教会に咲く花
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「はっ! てやっ! えいっ・・・!」
一発ぐらい攻撃を当ててやろうと必死でロッドを振り続けるが、彼はその全てを剣で軽く受け流していた。
私はもう汗だくなのに、彼は涼しい顔で息も全く乱れていない。
そのくせ、一撃も反撃してこないのが憎たらしかった。
「あなたも攻撃しなさいよ!」
たまらずにそう叫んだ。
だが、相手は口元を緩めながら肩を竦める。
「俺が攻撃したら、あんたはあっさりやられちまう。そうなったら鍛練になんないだろ?」
「相手の攻撃を避ける練習も必要なんじゃないの!?」
「教える順番ってのがあるんだよ。お前、自分から俺に鍛練してくれって言いに来たんだから黙って俺の言うこと聞いとけって」
「・・・」
私は口を噤んだ。
・・・そう言われたら反論できない。
鍛練中に突然現れた彼がソルジャーだと聞いて、鍛練をしてくれと頼んだのだ。
あれから数日、彼と組み手をしているが、私はまだ一発も彼を攻撃できていない。
・・・悔しかった。
エアリスがタークスに追われているから、私がエアリスを守らなきゃって思って、小さい頃から必死に訓練してきた。
確かに私はまだ13歳だし、4歳も年上で、そのうえ現役のソルジャーの彼に敵うとは思わない。
だけど・・・これだけ手応えがないと、今までやってきたことが全部否定されてるみたいで――――。
「もう一回! 今度こそ膝をつかせてやるんだから・・・!」
「そういうことは一発でも俺を殴れてから言えって」
彼は声を上げて笑った。
笑い事じゃない。
こっちは本気なんだ。
「行くわよっ!」
「待て待て」
何故か、彼はそう言った。
「・・・何よ」
「一週間ぐらい組み手をしてきたが、お前がやってんのは攻撃じゃない」
「はぁ?」
「ただ相手に突っ込んでいくのが攻撃じゃない。お前は無謀な捨て身タックルしてるだけだ」
捨て身タックルって・・・。
接近戦で相手を攻撃するって、そういうことじゃないの?
「いいか? 強くなりたきゃ、まず自分の特技を行かした戦法を考えろ。マテリアを使って魔法で翻弄させたり、スピードを生かして相手の死角を狙ったり・・・。方法はいくらでもある。その中で、自分に一番合ったスタイルを探すんだ」
「・・・」
・・・一番、私に合ったスタイル――――。
私は彼から視線を逸らすと、少しだけ俯いた。
・・・私は何故か、小さいときからマテリアを使わなくても魔法が使える。
小柄だから、スピードにもそれなりに自信がある。
戦局に応じて臨機応変に動きを変えることも、訓練すれば出来るはずだ。
自分の長所を最大限に生かすこと。
それが、強くなるということ――――?
「分かったか?」
「・・・うん」
コクリと頷く。
やってみよう、と思った。
今までは、自分に足りないことを必死に補おうとしていた。
私は女で、パワーが足りないから、もっと力を付けよう。
すぐに力負けしてしまうから、彼にも勝てない。
・・・そんな風にばかり考えていた。
でも、違うんだ。
パワーが無いなら、数を打てばいい。
力負けするなら、遠くから魔法を使えばいい。
弱点は、長所でいくらでもカバーできる。
「ミキー!」
エアリスの声が聞こえてきた。
大きなバスケットを持ち、こちらに駆けてくる。
「鍛練、終わった? お昼ご飯、持ってきたんだけど・・・」
「おっ! 昼飯か! ミキ、今日の鍛練は終わりだ」
「ちょっと・・・!」
「後は自主練。俺の言ったこと、忘れんなよ」
思わず溜め息が出た。
まぁ・・・いっか。
大切なこと、教わったし。
「ほら、ミキも一緒に食べよ」
エアリスがバスケットの中からサンドウィッチを取り出しながら微笑む。
その隣に彼が腰掛け、嬉しそうにそれを見つめている――――。
何故か、胸が苦しくなった。
「・・・私はいいや」
思わず、そう言ってしまった。
「ミキ・・・? 食べないの?」
「うん。私は後で食べる」
それだけ言い残し、私はその場を離れた。
・・・邪魔しちゃいけない。
エアリスは彼に会ってから、明るくなった。
いつも家で楽しそうに彼の話をしてくれた。
今日のお弁当だって、彼のために慣れない手つきで作った物だろう。
