罠
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「あの非常口から外へ出られる!」
バレットは走りながら、前方に見えてきた扉を指差した。
爆発まであと5分といったところか。
・・・やはり、順調すぎる。
「ねえ、クラウド。なんだか・・・簡単すぎない?」
バレットと違って、ティファは違和感があったようだ。
俺はそっと頷く。
「警備が甘すぎる。もしかしたら、神羅が何か企んでいるのかも・・・」
そこまで言ったとき、前方を走っていたバレットが足を止めて銃を構えた。
「な、何だ!?」
・・・非常口から、大量のソルジャーが出てきた。
やはり、罠・・・?
「こっちからも!」
ティファが後方を見ながら叫ぶ。
後ろからもソルジャーが来て、こちらに向けて武器を構えていた。
この通路は吹き出しになっていて、壁や屋根には覆われていない。
空中に通路だけが渡らせてある作りになっていた。
その通路も、人がギリギリ3人並んで歩けるほどの幅しかない。
・・・こんな所で戦っても、あっという間に捕まるのがおちだ。
俺は舌打ちをしながらも、剣を構える。
その時、茶色のスーツに身を包んだ、明らかにソルジャーとは違う男が姿を現した。
あいつは・・・知っている。
確か、神羅の社長・・・。
ティファは、信じられないという表情で男を見つめた。
「どうして、こんな所に彼が――――」
「てめぇは・・・! プレジデントだな!?」
バレットが男に向かって銃を構えながら叫ぶ。
神羅の社長、プレジデント。
ただの兵器開発会社でしかなかった神羅を、一代でここまで成長させた凄腕の経営者。
そのプレジデントは、珍しいものを見るような目で俺たちを順々に見つめた。
「ほう。君たちがあれかね。反神羅組織をしているという・・・」
「アバランチだ!」
バレットの叫びに、プレジデントは肩をすくめた。
「・・・全く、迷惑な話だ。君たちのおかげで我々がどれほどの損害を被っているか」
「へっ、ざまぁみろ! ここももうすぐドカンだぜ!」
「そのようだな・・・」
プレジデントは、特に興味もなさそうに魔晄炉を見上げた。
「ウジ虫を始末するには少し高価すぎる花火だが・・・」
「・・・ウジ虫、だと? 言うに事欠いてウジ虫だと!?」
バレットが怒りを露わにする。
・・・これでは相手に乗せられるだけだ。
こいつは、もう少し感情を抑えることを覚えた方がいい。
「オレ達がウジ虫ならお前らは星に群がる寄生虫じゃねぇか!」
「ほう、寄生虫とは」
プレジデントは口元にうっすらと笑みを浮かべるが――――目は、全く笑っていなかった。
「久しぶりだな、プレジデント」
俺はバレットの前に歩み出た。
やつはバレットから俺に視線を移す。
「君がアバランチに協力しているとかいうソルジャーか。 ・・・なるほど、確かにその目の輝きはソルジャーのものだ。裏切り者の名は何といったかな?」
「・・・クラウドだ」
「悪いが」
プレジデントは軽く肩をすくめた。
「ソルジャーの名前なんぞはいちいち覚えていないからな。せめてセフィロスぐらい優秀なソルジャーになってもらわねば」
・・・セフィロス。
今日はやけによく聞く名前だ。
プレジデントは、ジッとどこかを見つめた。
「セフィロス・・・優秀なソルジャーだった。そう、優秀すぎる、な――――」
「セフィロスなんぞ、今はどうでもいい! おい、プレジデント! ここへ来たのが運の尽きだったな! 今ここで、お前を撃ち殺してやる!!」
バレットはそう言い放つと、プレジデントに向けて銃を乱射した。
しかし、すかさずソルジャーがやつの前に飛び出し、全ての弾を刀で防ぐ。
「これ以上君たちに構っている暇はない。私はこれから会食の約束があるのでな」
「・・・会食だと? ふざけんな!」
「君たちの相手はこれで充分だ」
そう言いながらパチンと指を鳴らした瞬間、全長2メートルほどの機械がこちらに走ってきた。
・・・神羅の戦闘機だ。
「待て!」
機械の方に気を取られているうちに、プレジデントはヘリに乗って去って行ってしまった。
気がつくと、先程まで群がっていたソルジャーも、1人もいない。
・・・やはり、はめられたようだ。
この機械を倒さない限り、俺たちも脱出できない。
「クラウド! これもソルジャーなの!?」
ティファの問に、俺は思わず肩をすくめた。
「まさか。ただの鉄のかたまりだ」
「さっさと倒して逃げないとやべえぞ!」
