手で頬を撫でられる。恋人は人差し指で私の頬に触れるのが好きだ。
「だが、同じ立場になって考えてみると複雑だね。」
「?」
「キミがワタシ以外の男性と、・・・いや、キミの場合は女性も有り得るが、そんな人物と恋仲でないにしろ踊ったことがあると思うと妬けてしまうよ。」
「・・・。」
嫉妬なんて私だけだと思っていた。そういえば先日も綴くんに嫉妬してキスを求めてきたっけ。実は恋人も嫉妬深いのだと思い知ったばかりだった。
「私、運動音痴よ。」
「物覚えはいいよ。」
「・・・体重だって監督さんより小さいのに監督さんよりあるよ。」
「いつも支えているだろう?」
恋人が私の手を引くのは、ただイチャついてるわけでなく、転びやすい私を支えるためでもあるのだ。いわば介護みたいなもの。
「・・・そういうパーティーってよくあるの?」
「キミもステップを覚えた方がこれから役立つかもしれないねぇ。」
噛み合っているような、噛み合っていないような、そんな会話だ。他人から見れば。だが私たちの間では通じあっているので問題はない。
「ボックスくらいなら踏めるよ。」
「おや、ならば話が早い。」
週末のティータイム、この部屋は一時だけのダンスフロアになった。
20190308
「大丈夫ですよ!誉さんがリードしてくれますから!」
MANKAIカンパニーの寮の近くで監督さんと遭遇し、招かれるままに寮へお邪魔した。監督さんは以前、私の恋人のリードで踊ったことがあるらしい。恋人とは、一緒に歌うことはあっても踊ったことはない。
「・・・ちょっと妬いちゃう。」
「え・・・、」
「こんな可愛い子と踊るなんて、誉はズルい。」
「そ、そっちですか!?」
嘘。普通に監督さんが羨ましい。そんな大人気ないこと言わないけど。
「おや、深雪さんじゃないか。・・・なにかあったかい?」
「誉が監督さんと踊ったって聞いて、誉ズルいと思って。」
「・・・そうかね。」
「ごめんなさいね、監督さん。私、受けしかしたことないの。」
「う、受け?」
同性との交際経験はあるが、生憎どれも私は所謂受けだった。リードすることに慣れていない。
「深雪さん、今は密くんはバイトに出かけているようだ。部屋においで。」
「監督さんとお茶してるの。」
「そう言わずに、とっておきのジャスミンティーを淹れてあげるから。」
「ここじゃだめなの?」
「・・・正直に言おう。二人きりになりたいのだよ。」
ここまで言われてしまえば、私が拒否しても監督さんが気を遣う。他人に気を遣わせるのは私も本意ではない。それも、可愛くもなんともない嫉妬なんかで。監督さんはなにも知らなくていいのだ。
「じゃあ監督さん、誉が呼んでるから。」
「はい、また声をかけてくださいね!」
「うん、ありがとう。」
さて、私の愛しい人だが。彼は他人の気持ちが理解できないと言いながらも察しは悪くない方だ。彼のあとを追うと急に立ち止まり振り向いて、「なにをしているのだね?」と手を差し出してきた。その手を取るとそのまま腕を絡ませてきて、「可愛い人だね」と笑う。
(あ、バレたな。)
私が嫉妬してたこと。出会う前とはいえ、恋人が他の女性とダンスを踊ったことはやはり羨ましいのだ。
「お入り。」
「お邪魔しまーす。」
恋人の部屋に入るのは初めてではない。恋人は「少し待っていたまえ」と部屋を出ると、すぐにお茶のセットと品良く並べられたクッキーを手に帰ってきた。
「鼻の調子はどうかね?」
「昔と比べたら全然いいわ。」
私は幼い頃から重度の花粉症である。数年前に別件での血液検査を行う際、ついでにアレルギーの検査もしてもらった。結果は、スギ花粉、ヒノキ花粉、ハウスダストで引っかかった。幸い、食べ物で引っかかることはなかったので、好き嫌いを抜けばなんでも食べられる。
「さて。」
茶葉を蒸らす時間、恋人はじっと私の目を見る。やましい事のある私はつい逸らしてしまって、「わかりやすい人だ」と笑われるのだ。
「別になんとも思ってないし。」
「ワタシが監督くんと踊ったことに対してかね?」
「他になにがあるの。」
「いや、ワタシとしてはキミになにか思ってほしかったからね。」
「・・・嫌じゃない?」
「嫌、とは?」
「嫉妬深い恋人とか、嫌じゃない?そんな過去のことほじくり返してさ。」
「健気で愛らしいと思いはするが、嫌なことは一つもないよ。」
「そろそろかな」とティーカップにお茶を注ぐ。ジャスミンのいい香りが鼻を抜けた。
「臣くんが焼いたクッキーだ。焼きたてをもらってきたよ。」
「ありがとう。」
本当になんとも思っていないようにお茶を差し出され、それを受け取ると空いた手で頬を撫でられる。恋人は人差し指で私の頬に触れるのが好きだ。
「だが、同じ立場になって考えてみると複雑だね。」
「?」
「キミがワタシ以外の男性と、・・・いや、キミの場合は女性も有り得るが、そんな人物と恋仲でないにしろ踊ったことがあると思うと妬けてしまうよ。」
「・・・。」
嫉妬なんて私だけだと思っていた。そういえば先日も綴くんに嫉妬してキスを求めてきたっけ。実は恋人も嫉妬深いのだと思い知ったばかりだった。
「私、運動音痴よ。」
「物覚えはいいよ。」
「・・・体重だって監督さんより小さいのに監督さんよりあるよ。」
「いつも支えているだろう?」
恋人が私の手を引くのは、ただイチャついてるわけでなく、転びやすい私を支えるためでもあるのだ。いわば介護みたいなもの。
「・・・そういうパーティーってよくあるの?」
「キミもステップを覚えた方がこれから役立つかもしれないねぇ。」
噛み合っているような、噛み合っていないような、そんな会話だ。他人から見れば。だが私たちの間では通じあっているので問題はない。
「ボックスくらいなら踏めるよ。」
「おや、ならば話が早い。」
週末のティータイム、この部屋は一時だけのダンスフロアになった。
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