闇という名の光
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ここは―――そう、城の中だ。
レイディアントガーデンで一番大きな城の中。
一年前まで、毎日のようにここに来ていた。
彼女に会うために。
私は慣れた足取りで、いつもの部屋の前まで歩いてゆく。
その部屋にいつも通り、彼女はいた。
ドアが急に開いたことに驚いたのか、目を見開いてこちらを見てくるが、私だと分かったとたん、一転して満面の笑みを浮かべる。
遊んでいた人形をその場に置いたまま、私の方へ駆け寄ってきた。
「ミキ」
私の名を呼ぶ彼女を、愛おしく見つめる。
いつも通り、駆け寄ってくる彼女を抱き留めようとした瞬間、急に辺りが真っ暗になった。
部屋にあった家具が全て消えて、闇に染まる。
そして、彼女の姿も―――
「ミキ!」
先ほどとは違う、恐怖の叫び声で私の名を呼んでくる。
彼女の体も、次第に闇に飲み込まれていた。
慌てて彼女の手を掴もうとしたとたん、彼女の体が消えた。
私の手は、何もない空間を虚しく掠める。
私は、震える両手をじっと見つめた。
―――守れなかった。
彼女を、守れなかった。
守ると決めたのに。
私の命に替えてでも、守ると決めたのに。
どこに行ったの?
お願い、もう一度私の名を呼んで―――!
「カ―――!」
私は、叫んだ。
「カ――リ――――!」
彼女の名を。
何度も、何度も―――。
「カイリ!」
叫びながら、私は勢いよく起きあがった。
息が荒い。
体中が汗でびっしょりだ。
数秒ほど、放心状態に陥る。
聞こえてくるのは、自分の荒い息づかいと、窓の外の小鳥の声だけ。
・・・ここはどこだろう。
数秒後、そう考えてしまった自分が阿呆らしくなる。
そうだ、ここはディズニーキャッスルの一室。
昨日、半ば無理矢理連れてきてもらったばかりではないか。
一度だけ深呼吸をすると、再びベットに倒れ込んだ。
昨晩寝る前にボンヤリと見つめていた天井を、再び見つめる。
・・・また、あの夢だ。
しばらく見ていなかったのに。
あの夢を見る度に、私はどうしようもないほどの罪悪感に襲われる。
守れなかった彼女を想って―――。
あの子は今、どこでどうしているのだろう。
生きていることすらはっきりしていないが、きっと生きていると信じていた。
唯一、私に本当の笑顔を見せてくれた少女―――。
私たちは、一日の大半を一緒に過ごしていた。
私はカイリのことを本当の妹のように想っていたし、彼女もまた、私を姉のように慕ってくれていた。
しかし、私たちは引き離されたのだ。
ある日、城に住む研究者が、ハートレスを発見した。
詳しいことは知らないが、人の心を奪うハートレスはたくさんの人の心を壊してしまったらしい。
今だってそうだ。
街の外へ出るときはいつも、ハートレスに注意しなさいと言われながら生きてきた。
そんなハートレスに心を奪われないように、その研究者はカイリをどこかへ隠してしまったのだ。
街の外へ連れ出したのか、あるいは城の中で隔離されていたのかも分からない。
とにかく彼女は、ある日忽然と姿を消してしまった。
その日からだった。
私が、本当に笑わなくなってしまったのは。
カイリに会っていたときは、彼女の笑顔を見て少し微笑むぐらいは出来た。
しかし、彼女がいなくなってから、私は光を失った。
カイリだけが、私の光だった。
光を失った私は虚無となり、あの城の一室から街を見下ろすようになった。
カイリがいなくなったのは、今から二年前。
私は二年間、光のない生活を送っていた。
そして、今も―――。
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「誰?」
私は上半身を起こしながら、ドアに向かって尋ねる。
返事はすぐに返ってきた。
「僕だよ、ミッキーだ。入ってもいいかい?」
「どうぞ」
私がベッドに座り込んだのと同時に、王様が部屋に入ってきた。
彼は私を見て、優しく微笑む。
どうしてこんなに優しい笑みを浮かべられるのか、不思議だった。
「昨日はよく眠れたかい? 約束通り、今日は城の中を案内するよ。見せたいところが沢山あるんだ」
