MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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詩人の恋人は時々スランプに陥り、ペンを顎に置いては唸っている。癒しが足りないのかもしれない。私にできることは限られているのだ。
(あ。)
趣味のネットサーフィンでそれを見つけたのは、そんな時だった。
「ねぇ、誉。動物園に行かない?」
「動物園・・・そういえば長いこと行ってない気がするよ。」
「私も。・・・だめ?」
「キミにそんなに可愛らしく強請られたら、誰だって誘われてしまうよ。気をつけなさい。」
「誉にしかしませんー。」
「そうだったね、キミは私に夢中だからね。」
「自分で言わないの。」
動物園なんて、小学生の時以来かもしれない。恋人もそう言っていた。入口でチケットを買って、近くにあるマップを一枚もらい、まずは入口近くの売店に向かった。
「早くないかね?」
「見つけたら一つ一つ見ていくの。売店によって品揃え違うからね。」
その後、他の売店にもその都度寄るのだが、今の私たちには運命の出会いがあるとは知る由もなかった。
「シマウマだ!」
「向こうにいるのはキリンだね。」
この動物園は小さく、ライオンなどの派手な動物はいない。メインはコアラくらいだろうか。
「誉より大きいね。」
「それはそうだろうね。比べ物にならないよ。」
見上げると首が痛くなるのは変わらないのだが。そんなことを思いながら進んで行くと、馬舎の方が賑やかだ。入口には『僕を探してね』という文字と一緒にフクロウの写真が貼ってある。どうやら馬舎の中にフクロウがいるらしい。
そんなに広くはない馬舎だが、どこにいるのか。
「おや?」
「ん?」
「この子ではないだろうか。」
馬舎の奥の、上の方。一見人形のように見えるが動いているので本物だろう。
「あなた、こんなところにいたの。」
「どうやらそのようだね。」
キューッと体を細めるフクロウを写真に収め馬舎を後にすると、ふれあいコーナーがあった。子どもたちに紛れて入っていくと、恋人はおかしそうに笑う。
「なに?」
「いや、周りと背丈が変わらないなと思ってね。」
私は一五〇そこそこの身長しかない。確かに、最近の発育のいい子どもたちと比べたら、変わらないどころかこちらの方が小さいだろう。
「失礼だなぁ。」
「すまないね。」
しゃがみ込み恋人の前には、斑模様のうさぎがいた。私は小学生の頃に飼育委員をしていたので、うさぎは馴染み深い。
「うさぎって誉みたい。」
「こんなに小さいのにかい?」
「うさぎが野菜を食べるとこって見たことある?特に人参。人参スティックを食べてるとこなんてそっくりよ。」
ちょうど餌の野菜が売っていたので買って与えてみると、やはり似ている。
「・・・食べ方を変えてみる必要があるかもしれないね。」
「なんで?そのままでいいよ。」
「そうかね?」
「可愛いからね。」
「キミにとってはなんでも可愛いんだね。」
恋人は確かに可愛いが、私は恋人が上着を着る後ろ姿が格好良くて気に入っている。それを言うと調子に乗るので言わないが。
「す、すごく食べる・・・!」
「こんなに小さいのに、どこからその食欲が来るんだい?」
二人してうさぎの食欲に若干引いているが、ふわふわしていて可愛いのでつい餌を与えてしまう。
「まだ見たいとこあるのに・・・。」
「これでは当分動けそうにないね。」
小一時間、ふれあいコーナーにいた。それからはペンギンを見たり、コツメカワウソを見たり、念願のマヌルネコは眠っていたけどもふもふしていた。
「ふれあいコーナーは楽しかったね。」
「最後にまた寄ってみる?」
「今度こそ帰れなくなってしまうよ。」
売店も最後の一軒になった。何軒か見てきたが、ここもハズレかもしれない。それなら寮へのお土産にお菓子を買っていこう。そう話しながら中へ入ると、真っ白な体につぶらな瞳のうさぎのぬいぐるみがいた。
「か、かわー!」
「おや、気に入ったのかね?」
「かわい、かわい、・・・ッ!」
近づいて見てみると、毛はもふもふしていて私好みの顔立ちだった。変にキャラクター感のあるものでなく、リアル寄りだ。
「かわ・・・、」
「では一匹連れて帰ろうか。」
「いいの?」
「誘ってくれたお礼だよ。」
恋人は数匹いるうちの一匹を大事に抱き上げ、レジへと向かう。私も後をついていくと、レジのおじさんは私たちの前のお客さんには少し愛想のないように見えたが、私たちがうさぎを出すと途端に表情を変えてオマケとしてティッシュカバーをつけてくれた。
