MANKAIカンパニーとの出会い、運命の出会い
夢より素敵な
お名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は自分から好きになった人とお付き合いをしたことがない。そう言うと、「随分とおモテになるのね」なんて嫌味を言われるので、人前ではあまり口にしなくなった。
自分から好きになった人は沢山いるが、告白をする前に既に付き合っている人がいたり、告白をしても「好きな人がいるんだ」とフラれてきたのだ。モテるからこちらからいかないわけではない。余り物の私に変わり者が寄ってくるだけ。
生まれて初めてできた恋人は、年下の同性だった。
余り物の私は、他人に愛されることを知らない。彼女に理由を訊けば「綺麗だから」と言う。初めて言われてはしゃいだ。腐女子属性の私は、恋愛に性別を持ち出すのはナンセンスだとその当時から思っていたし、可愛い後輩が私を選んでくれたのが嬉しくて告白を快諾した。一年ともたなかったが、終わりは自然消滅。一緒にはいたが、言葉なく拒絶され終わった恋だった。
どうやら私は重いらしい。
高二に上がり、人生で二人目の恋人は年上のビジュアル系バンドマンだった。性別は異性。身長差は三〇センチ。学校の教室の出入口は約一八〇センチで、自販機の高さを調べたら恋人の身長と同じだった。今でも覚えている。
彼は私の初体験の相手だったが、初体験の場所は公園のトイレだった。周りの友達より少し早く卒業したため、色々と訊かれた。初めてでなにもわからなかったが、優しくはされたと思う。場所はトイレだったが。
彼とは修学旅行先でも会った。私だけ先生方には内緒で予定を変更し、京都でデートをした。隣を歩く彼の腰の位置は、私の腰より遥かに上だった。手を繋いで歩いたが大層不格好だったことだろう。三〇センチ差とはそれくらい大きな差だ。
この時期の私はモテ期が来ていた。人生に三度あるというアレだ。私としては、女子校で男性に相談できる環境でなかったため、メル友として男性と話す機会が多かった。それをうっかり言ってしまったら、恋人は数時間気絶してしまった。私のメル友との付き合い方は健全で、大したことではないと思っていたからとても驚いた。
恋人とは私の誕生日の翌日に別れた。
それをメル友に告げると、忘れさせてやるよくらいのことを言われ、なし崩し的に交際が始まった。友達だと思っていたから言えていたことが、簡単に言えなくなってしまった。下手に言うとまた破局の道へ進んでしまうと考えたからだ。
そう、メル友は一人ではなかったのだ。
自分にその気はなくても、私の一言でその気にさせてしまうことも学んだが遅かった。もう一人のメル友も私に好意があるらしい。すぐに距離を取ったが遅かった。恋人は、自分もその立場だったことを都合よく忘れ私を責めた。その恋人もビジュアル系バンドマンだった。よく、バンドマンはやめておけと聞くが、見抜けなかった私も悪い。
いつの間にか三角関係になっていたが、私はそれを相談していた男性教師に恋心を抱いてしまっていた。散々思わせぶりなことを言われ、結局は私の同級生と結婚したのだが、当時は誰もが私と男性教師の仲を疑っていた。
高校を卒業し、数日家出をしたことがある。あのメル友のもとへ行った。ホテルに連れ込まれたが、私にその気はない。ただのメル友だ。
『私、寝るから。』
そう言って、初めてのラブホテルの真ん中に鎮座するベッドで一人で寝た。起きた時にはそのメル友はソファで丸くなって寝ていた。
一人目、二人目の恋人には重いと言われ、三人目の恋人には軽いと言われた。重いと言われたことから軽い女を演じてみたのだが、それも失敗に終わった。
次の相手も年上だった。バイト帰りにナンパされたのだが、話しているうちに趣味が合うことに気づき交際に発展した。彼とは所謂ヤリ部屋のようなところで行為を強要され、そのやり方が気に入らずに別れた。ナンパからの交際だっただけあって、あっさり別れられた。
『もう恋愛はいいわ。』
友達にそう言った。これからは友達付き合いを優先する。女子校出身の陰キャばかりの中だったので、皆それを受け入れてくれた。アイドルのコンサートにも誘ってくれて、今では国民的アイドルになった彼らを生で見ることもできた。
