夢と約束
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・・・クラウドが、行ってしまう。
私は慌ててカウンターから出ると、ドアに向かって駆け出した。
「ティファ! あんなやつ、放っとけ!」
「嫌よ!」
振り返り、バレットを睨み付ける。
「今回の作戦だって上手くいったのは彼のおかげでしょ!? 私たちには彼が必要なの!」
私の見幕に押されたのか、バレットは口をつぐむ。
私は再び走り出すと、店から飛び出した。
「クラウド!」
彼は本当に去ろうとしていたようだ。
私の声を聞いて、歩みを止めて振り返る。
・・・しかし、やはり目は合わせてくれなかった。
「行っちゃうの?」
「ティファ。悪いが、もうこれ以上は・・・」
それだけ言い残し、再び歩き出そうとする。
・・・やっぱり、報酬が少ないのがいけないんだろうか。
危険すぎる仕事が嫌なんだろうか。
それとも――――私と一緒にいるのが、嫌なんだろうか。
「あーあ! 本当に行っちゃうんだ!」
嫌だった。
いなくなって欲しくなかった。
こんな不安を抱えたまま、彼を行かせるわけにはいかなかった。
「可愛い幼馴染みを残して、行っちゃうんだ! こんなに必死に頼んでるのに、行っちゃうんだ!」
彼は、再びこちらを向いた。
今度はちゃんと、目を合わせてくれた。
私も、ジッと彼を見つめた。
そして――――
「・・・約束も、忘れちゃったんだ」
小さく呟く。
「約束?」
彼は首を傾げた。
「ほら、星が綺麗な日。給水塔の上で約束したでしょ?」
「ああ、あの時か」
彼のその言葉を聞いて、私はホッと胸をなで下ろす。
「うん。あの約束」
「ティファ、なかなか来なくて寒かったな」
クラウドは懐かしげに呟く。
あの日は――――本当に、星が綺麗だった。
降ってきそうなくらい、たくさんの星が輝いていた。
その星空の下で、私たちは1つの約束を交わした――――。
俺はあの夜、給水塔の上にティファを呼び出した。
まだ充分半袖で過ごせる季節だが、夜は少し肌寒い。
・・・もう、どれくらい待っているか分からなかった。
随分長い間、ここに座っている気もする。
ティファがちゃんと来てくれるかどうか、不安だった。
「お待たせっ」
その声に、俺は振り返る。
青いワンピースを着た少女が立っていた。
しかし俺はすぐに視線を逸らす。
「遅くなってごめんね。話ってなに?」
ティファはこちらに歩み寄ってきて、俺の横に座った。
少しの間、俺は何も言わずに空を見上げていた。
俺は、少し・・・ほんの少しだけ、迷っていたのかもしれなかった。
「俺さ、」
しかし自分の心を制し、決心を揺るがすことなく口を開いた。
「春になったら村を出ようと思う」
「・・・」
ティファは、何も言ってくれなかった。
少し寂しげな表情で、遠くの方を見つめていた。
「・・・男の子って、大人になるとみんな村を出て行っちゃうね」
「俺は普通の奴らとは違う」
思わず立ち上がる。
俺は、何の夢もなく、目標もなく、金を稼ぐためだけにここを去る奴らとは違う。
俺には――――夢があった。
「村を出て、ミッドガルへ行って、俺はソルジャーになるんだ。セフィロスみたいな、立派なソルジャーに」
それが俺の夢だった。
ソルジャーになりたい。
強くなりたい。
色々なものを自分の手で守れるように・・・強く、なりたかった。
「セフィロス・・・。英雄セフィロス、か」
ティファはそう呟くと、俺の顔を見上げる。
「ソルジャーになるのって難しいんでしょ?」
「ああ。きっとしばらく村には戻れないな」
「有名になったら新聞にも載るのかな?」
「頑張るよ」
ティファは、そっと微笑んだ。
「じゃあ、約束しない?」
「・・・約束?」
「うん。クラウドが有名になって、もしその時私が困ってたら・・・。クラウド、私を助けに来てね」
「はぁ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
それじゃあまるで、ピンチの時に現れるヒーローみたいだ。
