MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。恋人の携帯電話が奏でる音色は、天才音楽家作曲のものだ。
「眠っているのかね?」
昨晩は少し無理をさせただろうか。神戸という離れた地で、恋人が恋しくなり一人部屋ということもあって夜中に電話をかけてしまった。
恋人は普段は少々低めの声をしているが、寝る前と寝起きの声はふんわりと甘い。これは私だけの特権だと、誰にも聞かせてやるつもりはないが自慢はしたくなるものだ。
昨晩の可愛らしい声を思い出して熱が集まりそうになるが、今は彼女をどう起こすかが大事だ。自分が無理をさせたのだから、思いっきり甘やかして起こしてやりたい。いや、一度は起きたのだろう。再び寝てしまわないように音楽をかけたのだろうが、子守唄になってしまったらしい。
ホテルを出る際に、ランニングに出ようとしていた丞くんと出くわした。東さんから連絡があって、神戸土産はどういったものが喜ばれるかを私に伝えるよう言われたらしい。幾つかの菓子と、絵葉書も喜ぶだろうとのことだった。流石東さんだ。私の恋人自身も言っていたが、少々東さんと私の恋人は似たところがある。絵葉書などは大事にフレームに入れて飾るような人だ。
乗り換えが少々厄介だが、早く彼女の顔を見たくてできるだけ早い移動手段を探して先程やっと帰ってこられた。彼女には昼頃になると伝えたが、まだ昼には早い。早々に土産をリビングのテーブルに置き、寝室に向かうと音楽を流して眠る彼女を見つけたというわけだ。
(モーツァルトはピンク、か。)
彼女と共に観た、少し古いテレビドラマのヒロインが言っていた。確かにかの天才音楽家の曲の殆どは明るく、キラキラとしているかもしれない。そういえば、モーツァルトの半生を描いた昔の映画のDVDもあとで一緒に観たいと言っていたな。今までの恋人たちはそういった芸術の類に興味がなかったのか、彼女の好きなミュージカル映画なども一緒に観たことがないのだと言っていた。
(理解されないことは少々寂しくはあるね。)
カンパニーでも丞くんなどは芸術を理解しない人ではあるが、完全に否定することまではしない。彼女はただくだらないと否定されて生きてきたのだろう。好きなものの話になると目がキラキラとしていて、纏うオーラもほんのりとしたピンクだ。
『誉と出逢えてよかった。』
はにかんだ笑顔でそう言う彼女が可愛らしく、勝手に体が動いて抱き締めてしまうのは許してほしい。
『誉が最後の人だったらいいのに。』
私の胸に顔を埋め、くぐもった声でそう言う。彼女は精神状態が安定しない日もあるので、たまにそうやって甘えてくるのだ。その後、一人で自己嫌悪に陥っているのを見ると堪らなくなってしまう。五つも年上の彼女を思いっきり甘やかしてやりたいと思ってしまう。年の差なんて些細なことなのだが、彼女は年上振ることがあるので自分が下に回り「お姉さん」と呼ぶと嬉しそうにする。それが可愛くてまた甘やかしてしまう無限ループだ。
(さて、どうしたものか。)
とりあえず寝間着は着ているようだ。先日の私の誕生日には華やかでクラシカルなボルドーのランジェリー姿を披露してくれたが、昨晩はしっかりとパジャマを着たらしい。彼女の好きなアニメのキャラクターの描かれたものだった。
顔にかかる長い前髪を避けてやると、起きる気配がした。
「んん・・・?」
「おはよう。」
「・・・おはよ。」
あぁ、今朝も甘い声だ。この声を聴きたくて皆よりも早くホテルを出たのだ。
「・・・なんじ?」
「十一時前だよ。」
「・・・おひるって、」
「キミに会いたくなってね。」
「・・・めんどくさいやつでかえってきたの?」
「・・・面倒ではなかったよ。」
なんと愛情深い女性なのだろうか。きっとわざわざ始発の時間を調べ、乗り換えや凡その帰宅時間を予測してそれまでに起きて出迎えてくれようとしていたに違いない。
「ねちゃった。」
「うむ、おはよう。」
「おはよう。・・・どこにも行かなかったよ。」
それは昨日、出発前にその日は他の男性の誕生日だと言っていたので私が大人気なく拗ねてしまったのを気にしての言動だろう。今更彼女が他所の男のもとへ行くとは思えないが、一晩一緒にいられないことを考えたら少しだけ不安になってしまったのだ。
「ワタシも大人気なかったね。」
「それが普通なんだよ。」
「おや、覚醒してしまったのかね?」
「?」
もう少し甘い声を聴いていたかったが、もう時間切れらしい。
『まぁ、あの人が一番喜ぶのはお前の土産話だろうと言っていたがな。』
とっておきの紅茶と菓子、そして昨日別れてから今日再会するまでの話の準備をしよう。
