MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
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「誉さん、なんだか楽しそうですね。」
「あぁ、監督くん。」
「なにをしてるんですか?」
数日前、誉さんは恋人と同棲を始めるにあたり、寮を出た。稽古や寮でのイベントの際には帰ってくるが、こうして寮内で会うのは久々かもしれない。寂しくはあるが、誉さんが幸せそうでなによりだ。
「深雪さんへのプレゼントを考えていてね。」
誉さんの恋人は、深雪さんという。冬組の第五回公演の際に誉さんの方から声をかけた女性だ。身長は私よりも低く、誉さんが言うには誉さんと彼女の身長差は三〇センチほどあるらしい。彼女は度々、誉さんのことを『ほぼ自販機サイズ』と称するが、同時に「自販機は屈んでくれないけど、誉は屈んでくれるから人間よね」と言う。彼女は誉さんの過去を聞いたのだろう。
「なにかほしいものとかあるのでしょうか?」
「ガチャ運がほしいと、至くんのようなことをよく言っているよ。」
至さんほどではないが、ゲームをする人のようだ。
たまに寮に来ては皆にお菓子を配っているせいか、幸くんからは『餌付け係』と称される彼女。私に「誉を見つけてくれてありがとう」と頭を下げる彼女に照れてしまったが、それは私の台詞でもある。誉さんを見つけてくれて、心から愛してくれてありがとう。いやいや何様だよ、と思い口にしなかったが、心底そう思っている。
「残念ながら、ワタシでは彼女にガチャ運などは与えてやれなくてね。」
「それできたら至さんが真っ先に誉さんを頼りますよ。」
悩み事をしていると言う割にはどこか嬉しそうで、(これが蜜月・・・)などと思ってしまう。
「なにか好きなものとかは?」
「そうだねぇ、お酒が好きなようだ。・・・東さんになにかないか訊いてみようかな。」
「お酒好きなんですね!」
「どうも、日本酒が特に好きらしいよ。」
「お、大人だ・・・!」
「いや、彼女曰く、普段飲むものが日本酒なだけで、他の酒を飲む機会があまりないらしい。チューハイなどは度数が低くてジュース扱いだよ。」
「確かに、普段日本酒を飲む人じゃ、チューハイはジュースですね。」
誉さんの手元には、お歳暮のカタログがある。プレゼントの参考にしているのだろうが、クリスマスにお歳暮の品は如何なものか。
「最近ハマってるものとか・・・?」
「それが、困ったことにわからないのだ。彼女はそういったものの周期が長いようで、特別『最近』というものがなくてね。だが、ワタシとしてはなにか新しいものを贈りたいのだよ。」
「んー・・・あ、深雪さんって、結構最近になってからお化粧を再開したって言ってましたよね?メイク道具とかどうです?莇くんに相談してみるとか!」
「それはワタシも考えていてね、誕生日には莇くんに相談して口紅を贈ったよ。」
「誕生日に贈っちゃったんですね。」
他人様へ贈るプレゼントというものは、案外気を遣うものだ。それも恋人で、誉さんにとっては特別な人であるから尚更。十二月が誕生日であると、クリスマスと被らないものをと考えてしまうのだろう。
「ところで、誉さんは深雪さんのどこが好きです?」
「深雪さんの好きなところかね?」
予想外の質問だっただろうか?メジャーな質問だとは思うが、誉さんの感性からはズレているのかもしれない。
「彼女はね、自分をあまり大事にしないのだよ。」
「え、」
傍目から見ると、流石に自分大好き!とまではいかないだろうが、しっかり自分を見ている人のように見える。もしかしたら誉さんにしか見せない部分があって、そういったところを誉さんも大事にしているのかもしれない。
「そう。彼女は自分を大事にしないからね、ワタシが彼女を甘やかしてやりたいのだよ。好きなところは沢山あるが、それはワタシが尊敬できる部分であったり、彼女が自分で自慢するほどのことであったり。だが、愛しいと思うのは、こちらが甘やかしたくなるほど自分を大事にしないところだね。」
「意外でした。」
「そうだろう?傍目には彼女は面倒見のいいお姉さんに見えるからね。ワタシも意外だったが、そんな隠された部分をワタシが守ってやらねばと思えるワタシ自身も意外だったよ。」
誉さんは実は面倒見のいい人だ。少し変わってはいるが、他人の気持ちがわからないなどと言ってもいつも誰かを案じている。
「相性ピッタリですね。」
「おや、監督くんは占いができるのかね?」
「それも意外だった」と笑う誉さんの手元で、またぱらりとカタログが捲られる。どうか深雪さんのクリスマスプレゼントがハムでありませんようにと願うばかりである。