「女の子はピンチの時に男の子に助けに来てもらいたいものなのっ!」
「・・・はぁ」
俺には到底理解できそうにない理屈だ。
だけど・・・
「いいじゃない! 約束しなさいよね!」
「・・・分かった。約束する」
――――それが、俺がソルジャーになる理由だ。
ティファのことも、約束も、どちらも守れるくらい強くなろうと誓った。
「・・・思い出してくれたんだね」
ティファの言葉に、俺は頷いた。
だが・・・やっぱり、駄目だ。
俺はティファから目を逸らした。
「俺は英雄でも有名でもない。約束は・・・守れない」
「子どもの頃の夢を実現したじゃない。ちゃんとソルジャーになれた。だから・・・」
・・・ああ。
確かに俺はソルジャーになれた。
だが、心の中の何かがここに留まることを拒んでいた。
大勢で馴れ合うのが嫌なのかもしれない。
報酬に見合わない危険な仕事をするのが嫌なのかもしれない。
・・・理由は、分からなかった。
「お願い、クラウド。今度こそ約束を――――」
「おい、クラウド!」
突然、バレットが店から飛び出してきた。
バレットは、何とも形容しがたい複雑な表情を浮かべていた。
「その・・・なんだ、あー・・・」
バレットは明後日の方を見ながら口をもごもごと動かす。
・・・まどろっこしい。
さっさと言え、と言いそうになった。
「今回の作戦は・・・世話になった。考えてみたんだけどよ、やっぱりお前がいなかったら上手くいってなかったと思うんだ。だからよ、もし・・・もしよかったら、明日の作戦も・・・」
「バレット・・・!」
ティファが嬉しそうに顔をほころばす。
・・・まさかバレットがこんなことを言ってくるとは思わなかった。
俺は小さくため息を吐く。
・・・仕方ない、か――――。
「報酬を倍にするなら考えてもいい」
「クラウド!」
ティファが嬉しそうに叫んだ。
バレットはしばらくの間、ジッと俺の顔を睨んでいたが、舌打ちをしながら目を逸らした。
「1,5倍だ!」
「ありがとう、クラウド!」
ティファの言葉に、俺は軽く肩を竦めた。
・・・仕方ない。
もう少しだけ、アバランチの奴らに付き合ってやろう。
私は慌ててカウンターから出ると、ドアに向かって駆け出した。
「ティファ! あんなやつ、放っとけ!」
「嫌よ!」
振り返り、バレットを睨み付ける。
「今回の作戦だって上手くいったのは彼のおかげでしょ!? 私たちには彼が必要なの!」
私の見幕に押されたのか、バレットは口をつぐむ。
私は再び走り出すと、店から飛び出した。
「クラウド!」
彼は本当に去ろうとしていたようだ。
私の声を聞いて、歩みを止めて振り返る。
・・・しかし、やはり目は合わせてくれなかった。
「行っちゃうの?」
「ティファ。悪いが、もうこれ以上は・・・」
それだけ言い残し、再び歩き出そうとする。
・・・やっぱり、報酬が少ないのがいけないんだろうか。
危険すぎる仕事が嫌なんだろうか。
それとも――――私と一緒にいるのが、嫌なんだろうか。
「あーあ! 本当に行っちゃうんだ!」
嫌だった。
いなくなって欲しくなかった。
こんな不安を抱えたまま、彼を行かせるわけにはいかなかった。
「可愛い幼馴染みを残して、行っちゃうんだ! こんなに必死に頼んでるのに、行っちゃうんだ!」
彼は、再びこちらを向いた。
今度はちゃんと、目を合わせてくれた。
私も、ジッと彼を見つめた。
そして――――
「・・・約束も、忘れちゃったんだ」
小さく呟く。
「約束?」
彼は首を傾げた。
「ほら、星が綺麗な日。給水塔の上で約束したでしょ?」
「ああ、あの時か」
彼のその言葉を聞いて、私はホッと胸をなで下ろす。
「うん。あの約束」
「ティファ、なかなか来なくて寒かったな」
クラウドは懐かしげに呟く。
あの日は――――本当に、星が綺麗だった。
降ってきそうなくらい、たくさんの星が輝いていた。
その星空の下で、私たちは1つの約束を交わした――――。
俺はあの夜、給水塔の上にティファを呼び出した。
まだ充分半袖で過ごせる季節だが、夜は少し肌寒い。
・・・もう、どれくらい待っているか分からなかった。