そんな折、一人の同級生(勿論性別は同性)から告白された。彼女は元々同性愛者だった。高校時代には私の幼馴染に想いを寄せていたのも知っているし、なんなら私も応援したほどだ。
『みゆちゃんとお付き合いしたい。』
事情をよく知る彼女なら下手に傷つけられることはないだろうと、お付き合いを始めた。他の友達からも祝福され、既に成人していたこともあり、よく二人揃って飲みに誘われた。
恋人はコスプレイヤーだった。彼女と別れた私に言えることは、バンドマンだけでなくコスプレイヤーもやめておけ、だ。
すべての予定がコスプレイベントを中心に組まれた。漫画研究部の部長であった私は、当然ながらコスプレに理解があった。そこを利用されたといえばいいだろうか。恋人も腐女子であり、男装レイヤーのため、そういった絡みのある撮影もあった。嫉妬しないわけがないのに、私がコスプレや腐に理解があるからいいと思われたのかもしれない。そして、所謂シスコンであり、いつも私は妹の次の扱いだった。私もブラコンだが、彼女ほどではない。理由は、弟がシスコンではないから。恋人の妹は、恋人に負けず劣らずのシスコンだった。
交際から一年、元々精神が不安定だった私は仕事を辞めた。その頃、同棲の話もあり、私の体調よりも金銭的なことを恋人は優先するようになった。恋人の母親は私を養女として迎える気もあったらしいが、私は親に恋人のことを言えずにいた。それから暫く、精神も安定せず警察の世話になることもあった。といっても、犯罪的なことでなく行方不明になりかけたとかそういうやつだ。まだ正式に精神科に通院するようになる前の話。それでも恋人はイベントや妹を優先した。
揉めに揉めて別れを選んだ。
それから約一年は母親を巻き込んだ闘病生活だった。母親は会社と相談しながら通院に付き添ってくれたり、入院の話も出たがどうにか持ち直して回避できた。母親と歩んだ一年だった。
サイトを通じて、年下の恋人ができた。性別は異性だ。弟とそんなに変わらない年頃だった。暫く平穏な日々を送っていたが、311。彼は中部地方に住んでいたため、関東住みの私を案じ、ずっと連絡を待ってくれていた。真っ暗な一夜を過ごし、やっと携帯電話の充電ができて電源を入れると、彼からのメールが溜まっていた。返信するとすぐに返信が来たので、もしかしたら寝ずにいたのかもしれない。そこまでされたことがなかったので、とても会いたかった。
それから一ヶ月と少し経った頃、高校時代に想っていた男性教師が同級生と結婚したという話が入ってきた。彼にも散々心配させたので、今は年下だけど頼りになる恋人がいることを伝え、二人の幸せを祈った。そんな恋人とも一年もたなかったのだが。
急に連絡が取れなくなり、サイトの方にも顔を出していないようだった。数ヶ月待っても連絡が来ないので、縁がなかったのだと諦めた。
それから何年が過ぎただろうか。友達に誘われた舞台を観劇し、不覚にも恋に落ちた。先日、私の誕生日に同棲をしようと言われ、現在無事に同棲を始めた。彼の過去の恋愛の話を聞いて笑ってしまったことは申し訳ないが、それをすべて受け止めてあげたかった。
今、一緒にテレビを見ながら座椅子代わりにしてこの話を彼にしているが、とりあえず腹に手を回すのはやめてほしい。
『ロリ巨乳とか最強かよ。』
過去の恋人の友達に言われた台詞だ。当時化粧っ気のなかった私は、成人していたにも関わらず中学生くらいに見られることがあった。身長も低く、遺伝と太りやすい体質なために胸だけでなく腹も出ていたのだが、胸元の開いた服を着ることが多かったので胸にばかり目がいったのだろう。今はそれに薬の副作用が加わったため、更に太った。
「明日の夕飯、なに食べようか。」
先程、今日の夕飯を食べたばかりだ。昔から私は、翌日の夕飯、その先の食事の話をしては、恋人だけでなく親にまで笑われていた。
「そうだね、キミの手料理はなんでもキミの育った味がして美味しいからね。」