そう言うと彼は、部屋を出て行く。
私も後に続いた。
レイディアントガーデンで一番大きな城の中。
一年前まで、毎日のようにここに来ていた。
彼女に会うために。
私は慣れた足取りで、いつもの部屋の前まで歩いてゆく。
その部屋にいつも通り、彼女はいた。
ドアが急に開いたことに驚いたのか、目を見開いてこちらを見てくるが、私だと分かったとたん、一転して満面の笑みを浮かべる。
遊んでいた人形をその場に置いたまま、私の方へ駆け寄ってきた。
「ミキ」
私の名を呼ぶ彼女を、愛おしく見つめる。
いつも通り、駆け寄ってくる彼女を抱き留めようとした瞬間、急に辺りが真っ暗になった。
部屋にあった家具が全て消えて、闇に染まる。
そして、彼女の姿も―――
「ミキ!」
先ほどとは違う、恐怖の叫び声で私の名を呼んでくる。
彼女の体も、次第に闇に飲み込まれていた。
慌てて彼女の手を掴もうとしたとたん、彼女の体が消えた。
私の手は、何もない空間を虚しく掠める。
私は、震える両手をじっと見つめた。
―――守れなかった。
彼女を、守れなかった。
守ると決めたのに。
私の命に替えてでも、守ると決めたのに。
どこに行ったの?
お願い、もう一度私の名を呼んで―――!
「カ―――!」
私は、叫んだ。
「カ――リ――――!」
彼女の名を。
何度も、何度も―――。
「カイリ!」
叫びながら、私は勢いよく起きあがった。
息が荒い。
体中が汗でびっしょりだ。
数秒ほど、放心状態に陥る。
聞こえてくるのは、自分の荒い息づかいと、窓の外の小鳥の声だけ。
・・・ここはどこだろう。
数秒後、そう考えてしまった自分が阿呆らしくなる。
そうだ、ここはディズニーキャッスルの一室。
昨日、半ば無理矢理連れてきてもらったばかりではないか。
一度だけ深呼吸をすると、再びベットに倒れ込んだ。
昨晩寝る前にボンヤリと見つめていた天井を、再び見つめる。
・・・また、あの夢だ。
しばらく見ていなかったのに。
あの夢を見る度に、私はどうしようもないほどの罪悪感に襲われる。
守れなかった彼女を想って―――。
あの子は今、どこでどうしているのだろう。
生きていることすらはっきりしていないが、きっと生きていると信じていた。
唯一、私に本当の笑顔を見せてくれた少女―――。
私たちは、一日の大半を一緒に過ごしていた。
私はカイリのことを本当の妹のように想っていたし、彼女もまた、私を姉のように慕ってくれていた。
しかし、私たちは引き離されたのだ。
ある日、城に住む研究者が、ハートレスを発見した。
詳しいことは知らないが、人の心を奪うハートレスはたくさんの人の心を壊してしまったらしい。
今だってそうだ。
街の外へ出るときはいつも、ハートレスに注意しなさいと言われながら生きてきた。
そんなハートレスに心を奪われないように、その研究者はカイリをどこかへ隠してしまったのだ。
街の外へ連れ出したのか、あるいは城の中で隔離されていたのかも分からない。
とにかく彼女は、ある日忽然と姿を消してしまった。
その日からだった。
私が、本当に笑わなくなってしまったのは。
カイリに会っていたときは、彼女の笑顔を見て少し微笑むぐらいは出来た。
しかし、彼女がいなくなってから、私は光を失った。
カイリだけが、私の光だった。
光を失った私は虚無となり、あの城の一室から街を見下ろすようになった。
カイリがいなくなったのは、今から二年前。
私は二年間、光のない生活を送っていた。
そして、今も―――。
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「誰?」
私は上半身を起こしながら、ドアに向かって尋ねる。
返事はすぐに返ってきた。
「僕だよ、ミッキーだ。入ってもいいかい?」
「どうぞ」
私がベッドに座り込んだのと同時に、王様が部屋に入ってきた。
彼は私を見て、優しく微笑む。
どうしてこんなに優しい笑みを浮かべられるのか、不思議だった。
「昨日はよく眠れたかい? 約束通り、今日は城の中を案内するよ。見せたいところが沢山あるんだ」
そう言うと彼は、部屋を出て行く。
私も後に続いた。