随分長い間、ここに座っている気もする。
ティファがちゃんと来てくれるかどうか、不安だった。
「お待たせっ」
その声に、俺は振り返る。
青いワンピースを着た少女が立っていた。
しかし俺はすぐに視線を逸らす。
「遅くなってごめんね。話ってなに?」
ティファはこちらに歩み寄ってきて、俺の横に座った。
少しの間、俺は何も言わずに空を見上げていた。
俺は、少し・・・ほんの少しだけ、迷っていたのかもしれなかった。
「俺さ、」
しかし自分の心を制し、決心を揺るがすことなく口を開いた。
「春になったら村を出ようと思う」
「・・・」
ティファは、何も言ってくれなかった。
少し寂しげな表情で、遠くの方を見つめていた。
「・・・男の子って、大人になるとみんな村を出て行っちゃうね」
「俺は普通の奴らとは違う」
思わず立ち上がる。
俺は、何の夢もなく、目標もなく、金を稼ぐためだけにここを去る奴らとは違う。
俺には――――夢があった。
「村を出て、ミッドガルへ行って、俺はソルジャーになるんだ。セフィロスみたいな、立派なソルジャーに」
それが俺の夢だった。
ソルジャーになりたい。
強くなりたい。
色々なものを自分の手で守れるように・・・強く、なりたかった。
「セフィロス・・・。英雄セフィロス、か」
ティファはそう呟くと、俺の顔を見上げる。
「ソルジャーになるのって難しいんでしょ?」
「ああ。きっとしばらく村には戻れないな」
「有名になったら新聞にも載るのかな?」
「頑張るよ」
ティファは、そっと微笑んだ。
「じゃあ、約束しない?」
「・・・約束?」
「うん。クラウドが有名になって、もしその時私が困ってたら・・・。クラウド、私を助けに来てね」
「はぁ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
それじゃあまるで、ピンチの時に現れるヒーローみたいだ。
「女の子はピンチの時に男の子に助けに来てもらいたいものなのっ!」
「・・・はぁ」
俺には到底理解できそうにない理屈だ。
だけど・・・
「いいじゃない! 約束しなさいよね!」
「・・・分かった。約束する」
――――それが、俺がソルジャーになる理由だ。
ティファのことも、約束も、どちらも守れるくらい強くなろうと誓った。
「・・・思い出してくれたんだね」
ティファの言葉に、俺は頷いた。
だが・・・やっぱり、駄目だ。
俺はティファから目を逸らした。
「俺は英雄でも有名でもない。約束は・・・守れない」
「子どもの頃の夢を実現したじゃない。ちゃんとソルジャーになれた。だから・・・」
・・・ああ。
確かに俺はソルジャーになれた。
だが、心の中の何かがここに留まることを拒んでいた。
大勢で馴れ合うのが嫌なのかもしれない。
報酬に見合わない危険な仕事をするのが嫌なのかもしれない。
・・・理由は、分からなかった。
「お願い、クラウド。今度こそ約束を――――」
「おい、クラウド!」
突然、バレットが店から飛び出してきた。
バレットは、何とも形容しがたい複雑な表情を浮かべていた。
「その・・・なんだ、あー・・・」
バレットは明後日の方を見ながら口をもごもごと動かす。
・・・まどろっこしい。
さっさと言え、と言いそうになった。
「今回の作戦は・・・世話になった。考えてみたんだけどよ、やっぱりお前がいなかったら上手くいってなかったと思うんだ。だからよ、もし・・・もしよかったら、明日の作戦も・・・」
「バレット・・・!」
ティファが嬉しそうに顔をほころばす。
・・・まさかバレットがこんなことを言ってくるとは思わなかった。
俺は小さくため息を吐く。
・・・仕方ない、か――――。
「報酬を倍にするなら考えてもいい」
「クラウド!」
ティファが嬉しそうに叫んだ。
バレットはしばらくの間、ジッと俺の顔を睨んでいたが、舌打ちをしながら目を逸らした。
「1,5倍だ!」
「ありがとう、クラウド!」
ティファの言葉に、俺は軽く肩を竦めた。
・・・仕方ない。
もう少しだけ、アバランチの奴らに付き合ってやろう。