列車が汽笛を上げながら、ゆっくりと止まった。
　閉じていた瞳を開け、側に置いてあった剣を手に立ち上がる。
　・・・外から銃声が聞こえてくる。
　側にある梯子を登り、列車の荷台の屋根に上がった。
　外に出て真っ先に目に入ったのは、巨大な魔晄炉。
　魔晄炉とは、神羅カンパニーが所有する発電所のようなものだ。
　俺はアバランチとかいう小さな反神羅組織に雇われた。
　ミッションは、この壱番魔晄炉の破壊。
「おい、新入り！　早く下りてこい！」
　下から声が聞こえる。
　俺は屋根から飛び降り、プラットホームに着地した。
　地面に数人の警備兵が横たわっている。
　どうやら、ここにいた警備兵は全員倒したようだ。
　恐らくこの男がやったんだろう。
　俺の前に仁王立ちする褐色肌の体格の良い男は、本来右腕があるはずの部分が銃になっていた。
　右腕の肘から下が無く、そこにマシンガンが取り付けてある。
「オレについてこい！　絶対に遅れんなよ！」
　男はそう言い残すと、振り返って走り出そうとする。
　しかしその直前、一瞬だけこちらを向くと、あからさまに不満そうな表情で舌打ちをした。
「元ソルジャー・・・。チッ気にいらねぇ」
　ソルジャー。
　神羅が所有する有能な戦闘員の名前だ。
　俺は元々神羅に属していた。
　だが今は、反神羅組織に雇われた身としてここにいる。
　それをこの男は気に入らないのだろう。
　だが、そんなことはどうでもよかった。
　俺は報酬さえもらえればそれでいい。
　先に走り出した男の後を追って、俺も駆け出した。