20190218
「眠っているのかね?」
昨晩は少し無理をさせただろうか。神戸という離れた地で、恋人が恋しくなり一人部屋ということもあって夜中に電話をかけてしまった。
恋人は普段は少々低めの声をしているが、寝る前と寝起きの声はふんわりと甘い。これは私だけの特権だと、誰にも聞かせてやるつもりはないが自慢はしたくなるものだ。
昨晩の可愛らしい声を思い出して熱が集まりそうになるが、今は彼女をどう起こすかが大事だ。自分が無理をさせたのだから、思いっきり甘やかして起こしてやりたい。いや、一度は起きたのだろう。再び寝てしまわないように音楽をかけたのだろうが、子守唄になってしまったらしい。
ホテルを出る際に、ランニングに出ようとしていた丞くんと出くわした。東さんから連絡があって、神戸土産はどういったものが喜ばれるかを私に伝えるよう言われたらしい。幾つかの菓子と、絵葉書も喜ぶだろうとのことだった。流石東さんだ。私の恋人自身も言っていたが、少々東さんと私の恋人は似たところがある。絵葉書などは大事にフレームに入れて飾るような人だ。
乗り換えが少々厄介だが、早く彼女の顔を見たくてできるだけ早い移動手段を探して先程やっと帰ってこられた。彼女には昼頃になると伝えたが、まだ昼には早い。早々に土産をリビングのテーブルに置き、寝室に向かうと音楽を流して眠る彼女を見つけたというわけだ。
(モーツァルトはピンク、か。)
彼女と共に観た、少し古いテレビドラマのヒロインが言っていた。確かにかの天才音楽家の曲の殆どは明るく、キラキラとしているかもしれない。そういえば、モーツァルトの半生を描いた昔の映画のDVDもあとで一緒に観たいと言っていたな。今までの恋人たちはそういった芸術の類に興味がなかったのか、彼女の好きなミュージカル映画なども一緒に観たことがないのだと言っていた。
(理解されないことは少々寂しくはあるね。)
カンパニーでも丞くんなどは芸術を理解しない人ではあるが、完全に否定することまではしない。彼女はただくだらないと否定されて生きてきたのだろう。好きなものの話になると目がキラキラとしていて、纏うオーラもほんのりとしたピンクだ。
『誉と出逢えてよかった。』
はにかんだ笑顔でそう言う彼女が可愛らしく、勝手に体が動いて抱き締めてしまうのは許してほしい。
『誉が最後の人だったらいいのに。』
私の胸に顔を埋め、くぐもった声でそう言う。彼女は精神状態が安定しない日もあるので、たまにそうやって甘えてくるのだ。その後、一人で自己嫌悪に陥っているのを見ると堪らなくなってしまう。五つも年上の彼女を思いっきり甘やかしてやりたいと思ってしまう。年の差なんて些細なことなのだが、彼女は年上振ることがあるので自分が下に回り「お姉さん」と呼ぶと嬉しそうにする。それが可愛くてまた甘やかしてしまう無限ループだ。
(さて、どうしたものか。)
とりあえず寝間着は着ているようだ。先日の私の誕生日には華やかでクラシカルなボルドーのランジェリー姿を披露してくれたが、昨晩はしっかりとパジャマを着たらしい。彼女の好きなアニメのキャラクターの描かれたものだった。
顔にかかる長い前髪を避けてやると、起きる気配がした。
「んん・・・?」
「おはよう。」
「・・・おはよ。」
あぁ、今朝も甘い声だ。この声を聴きたくて皆よりも早くホテルを出たのだ。
「・・・なんじ?」
「十一時前だよ。」
「・・・おひるって、」
「キミに会いたくなってね。」
「・・・めんどくさいやつでかえってきたの?」
「・・・面倒ではなかったよ。」
なんと愛情深い女性なのだろうか。きっとわざわざ始発の時間を調べ、乗り換えや凡その帰宅時間を予測してそれまでに起きて出迎えてくれようとしていたに違いない。
「ねちゃった。」
「うむ、おはよう。」
「おはよう。・・・どこにも行かなかったよ。」
それは昨日、出発前にその日は他の男性の誕生日だと言っていたので私が大人気なく拗ねてしまったのを気にしての言動だろう。今更彼女が他所の男のもとへ行くとは思えないが、一晩一緒にいられないことを考えたら少しだけ不安になってしまったのだ。
「ワタシも大人気なかったね。」
「それが普通なんだよ。」
「おや、覚醒してしまったのかね?」
「?」
もう少し甘い声を聴いていたかったが、もう時間切れらしい。
『まぁ、あの人が一番喜ぶのはお前の土産話だろうと言っていたがな。』
とっておきの紅茶と菓子、そして昨日別れてから今日再会するまでの話の準備をしよう。
20190218
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