20181224
「あぁ、監督くん。」
「なにをしてるんですか?」
数日前、誉さんは恋人と同棲を始めるにあたり、寮を出た。稽古や寮でのイベントの際には帰ってくるが、こうして寮内で会うのは久々かもしれない。寂しくはあるが、誉さんが幸せそうでなによりだ。
「深雪さんへのプレゼントを考えていてね。」
誉さんの恋人は、深雪さんという。冬組の第五回公演の際に誉さんの方から声をかけた女性だ。身長は私よりも低く、誉さんが言うには誉さんと彼女の身長差は三〇センチほどあるらしい。彼女は度々、誉さんのことを『ほぼ自販機サイズ』と称するが、同時に「自販機は屈んでくれないけど、誉は屈んでくれるから人間よね」と言う。彼女は誉さんの過去を聞いたのだろう。
「なにかほしいものとかあるのでしょうか?」
「ガチャ運がほしいと、至くんのようなことをよく言っているよ。」
至さんほどではないが、ゲームをする人のようだ。
たまに寮に来ては皆にお菓子を配っているせいか、幸くんからは『餌付け係』と称される彼女。私に「誉を見つけてくれてありがとう」と頭を下げる彼女に照れてしまったが、それは私の台詞でもある。誉さんを見つけてくれて、心から愛してくれてありがとう。いやいや何様だよ、と思い口にしなかったが、心底そう思っている。
「残念ながら、ワタシでは彼女にガチャ運などは与えてやれなくてね。」
「それできたら至さんが真っ先に誉さんを頼りますよ。」
悩み事をしていると言う割にはどこか嬉しそうで、(これが蜜月・・・)などと思ってしまう。
「なにか好きなものとかは?」
「そうだねぇ、お酒が好きなようだ。・・・東さんになにかないか訊いてみようかな。」
「お酒好きなんですね!」
「どうも、日本酒が特に好きらしいよ。」
「お、大人だ・・・!」
「いや、彼女曰く、普段飲むものが日本酒なだけで、他の酒を飲む機会があまりないらしい。チューハイなどは度数が低くてジュース扱いだよ。」
「確かに、普段日本酒を飲む人じゃ、チューハイはジュースですね。」
誉さんの手元には、お歳暮のカタログがある。プレゼントの参考にしているのだろうが、クリスマスにお歳暮の品は如何なものか。
「最近ハマってるものとか・・・?」
「それが、困ったことにわからないのだ。彼女はそういったものの周期が長いようで、特別『最近』というものがなくてね。だが、ワタシとしてはなにか新しいものを贈りたいのだよ。」
「んー・・・あ、深雪さんって、結構最近になってからお化粧を再開したって言ってましたよね?メイク道具とかどうです?莇くんに相談してみるとか!」
「それはワタシも考えていてね、誕生日には莇くんに相談して口紅を贈ったよ。」
「誕生日に贈っちゃったんですね。」
他人様へ贈るプレゼントというものは、案外気を遣うものだ。それも恋人で、誉さんにとっては特別な人であるから尚更。十二月が誕生日であると、クリスマスと被らないものをと考えてしまうのだろう。
「ところで、誉さんは深雪さんのどこが好きです?」
「深雪さんの好きなところかね?」
予想外の質問だっただろうか?メジャーな質問だとは思うが、誉さんの感性からはズレているのかもしれない。
「彼女はね、自分をあまり大事にしないのだよ。」
「え、」
傍目から見ると、流石に自分大好き!とまではいかないだろうが、しっかり自分を見ている人のように見える。もしかしたら誉さんにしか見せない部分があって、そういったところを誉さんも大事にしているのかもしれない。
「そう。彼女は自分を大事にしないからね、ワタシが彼女を甘やかしてやりたいのだよ。好きなところは沢山あるが、それはワタシが尊敬できる部分であったり、彼女が自分で自慢するほどのことであったり。だが、愛しいと思うのは、こちらが甘やかしたくなるほど自分を大事にしないところだね。」
「意外でした。」
「そうだろう?傍目には彼女は面倒見のいいお姉さんに見えるからね。ワタシも意外だったが、そんな隠された部分をワタシが守ってやらねばと思えるワタシ自身も意外だったよ。」
誉さんは実は面倒見のいい人だ。少し変わってはいるが、他人の気持ちがわからないなどと言ってもいつも誰かを案じている。
「相性ピッタリですね。」
「おや、監督くんは占いができるのかね?」
「それも意外だった」と笑う誉さんの手元で、またぱらりとカタログが捲られる。どうか深雪さんのクリスマスプレゼントがハムでありませんようにと願うばかりである。
20181224
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