選ばれたのは
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数十分後。
「おー! お友達も美人じゃん! ささ、話はしてあるから中に入って!」
あっさり入れてもらえるほど、クラウドは綺麗なお姉さんに変身していた。
しかし、美人と言われたのがよほど屈辱だったようで、クラウドは顔をしかめながら屋敷の中に入ってゆく。
「クラウドちゃん、せっかくの綺麗な顔が台無しだから、もっとニコニコして」
「・・・・」
エアリスは楽しそうに耳打ちするが、クラウドは何も答えなかった。
中に、スーツ姿の男性が立っていた。
「新しい女の子? もうちょっとしたら呼ばれると思うから、この部屋で待ってて」
私たち三人は、男が指差す部屋に入る。
・・・いた。
その部屋の中に、公園で見た紫のドレスの女の人が、こちらに背を向けて立っていた。
「・・・ティファさん?」
私は恐る恐る尋ねる。
彼女はこちらを向いた。
公園で見たときも思ったけど・・・やっぱり、すごく綺麗な人。
「あなた達は・・・?」
「わたしたち、あなたを助けに来たの」
エアリスが一歩前に出て話す。
「わたし、エアリス。で、この子がミキ。クラウドが公園であなたを見て、心配だって言うからここに忍び込んだの」
「クラウドが?」
「そう、クラウドが」
エアリスは頷く。
ティファは怪訝そうな顔をして、私とエアリスの顔を交互に見た。
・・・私たちがクラウドと面識があることを疑っているんじゃなくて、何か別のことを気にしているような感じがした。
何か別のこと――――。
やっぱり、クラウドと一緒に店まで行くのはまずかったんだろう。
クラウドはその気じゃなくても、きっとこの人は・・・。
「あっ、心配しないで。クラウドとは何でもないから」
何故かエアリスは、『何でもない』を、もの凄く強調してそう言った。
ティファも首を横に振る。
「勘違いしないで。私も何でもないの」
・・・でも、なんだか目が怖かった。
ティファとエアリスは、お互いを探り合うようにジッと見つめ合っている。
私は苦笑いしながらクラウドを見た。
・・・二人して何でもない、何でもないって言われたら、ちょっと可哀想かも。
エアリスはクスクス笑った。
「あんまり言うと、クラウド、かわいそうだよね」
「クラウド? クラウドがここにいるの?」
ティファは首を傾げる。
「ここにいるじゃない」
エアリスは笑顔でそう言うと、ティファに背を向けているクラウドを見た。
クラウドも、渋々ながらティファの方に顔を向ける。
ティファは怪訝そうな顔でクラウドに近寄り、顔をのぞき込み、数秒の沈黙の後・・・
「ク、クラウド!!?」
目を白黒させながら叫んだ。
まぁ・・・当然の反応だろう。
ティファは驚いたような、不思議そうな、心配そうな・・・複雑な表情でクラウドを見つめる。
「クラウド、無事だったのね! どうして助かったの? 怪我はない? 何でここに来たの? いえ、それよりも・・・何、その格好」
「・・・一気に質問するな」
クラウドはウンザリした表情でため息を吐いた。
「怪我は大丈夫だ。エアリスに助けてもらった。ここに来たのは公園でティファの姿を見たから。それとこの格好は・・・ここに入るには仕方なかった」
最後にいくにつれ、口調が沈んでいく。
「そう・・・」
ティファはホッとした表情でそう呟くと、エアリスの方へ歩み寄った。
「エアリスさん、クラウドを助けてくれてありがとう」
「ううん、わたしは何もしてないから」
「それより、どうしてここにいるか説明してくれ」
その言葉で、ティファはクラウドの方を向いた。
「ええ、でも・・・」
ティファは私とエアリスの方を見て口ごもる。
・・・私たちに聞かれたくない内容なのだろう。
「私たち、向こうで耳を塞いでるから。行こう、エアリス」
「うん」
私とエアリスは、部屋の隅へ移動する。
でも、どんな話なんだろう。
非常に興味をそそられながらも、私は両手で耳を塞いだ。
しかし・・・
「えっと、どこから話せばいいのかな・・・。あの後、私たちアバランチのアジトに帰ったの。そうしたら、アジトの側に変な男の人がいて、バレットが捕まえて口を割らせたのね」
「・・・それで、コルネオの名前が出てきたのか」
「ええ。コルネオは手下を使って私たちのことを調べてたみたい。バレットは放っておけって言うんだけど、私、気になっちゃって・・・」
「でも、一人でここへ来てどうするつもりだったんだ?」
「コルネオは毎晩、三人の女の子の中から一人を選んで、その・・・。 ・・・うん、そんな噂が立ってたから、それに選ばれて直接彼と会って白状させようと思ったの。でも、それに選ばれないとアウトなのよ」
「そうか・・・」