今の恋人は馬鹿にせずに微笑みながらそう答える。そんな他人からしたら大したことないことも、私には新鮮で、そして嬉しかった。やっと未来の話ができる相手を見つけ出したのだ。
灰色に曇っていた世界が、今では輝いて見える。
20181221
自分から好きになった人は沢山いるが、告白をする前に既に付き合っている人がいたり、告白をしても「好きな人がいるんだ」とフラれてきたのだ。モテるからこちらからいかないわけではない。余り物の私に変わり者が寄ってくるだけ。
生まれて初めてできた恋人は、年下の同性だった。
余り物の私は、他人に愛されることを知らない。彼女に理由を訊けば「綺麗だから」と言う。初めて言われてはしゃいだ。腐女子属性の私は、恋愛に性別を持ち出すのはナンセンスだとその当時から思っていたし、可愛い後輩が私を選んでくれたのが嬉しくて告白を快諾した。一年ともたなかったが、終わりは自然消滅。一緒にはいたが、言葉なく拒絶され終わった恋だった。
どうやら私は重いらしい。
高二に上がり、人生で二人目の恋人は年上のビジュアル系バンドマンだった。性別は異性。身長差は三〇センチ。学校の教室の出入口は約一八〇センチで、自販機の高さを調べたら恋人の身長と同じだった。今でも覚えている。
彼は私の初体験の相手だったが、初体験の場所は公園のトイレだった。周りの友達より少し早く卒業したため、色々と訊かれた。初めてでなにもわからなかったが、優しくはされたと思う。場所はトイレだったが。
彼とは修学旅行先でも会った。私だけ先生方には内緒で予定を変更し、京都でデートをした。隣を歩く彼の腰の位置は、私の腰より遥かに上だった。手を繋いで歩いたが大層不格好だったことだろう。三〇センチ差とはそれくらい大きな差だ。
この時期の私はモテ期が来ていた。人生に三度あるというアレだ。私としては、女子校で男性に相談できる環境でなかったため、メル友として男性と話す機会が多かった。それをうっかり言ってしまったら、恋人は数時間気絶してしまった。私のメル友との付き合い方は健全で、大したことではないと思っていたからとても驚いた。
恋人とは私の誕生日の翌日に別れた。
それをメル友に告げると、忘れさせてやるよくらいのことを言われ、なし崩し的に交際が始まった。友達だと思っていたから言えていたことが、簡単に言えなくなってしまった。下手に言うとまた破局の道へ進んでしまうと考えたからだ。
そう、メル友は一人ではなかったのだ。
自分にその気はなくても、私の一言でその気にさせてしまうことも学んだが遅かった。もう一人のメル友も私に好意があるらしい。すぐに距離を取ったが遅かった。恋人は、自分もその立場だったことを都合よく忘れ私を責めた。その恋人もビジュアル系バンドマンだった。よく、バンドマンはやめておけと聞くが、見抜けなかった私も悪い。
いつの間にか三角関係になっていたが、私はそれを相談していた男性教師に恋心を抱いてしまっていた。散々思わせぶりなことを言われ、結局は私の同級生と結婚したのだが、当時は誰もが私と男性教師の仲を疑っていた。
高校を卒業し、数日家出をしたことがある。あのメル友のもとへ行った。ホテルに連れ込まれたが、私にその気はない。ただのメル友だ。
『私、寝るから。』
そう言って、初めてのラブホテルの真ん中に鎮座するベッドで一人で寝た。起きた時にはそのメル友はソファで丸くなって寝ていた。
一人目、二人目の恋人には重いと言われ、三人目の恋人には軽いと言われた。重いと言われたことから軽い女を演じてみたのだが、それも失敗に終わった。
次の相手も年上だった。バイト帰りにナンパされたのだが、話しているうちに趣味が合うことに気づき交際に発展した。彼とは所謂ヤリ部屋のようなところで行為を強要され、そのやり方が気に入らずに別れた。ナンパからの交際だっただけあって、あっさり別れられた。
『もう恋愛はいいわ。』
友達にそう言った。これからは友達付き合いを優先する。女子校出身の陰キャばかりの中だったので、皆それを受け入れてくれた。アイドルのコンサートにも誘ってくれて、今では国民的アイドルになった彼らを生で見ることもできた。
