夢と約束
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アジトへと向かう列車の中。
アバランチの面々は、暗い面持ちで貨物車に揺られていた。
ここにいるのは4人。
バレットとビッグスとウェッジと・・・私。
ジェシーは思わずため息をついた。
列車が発車する直前まで待っていたのだが、結局クラウドは来なかった。
まだお金は受け取っていないみたいだから、どこかへ行ってしまったわけではないだろう。
確かに駅周辺の警備は厳重だったが、彼なら簡単に抜けられたはずだ。
・・・きっと、何かあったんだ。
彼は無事なんだろうか。
「クラウドさん、来なかったっすね」
「大丈夫かな・・・」
ウェッジとビッグスも不安げな表情をしている。
だが、何故かバレットだけは、先程からずっとイライラしている様子だった。
よく分からないが、イライラしている。
機嫌が悪い。
「あの高給取りが金も受け取らねえでどっか行っちまうわけないだろうが!」
「・・・だよな。ずっと報酬、報酬って言ってたもんな」
ビッグスが頷く。
彼が自分からいなくなるはずはない。
だから・・・今、この場にいないということは、何か危ない目に遭っているということ。
みんなも分かっているのだろうが、誰もその事を口にしようとはしなかった。
沈黙が辺りを包む。
「あ、そう言えばバレットさん、オレたちの給料・・・」
勇敢にもこのタイミングで私たちがずっと気にしていたことをウェッジは口にするが、バレットが側にあった積み荷を強く叩いたので、彼はシュンと縮こまってしまった。
「・・・何でもないっす」
私とビッグスは、ほぼ同時にため息を吐く。
せっかく作戦が成功したのに・・・全然嬉しくない。
仲間を犠牲にして作戦が上手くいっても、素直に喜ぶことは出来なかった。
・・・今まで、ずっとそうだったから。
このアバランチも、昔からたった4人で活動をしていたわけではない。
昔は、もっと大勢の仲間がいた。
みんなで、神羅を倒そうとやる気に燃えていた。
だが作戦を実行していくうちに、何人もが犠牲になった。
彼らの思いを継いで、私たちは頑張ってきた。
何人いなくなっても、いなくなった人達の分まで頑張ろうと、必死に活動を続けてきた。
気がついてみれば、残ったのはたったの4人だけ。
だが、ここで止めてしまえば犠牲になった仲間は無駄死にしたことになる。
私たちは何か大きな事をしてやろうと考え、苦肉の策で壱番魔晄炉爆破という無謀な作戦を思いついた。
バレットも必死だったのだろう。
そうじゃないと、いくらティファの勧めだとしても、元ソルジャーなんて雇おうとは思わない。
ソルジャーの手に掛かって死んだ仲間は何人もいるから。
でも、元ソルジャーだとしても、クラウドは作戦を一緒にやり遂げてくれた大切な仲間だ。
だから――――。
私は顔を上げて天井を見ると、大きくため息を吐いた。
・・・もう誰も、失いたくはなかった。
再び列車の中が沈黙に包まれた、その瞬間。
突然、列車の扉ががらりと開いた。
驚いてそちらに目をやる。
駅に着いたのではない。
まだ列車は走り続けている。
開いた扉から、誰かが飛び込んできた。
あれは――――!
「クラウド!」
「クラウドさん!?」
私たちは一斉に彼の名を呼ぶ。
突然、クラウドが入ってきたのだ。
恐らく列車の上に乗っていて、そこから中に飛び込んできたんだろうが・・・まさか、こんな形で合流してくるなんて。
クラウドは何事も無かったかのように立ち上がると、服に付いた煤を払った。
「約束の時間に遅れたみたいだ」
「大遅刻だよ、馬鹿野郎!」
バレットが叫ぶ。
「ちゃんと時間通りに来やがれ! 心配するじゃねぇか!」
「・・・へぇ」
クラウドはバレットを見ながら小さく笑う。
何故か私は、一瞬ドキッとしてしまった。
・・・笑うところ、初めて見た。
「心配してくれてたのか?」
「・・・」
バレットは気まずそうな表情を見せ、クラウドから顔を背ける。
・・・やっぱり、バレットもクラウドのこと、心配してたんだ。
私は思わず微笑んだ。
先程のイライラした様子も、彼のことを心配してたからだろう。
・・・ホント、わかりにくくて素直じゃない。
「遅刻した分、報酬は引いとくからな!」
それだけ言い残すと、バレットはさっさと前の列車に移動してしまった。
私は少し困った表情で微笑みながら、バレットを見送る。
「クラウドさん、無事で本当によかったっす!」
「あんまり心配させんなよ」
ウェッジとビッグスもクラウドに言葉を投げかけ、前の列車に行った。
私はクラウドが開けた扉の方へ歩み寄る。
「危ないから閉めとくね」
扉を閉め、クラウドの方を見る。
「ちょっと、クラウド! 顔、煤だらけじゃない!」
「ああ・・・」
服の裾で拭おうとするクラウドを見て、私はとっさにハンカチを取り出した。
「待って! じっとして」
ハンカチでそっと、彼の顔を拭ってゆく。
やっぱり――――格好いい。
初めて見たときから、少しだけ気になっていた。
ティファと幼馴染みらしいけど、それ以上の関係では無いんだろうか。
もしそうじゃなかったら、私にもチャンスがあるかもしれない。
私は「よしっ」と呟くと、ハンカチをしまった。
「これでオッケー。私たちも前に行きましょ」