無理です。
・・・いや、聞くつもりはなかったんだけど、ね。
こんな狭い部屋で、いくら最大限に離れて耳を塞いでたからって、二人の会話が聞こえてこないわけがない。
「あの~、聞こえちゃったんだけど・・・」
エアリスは恐る恐るクラウド達に言った。
私も二人に向かって軽く頭を下げる。
「ごめんなさい、聞くつもりはなかったんだけど・・・」
「でもね、3人選ばれる内のあと2人が味方だったら、問題ないんじゃないかな?」
エアリスの言葉に、ティファとクラウドは驚いた表情を見せる。
・・・やっぱり、言い出すと思った。
「でも、3人でいいんでしょ? なら、エアリスはここにいて。私とティファさんとクラウドで丁度3人になるし・・・」
「おーい、お嬢ちゃん達!」
外から、さっきの男の人の声が聞こえてきた。
「もうすぐドンの所に案内するから、もうちょっと待ってて! 今夜は特別に4人の中から1人選ぶそうだから!」
・・・。
「やっぱり、わたしも行かなきゃ、だね」
だから、何でそんなに嬉しそうに言うのかなぁ・・・。
私はため息をつく。
好奇心旺盛なのはいいけど、もう少し自分の身の危険を考えて欲しい。
「・・・本当に、いいの?」
ティファが神妙な面持ちで、恐る恐る尋ねてくる。
私とエアリスは、同時に頷いた。
「わたしでよければ、いくらでも協力するよ」
「私も」
・・・と言うより、今更逃げられない気がする。
今できるのは、エアリスが選ばれないことを祈るくらいだ。
私たちの反応を見て、ティファは微笑みながら頷いた。
「ありがとう、エアリスさん、ミキさん」
「エアリスでいいよ」
「私も、ミキって呼んで」
でも、コルネオか・・・。
私は軽く顔を伏せる。
裏社会では結構有名みたいだけど、どんなやつなんだろう。
私も、出来れば選ばれたくないな・・・。
話がまとまったとき、ドアが音を立てて開かれた。
「さあ、時間だ。ついてきてくれ」
私たちは男性の後を追って歩き出す。
「・・・絶対、無茶はするんじゃないぞ」
「分かってるよ」
クラウドがエアリスに近寄り小声で囁くと、エアリスは嬉しそうに頷いた。
・・・なんか、いい感じ?
でもクラウド、幼馴染みのことは心配しなくていいのかな。
チラリとティファを見ると、彼女は少し悲しそうな表情を浮かべていた。
やっぱり、ティファもクラウドのこと――――。
私達は、変な置物ばかりが飾られている奇妙な廊下を歩いていった。
「おー! お友達も美人じゃん! ささ、話はしてあるから中に入って!」
あっさり入れてもらえるほど、クラウドは綺麗なお姉さんに変身していた。
しかし、美人と言われたのがよほど屈辱だったようで、クラウドは顔をしかめながら屋敷の中に入ってゆく。
「クラウドちゃん、せっかくの綺麗な顔が台無しだから、もっとニコニコして」
「・・・・」
エアリスは楽しそうに耳打ちするが、クラウドは何も答えなかった。
中に、スーツ姿の男性が立っていた。
「新しい女の子? もうちょっとしたら呼ばれると思うから、この部屋で待ってて」
私たち三人は、男が指差す部屋に入る。
・・・いた。
その部屋の中に、公園で見た紫のドレスの女の人が、こちらに背を向けて立っていた。
「・・・ティファさん?」
私は恐る恐る尋ねる。
彼女はこちらを向いた。
公園で見たときも思ったけど・・・やっぱり、すごく綺麗な人。
「あなた達は・・・?」
「わたしたち、あなたを助けに来たの」
エアリスが一歩前に出て話す。
「わたし、エアリス。で、この子がミキ。クラウドが公園であなたを見て、心配だって言うからここに忍び込んだの」
「クラウドが?」
「そう、クラウドが」
エアリスは頷く。
ティファは怪訝そうな顔をして、私とエアリスの顔を交互に見た。
・・・私たちがクラウドと面識があることを疑っているんじゃなくて、何か別のことを気にしているような感じがした。
何か別のこと――――。
やっぱり、クラウドと一緒に店まで行くのはまずかったんだろう。
クラウドはその気じゃなくても、きっとこの人は・・・。
「あっ、心配しないで。クラウドとは何でもないから」
何故かエアリスは、『何でもない』を、もの凄く強調してそう言った。
ティファも首を横に振る。
「勘違いしないで。私も何でもないの」
・・・でも、なんだか目が怖かった。
ティファとエアリスは、お互いを探り合うようにジッと見つめ合っている。
私は苦笑いしながらクラウドを見た。
・・・二人して何でもない、何でもないって言われたら、ちょっと可哀想かも。
エアリスはクスクス笑った。
「あんまり言うと、クラウド、かわいそうだよね」
「クラウド? クラウドがここにいるの?」
ティファは首を傾げる。
「ここにいるじゃない」