確かに、爆破まであと3分といったところか。
・・・速攻でけりを付ける。
俺は剣を構えると、機械の方へ走り寄った。
機械は銃を撃ってくるが、身を翻して全てかわす。
懐へ潜り込むと、剣を縦横無尽に走らせた。
切り上げ、振り下ろし、振り切り・・・。
ガキン!といういい音が鳴り響くが、手応えがない。
「クラウド、離れろ!」
バレットの声に反応し、機械から離れた瞬間、先程まで俺が切っていた場所に銃が乱射された。
「うおおおぉおりゃああぁあ!!!」
盛大な叫びを上げながら撃ち続ける。
その隙に、ティファが機械の後ろに回り込んだ。
一瞬動きを止めて構えのポーズを取ると、右腕を勢いよく前へ突き出し、機械を殴った。
「はああぁぁ・・・!」
気合いの雄叫びと共に、ティファの攻撃は続いた。
右手で殴った後、左腕を突き出し殴る。
そのまま右足を軸にして体を回転させ、勢いに乗ったまま左足で蹴る。
一度体勢を整え直すと、バク転の動きで相手を蹴り上げながら空中回転を決め、浮いたまま体をひねり、かかと落としでフィニッシュ。
・・・この一連の動作を、数秒の内にやってのけた。
流れるようなフォームだ。
無駄が一切無い。
「クラウド!」
ティファの叫びと同時に、俺は剣を振りかぶりながら機械に駆け寄った。
機械の目の前で動きを止めると、右上から左下へ振り切るように斬りつける。
「終わりだ」
その呟きとと共に、『凶』の字を書くように剣を振る。
最後の一画を書き終わると、機械は動かなくなった。
「これで・・・とどめ!!」
ティファの声と同時に、機械の上に落雷が起きた。
・・・雷の魔法。
俺はティファを振り返った。
得意げに微笑んでいる顔を見るに、早速マテリアが役に立ったようだ。
「よっしゃあ! 倒したぜ! 早く脱出しねえと・・・」
しかし、次の瞬間。
機械が、爆発した。
「なっ・・・!?」
「っ!?」
「クラウド!!」
機械の爆破のせいで、通路が一部吹き飛ばされる。
・・・俺も、巻き込まれた。
立っていた場所が崩れ、宙に投げ出される。
すんでの所で崩れた通路から飛び出た鉄柱に捕まったが・・・このままでは、どうしようもない。
「くっ・・・!」
何とか上へ這い上がろうとしたが、駄目だ。
これを離したら、数百メートル下の地面に叩き付けられる。
「バレット、クラウドを助けて!」
「・・・いや、これはどうしようもねえ」
「そんな――――!」
焦るティファとは対照的に、バレットは無情にもそう言い放つ。
俺に恨みがあるからかもしれないが・・・バレットでなくても、この状況では助けようがないだろう。
2人がいる位置からでは、ここには手は届かない。
「くそっ・・・」
「クラウド!」
ティファが必死の表情でこちらに手を伸ばしてくる。
・・・もうすぐ爆発の時間が来る。
ここにいては、ティファも危ない。
「バレット! ティファを安全な場所へ・・・!」
「・・・へぇ。自分がそんな状態でも幼馴染みをかばうんだな。短い間だったが、世話になった」
「どうでもいいから、早く行け!」
「そうさせてもらうぜ。達者でな。行くぞ、ティファ」
「待って、バレット!」
バレットはティファの腕を掴むが、彼女はそれを振り払った。
落ちそうになるくらい思い切り、こちらに手を伸ばしてくる。
「クラウド! なんとかして生きて! 死んじゃダメ・・・! 話したいことがたくさんあるの!」
・・・俺だって死にたくない。
だが、この状況では――――。
その時、通路に大きな振動が走った。
・・・爆破が始まったんだ。
再び、先程よりも大きな揺れが通路を伝う。
その瞬間、
「クラウド――――!」
俺の手は、鉄柱から離れた。
「いやああぁぁ・・・!!」
ティファの叫びが聞こえる。
今にも泣き出しそうな表情で身を乗り出すティファを、バレットが押さえている。
俺は、落ちていった。
どこまでも・・・落ちていった。
何故か、やたらとゆっくりな感じがした。
バレットは走りながら、前方に見えてきた扉を指差した。
爆発まであと5分といったところか。
・・・やはり、順調すぎる。
「ねえ、クラウド。なんだか・・・簡単すぎない?」
バレットと違って、ティファは違和感があったようだ。
俺はそっと頷く。
「警備が甘すぎる。もしかしたら、神羅が何か企んでいるのかも・・・」
そこまで言ったとき、前方を走っていたバレットが足を止めて銃を構えた。
「な、何だ!?」
・・・非常口から、大量のソルジャーが出てきた。
やはり、罠・・・?
