MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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「Raindrops on roses and whiskers on kittens♪」
「おや、機嫌がいいようだね?」
今日は恋人の誕生日だ。そりゃ機嫌も上を向く、特別な日。私は朝からケーキ作りに夢中だった。
「おはよう。」
「あぁ、おはよう。『My Favorite Things』かね?」
「まだDVD観てなかったね。あとで一緒に観ようね。」
チョコレートを湯煎にかけるのが面倒で、電子レンジで二分。後ろに回った恋人は、私の後ろで解けかけたエプロンの紐を結び直している。
「『サウンド・オブ・ミュージック』か。ふむ、今日は祝日だから一緒に観よう。」
「今日は平日でしょ。」
「いや、ワタシの誕生日だ。祝日にすべきだとワタシが決めたよ。」
「あらあら。」
会話中も私の手は止まらない。卵白と卵黄を分けて、卵白の入ったボウルとハンドミキサーを手に振り返り、恋人に渡す。
「角が立つくらいまで泡立ててね。」
「ワタシの天才的なハンドミキサー捌きを、」
「私はチョコレートと黄身を混ぜてるからね。」
「聞きたまえ!」
電子レンジでチョコレートを温めても焦がさない。これは慣れだ。慣れない人は大人しく湯煎にかけた方がいい。
卵黄を潰してチョコレートに流し込み、サッサッと混ぜる。ホットケーキミックスを使う作り方もあるが、私は材料二つだけ。チョコレートと卵、これに粉糖でもつければ上等。炊飯器で作るので量も考える。三合炊きの炊飯器だから、チョコレートは三〇〇グラムに卵は六個。
恋人も大人しくメレンゲを作ってくれている。ハンドミキサーを使うので、すぐにできるだろう。
「これでいいかい?」
「ん、ありがとう。」
チョコレートにメレンゲを三回くらいに分けて流し込む。メレンゲの泡を潰さないように切るように混ぜると、「慣れたものだね」と恋人が覗き込んできた。
「勘違いしてほしくないんだけど、誕生日にケーキを作るなんて誉が初めてだからね。」
「そうなのかね?」
「バレンタインにチョコレート溶かして固める程度のことはしたけど、ケーキは初めてよ。」
そう言うと、長身を屈めて私の肩に額を擦り寄せる。約二ヶ月の六つの歳の差が五つに縮まったが、その差はそれ以上縮まることはない。こんなデカいナリをしているが、若い恋人なのには変わらないのだ。
「嬉しいの?」
「とてもね。」
「それはよかった。」
釜にクッキングシートを敷き、混ぜた生地を流し込む。とんとんと空気を抜いて、あとは炊飯スイッチを押して炊飯器に任せるだけだ。
「三回くらい焼かないとだから、まだDVDは観られないね。」
「手間がかかるものだね。」
「臣くんはもっと手間のかかることしてるけどね。」
カンパニーのシェフは多分オーブンでケーキを焼く。慣れている人にはオーブンで作った方が簡単なのだ。
我が家には一応オーブンレンジとしてオーブンの機能もあるが、殆どがグラタンを作る時にのみ使われている。恋人がグラタンを作れるようになったので、使用頻度は増した。
「眠い・・・。」
「キミにしては早起きだったからね。」
「約一時間毎に一回様子見なきゃだから、いつもみたいにお昼寝できない。」
「この分野はワタシには荷が重いからねぇ。・・・だが、横になるくらいならできるのではないかね?」
「じゃあ寝ちゃったら起こして?」
「了解したよ。」
宣言通りに三回。炊飯器でできるガトーショコラ作りは成功した。
ベッドでのお喋りが楽しく、寝る暇もなかった。やはり恋人は話が上手い。
冷めたケーキに粉糖を茶こしを使って振りかけ、経験が少ない割には綺麗にできただろう。恋人は終始笑顔で私も嬉しい。
「私には高価なプレゼントはできないからね、我慢してね。」
「高価なプレゼントよりもキミの愛のこもったこのケーキが嬉しいよ。」
すると恋人は紙袋を出してきた。嫌な予感がする。恋人には貢ぎ癖があるのだ。
「本来ならばバレンタインに贈りたかったのだが。」
「・・・今回はなに?」
「以前、とても華やかなランジェリーを欲しがっていただろう?」
紙袋を開けると、ボルドーのベビードールが二着に、白いベビードールが一着、それぞれショーツもセットになっていた。更に話題の韓国コスメのアイシャドウパレットが二つに口紅が一本。
「誉・・・、」
「キミに似合うと思ったら手に取っていたのだよ。許しておくれ。」
そんなことを言われたら怒れないし、恋人に貢ぎ癖があるのも確かだが私にも貢がれ癖があるので強く言えない。買い与えたくなるなにかがあるらしい。
「・・・ランジェリーや口紅を贈る意味は、よく知っているね?」
「じゃあ今日は誉が抱かれてくれるのね?」
「うーむ、そういうことではないのだが。」