売店を出ると、恋人はうさぎを取り出し私に抱かせ、「では行こうか」と手を差し伸べてくれた。その表情は動物園へ来る前よりすっきりしたように見えたので、(暫くうるさくなるな)とこっそり笑った。
20181227
(あ。)
趣味のネットサーフィンでそれを見つけたのは、そんな時だった。
「ねぇ、誉。動物園に行かない?」
「動物園・・・そういえば長いこと行ってない気がするよ。」
「私も。・・・だめ?」
「キミにそんなに可愛らしく強請られたら、誰だって誘われてしまうよ。気をつけなさい。」
「誉にしかしませんー。」
「そうだったね、キミは私に夢中だからね。」
「自分で言わないの。」
動物園なんて、小学生の時以来かもしれない。恋人もそう言っていた。入口でチケットを買って、近くにあるマップを一枚もらい、まずは入口近くの売店に向かった。
「早くないかね?」
「見つけたら一つ一つ見ていくの。売店によって品揃え違うからね。」
その後、他の売店にもその都度寄るのだが、今の私たちには運命の出会いがあるとは知る由もなかった。
「シマウマだ!」
「向こうにいるのはキリンだね。」
この動物園は小さく、ライオンなどの派手な動物はいない。メインはコアラくらいだろうか。
「誉より大きいね。」
「それはそうだろうね。比べ物にならないよ。」
見上げると首が痛くなるのは変わらないのだが。そんなことを思いながら進んで行くと、馬舎の方が賑やかだ。入口には『僕を探してね』という文字と一緒にフクロウの写真が貼ってある。どうやら馬舎の中にフクロウがいるらしい。
そんなに広くはない馬舎だが、どこにいるのか。
「おや?」
「ん?」
「この子ではないだろうか。」
馬舎の奥の、上の方。一見人形のように見えるが動いているので本物だろう。
「あなた、こんなところにいたの。」
「どうやらそのようだね。」
キューッと体を細めるフクロウを写真に収め馬舎を後にすると、ふれあいコーナーがあった。子どもたちに紛れて入っていくと、恋人はおかしそうに笑う。
「なに?」
「いや、周りと背丈が変わらないなと思ってね。」
私は一五〇そこそこの身長しかない。確かに、最近の発育のいい子どもたちと比べたら、変わらないどころかこちらの方が小さいだろう。
「失礼だなぁ。」
「すまないね。」
しゃがみ込み恋人の前には、斑模様のうさぎがいた。私は小学生の頃に飼育委員をしていたので、うさぎは馴染み深い。
「うさぎって誉みたい。」
「こんなに小さいのにかい?」
「うさぎが野菜を食べるとこって見たことある?特に人参。人参スティックを食べてるとこなんてそっくりよ。」
ちょうど餌の野菜が売っていたので買って与えてみると、やはり似ている。
「・・・食べ方を変えてみる必要があるかもしれないね。」
「なんで?そのままでいいよ。」
「そうかね?」
「可愛いからね。」
「キミにとってはなんでも可愛いんだね。」
恋人は確かに可愛いが、私は恋人が上着を着る後ろ姿が格好良くて気に入っている。それを言うと調子に乗るので言わないが。
「す、すごく食べる・・・!」
「こんなに小さいのに、どこからその食欲が来るんだい?」
二人してうさぎの食欲に若干引いているが、ふわふわしていて可愛いのでつい餌を与えてしまう。
「まだ見たいとこあるのに・・・。」
「これでは当分動けそうにないね。」
小一時間、ふれあいコーナーにいた。それからはペンギンを見たり、コツメカワウソを見たり、念願のマヌルネコは眠っていたけどもふもふしていた。
「ふれあいコーナーは楽しかったね。」
「最後にまた寄ってみる?」
「今度こそ帰れなくなってしまうよ。」
売店も最後の一軒になった。何軒か見てきたが、ここもハズレかもしれない。それなら寮へのお土産にお菓子を買っていこう。そう話しながら中へ入ると、真っ白な体につぶらな瞳のうさぎのぬいぐるみがいた。
「か、かわー!」
「おや、気に入ったのかね?」
「かわい、かわい、・・・ッ!」
近づいて見てみると、毛はもふもふしていて私好みの顔立ちだった。変にキャラクター感のあるものでなく、リアル寄りだ。
「かわ・・・、」
「では一匹連れて帰ろうか。」
「いいの?」
「誘ってくれたお礼だよ。」
恋人は数匹いるうちの一匹を大事に抱き上げ、レジへと向かう。私も後をついていくと、レジのおじさんは私たちの前のお客さんには少し愛想のないように見えたが、私たちがうさぎを出すと途端に表情を変えてオマケとしてティッシュカバーをつけてくれた。
売店を出ると、恋人はうさぎを取り出し私に抱かせ、「では行こうか」と手を差し伸べてくれた。その表情は動物園へ来る前よりすっきりしたように見えたので、(暫くうるさくなるな)とこっそり笑った。
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