罠
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「いいか!? 今日のミッションは伍番魔晄炉の爆破だ!」
バレットが大声で叫ぶ。
車両の中に俺とティファ以外誰も乗っていないからいいが、大声で叫ぶような事ではない。
俺は軽く顔をしかめた。
「・・・昨日も聞いたぞ」
「最終確認だ! 打合せにミスがあったら取り返しがつかねえからな!」
・・・普段は問題ありなほど大雑把なくせに、変なところにはこだわるらしい。
「オレ達はこの列車に乗って伍番魔晄炉付近まで向かう。途中で列車から飛び降りて、地下から魔晄炉に入り込む。ジェシー達もこの列車に乗ってるから、オレ達のバックアップをしてくれるはずだ」
列車から飛び降りる。
初め聞いたときは驚いた。
よくもまぁそんな大胆なことをしようと思うものだ。
「以上だ! ミスるんじゃねぇぞ!」
「・・・それはお前だ」
「あぁ!? 何か言ったか!?」
「何も」
目を閉じながら肩を竦める。
・・・恐らく昨日よりは警備は厳重になっているだろう。
昨日あんな事があった後で何の対処法も考えないほど神羅も馬鹿ではない。
もしかしたら、ソルジャーも派遣されているかもしれない。
・・・今回はあまり気を抜いていられないだろう。
「ティファ。これを持っておけ」
「えっ? これって・・・」
俺はポケットから、淡い緑色をした、ピンポン球ほどの丸い水晶のようなものを取り出した。
「マテリア・・・?」
ティファの呟きに、俺は頷く。
マテリアを持っていれば、そのマテリアに秘められた魔法の力を使うことが出来る。
炎のマテリアなら火を、地のマテリアなら地震を呼び起こす。
その人の魔法の潜在能力によって威力は異なるが、持っていないよりは心強いだろう。
「雷のマテリアだ。使い方は知ってるよな?」
「うん。でも、借りてもいいの? これ、クラウドのでしょ?」
「俺はいい」
ティファがどれほど戦えるのかは知らないが、何かあったときのために渡しておく方がいいと思った。
何故かティファは、とても嬉しそうな表情で、ジッとマテリアを見つめていた。
「・・・どうした?」
思わず声を掛けるが、ティファは小さく首を横に振る。
「ううん。ありがとう、クラウド」
「・・・」
彼女から目を逸らした。
・・・感謝の言葉を言われると、何となく気まずい。
恐らく、慣れていないからだろう。
「ねぇ、クラウド。ソルジャーになったときの話、聞かせてよ」
唐突に、ティファはそう言ってきた。
「え・・・?」
「まだ飛び降りるまで時間があるから。やっぱり、大変だった? 一度じゃ受からなかったでしょ?」
「いや・・・」
何故か俺は動揺してしまった。
ソルジャーになる方法?
