信じる心
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「今日から新しくメンバーになった・・・ミキだ」
ばからしい。
何で自己紹介なんかされないといけないんだ。
口にこそ出さないものの、私は心の中で悪態をつく。
白い壁に囲まれたこの円柱状の部屋は、まさしく虚無の世界だった。
その空間の中に、高さがそれぞれ違う真っ白の椅子が全部で一三個ある。
一番端の椅子だけ空いているが、他はすべて埋まっていた。
そこにいるすべての人の視線が、こちらに集中する。
「これでやっと、機関が完成した」
先ほど私の紹介をした男、ゼムナスが再び口を開く。
彼は、この機関のリーダーだ。
ここにいるメンバーの中でも、彼が一番闇の気配が強い。
とてつもない闇を秘めているのが感じられた。
「おいおい、最後は女かよ? 二人も女がいて大丈夫なのか?」
シグバールが口を挟む。
「俺は女の子がいてくれた方が良いけどな。男ばっかだとむさっ苦しいだろ?」
デミックスが軽い口調で言う。
シグバールはため息を吐いた。
「生意気な雌はラクシーヌだけで充分だ」
雌という表現にムッとして彼を睨むが、それは私だけではないようだった。
「ちょっと、生意気な雌ってどういう意味よ!? ・・・まぁ、そっちの新入りにはそれぐらいの表現がピッタリかもしれないけどねぇ~」
ラクシーヌは、からかわれた腹いせか、憎たらしい口調で言ってくる。
しかし私は、何も言い返さなかった。
この機関の中では、相手に感情を露わにするのは止めようと決めたのだ。
彼らノーバディーは、心を持たない者。
変に感情豊に接して、心があることを疑われるのだけは避けたい。
だから私は、心が無かった頃に、自分を引き戻した。
すべてが真っ暗だった、あの頃に。
私は、無理に心が無い演技をする必要が無いのかもしれない。
心の中で、自嘲めいた笑みを浮かべる。
確かに、沢山の世界を巡っていく内に感情を取り戻していった。
今では、ちゃんと笑えるようにもなった。
でも、何かが足りないのだ。
まだ、自分が体験していない・・・感じていない、感情がある。
そう、自らに足りない『心』を追い求めている彼らと同じように―――。
もしかしたら私も、ここにいるべき存在なのかもしれない。
「な~に~? だんまり? あー、ヤダヤダ! 変にツンツンしちゃってさぁ、感じ悪~い」
「しかし、ゼムナス。ミキは風の力を使えるそうだが・・・ザルディンと被っているのでは?」
ラクシーヌの悪態にウンザリしてきたのか、サイクスが彼女の言葉を遮るように言った。
ラクシーヌは怒ったように頬を膨らませている。
しかし、皆は彼女を無視した。
「ミキの闇の強さはかなりのものだ。このまま手放してしまうのも惜しい存在だろう」
リーダーの決断は絶対――――。
もう誰も、抗議はしなかった。
「ミキ。あの椅子に座れ」
私はゆっくりと椅子の方へと歩み寄ると、高く飛び上がってそこに座る。
「ふんっ。あんた、気に入らないわ。人の話を無視しちゃって、気取ってんじゃないわよ。感じ悪いわね」
私はラクシーヌに負けぬほど冷たい瞳で彼女見つめると、深いため息を吐いた。
「・・・初対面の人に向かっていきなり悪態を付いてくるあなたの方が、よっぽど感じ悪いと思うけど?」
「その通りだ、ラクシーヌ。相手が自分より美人だからって、ひがむな」
「なっ! ひがんでなんか―――!」
ルクソードの言葉に、ラクシーヌは声を荒げる。
「さあ、これですべての同士が揃った―――」
ゼムナスが口を開いたことにより、場の空気が一気に引き締まった。
彼からは、不思議な威圧を感じるのだ。
私はゼムナスを横目に見つめる。
彼にだけは逆らってはいけない。
私の本能が、そう告げていた。
「再び問う。我々の目的の為、自らの存在を賭けることを誓うか? もし、少しでも決心が揺らぐ者がいれば―――今すぐ、ここから立ち去れ」
立ち上がった者は、一人も、いなかった。
皆は各々の表情を浮かべながら、ゼムナスを見据えている。
ゼムナスは、にやりと笑った。
「では、皆の力を合わせ、戦おうではないか。キングダムハーツの名の下に!」