クラウドの返事を待つことなく、私はさっさと歩き出した。
・・・少しだけ、顔が熱かった。
アバランチの面々は、暗い面持ちで貨物車に揺られていた。
ここにいるのは4人。
バレットとビッグスとウェッジと・・・私。
ジェシーは思わずため息をついた。
列車が発車する直前まで待っていたのだが、結局クラウドは来なかった。
まだお金は受け取っていないみたいだから、どこかへ行ってしまったわけではないだろう。
確かに駅周辺の警備は厳重だったが、彼なら簡単に抜けられたはずだ。
・・・きっと、何かあったんだ。
彼は無事なんだろうか。
「クラウドさん、来なかったっすね」
「大丈夫かな・・・」
ウェッジとビッグスも不安げな表情をしている。
だが、何故かバレットだけは、先程からずっとイライラしている様子だった。
よく分からないが、イライラしている。
機嫌が悪い。
「あの高給取りが金も受け取らねえでどっか行っちまうわけないだろうが!」
「・・・だよな。ずっと報酬、報酬って言ってたもんな」
ビッグスが頷く。
彼が自分からいなくなるはずはない。
だから・・・今、この場にいないということは、何か危ない目に遭っているということ。
みんなも分かっているのだろうが、誰もその事を口にしようとはしなかった。
沈黙が辺りを包む。
「あ、そう言えばバレットさん、オレたちの給料・・・」
勇敢にもこのタイミングで私たちがずっと気にしていたことをウェッジは口にするが、バレットが側にあった積み荷を強く叩いたので、彼はシュンと縮こまってしまった。
「・・・何でもないっす」
私とビッグスは、ほぼ同時にため息を吐く。
せっかく作戦が成功したのに・・・全然嬉しくない。
仲間を犠牲にして作戦が上手くいっても、素直に喜ぶことは出来なかった。
・・・今まで、ずっとそうだったから。
このアバランチも、昔からたった4人で活動をしていたわけではない。
昔は、もっと大勢の仲間がいた。
みんなで、神羅を倒そうとやる気に燃えていた。
だが作戦を実行していくうちに、何人もが犠牲になった。
彼らの思いを継いで、私たちは頑張ってきた。
何人いなくなっても、いなくなった人達の分まで頑張ろうと、必死に活動を続けてきた。
気がついてみれば、残ったのはたったの4人だけ。
だが、ここで止めてしまえば犠牲になった仲間は無駄死にしたことになる。
私たちは何か大きな事をしてやろうと考え、苦肉の策で壱番魔晄炉爆破という無謀な作戦を思いついた。
バレットも必死だったのだろう。
そうじゃないと、いくらティファの勧めだとしても、元ソルジャーなんて雇おうとは思わない。
ソルジャーの手に掛かって死んだ仲間は何人もいるから。
でも、元ソルジャーだとしても、クラウドは作戦を一緒にやり遂げてくれた大切な仲間だ。
だから――――。
私は顔を上げて天井を見ると、大きくため息を吐いた。
・・・もう誰も、失いたくはなかった。
再び列車の中が沈黙に包まれた、その瞬間。
突然、列車の扉ががらりと開いた。
驚いてそちらに目をやる。
駅に着いたのではない。
まだ列車は走り続けている。
開いた扉から、誰かが飛び込んできた。
あれは――――!
「クラウド!」
「クラウドさん!?」
私たちは一斉に彼の名を呼ぶ。
突然、クラウドが入ってきたのだ。
恐らく列車の上に乗っていて、そこから中に飛び込んできたんだろうが・・・まさか、こんな形で合流してくるなんて。
クラウドは何事も無かったかのように立ち上がると、服に付いた煤を払った。
「約束の時間に遅れたみたいだ」
「大遅刻だよ、馬鹿野郎!」
バレットが叫ぶ。
「ちゃんと時間通りに来やがれ! 心配するじゃねぇか!」
「・・・へぇ」
クラウドはバレットを見ながら小さく笑う。
何故か私は、一瞬ドキッとしてしまった。
・・・笑うところ、初めて見た。
「心配してくれてたのか?」
「・・・」
バレットは気まずそうな表情を見せ、クラウドから顔を背ける。
・・・やっぱり、バレットもクラウドのこと、心配してたんだ。
私は思わず微笑んだ。
先程のイライラした様子も、彼のことを心配してたからだろう。
・・・ホント、わかりにくくて素直じゃない。
「遅刻した分、報酬は引いとくからな!」
それだけ言い残すと、バレットはさっさと前の列車に移動してしまった。
私は少し困った表情で微笑みながら、バレットを見送る。
「クラウドさん、無事で本当によかったっす!」
「あんまり心配させんなよ」
ウェッジとビッグスもクラウドに言葉を投げかけ、前の列車に行った。
私はクラウドが開けた扉の方へ歩み寄る。
「危ないから閉めとくね」
扉を閉め、クラウドの方を見る。
「ちょっと、クラウド! 顔、煤だらけじゃない!」
「ああ・・・」
服の裾で拭おうとするクラウドを見て、私はとっさにハンカチを取り出した。
「待って! じっとして」
ハンカチでそっと、彼の顔を拭ってゆく。
やっぱり――――格好いい。
初めて見たときから、少しだけ気になっていた。
ティファと幼馴染みらしいけど、それ以上の関係では無いんだろうか。
もしそうじゃなかったら、私にもチャンスがあるかもしれない。
私は「よしっ」と呟くと、ハンカチをしまった。
「これでオッケー。私たちも前に行きましょ」
クラウドの返事を待つことなく、私はさっさと歩き出した。
・・・少しだけ、顔が熱かった。