夢と約束
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7番街スラムにある小さなバー、セブンスヘブン。
私はここに移り住んでから、ずっとこの店を切り盛りしていた。
場所が場所なだけに大繁盛とまではいかないが、ここに来る人達はみんな、楽しげに笑いながら酒を飲んで帰ってくれる。
こんな酷いスラム街でも、ここで酒を飲んでいる間だけは天国にいるような気持ちになってもらいたい。
そういう思いを込めた店だった。
「ティファちゃん! 酒、おかわり!」
「はーい」
ジョッキに酒を注ぐと、ピンクのワンピースを着た女の子がこちらにやって来る。
「ティファ。持っていく」
「ありがとう。気をつけてね」
カウンターの中から彼女にジョッキを手渡す。
彼女は少し危なっかしい足取りで、ゆっくりとテーブルに酒を運んだ。
彼女の名前はマリン。
年の割にはしっかりしていて、いつもお店を手伝ってくれている。
この店の看板娘だ。
洗い終わったグラスを磨きながら、ふと窓の外に目をやった。
・・・先程からニュースで壱番魔晄炉爆破の事がずっと流れている。
バレットたちは上手くやったようだ。
だが、作戦が失敗するかもしれないという不安は、あまり感じていなかった。
それよりも心配なのは――――彼が、ちゃんとここに帰ってきてくれるかということ。
私とクラウドはニブルヘイムという小さな村で育った幼馴染みだ。
彼は七年前に村を飛び出し、ミッドガルへ行った。
私も――――村であの事件があってから、ここへ移り住んだ。
そしてつい先日、偶然クラウドとここで再会したのだ。
だが、七年も経ったからかもしれないが、彼と話しているうちに違和感を覚えるようになった。
なぜだか分からないが、とにかく『違和感』があるのだ。
原因がよく分からないぶん、小さな不安は大きく膨らみ、私の心の中で悶々と渦を巻いていた。
「ティファ?」
ふと我に返ると、マリンが心配そうな瞳でこちらを見つめていた。
「どうしたの? ぼおっとして」
「ううん、なんでもない」
そう言いながら微笑む。
・・・いけない。
深く考え込んでしまったようだ。
・・・違和感の原因は分からなくても、とにかく今は彼を待つ事しかできない。
そして、彼の側で見守っていることぐらいしか――――。
その時、突然店のドアが猛烈な勢いで開けられた。
店の中にいた客が一斉にそちらに目をやる。
そこに立っていたのは・・・片腕が銃の男。
「おら、お前ら! 今日は閉店だ! さっさと出てけ!」
そう言いながら、彼はあろう事か店の中で銃を乱射し始めた。
客達は叫び声を上げながら出口に向かって駆けてゆく。
・・・滅茶苦茶だ。
「バレット! 店の中で銃を撃たないで!」
私の言葉を聞いて、バレットは撃つのを止めた。
私は慌てて店の外へ飛び出すと、走って逃げてゆく客達に頭を下げる。
「ごめんなさい! お金はいらないから!」
「ったく、いい加減にしてくれよな! これで何度目だ!?」
客の一人が叫んできた。
そう、バレットが銃を撃って客達を追い返したのはこれが初めてではない。
そのせいでお客が減っているという事実も否めなかった。
「本当にごめんなさい!」
もう一度だけ頭を下げると、ため息を吐きながら店の中に戻った。
・・・私もアバランチの一員だ。
この店をアジトに使ってもらうのは構わない。
だが、客を減らすような行為はこれ以上して欲しくなかった。
何度も注意はしたが、相手はあのバレットだ。
素直に聞いてくれるわけがない。
「父ちゃん!」
「おお、マリン! 良い子にしてたか!?」
・・・しかし、嬉しそうに駆け寄るマリンを抱き上げるバレットを見ていると、怒る気も失せてしまった。
バレットのせいで収入が減ったら、彼からこの店をアジトに使っている使用料を取ればいい。
私は気を取り直すと、微笑みながらクラウドの方へ歩み寄った。
「お帰りなさい。疲れたでしょ?」
「・・・別に」
クラウドは、目を合わせてはくれなかった。
・・・再会してからずっとこんな感じだ。
やっぱり無理矢理アバランチに協力してもらったのがいけなかったんだろうか。
「何だか安心しちゃった。クラウドがちゃんと帰ってきてくれて」
クラウドは少し訝しげな表情でこちらを見てくる。
「急にどうした? あんな仕事、なんでもない」
「・・・そうだよね。クラウド、ソルジャーになったんだもんね」
小さいときの夢が叶ったんだもんね。
でも、心の中に芽生えた小さな不安は消えてくれなかった。
クラウドのポケットに、花が刺さっているのに気がついた。
黄色い綺麗な花だ。
「それ・・・」
私の視線に気付いたのか、クラウドはポケットから花を取り出す。
・・・この街で花を見られるとは思わなかった。
「珍しいね。ミッドガルでは花なんて滅多に育たないのよ」
「そうらしいな。花売りから買ったんだ」
「へえ・・・」
ジッと花を見つめていると、クラウドがこちらに差し出してきた。
「えっ?」
まさか・・・プレゼントしてくれるつもり?