そんな折、一人の同級生(勿論性別は同性)から告白された。彼女は元々同性愛者だった。高校時代には私の幼馴染に想いを寄せていたのも知っているし、なんなら私も応援したほどだ。
『みゆちゃんとお付き合いしたい。』
事情をよく知る彼女なら下手に傷つけられることはないだろうと、お付き合いを始めた。他の友達からも祝福され、既に成人していたこともあり、よく二人揃って飲みに誘われた。
恋人はコスプレイヤーだった。彼女と別れた私に言えることは、バンドマンだけでなくコスプレイヤーもやめておけ、だ。
すべての予定がコスプレイベントを中心に組まれた。漫画研究部の部長であった私は、当然ながらコスプレに理解があった。そこを利用されたといえばいいだろうか。恋人も腐女子であり、男装レイヤーのため、そういった絡みのある撮影もあった。嫉妬しないわけがないのに、私がコスプレや腐に理解があるからいいと思われたのかもしれない。そして、所謂シスコンであり、いつも私は妹の次の扱いだった。私もブラコンだが、彼女ほどではない。理由は、弟がシスコンではないから。恋人の妹は、恋人に負けず劣らずのシスコンだった。
交際から一年、元々精神が不安定だった私は仕事を辞めた。その頃、同棲の話もあり、私の体調よりも金銭的なことを恋人は優先するようになった。恋人の母親は私を養女として迎える気もあったらしいが、私は親に恋人のことを言えずにいた。それから暫く、精神も安定せず警察の世話になることもあった。といっても、犯罪的なことでなく行方不明になりかけたとかそういうやつだ。まだ正式に精神科に通院するようになる前の話。それでも恋人はイベントや妹を優先した。
揉めに揉めて別れを選んだ。
それから約一年は母親を巻き込んだ闘病生活だった。母親は会社と相談しながら通院に付き添ってくれたり、入院の話も出たがどうにか持ち直して回避できた。母親と歩んだ一年だった。
サイトを通じて、年下の恋人ができた。性別は異性だ。弟とそんなに変わらない年頃だった。暫く平穏な日々を送っていたが、311。彼は中部地方に住んでいたため、関東住みの私を案じ、ずっと連絡を待ってくれていた。真っ暗な一夜を過ごし、やっと携帯電話の充電ができて電源を入れると、彼からのメールが溜まっていた。返信するとすぐに返信が来たので、もしかしたら寝ずにいたのかもしれない。そこまでされたことがなかったので、とても会いたかった。
それから一ヶ月と少し経った頃、高校時代に想っていた男性教師が同級生と結婚したという話が入ってきた。彼にも散々心配させたので、今は年下だけど頼りになる恋人がいることを伝え、二人の幸せを祈った。そんな恋人とも一年もたなかったのだが。
急に連絡が取れなくなり、サイトの方にも顔を出していないようだった。数ヶ月待っても連絡が来ないので、縁がなかったのだと諦めた。
それから何年が過ぎただろうか。友達に誘われた舞台を観劇し、不覚にも恋に落ちた。先日、私の誕生日に同棲をしようと言われ、現在無事に同棲を始めた。彼の過去の恋愛の話を聞いて笑ってしまったことは申し訳ないが、それをすべて受け止めてあげたかった。
今、一緒にテレビを見ながら座椅子代わりにしてこの話を彼にしているが、とりあえず腹に手を回すのはやめてほしい。
『ロリ巨乳とか最強かよ。』
過去の恋人の友達に言われた台詞だ。当時化粧っ気のなかった私は、成人していたにも関わらず中学生くらいに見られることがあった。身長も低く、遺伝と太りやすい体質なために胸だけでなく腹も出ていたのだが、胸元の開いた服を着ることが多かったので胸にばかり目がいったのだろう。今はそれに薬の副作用が加わったため、更に太った。
「明日の夕飯、なに食べようか。」
先程、今日の夕飯を食べたばかりだ。昔から私は、翌日の夕飯、その先の食事の話をしては、恋人だけでなく親にまで笑われていた。
「そうだね、キミの手料理はなんでもキミの育った味がして美味しいからね。」
今の恋人は馬鹿にせずに微笑みながらそう答える。そんな他人からしたら大したことないことも、私には新鮮で、そして嬉しかった。やっと未来の話ができる相手を見つけ出したのだ。
灰色に曇っていた世界が、今では輝いて見える。
20181221
12/30ページ