・・・そんなこと、聞いてどうするんだ。
「・・・極秘事項だ」
「えーっ! いいじゃない、もう神羅をやめたんでしょ? 少しくらい教えてくれたって・・・」
その時、辺りに昨日と同じ警戒音が鳴り響いた。
昨日のIDチェックのエリアに入ったのかと思ったが・・・少し、様子がおかしい。
『緊急事態発生。緊急事態発生。列車内にて、確認不可のIDを発見しました。これより持ち主特定のため、各車両をロックしていきます。繰り返します。緊急事態発生。緊急事態発生――――』
「おい、どういうことだ!?」
バレットが叫びながら辺りを見回す。
確認不可のID・・・。
恐らく、アバランチの誰かだろう。
・・・やばいな。
こんな所で車両をロックされたら逃げようがない。
「みんな!」
ジェシーが隣の車両から飛び込んできた。
「早く、こっちへ! 前の車両へ移って!」
「ジェシー! 何があったの!?」
「説明は後! 早く!」
『確認不可ID場所特定完了。只今より5両目の車両をロックします』
5両目――――
ここだ。
「行くぞ!」
バレットの後を追って、俺たちも前の車両へ走る。
『5両目、ロック完了。続いて4両目のロックを行います』
「まだ続くのかよ・・・!」
「とにかく走って! 前へ前へ移動していくの!」
今はジェシーの言うことに従うしかない。
俺とバレットとティファは、とにかく走った。
3両目、2両目――――。
『全車両、ロック完了』
そのアナウンスが入ったとたん、俺たちは1両目の車両へ飛び込んだ。
・・・どうやら間に合ったようだ。
だが、これからどうすれば――――。
「バレットさん!」
ウェッジの声が聞こえた。
よく見ると・・・扉が1つだけ開いている。
「ウェッジ! ビッグス! よくやった!」
バレットは嬉しそうに2人の方へ駆け寄った。
・・・どうやらこの2人、ロックされる前に扉を1つこじ開けたようだ。
開けられたドアはロックしようがない。
「さあ、ここから飛び降りて! 伍番魔晄炉まではまだ少し距離があるけど、地下通路沿いに歩いていけば着くはずだから!」
ジェシーの言葉に、開かれた扉を見るが・・・列車は、かなり高スピードで走り続けている。
失敗すれば命は無いだろう。
「・・・少し、怖いかも」
案の定、ティファは怖じ気づいているようだった。
俺は思わずため息を吐く。
「時間がない。急げ」
「でも――――」
駄目だ。
完全に怯えている。
こういうとき・・・どう声を掛けたらいいのか、分からない。
「・・・大丈夫だ。ティファなら行ける」
「――――」
何の根拠もない。
無責任なことこの上ない言葉だが、ティファは吹っ切れたように「よしっ」と呟きながら頷いた。
「見てて、クラウド。私、飛ぶから!」
その言葉を残し、列車から飛び降りていった。
俺も飛び降りようとドアへ近づくが、その前にバレットを振り返った。
「あんたは来ないのか?」
「リーダーは最後まで残るもんだ!」
・・・リーダー、か。
俺はため息混じりに肩をすくめると、列車から飛び降りた。
バレットが大声で叫ぶ。
車両の中に俺とティファ以外誰も乗っていないからいいが、大声で叫ぶような事ではない。
俺は軽く顔をしかめた。
「・・・昨日も聞いたぞ」
「最終確認だ! 打合せにミスがあったら取り返しがつかねえからな!」
・・・普段は問題ありなほど大雑把なくせに、変なところにはこだわるらしい。
「オレ達はこの列車に乗って伍番魔晄炉付近まで向かう。途中で列車から飛び降りて、地下から魔晄炉に入り込む。ジェシー達もこの列車に乗ってるから、オレ達のバックアップをしてくれるはずだ」
列車から飛び降りる。
初め聞いたときは驚いた。
よくもまぁそんな大胆なことをしようと思うものだ。
「以上だ! ミスるんじゃねぇぞ!」
「・・・それはお前だ」
「あぁ!? 何か言ったか!?」
「何も」
目を閉じながら肩を竦める。
・・・恐らく昨日よりは警備は厳重になっているだろう。
昨日あんな事があった後で何の対処法も考えないほど神羅も馬鹿ではない。
もしかしたら、ソルジャーも派遣されているかもしれない。
・・・今回はあまり気を抜いていられないだろう。
「ティファ。これを持っておけ」
「えっ? これって・・・」
俺はポケットから、淡い緑色をした、ピンポン球ほどの丸い水晶のようなものを取り出した。
「マテリア・・・?」
ティファの呟きに、俺は頷く。
マテリアを持っていれば、そのマテリアに秘められた魔法の力を使うことが出来る。
炎のマテリアなら火を、地のマテリアなら地震を呼び起こす。
その人の魔法の潜在能力によって威力は異なるが、持っていないよりは心強いだろう。
「雷のマテリアだ。使い方は知ってるよな?」
「うん。でも、借りてもいいの? これ、クラウドのでしょ?」
「俺はいい」
ティファがどれほど戦えるのかは知らないが、何かあったときのために渡しておく方がいいと思った。
何故かティファは、とても嬉しそうな表情で、ジッとマテリアを見つめていた。
「・・・どうした?」
思わず声を掛けるが、ティファは小さく首を横に振る。
「ううん。ありがとう、クラウド」
「・・・」
彼女から目を逸らした。
・・・感謝の言葉を言われると、何となく気まずい。
恐らく、慣れていないからだろう。
「ねぇ、クラウド。ソルジャーになったときの話、聞かせてよ」
唐突に、ティファはそう言ってきた。
「え・・・?」
「まだ飛び降りるまで時間があるから。やっぱり、大変だった? 一度じゃ受からなかったでしょ?」
「いや・・・」
何故か俺は動揺してしまった。
ソルジャーになる方法?