恋人たちの誕生日の夜は長くなりそうだ。
「その前に映画鑑賞ね。」
「あぁ、そうしよう。」
20190212
「おや、機嫌がいいようだね?」
今日は恋人の誕生日だ。そりゃ機嫌も上を向く、特別な日。私は朝からケーキ作りに夢中だった。
「おはよう。」
「あぁ、おはよう。『My Favorite Things』かね?」
「まだDVD観てなかったね。あとで一緒に観ようね。」
チョコレートを湯煎にかけるのが面倒で、電子レンジで二分。後ろに回った恋人は、私の後ろで解けかけたエプロンの紐を結び直している。
「『サウンド・オブ・ミュージック』か。ふむ、今日は祝日だから一緒に観よう。」
「今日は平日でしょ。」
「いや、ワタシの誕生日だ。祝日にすべきだとワタシが決めたよ。」
「あらあら。」
会話中も私の手は止まらない。卵白と卵黄を分けて、卵白の入ったボウルとハンドミキサーを手に振り返り、恋人に渡す。
「角が立つくらいまで泡立ててね。」
「ワタシの天才的なハンドミキサー捌きを、」
「私はチョコレートと黄身を混ぜてるからね。」
「聞きたまえ!」
電子レンジでチョコレートを温めても焦がさない。これは慣れだ。慣れない人は大人しく湯煎にかけた方がいい。
卵黄を潰してチョコレートに流し込み、サッサッと混ぜる。ホットケーキミックスを使う作り方もあるが、私は材料二つだけ。チョコレートと卵、これに粉糖でもつければ上等。炊飯器で作るので量も考える。三合炊きの炊飯器だから、チョコレートは三〇〇グラムに卵は六個。
恋人も大人しくメレンゲを作ってくれている。ハンドミキサーを使うので、すぐにできるだろう。
「これでいいかい?」
「ん、ありがとう。」
チョコレートにメレンゲを三回くらいに分けて流し込む。メレンゲの泡を潰さないように切るように混ぜると、「慣れたものだね」と恋人が覗き込んできた。
「勘違いしてほしくないんだけど、誕生日にケーキを作るなんて誉が初めてだからね。」
「そうなのかね?」
「バレンタインにチョコレート溶かして固める程度のことはしたけど、ケーキは初めてよ。」
そう言うと、長身を屈めて私の肩に額を擦り寄せる。約二ヶ月の六つの歳の差が五つに縮まったが、その差はそれ以上縮まることはない。こんなデカいナリをしているが、若い恋人なのには変わらないのだ。
「嬉しいの?」
「とてもね。」
「それはよかった。」
釜にクッキングシートを敷き、混ぜた生地を流し込む。とんとんと空気を抜いて、あとは炊飯スイッチを押して炊飯器に任せるだけだ。
「三回くらい焼かないとだから、まだDVDは観られないね。」
「手間がかかるものだね。」
「臣くんはもっと手間のかかることしてるけどね。」
カンパニーのシェフは多分オーブンでケーキを焼く。慣れている人にはオーブンで作った方が簡単なのだ。
我が家には一応オーブンレンジとしてオーブンの機能もあるが、殆どがグラタンを作る時にのみ使われている。恋人がグラタンを作れるようになったので、使用頻度は増した。
「眠い・・・。」
「キミにしては早起きだったからね。」
「約一時間毎に一回様子見なきゃだから、いつもみたいにお昼寝できない。」
「この分野はワタシには荷が重いからねぇ。・・・だが、横になるくらいならできるのではないかね?」
「じゃあ寝ちゃったら起こして?」
「了解したよ。」
宣言通りに三回。炊飯器でできるガトーショコラ作りは成功した。
ベッドでのお喋りが楽しく、寝る暇もなかった。やはり恋人は話が上手い。
冷めたケーキに粉糖を茶こしを使って振りかけ、経験が少ない割には綺麗にできただろう。恋人は終始笑顔で私も嬉しい。
「私には高価なプレゼントはできないからね、我慢してね。」
「高価なプレゼントよりもキミの愛のこもったこのケーキが嬉しいよ。」
すると恋人は紙袋を出してきた。嫌な予感がする。恋人には貢ぎ癖があるのだ。
「本来ならばバレンタインに贈りたかったのだが。」
「・・・今回はなに?」
「以前、とても華やかなランジェリーを欲しがっていただろう?」
紙袋を開けると、ボルドーのベビードールが二着に、白いベビードールが一着、それぞれショーツもセットになっていた。更に話題の韓国コスメのアイシャドウパレットが二つに口紅が一本。
「誉・・・、」
「キミに似合うと思ったら手に取っていたのだよ。許しておくれ。」
そんなことを言われたら怒れないし、恋人に貢ぎ癖があるのも確かだが私にも貢がれ癖があるので強く言えない。買い与えたくなるなにかがあるらしい。
「・・・ランジェリーや口紅を贈る意味は、よく知っているね?」
「じゃあ今日は誉が抱かれてくれるのね?」
「うーむ、そういうことではないのだが。」
恋人たちの誕生日の夜は長くなりそうだ。
「その前に映画鑑賞ね。」
「あぁ、そうしよう。」
20190212
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