「やるよ」
その言葉を聞いたとたん、パアッと顔が輝いた。
男の人から花をプレゼントされるなんて、すごくロマンチックだ。
「ありがとう!」
花を受け取ると、潰さないように握りしめる。
・・・本当に、嬉しかった。
「ティファ! 酒をくれ!」
ビッグスの声が聞こえてきた。
ビッグス、ジェシー、ウェッジの3人が、席に座ってこちらを見ている。
いけない。
彼らの食事の準備をしないと。
「はーい!」
私は慌ててカウンターへ入った。
私はここに移り住んでから、ずっとこの店を切り盛りしていた。
場所が場所なだけに大繁盛とまではいかないが、ここに来る人達はみんな、楽しげに笑いながら酒を飲んで帰ってくれる。
こんな酷いスラム街でも、ここで酒を飲んでいる間だけは天国にいるような気持ちになってもらいたい。
そういう思いを込めた店だった。
「ティファちゃん! 酒、おかわり!」
「はーい」
ジョッキに酒を注ぐと、ピンクのワンピースを着た女の子がこちらにやって来る。
「ティファ。持っていく」
「ありがとう。気をつけてね」
カウンターの中から彼女にジョッキを手渡す。
彼女は少し危なっかしい足取りで、ゆっくりとテーブルに酒を運んだ。
彼女の名前はマリン。
年の割にはしっかりしていて、いつもお店を手伝ってくれている。
この店の看板娘だ。
洗い終わったグラスを磨きながら、ふと窓の外に目をやった。
・・・先程からニュースで壱番魔晄炉爆破の事がずっと流れている。
バレットたちは上手くやったようだ。
だが、作戦が失敗するかもしれないという不安は、あまり感じていなかった。
それよりも心配なのは――――彼が、ちゃんとここに帰ってきてくれるかということ。
私とクラウドはニブルヘイムという小さな村で育った幼馴染みだ。
彼は七年前に村を飛び出し、ミッドガルへ行った。
私も――――村であの事件があってから、ここへ移り住んだ。
そしてつい先日、偶然クラウドとここで再会したのだ。
だが、七年も経ったからかもしれないが、彼と話しているうちに違和感を覚えるようになった。
なぜだか分からないが、とにかく『違和感』があるのだ。
原因がよく分からないぶん、小さな不安は大きく膨らみ、私の心の中で悶々と渦を巻いていた。
「ティファ?」
ふと我に返ると、マリンが心配そうな瞳でこちらを見つめていた。
「どうしたの? ぼおっとして」
「ううん、なんでもない」
そう言いながら微笑む。
・・・いけない。
深く考え込んでしまったようだ。
・・・違和感の原因は分からなくても、とにかく今は彼を待つ事しかできない。
そして、彼の側で見守っていることぐらいしか――――。
その時、突然店のドアが猛烈な勢いで開けられた。
店の中にいた客が一斉にそちらに目をやる。
そこに立っていたのは・・・片腕が銃の男。
「おら、お前ら! 今日は閉店だ! さっさと出てけ!」
そう言いながら、彼はあろう事か店の中で銃を乱射し始めた。
客達は叫び声を上げながら出口に向かって駆けてゆく。
・・・滅茶苦茶だ。
「バレット! 店の中で銃を撃たないで!」
私の言葉を聞いて、バレットは撃つのを止めた。
私は慌てて店の外へ飛び出すと、走って逃げてゆく客達に頭を下げる。
「ごめんなさい! お金はいらないから!」
「ったく、いい加減にしてくれよな! これで何度目だ!?」
客の一人が叫んできた。
そう、バレットが銃を撃って客達を追い返したのはこれが初めてではない。
そのせいでお客が減っているという事実も否めなかった。
「本当にごめんなさい!」
もう一度だけ頭を下げると、ため息を吐きながら店の中に戻った。
・・・私もアバランチの一員だ。
この店をアジトに使ってもらうのは構わない。
だが、客を減らすような行為はこれ以上して欲しくなかった。
何度も注意はしたが、相手はあのバレットだ。
素直に聞いてくれるわけがない。
「父ちゃん!」
「おお、マリン! 良い子にしてたか!?」
・・・しかし、嬉しそうに駆け寄るマリンを抱き上げるバレットを見ていると、怒る気も失せてしまった。
バレットのせいで収入が減ったら、彼からこの店をアジトに使っている使用料を取ればいい。
私は気を取り直すと、微笑みながらクラウドの方へ歩み寄った。
「お帰りなさい。疲れたでしょ?」
「・・・別に」
クラウドは、目を合わせてはくれなかった。
・・・再会してからずっとこんな感じだ。
やっぱり無理矢理アバランチに協力してもらったのがいけなかったんだろうか。
「何だか安心しちゃった。クラウドがちゃんと帰ってきてくれて」
クラウドは少し訝しげな表情でこちらを見てくる。
「急にどうした? あんな仕事、なんでもない」
「・・・そうだよね。クラウド、ソルジャーになったんだもんね」
小さいときの夢が叶ったんだもんね。
でも、心の中に芽生えた小さな不安は消えてくれなかった。
クラウドのポケットに、花が刺さっているのに気がついた。
黄色い綺麗な花だ。
「それ・・・」
私の視線に気付いたのか、クラウドはポケットから花を取り出す。
・・・この街で花を見られるとは思わなかった。
「珍しいね。ミッドガルでは花なんて滅多に育たないのよ」
「そうらしいな。花売りから買ったんだ」
「へえ・・・」
ジッと花を見つめていると、クラウドがこちらに差し出してきた。
「えっ?」
まさか・・・プレゼントしてくれるつもり?
「やるよ」
その言葉を聞いたとたん、パアッと顔が輝いた。
男の人から花をプレゼントされるなんて、すごくロマンチックだ。
「ありがとう!」
花を受け取ると、潰さないように握りしめる。
・・・本当に、嬉しかった。
「ティファ! 酒をくれ!」
ビッグスの声が聞こえてきた。
ビッグス、ジェシー、ウェッジの3人が、席に座ってこちらを見ている。
いけない。
彼らの食事の準備をしないと。
「はーい!」
私は慌ててカウンターへ入った。