・・・邪魔しちゃ、いけない。
私が入り込む余地なんて・・・無いんだから。
一発ぐらい攻撃を当ててやろうと必死でロッドを振り続けるが、彼はその全てを剣で軽く受け流していた。
私はもう汗だくなのに、彼は涼しい顔で息も全く乱れていない。
そのくせ、一撃も反撃してこないのが憎たらしかった。
「あなたも攻撃しなさいよ!」
たまらずにそう叫んだ。
だが、相手は口元を緩めながら肩を竦める。
「俺が攻撃したら、あんたはあっさりやられちまう。そうなったら鍛練になんないだろ?」
「相手の攻撃を避ける練習も必要なんじゃないの!?」
「教える順番ってのがあるんだよ。お前、自分から俺に鍛練してくれって言いに来たんだから黙って俺の言うこと聞いとけって」
「・・・」
私は口を噤んだ。
・・・そう言われたら反論できない。
鍛練中に突然現れた彼がソルジャーだと聞いて、鍛練をしてくれと頼んだのだ。
あれから数日、彼と組み手をしているが、私はまだ一発も彼を攻撃できていない。
・・・悔しかった。
エアリスがタークスに追われているから、私がエアリスを守らなきゃって思って、小さい頃から必死に訓練してきた。
確かに私はまだ13歳だし、4歳も年上で、そのうえ現役のソルジャーの彼に敵うとは思わない。
だけど・・・これだけ手応えがないと、今までやってきたことが全部否定されてるみたいで――――。
「もう一回! 今度こそ膝をつかせてやるんだから・・・!」
「そういうことは一発でも俺を殴れてから言えって」
彼は声を上げて笑った。
笑い事じゃない。
こっちは本気なんだ。
「行くわよっ!」
「待て待て」
何故か、彼はそう言った。
「・・・何よ」
「一週間ぐらい組み手をしてきたが、お前がやってんのは攻撃じゃない」
「はぁ?」
「ただ相手に突っ込んでいくのが攻撃じゃない。お前は無謀な捨て身タックルしてるだけだ」
捨て身タックルって・・・。
接近戦で相手を攻撃するって、そういうことじゃないの?
「いいか? 強くなりたきゃ、まず自分の特技を行かした戦法を考えろ。マテリアを使って魔法で翻弄させたり、スピードを生かして相手の死角を狙ったり・・・。方法はいくらでもある。その中で、自分に一番合ったスタイルを探すんだ」
「・・・」
・・・一番、私に合ったスタイル――――。
私は彼から視線を逸らすと、少しだけ俯いた。
・・・私は何故か、小さいときからマテリアを使わなくても魔法が使える。
小柄だから、スピードにもそれなりに自信がある。
戦局に応じて臨機応変に動きを変えることも、訓練すれば出来るはずだ。
自分の長所を最大限に生かすこと。
それが、強くなるということ――――?
「分かったか?」
「・・・うん」
コクリと頷く。
やってみよう、と思った。
今までは、自分に足りないことを必死に補おうとしていた。
私は女で、パワーが足りないから、もっと力を付けよう。
すぐに力負けしてしまうから、彼にも勝てない。
・・・そんな風にばかり考えていた。
でも、違うんだ。
パワーが無いなら、数を打てばいい。
力負けするなら、遠くから魔法を使えばいい。
弱点は、長所でいくらでもカバーできる。
「ミキー!」
エアリスの声が聞こえてきた。
大きなバスケットを持ち、こちらに駆けてくる。
「鍛練、終わった? お昼ご飯、持ってきたんだけど・・・」
「おっ! 昼飯か! ミキ、今日の鍛練は終わりだ」
「ちょっと・・・!」
「後は自主練。俺の言ったこと、忘れんなよ」
思わず溜め息が出た。
まぁ・・・いっか。
大切なこと、教わったし。
「ほら、ミキも一緒に食べよ」
エアリスがバスケットの中からサンドウィッチを取り出しながら微笑む。
その隣に彼が腰掛け、嬉しそうにそれを見つめている――――。
何故か、胸が苦しくなった。
「・・・私はいいや」
思わず、そう言ってしまった。
「ミキ・・・? 食べないの?」
「うん。私は後で食べる」
それだけ言い残し、私はその場を離れた。
・・・邪魔しちゃいけない。
エアリスは彼に会ってから、明るくなった。
いつも家で楽しそうに彼の話をしてくれた。
今日のお弁当だって、彼のために慣れない手つきで作った物だろう。
・・・邪魔しちゃ、いけない。
私が入り込む余地なんて・・・無いんだから。