・・・そんなこと、聞いてどうするんだ。
「・・・極秘事項だ」
「えーっ! いいじゃない、もう神羅をやめたんでしょ? 少しくらい教えてくれたって・・・」
その時、辺りに昨日と同じ警戒音が鳴り響いた。
昨日のIDチェックのエリアに入ったのかと思ったが・・・少し、様子がおかしい。
『緊急事態発生。緊急事態発生。列車内にて、確認不可のIDを発見しました。これより持ち主特定のため、各車両をロックしていきます。繰り返します。緊急事態発生。緊急事態発生――――』
「おい、どういうことだ!?」
バレットが叫びながら辺りを見回す。
確認不可のID・・・。
恐らく、アバランチの誰かだろう。
・・・やばいな。
こんな所で車両をロックされたら逃げようがない。
「みんな!」
ジェシーが隣の車両から飛び込んできた。
「早く、こっちへ! 前の車両へ移って!」
「ジェシー! 何があったの!?」
「説明は後! 早く!」
『確認不可ID場所特定完了。只今より5両目の車両をロックします』
5両目――――
ここだ。
「行くぞ!」
バレットの後を追って、俺たちも前の車両へ走る。
『5両目、ロック完了。続いて4両目のロックを行います』
「まだ続くのかよ・・・!」
「とにかく走って! 前へ前へ移動していくの!」
今はジェシーの言うことに従うしかない。
俺とバレットとティファは、とにかく走った。
3両目、2両目――――。
『全車両、ロック完了』
そのアナウンスが入ったとたん、俺たちは1両目の車両へ飛び込んだ。
・・・どうやら間に合ったようだ。
だが、これからどうすれば――――。
「バレットさん!」
ウェッジの声が聞こえた。
よく見ると・・・扉が1つだけ開いている。
「ウェッジ! ビッグス! よくやった!」
バレットは嬉しそうに2人の方へ駆け寄った。
・・・どうやらこの2人、ロックされる前に扉を1つこじ開けたようだ。
開けられたドアはロックしようがない。
「さあ、ここから飛び降りて! 伍番魔晄炉まではまだ少し距離があるけど、地下通路沿いに歩いていけば着くはずだから!」
ジェシーの言葉に、開かれた扉を見るが・・・列車は、かなり高スピードで走り続けている。
失敗すれば命は無いだろう。
「・・・少し、怖いかも」
案の定、ティファは怖じ気づいているようだった。
俺は思わずため息を吐く。
「時間がない。急げ」
「でも――――」
駄目だ。
完全に怯えている。
こういうとき・・・どう声を掛けたらいいのか、分からない。
「・・・大丈夫だ。ティファなら行ける」
「――――」
何の根拠もない。
無責任なことこの上ない言葉だが、ティファは吹っ切れたように「よしっ」と呟きながら頷いた。
「見てて、クラウド。私、飛ぶから!」
その言葉を残し、列車から飛び降りていった。
俺も飛び降りようとドアへ近づくが、その前にバレットを振り返った。
「あんたは来ないのか?」
「リーダーは最後まで残るもんだ!」
・・・リーダー、か。
俺はため息混じりに肩をすくめると、列車から飛び降りた。