星の声が聞こえる。
　何を言っているのかは、よく分からない。
　たくさんの人がザワザワ話している感じ。
　でも、何故かそれはとても心地がよかった。
　嫌なざわめきじゃない。
　むしろ、安心する。
　一人じゃないんだって、思わせてくれる。
　ずっと、側にいるよ――――。
　そう囁いてくれているような・・・。

　瞳を開けた。
　胸の前で祈るように組んでいた手を解き、立ち上がる。
　細い路地から出ると、バイクが目の前を走っていった。
　吐き出された大量の排気ガスに、思わず咳き込む。
　腕に掛けた花籠を持ち直すと、ふと壱番魔晄炉に目をやった。
　遠くの方から列車の汽笛が聞こえてくる。
　・・・何故か、嫌な予感がした。
　しばらくの間、不安げな瞳で、ジッと魔晄炉を見つめていた。