「こっちからも!」
ティファが後方を見ながら叫ぶ。
後ろからもソルジャーが来て、こちらに向けて武器を構えていた。
この通路は吹き出しになっていて、壁や屋根には覆われていない。
空中に通路だけが渡らせてある作りになっていた。
その通路も、人がギリギリ3人並んで歩けるほどの幅しかない。
・・・こんな所で戦っても、あっという間に捕まるのがおちだ。
俺は舌打ちをしながらも、剣を構える。
その時、茶色のスーツに身を包んだ、明らかにソルジャーとは違う男が姿を現した。
あいつは・・・知っている。
確か、神羅の社長・・・。
ティファは、信じられないという表情で男を見つめた。
「どうして、こんな所に彼が――――」
「てめぇは・・・! プレジデントだな!?」
バレットが男に向かって銃を構えながら叫ぶ。
神羅の社長、プレジデント。
ただの兵器開発会社でしかなかった神羅を、一代でここまで成長させた凄腕の経営者。
そのプレジデントは、珍しいものを見るような目で俺たちを順々に見つめた。
「ほう。君たちがあれかね。反神羅組織をしているという・・・」
「アバランチだ!」
バレットの叫びに、プレジデントは肩をすくめた。
「・・・全く、迷惑な話だ。君たちのおかげで我々がどれほどの損害を被っているか」
「へっ、ざまぁみろ! ここももうすぐドカンだぜ!」
「そのようだな・・・」
プレジデントは、特に興味もなさそうに魔晄炉を見上げた。
「ウジ虫を始末するには少し高価すぎる花火だが・・・」
「・・・ウジ虫、だと? 言うに事欠いてウジ虫だと!?」
バレットが怒りを露わにする。
・・・これでは相手に乗せられるだけだ。
こいつは、もう少し感情を抑えることを覚えた方がいい。
「オレ達がウジ虫ならお前らは星に群がる寄生虫じゃねぇか!」
「ほう、寄生虫とは」
プレジデントは口元にうっすらと笑みを浮かべるが――――目は、全く笑っていなかった。
「久しぶりだな、プレジデント」
俺はバレットの前に歩み出た。
やつはバレットから俺に視線を移す。
「君がアバランチに協力しているとかいうソルジャーか。 ・・・なるほど、確かにその目の輝きはソルジャーのものだ。裏切り者の名は何といったかな?」
「・・・クラウドだ」
「悪いが」
プレジデントは軽く肩をすくめた。
「ソルジャーの名前なんぞはいちいち覚えていないからな。せめてセフィロスぐらい優秀なソルジャーになってもらわねば」
・・・セフィロス。
今日はやけによく聞く名前だ。
プレジデントは、ジッとどこかを見つめた。
「セフィロス・・・優秀なソルジャーだった。そう、優秀すぎる、な――――」
「セフィロスなんぞ、今はどうでもいい! おい、プレジデント! ここへ来たのが運の尽きだったな! 今ここで、お前を撃ち殺してやる!!」
バレットはそう言い放つと、プレジデントに向けて銃を乱射した。
しかし、すかさずソルジャーがやつの前に飛び出し、全ての弾を刀で防ぐ。
「これ以上君たちに構っている暇はない。私はこれから会食の約束があるのでな」
「・・・会食だと? ふざけんな!」
「君たちの相手はこれで充分だ」
そう言いながらパチンと指を鳴らした瞬間、全長2メートルほどの機械がこちらに走ってきた。
・・・神羅の戦闘機だ。
「待て!」
機械の方に気を取られているうちに、プレジデントはヘリに乗って去って行ってしまった。
気がつくと、先程まで群がっていたソルジャーも、1人もいない。
・・・やはり、はめられたようだ。
この機械を倒さない限り、俺たちも脱出できない。
「クラウド! これもソルジャーなの!?」
ティファの問に、俺は思わず肩をすくめた。
「まさか。ただの鉄のかたまりだ」
「さっさと倒して逃げないとやべえぞ!」
確かに、爆破まであと3分といったところか。
・・・速攻でけりを付ける。