エアリスは笑顔でそう言うと、ティファに背を向けているクラウドを見た。
クラウドも、渋々ながらティファの方に顔を向ける。
ティファは怪訝そうな顔でクラウドに近寄り、顔をのぞき込み、数秒の沈黙の後・・・
「ク、クラウド!!?」
目を白黒させながら叫んだ。
まぁ・・・当然の反応だろう。
ティファは驚いたような、不思議そうな、心配そうな・・・複雑な表情でクラウドを見つめる。
「クラウド、無事だったのね! どうして助かったの? 怪我はない? 何でここに来たの? いえ、それよりも・・・何、その格好」
「・・・一気に質問するな」
クラウドはウンザリした表情でため息を吐いた。
「怪我は大丈夫だ。エアリスに助けてもらった。ここに来たのは公園でティファの姿を見たから。それとこの格好は・・・ここに入るには仕方なかった」
最後にいくにつれ、口調が沈んでいく。
「そう・・・」
ティファはホッとした表情でそう呟くと、エアリスの方へ歩み寄った。
「エアリスさん、クラウドを助けてくれてありがとう」
「ううん、わたしは何もしてないから」
「それより、どうしてここにいるか説明してくれ」
その言葉で、ティファはクラウドの方を向いた。
「ええ、でも・・・」
ティファは私とエアリスの方を見て口ごもる。
・・・私たちに聞かれたくない内容なのだろう。
「私たち、向こうで耳を塞いでるから。行こう、エアリス」
「うん」
私とエアリスは、部屋の隅へ移動する。
でも、どんな話なんだろう。
非常に興味をそそられながらも、私は両手で耳を塞いだ。
しかし・・・
「えっと、どこから話せばいいのかな・・・。あの後、私たちアバランチのアジトに帰ったの。そうしたら、アジトの側に変な男の人がいて、バレットが捕まえて口を割らせたのね」
「・・・それで、コルネオの名前が出てきたのか」
「ええ。コルネオは手下を使って私たちのことを調べてたみたい。バレットは放っておけって言うんだけど、私、気になっちゃって・・・」
「でも、一人でここへ来てどうするつもりだったんだ?」
「コルネオは毎晩、三人の女の子の中から一人を選んで、その・・・。 ・・・うん、そんな噂が立ってたから、それに選ばれて直接彼と会って白状させようと思ったの。でも、それに選ばれないとアウトなのよ」
「そうか・・・」
無理です。
・・・いや、聞くつもりはなかったんだけど、ね。
こんな狭い部屋で、いくら最大限に離れて耳を塞いでたからって、二人の会話が聞こえてこないわけがない。
「あの~、聞こえちゃったんだけど・・・」
エアリスは恐る恐るクラウド達に言った。
私も二人に向かって軽く頭を下げる。
「ごめんなさい、聞くつもりはなかったんだけど・・・」
「でもね、3人選ばれる内のあと2人が味方だったら、問題ないんじゃないかな?」
エアリスの言葉に、ティファとクラウドは驚いた表情を見せる。
・・・やっぱり、言い出すと思った。
「でも、3人でいいんでしょ? なら、エアリスはここにいて。私とティファさんとクラウドで丁度3人になるし・・・」
「おーい、お嬢ちゃん達!」
外から、さっきの男の人の声が聞こえてきた。
「もうすぐドンの所に案内するから、もうちょっと待ってて! 今夜は特別に4人の中から1人選ぶそうだから!」
・・・。
「やっぱり、わたしも行かなきゃ、だね」
だから、何でそんなに嬉しそうに言うのかなぁ・・・。
私はため息をつく。
好奇心旺盛なのはいいけど、もう少し自分の身の危険を考えて欲しい。
「・・・本当に、いいの?」
ティファが神妙な面持ちで、恐る恐る尋ねてくる。
私とエアリスは、同時に頷いた。
「わたしでよければ、いくらでも協力するよ」
「私も」
・・・と言うより、今更逃げられない気がする。
今できるのは、エアリスが選ばれないことを祈るくらいだ。
私たちの反応を見て、ティファは微笑みながら頷いた。
「ありがとう、エアリスさん、ミキさん」
「エアリスでいいよ」
「私も、ミキって呼んで」
でも、コルネオか・・・。
私は軽く顔を伏せる。
裏社会では結構有名みたいだけど、どんなやつなんだろう。
私も、出来れば選ばれたくないな・・・。
話がまとまったとき、ドアが音を立てて開かれた。
「さあ、時間だ。ついてきてくれ」
私たちは男性の後を追って歩き出す。
「・・・絶対、無茶はするんじゃないぞ」
「分かってるよ」
クラウドがエアリスに近寄り小声で囁くと、エアリスは嬉しそうに頷いた。
・・・なんか、いい感じ?
でもクラウド、幼馴染みのことは心配しなくていいのかな。
チラリとティファを見ると、彼女は少し悲しそうな表情を浮かべていた。
やっぱり、ティファもクラウドのこと――――。
私達は、変な置物ばかりが飾られている奇妙な廊下を歩いていった。