・・・すべてが始まった。
その時私は、そう感じた。
ばからしい。
何で自己紹介なんかされないといけないんだ。
口にこそ出さないものの、私は心の中で悪態をつく。
白い壁に囲まれたこの円柱状の部屋は、まさしく虚無の世界だった。
その空間の中に、高さがそれぞれ違う真っ白の椅子が全部で一三個ある。
一番端の椅子だけ空いているが、他はすべて埋まっていた。
そこにいるすべての人の視線が、こちらに集中する。
「これでやっと、機関が完成した」
先ほど私の紹介をした男、ゼムナスが再び口を開く。
彼は、この機関のリーダーだ。
ここにいるメンバーの中でも、彼が一番闇の気配が強い。
とてつもない闇を秘めているのが感じられた。
「おいおい、最後は女かよ? 二人も女がいて大丈夫なのか?」
シグバールが口を挟む。
「俺は女の子がいてくれた方が良いけどな。男ばっかだとむさっ苦しいだろ?」
デミックスが軽い口調で言う。
シグバールはため息を吐いた。
「生意気な雌はラクシーヌだけで充分だ」
雌という表現にムッとして彼を睨むが、それは私だけではないようだった。
「ちょっと、生意気な雌ってどういう意味よ!? ・・・まぁ、そっちの新入りにはそれぐらいの表現がピッタリかもしれないけどねぇ~」
ラクシーヌは、からかわれた腹いせか、憎たらしい口調で言ってくる。
しかし私は、何も言い返さなかった。
この機関の中では、相手に感情を露わにするのは止めようと決めたのだ。
彼らノーバディーは、心を持たない者。
変に感情豊に接して、心があることを疑われるのだけは避けたい。
だから私は、心が無かった頃に、自分を引き戻した。
すべてが真っ暗だった、あの頃に。
私は、無理に心が無い演技をする必要が無いのかもしれない。
心の中で、自嘲めいた笑みを浮かべる。
確かに、沢山の世界を巡っていく内に感情を取り戻していった。
今では、ちゃんと笑えるようにもなった。
でも、何かが足りないのだ。
まだ、自分が体験していない・・・感じていない、感情がある。
そう、自らに足りない『心』を追い求めている彼らと同じように―――。
もしかしたら私も、ここにいるべき存在なのかもしれない。
「な~に~? だんまり? あー、ヤダヤダ! 変にツンツンしちゃってさぁ、感じ悪~い」
「しかし、ゼムナス。ミキは風の力を使えるそうだが・・・ザルディンと被っているのでは?」
ラクシーヌの悪態にウンザリしてきたのか、サイクスが彼女の言葉を遮るように言った。
ラクシーヌは怒ったように頬を膨らませている。
しかし、皆は彼女を無視した。
「ミキの闇の強さはかなりのものだ。このまま手放してしまうのも惜しい存在だろう」
リーダーの決断は絶対――――。
もう誰も、抗議はしなかった。
「ミキ。あの椅子に座れ」
私はゆっくりと椅子の方へと歩み寄ると、高く飛び上がってそこに座る。
「ふんっ。あんた、気に入らないわ。人の話を無視しちゃって、気取ってんじゃないわよ。感じ悪いわね」
私はラクシーヌに負けぬほど冷たい瞳で彼女見つめると、深いため息を吐いた。
「・・・初対面の人に向かっていきなり悪態を付いてくるあなたの方が、よっぽど感じ悪いと思うけど?」
「その通りだ、ラクシーヌ。相手が自分より美人だからって、ひがむな」
「なっ! ひがんでなんか―――!」
ルクソードの言葉に、ラクシーヌは声を荒げる。
「さあ、これですべての同士が揃った―――」
ゼムナスが口を開いたことにより、場の空気が一気に引き締まった。
彼からは、不思議な威圧を感じるのだ。
私はゼムナスを横目に見つめる。
彼にだけは逆らってはいけない。
私の本能が、そう告げていた。
「再び問う。我々の目的の為、自らの存在を賭けることを誓うか? もし、少しでも決心が揺らぐ者がいれば―――今すぐ、ここから立ち去れ」
立ち上がった者は、一人も、いなかった。
皆は各々の表情を浮かべながら、ゼムナスを見据えている。
ゼムナスは、にやりと笑った。
「では、皆の力を合わせ、戦おうではないか。キングダムハーツの名の下に!」
・・・すべてが始まった。
その時私は、そう感じた。