俺は剣を構えると、機械の方へ走り寄った。
機械は銃を撃ってくるが、身を翻して全てかわす。
懐へ潜り込むと、剣を縦横無尽に走らせた。
切り上げ、振り下ろし、振り切り・・・。
ガキン!といういい音が鳴り響くが、手応えがない。
「クラウド、離れろ!」
バレットの声に反応し、機械から離れた瞬間、先程まで俺が切っていた場所に銃が乱射された。
「うおおおぉおりゃああぁあ!!!」
盛大な叫びを上げながら撃ち続ける。
その隙に、ティファが機械の後ろに回り込んだ。
一瞬動きを止めて構えのポーズを取ると、右腕を勢いよく前へ突き出し、機械を殴った。
「はああぁぁ・・・!」
気合いの雄叫びと共に、ティファの攻撃は続いた。
右手で殴った後、左腕を突き出し殴る。
そのまま右足を軸にして体を回転させ、勢いに乗ったまま左足で蹴る。
一度体勢を整え直すと、バク転の動きで相手を蹴り上げながら空中回転を決め、浮いたまま体をひねり、かかと落としでフィニッシュ。
・・・この一連の動作を、数秒の内にやってのけた。
流れるようなフォームだ。
無駄が一切無い。
「クラウド!」
ティファの叫びと同時に、俺は剣を振りかぶりながら機械に駆け寄った。
機械の目の前で動きを止めると、右上から左下へ振り切るように斬りつける。
「終わりだ」
その呟きとと共に、『凶』の字を書くように剣を振る。
最後の一画を書き終わると、機械は動かなくなった。
「これで・・・とどめ!!」
ティファの声と同時に、機械の上に落雷が起きた。
・・・雷の魔法。
俺はティファを振り返った。
得意げに微笑んでいる顔を見るに、早速マテリアが役に立ったようだ。
「よっしゃあ! 倒したぜ! 早く脱出しねえと・・・」
しかし、次の瞬間。
機械が、爆発した。
「なっ・・・!?」
「っ!?」
「クラウド!!」
機械の爆破のせいで、通路が一部吹き飛ばされる。
・・・俺も、巻き込まれた。
立っていた場所が崩れ、宙に投げ出される。
すんでの所で崩れた通路から飛び出た鉄柱に捕まったが・・・このままでは、どうしようもない。
「くっ・・・!」
何とか上へ這い上がろうとしたが、駄目だ。
これを離したら、数百メートル下の地面に叩き付けられる。
「バレット、クラウドを助けて!」
「・・・いや、これはどうしようもねえ」
「そんな――――!」
焦るティファとは対照的に、バレットは無情にもそう言い放つ。
俺に恨みがあるからかもしれないが・・・バレットでなくても、この状況では助けようがないだろう。
2人がいる位置からでは、ここには手は届かない。
「くそっ・・・」
「クラウド!」
ティファが必死の表情でこちらに手を伸ばしてくる。
・・・もうすぐ爆発の時間が来る。
ここにいては、ティファも危ない。
「バレット! ティファを安全な場所へ・・・!」
「・・・へぇ。自分がそんな状態でも幼馴染みをかばうんだな。短い間だったが、世話になった」
「どうでもいいから、早く行け!」
「そうさせてもらうぜ。達者でな。行くぞ、ティファ」
「待って、バレット!」
バレットはティファの腕を掴むが、彼女はそれを振り払った。
落ちそうになるくらい思い切り、こちらに手を伸ばしてくる。
「クラウド! なんとかして生きて! 死んじゃダメ・・・! 話したいことがたくさんあるの!」
・・・俺だって死にたくない。
だが、この状況では――――。
その時、通路に大きな振動が走った。
・・・爆破が始まったんだ。
再び、先程よりも大きな揺れが通路を伝う。
その瞬間、
「クラウド――――!」
俺の手は、鉄柱から離れた。
「いやああぁぁ・・・!!」
ティファの叫びが聞こえる。
今にも泣き出しそうな表情で身を乗り出すティファを、バレットが押さえている。
俺は、落ちていった。
どこまでも・・・落ちていった。
何故か、やたらとゆっくりな感じがした。