エアリスの家のベッドに寝転びながら、ぼぉっと天井を見つめていた。
　・・・彼女にばれないように家を出て行けと言われた。
　七番街へは、あのミキという女性が連れて行ってくれるようだ。
　エアリスは不満そうだったが、ミキと彼女の母親が上手く言いくるめるのだろう。
　しかし・・・何故、タークスはエアリスを追っているのか。
　それがずっと引っ掛かっていた。
　タークスは主にソルジャーの勧誘と社長の護衛など、ソルジャーには任せられないような仕事でないと動かない。
　一体、エアリスは何者なんだろうか。
　・・・気にはなるが、ここで考えても答えは出ないだろう。
　出発まで少し眠ろう。
　そう思い、目を閉じたときだった。
『・・・大分、あれだな。疲れてるみたいだな』
　！？
『ちゃんとしたベットなんて久しぶりだ』
　また、あの声――――。
『あの日以来じゃないか？』
　あの日。
　確か・・・五年前、俺が久しぶりに故郷へ帰ったとき・・・。

　俺は久々に自宅のベッドに寝転び、何を考えるでもなく天井を見つめていた。
「本当に立派になったねぇ」
　側で母さんが感傷深げに俺を見つめている。
　嫌ではなかったが、少し気まずかった。
「こんなんじゃ、あれだろう、女の子も放っておかないだろう？」
「・・・別に」
　俺の素っ気ない態度に、母さんは顔を曇らせる。
「・・・心配なんだよ。都会には色々誘惑も多いんだろう？　せめてちゃんとした彼女がいてくれたら、母さん、少しは安心できるってもんなんだけどね」
　彼女、か。
　・・・興味がなかった。
　帰ってきてすぐそんな話をされるのも、少し不快だった。
「俺は大丈夫だ」
「・・・本当かい？　あんたには、ちょっとお姉さんであんたをグイグイ引っ張っていってくれる、そんな女の子がピッタリだと思うんだけどね」

　目を開けた。
　・・・いつの間にか寝てしまっていたようだ。
　もう、あの声も聞こえない。
「クラウド・・・。起きてる？」
　扉の外から、小さな声が聞こえてきた。
　・・・ミキの声だ。
　俺は立ち上がると、剣を背負い、扉の方へ歩み寄った。